文研ブログ

2021年11月

おススメの1本 2021年11月24日 (水)

#351 放送のいまを未来に届ける―――『NHK年鑑』

メディア研究部(メディア史研究) 居駒千穂


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211119-3.jpg 10月30日に『NHK年鑑2021』を刊行しました。1931年に『ラヂオ年鑑』として創刊されて以来、戦時中と終戦直後の3年間を除いて毎年刊行され、本号は86冊目にあたります。今回は「見出しデザイン」なども一新し、読みやすさを追求しました。
 本号では新型コロナウイルス感染拡大へのNHKの対応や、発災から10年の東日本大震災について冒頭に掲載しました。また一年の動きを社会、NHK、国内・海外メディアに分けてコンパクトに一覧できる「放送日誌」や、1,000に及ぶNHKの定時番組・特集番組の概要をまとめた「番組解説」、NHKの本部だけでなく地域放送局の業務内容も詳細に掲載しています。

 さて、ここで「問題」です。いま放送中の『あさイチ』『うたコン』『ガッテン!』。
この3番組の初回放送日を古いものから順に並べてください。正解はぜひ『NHK年鑑2021』377~378ページでお確かめください。ご覧になるとわかりますが、意外な「事実」も浮かび上がります。


――― 時代とともに歩み続け、放送のいまを未来に届ける、『NHK年鑑』。
 これからも「いま」を刻み続けます。



『NHK年鑑』は書店またはNHK出版にお申し込みください。
Web版は次の画像をクリック!

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(答え)
初回放送日の古いものから、
   『あさイチ』第1回放送日 2010年3月29日
   『うたコン』第1回放送日 2016年4月12日
   『ガッテン!』第1回放送日 2016月4月13日
の順になります。
 『ガッテン!』は21年間にわたって放送した『ためしてガッテン』をリニューアルした番組で、意外にもこの3番組の中では「一番若い番組」。
 リニューアル後の初回放送は、『うたコン』と同じ2016年4月。わずか「一日違い」の4月13日です。


調査あれこれ 2021年11月19日 (金)

#350 紅白シーズン到来! 音楽コンテンツはテレビ放送から?それとも動画?

世論調査部(視聴者調査) 保髙隆之


 早いもので11月も終盤に入ってきました。コロナ禍で季節感を感じる機会が例年より少なかった気がする2021年ですが、個人的には毎年、この時期に楽しみにしている恒例のイベントがあります。それは…「紅白歌合戦」の出場者発表!

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 我が家では家族そろって紅白を見て、両チームを採点するのがお約束。誰が初出場で、誰が出場しない、というのは子どもの頃は“重大”ニュースでした。大みそかには、父の「若いアイドルはみんな同じ顔に見える」なんて声を聞きながら、「これは人気ドラマの主題歌なんだよ!」などと、「ザ・ベストテン」仕込みの知識で解説したものです。40代以上の方なら同じような経験をした方も少なくないのではないでしょうか?
 最近は発表と同時に、若年層と高年層の双方から「知らない人ばかり」「なぜ私の推しが出ないの!」などと激しい応酬がSNS上で繰り広げられることも風物詩となっています。刺さる人にはとことん刺さるけど、そのアーティストのファンコミュニティーの範囲を超えることは難しい。そんな昨今の音楽シーンの背景には「音楽」ジャンルの映像コンテンツへの接触パターンの変化もありそうです。
 下のグラフは昨年11月から今年の1月にかけて実施した世論調査「コロナ時代のテレビの価値」(全国13歳以上対象)の結果です。動画利用者(1,377人)に、「テレビ放送(録画含む)」(図中では「放送」)、NHKプラスやTVerなど「インターネット経由のテレビ番組」(同じく「番組配信」)、YouTubeやAmazonプライム・ビデオのオリジナルコンテンツなどの「インターネット動画(テレビ番組除く)」(同様に「動画」)の3つに分けて、それぞれ視聴ジャンルを複数回答で尋ねました。

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 「音楽」ジャンルと、参考に「ニュース・報道」ジャンルの接触パターンを年層別に比較すると、「放送のみ」での接触がどの年層でも多い「ニュース・報道」に比べ、「音楽」は「動画のみ」での接触が目立ちます。動画利用者へのインタビュー調査では、自分の好きなアーティストのパフォーマンスだけを見たいという声が多く聞かれました。ひと昔前なら、自分の聞きたい歌手の出番が来るまでテレビの前で待つしかありませんでした。(その代わり、思いがけない歌手との出会いの楽しさもありました。)しかし、今は違います。ハードなニュースで問題になりがちな社会の「分断」ですが、「音楽」ジャンルにも「自分」と「他者」のお気に入りを隔てる壁が存在しているようです。
 一方、「放送&動画」の両方で接触する人が幅広い年層で一定数いることも確か。これは他のジャンルと比べても「音楽」の大きな特徴になっています。そういえば、私も昨年の紅白で、それまで食わず嫌いだったYOASOBIの曲を初めて聞き、以来、サブスクやYouTubeで新曲は必ずチェックするようになりました。「ザ・ベストテン」世代の私でさえそうなのですから、デジタルネイティブのZ世代は各メディアとジャンルの特性を理解し、賢く効率的に使い分けているはずです。さて、今年の紅白では、どんなアーティストが世代をこえた出会いの喜びと感動を届けてくれるのでしょうか。今から楽しみです。
 コロナ禍を経た今、ジャンルや生活場面によって異なるテレビや動画の見方について、また、紅白のように家族そろってテレビ「放送」をみる習慣が変化する可能性について、「放送研究と調査」10月号「コロナ禍はテレビと動画の利用者にどんな影響を与えたか」で詳しく報告しています。ぜひ、ご一読ください。


メディアの動き 2021年11月11日 (木)

#349 「『テラスハウス』ショック② ~制作者と出演者の関係を考える~」

メディア研究部(メディア動向) 村上圭子


 私はこれまで5回にわたり、文研ブログで『テラスハウス』に関する記事を書いてきました。『テラスハウス』とは、2012年にフジテレビ系列で放送が開始され、NetflixとFODで配信が行われてきたリアリティ番組1)です。2020年5月、番組に出演中だったプロレスラーの木村花さんが、番組の内容をきっかけとしたSNS上の誹謗中傷に苦しみ自ら命を断つという痛ましい出来事があったことは、多くの方の記憶に残っていると思います。

 現在、花さんのお母さんである木村響子さんは、誹謗中傷の被害者と加害者を減らすことを目標に啓蒙活動を行う「Remember HANA 2)」というNPOを設立し、活動を続けています。響子さんの問題提起もあり、この1年でSNSの誹謗中傷対策は大きく進みました。しかし、番組・コンテンツ制作のプロフェッショナルである放送局やメディアが、番組に協力、参加してくれる出演者や取材者に対しどのような姿勢で向き合うべきかという課題については、十分に議論がし尽くされたとは思えません。花さんが亡くなった当時は、こうした切り口の指摘や報道も数多くなされていましたが、1年半経った今では報じられることもほとんどなくなりました。メディア研究に携わる私の役割は、メディアの問題として「花さんをわすれない」ことだと考え、発信し続けています。

 「放送研究と調査」の10月号では、これまでのブログの内容に加筆修正した論考を発表しました。11月1日からは文研のウェブサイトでも全文を公開中です3)。論考では、木村響子さんの申立てをきっかけに審理が行われてきた放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会の決定4)、花さんの死後に進められてきたフジテレビのSNS対策5)、リアリティ番組“先進国”イギリスで進められている独立規制機関Ofcomによる放送局への規制の強化の動き等について取り上げました。

 これらの内容に通底するのは、制作者と出演者の関係はどうあるべきか、というテーマです。このテーマをもう少し広げて取材者と被取材者の関係性までも含めると、古くから存在する問題であるといえます。制作者や取材者は、出演者や被取材者に対して、どこまで演出や取材の意図を細かく説明すべきなのか……。また、制作のプロセスにおいて、出演者や被取材者の要望や不満にどこまで耳を傾けるべきなのか‥‥‥。対立が生じた時や出演者が悩みを抱えこんでしまった場合、どこまでコミュニケーションを深めればいいのか‥‥‥。番組制作に携わったことがある人なら、誰しも悩んだ経験があるはずですし、20年近く報道番組のディレクターをしてきた私自身も、当時は葛藤の連続でした。更にSNS時代を迎え、誹謗中傷への対策やそれによって傷つく出演者へのケアという大きなテーマが加わってきたのです。
 個々の現場の制作者はこれまで、出演者や被取材者との間で作る信頼関係と、番組編集の自主・自律を前提とする緊張関係とのバランスの中で悩みながら作業を進め、その方法が個人の経験として積み上げられ、それが組織内で共有される形で継承されてきました。SNS時代に急速に発展してきた『テラスハウス』をはじめとしたリアリティ番組は、若い一般の出演者と制作者が一蓮托生の状態の中で関係を構築し、台本なきドラマを紡いでいく、その難しさを魅力に昇華させていく力量が問われる新たな現場でした。こうした現場では様々な新たな模索が行われ、その結果、『テラスハウス』は世界的なブームとなるコンテンツとなったと同時に、花さんの死という痛ましい出来事も生んでしまったのです。

 リアリティ番組において出演者が自ら命を断つ事案が多く発生しているイギリスでは、放送局に対し、出演者契約や番組内容・演出、出演によって生じるリスク、提供可能なケア等について、詳細なインフォームドコンセントが義務付けられました。これまでは個々の現場の取り組みに委ねられてきた日本でも、今後、こうした議論は行われなければならないのではないかと私は考えています。プロフェッショナルメディアとして社会から信頼される存在であり続けるためには、出演者や被取材者への姿勢がどうあるべきか、より自律的に社会に示していくことが問われると思います。

 一方で、一部のリアリティ番組が目指してきたであろう、生きづらさを抱えながらも前を向いて生きていこうとする人達の発信や自己表現、そしてそれを通じた成長や挫折、そこからの立ち直りを見守っていくというスタイルの番組制作や取り組みは、今後一層、メディアが担うべき社会的機能になっていくのではないかと私は考えています。特に、プロフェッショナルメディアである放送局は、花さんの死をメディアの問題としてしっかりと受け止めた上で、こうした取り組みに果敢に挑戦していってほしいと考えています。

 

1) 制作者が設けた架空のシチュエーションに、一般人などの“素人”を出演させ、そこに彼らの感情や行動の変化をひき起こす仕掛けを用意し、その様子を観察するような内容
2) https://rememberhana.com/
3) https://www.nhk.or.jp/bunken/research/domestic/20211001_7.html
4) https://www.bpo.gr.jp/?p=10741&meta_key=2020
5) https://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/brc/determination/2020/76/taiou/76_taiou_cx.pdf


メディアの動き 2021年11月09日 (火)

#348 衆院選・結果の受け止め方は? ~世代で異なる納得と不満の度合い~

放送文化研究所 島田敏男


 11月10日、憲法が衆議院選挙後30日以内に開くことを定めている特別国会が召集され、岸田文雄・自民党総裁を改めて総理大臣に選出し、第2次岸田内閣がスタート。

 岸田総理は辞任した甘利明幹事長の後任に茂木敏充外務大臣をあて、参議院から衆議院に鞍替えした林芳正氏を外務大臣に起用。年内に臨時国会、年明けに通常国会と続きます。

 さて、10月31日に投票が行われた衆議院選挙で、自民党は解散時より議席を15減らしましたが、絶対安定多数の261を獲得。自民党単独で過半数を大きく超えました。


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 これに公明党を加えた与党の議席は293に上り、衆院の議席総数465の63%を占めて岸田総理大臣は引き続き安定した政権基盤を確保しました。

 これに対し野党側では、第1党の立憲民主党が共産党との候補者一本化によって各地の小選挙区で接戦を演じましたが、解散時よりも議席を14減らしました。政権交代を目指した枝野代表は、逆に議席を減らした責任を取って代表辞任を表明せざるを得ませんでした。

 野党の中で議席を増やした日本維新の会と国民民主党は、立憲民主党や共産党とは一線を画し、是々非々の立場で自公政権と向き合うとしています。

 この選挙結果を国民はどう受け止めたのか、11月5日から7日にかけて行ったNHK電話世論調査の結果を読み込んでいきます。

☆岸田総理は就任早々の10月14日に衆議院を解散して、31日には投票という異例の短期決戦に持ち込んで勝利しました。まず岸田内閣の支持率です。

「支持する」53%、「支持しない」25%という数字で、就任直後の10月調査よりも「支持する」4ポイント増、「支持しない」1ポイント増となりました。

 内閣支持率が50%を超えたのは、去年11月の菅内閣支持率56%以来1年ぶりです。菅総理が繰り返し押し寄せる新型コロナウイルス感染拡大に翻弄され、苦闘を続けてきたことを窺わせます。

☆衆院選の結果についてです。調査では「衆議院選挙で、自民党は、単独で過半数の議席を確保しました。今回の結果をどう思いますか」と尋ね、3つの選択肢から1つを選んでもらいました。


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「与党の議席がもっと多い方がよかった」10%、「今回の結果でちょうどよい」41%、「野党の議席がもっと多い方がよかった」40%、と割れました。

 岸田総理のもとで自公政権が継続され現状維持が図られたことに納得する人と、与野党の勢力がもっと接近して緊張感があった方がよいと考える人。双方がほぼ横並びです。

☆同じ設問について、与党支持者、野党支持者、特に支持する政党はない無党派の別に、それぞれ最も多かった答えを見てみます。

与党支持者では「今回の結果でちょうどよい」63%、野党支持者では「野党の議席がもっと多い方がよかった」75%、無党派では「野党の議席がもっと多い方がよかった」53%でした。

 与党支持者は与党支持者らしく、野党支持者は野党支持者らしく受け止めていると言えるでしょう。


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☆今度はこれを世代別に見てみます。


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18歳~39歳は「今回の結果でちょうどよい」54%、「野党の議席がもっと多いほうがよかった」24%。
40歳代は「今回の結果でちょうどよい」49%、「野党の議席がもっと多い方がよかった」37%。

  若い世代では選挙結果に対する納得度が比較的高くなっています。しかし、これが中高年齢層では傾向が異なります。

50歳代は「野党の議席がもっと多いほうがよかった」44%、「今回の結果でちょうどよい」42%。
60歳代は「野党の議席がもっと多いほうがよかった」55%、「今回の結果でちょうどよい」33%。
70歳以上は「野党の議席がもっと多いほうがよかった」42%、「今回の結果でちょうどよい」37%。

 若い世代では政治の安定が重要だと考える人が多いのに対して、中高年では安定よりも与野党の論戦や政策の競い合いに期待する人が多い一面が浮かび上がってきます。

 選挙結果に対する世代間の受け止めの違いは、今後どういう現象を生むことになるのでしょう?私は、日本という国の姿形がどう変わっていくか、どう変えていくかを考える上で、極めて興味深い傾向のように感じます。


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 今後、高齢世代が次第に退場する一方で、若い世代の投票率が高くなっていった時、どういう政策や政治の意思決定が求められて行くことになるのでしょう。

 今の政権与党が時代の変化に即した答えを示し続けることができるのか?政府与党以上に野党がこれからの有権者に望ましい道筋を提示できるのか?

 今回の衆院選では議員の世代交代を印象付ける選挙結果もありました。それと並行して、有権者の側も世代交代が進んでいくことに想像力を巡らせていく必要がありそうです。


メディアの動き 2021年11月01日 (月)

#347 最新の民意は「熟議への期待」 ~政治に小休止無し~

放送文化研究所 島田敏男


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 10月31日に投票が行われた衆議院選挙で、自民党は解散時より議席を15減らしましたが、単独で絶対安定多数の261を獲得しました。自民党単独でも国会を安定的に運営できる数です。

 これに公明党を加えた与党の議席は293に上って衆院の議席総数465の63%を占め、就任から間もない岸田総理大臣は引き続き自公政権の安定した基盤を確保しました。

 これに対し野党側では、第1党の立憲民主党が共産党の候補者絞り込みに助けられて各地の小選挙区で接戦を演じましたが、解散時よりも議席を14減らし党勢拡大に至りませんでした。枝野代表にとっては厳しい結果です。

 このように自民、立民の双方が議席を減らす中で、日本維新の会は解散時の4倍を超える41議席を獲得。全国各地での積極的な候補者擁立が功を奏し、公明党を抜いて第3党に躍り出ました。

 コロナ禍との戦いが続く中、第5波の感染拡大が一旦収まったタイミングに狙いを定めて行われた今回の解散・総選挙。この日程を組んだ岸田総理の判断が与党にとっては功を奏した格好です。

 ただ、自民党は野党候補の一本化によって甘利幹事長が小選挙区で議席を得ることができず幹事長辞任の表明に追い込まれるという痛手を負いました。また自ら派閥を率いる石原伸晃幹事長も野党の一本化候補に敗れ、議席を失う事態となりました。

 それでも全国的に見ると接戦で競り勝った小選挙区が多数あったわけですから、自民党は損害を「小破」にとどめたと言えそうです。


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 今回の衆院選で示された民意を全体としてどう受け止めるべきでしょうか。
立場によって受け止め方は様々で、新聞論調の中には「勝者なし」というものもあれば、「立民・共産の共闘不発」を強調するものもあります。

 私は是々非々を唱える日本維新の会が大きく躍進したことも併せて見ると、有権者は日本が直面する様々な課題に向き合うために「政治の舞台で展開される熟議への期待を示した」と見ることもできると考えます。

 短期的にはコロナウイルス対策の一層の強化。中期的には中国の台頭がもたらす経済・軍事の安全保障分野での不安の解消。さらに長期的には社会保障制度の持続可能性を担保する国家財政の健全化。温暖化対策。

 こういった課題について、国会の場で与野党が論戦を交わし、それを基に政府が必要な政策を立案する。そしてそれを実現するために必要な法律の制定や改正などを、国民によく見える形で積み重ねる。

 これまで2年近く続いてきたコロナ禍との戦いの下で委縮し先送りされてきた感がある、こうした政治本来の役割の再活性化を国民が期待していると見るのは決して的外れではないでしょう。


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 今回の衆議院選挙の投票率は55.93%で、前回(53.68%)前々回(過去最低の52.66%)を上回りました。SNSで投票を呼び掛ける芸能人やアーテイストの行動なども話題を呼びました。若い世代に「選挙に行く」ことの大切さを伝えようという機運が盛り上がってきたのは好ましいことです。

 この背景には、コロナ禍の緊急事態宣言の経験を通じて、国民に我慢を強いることができるのは政治の意思決定だということが実感され、政治参加プロセスへの接近が大切だと気付いた人が増えたという面もありそうです。

 「政治に小休止無し」という言葉があります。現代社会が未来に向かって進んでいくために乗り越えなくてはならない課題は次から次へと現れます。政治はその一つ一つに向き合い続けるのが宿命です。

 来年夏には次の大きな政治参加のプロセスである参議院選挙があります。まずはそれまでの間に国会の場で熟議が展開され、より多くの国民が政治参加に意義を見出してくれるようになることを期待しています。