2015年11月24日

2015年11月24日 (火)

沖縄の海の物語

「沖縄の海」の回を担当した沖縄放送局の田村です。

番組をご覧いただきありがとうございました。

「海」をタイトルに掲げた番組ですが、私自身はこれまで海とは疎遠な生活を送ってきました。海に潜ったことはおろか、泳いだこともほとんどないまま・・・波は怖いし、船は酔うし、海は遠くから見ているのが一番いいかな~と思っていました。

しかし、沖縄に住むようになったこの3年は、ちょっと勝手が違ってきました。普通の街中の家々に不思議な形の貝(番組でも紹介したスイジガイという魔除け)が並んでいたり、町に流れる琉球民謡も、歌詞の意味を知れば大海原を越える旅の歌や交易の歌だったり、食文化やお祭りは言わずもがな。かつては一つの国だった沖縄が育んできた豊かな文化や歴史に、サンゴと黒潮の海が少なからず影響してきたことを感じるたびに、暮らしの中にある海の物語を描けたらと思うようになったのが、今回の番組の原点です。

海辺での撮影中、やはり楽しみだったのが食事。暮らしの中でお馴染みの海の幸でも、その土地ごとに独特の食べ方がありました。なかでも記憶に残っている場所が二つあります。一つは、久米島。番組内では紹介できませんでしたが、県内でも有数のマグロの産地で、毎朝、水揚げされたばかりのものが市場にところ狭しと並べられます。

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もちろん刺身にすると絶品なのですが、忘れられないのがマグロの胃袋の味噌炒め。希少な部位で売るほどには量がないため、島内の海人たちがおつまみとして楽しむのだそう。運がよければ島内の飲食店でも楽しめるので、久米島に行かれる方はぜひ。

もう一カ所は、南城市の奥武島。番組で紹介したスク(アイゴの稚魚)は、沖縄ではお馴染みの酒のつまみ。塩漬けしたものは町のスーパーでも年中取り扱いがある身近な食材で、主に島豆腐(これも、一般的な豆腐とは違って、沖縄の海水をにがり代わりに使ってつくる豆腐なんです!)の上に乗せて食べます。身近なスクですが、スク漁の時期は年二回だけ、生のスクを味わえるチャンス。スクには毒があるため、酢に2~3分つけてから醤油をかけて食べるのだそうですが、どこか酒盗のような癖のある味わいと、小さな魚にも関わらずぷりっとした弾力があり、絶品でした。島には、県内各地から(なかには車で一時間以上かかる遠方から来た人も)生のスクを買い求める人が訪れ、大賑わいだったのが印象的でした。

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スクに勝るとも劣らない奥武島名物が、トビイカの天日干し。島の海辺には、有刺鉄線が張り巡らされた、不思議なイカ干し場があります。夏になると、島の女性たちが夫や息子たちがとってきたトビイカを朝早くから丁寧に洗って表面の薄皮を剥ぎ、それを鉄線の突起にひっかけるようにして干していきます。何百ものイカが太陽の下、ずらりと干され、潮風に吹かれて揺れる光景は、夏の奥武島の風物詩になっています。女性たちはイカを日に何度も裏返し、足の先まで丁寧に乾かしていきます。一枚1,000円ほどと、そんなにお安くはないのですが、島に行ったら必ず食べたくなる一品でした。

投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク


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