若年層のSNS利用② Twitter派?Instagram派?【研究員の視点】#542
世論調査部 (視聴者調査)芳賀紫苑
前回のブログでは若年層に注⽬して、SNS利⽤状況の特徴を分析し、主要SNSの多くはLINEを除くと、16~29歳の若年層が利用の中心層であることをお伝えしました。今回は、同じ調査(WEBモニターアンケート*)の結果をもとに、若年層が特徴的に利用している、Twitter(調査当時︓現X)とInstagramに注目して、SNSの利用と意識との関係についてみていきます。LINEを除いて、SNSをひとつ以上利⽤している⼈に「最もよく利⽤するSNS」は何かをたずねました(図1)。Twitterを最もよく利⽤すると回答した人は579⼈、Instagramを最もよく利⽤すると回答した⼈は422人で、男性ではTwitterの利用がInstagramの2倍程度になっているのに対し、⼥性ではInstagramとTwitterがほぼ拮抗(きっこう)していることがわかります。
*調査概要 2023年2⽉実施・全国16〜29歳男⼥(WEBモニターアンケート)1,280⼈
Twitter派は「趣味」、Instagram派は「流⾏」「グルメ・レジャー」
Twitterを最もよく利⽤すると回答した⼈、Instagramを最もよく利⽤すると回答した⼈、それぞれをTwitter派、Instagram派と分けて、分析してみます。
図2は、どのような情報に関⼼を持っているのか複数回答でたずねた結果です。
両者で10ポイント以上差があった項目です。Twitter派が上回ったのは「個⼈的な趣味に関する情報」で、 Instagram派が上回ったのは「⾳楽・芸能などのエンタメ情報」「最近の流⾏・はやりもの」「グルメや旅⾏・レジャー情報」の3つの項⽬です。
Twitterは多くの⼈が関心をもって見ている分野だけではなく、⾒る⼈が少ない、いわゆるニッチな分野まで、さまざまな話題がつぶやかれています。利⽤者は⾃分の興味に合った話題や、⾃分と同じような関⼼を持っている⼈たちを⾒つけやすく、"個⼈的な趣味"を楽しむサービスとして利⽤され、⼀⽅、写真や動画が中⼼となるInstagramはビジュアルが重要になる流⾏やグルメや旅⾏、レジャー情報といった情報と相性が良いサービスだと⾔われることがあります。
同じアンケートの中の、⾃⾝の⾏動についてたずねた設問で、「新しいものやサービスはすぐ試してみるほうだ」「家にいるよりも外に出かけるほうが好きだ」という選択肢に「あてはまる」「まああてはまる」と回答した⼈の割合は、Instagram派の方がTwitter派よりも高い傾向にあります(図3)。こうしたことも、関⼼を持っている情報の違いに関連しているのかもしれません。
「ニュース(政治・経済・社会の動き)」や「⽣活に関わる実⽤的な情報」「近所や地元に関する⾝近な情報」については、Twitter 派とInstagram派で違いはみられませんでした。
今回ご紹介した結果の多くは、WEBモニターアンケートであり、統計的に国⺠全体を表すデータではありませんが、多くの⼈が利⽤するSNSで、かつその利⽤が活発な若年層で、その利⽤の状況や特徴を知る上で、ひとつの参考になるのではないかと思います。
今⽉5月23日、24日開催した⽂研フォーラムのミニコーナーでも、本ブログ(若年層のSNS利用①、②)で取り上げた内容のエッセンスをご紹介しました。フォーラムのすべての内容は、文研HPで見逃し動画を配信中です、ぜひご覧ください。
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