移り住みたくなる町 郡上八幡
郡上八幡」を担当した根兵(ねひょう)です。踊りの町に残る風土、いかがでしたか?
全国的には郡上八幡という町の知名度はそれほど高くはありません。「郡上おどり」自体も、名前は知っていても実際どんな盆踊りなのか、どんな町で行われているのか、よく知らないという人もたくさんいらっしゃると思います。でも、一歩踏み込むと、そこには本当に、本当に魅力ある景色が広がっています。県外から移り住んでくる人も多いそうですが、郡上おどりが誰でも加われるのと同じように、誰もが自然とこの土地に引き込まれていくのかもしれません。
番組内でも度々出てきた「郡上八幡城」。
本当に美しい山城です。作家の司馬遼太郎氏も絶賛したほどで、昭和8年に再建されたものですが、木造再建の城としては日本最古のものです。

特にこれからの時期はおすすめ!秋の紅葉シーズンには、山道を散歩しながら城まで上るのもよし(徒歩約30分)。冬には、真っ白な雪に包まれた山城をただ眺めるのもよし。ちなみに司馬氏は何度かこの地を訪ねていますが、冬の時期に見たお城に最も心を打たれたそうです。
町中散策も楽しいのが、郡上八幡の魅力です。

上の写真は、「職人町」と呼ばれる通り。風情残る町屋がずらりと並んでいます。実は郡上八幡には、江戸時代から昭和初期までに建てられた町屋が町中に1200軒もあるそうです。観光地化されてしまった町並みは全国どこにでもありますが、ここは今でも当たり前に人々が生活しています。それが自然に残っているのが、この町の良さ。
さらに変わった景色も。

こちらは、職人町のすぐ裏側の様子です。
川沿いにくっつくように並ぶ家々は、そのどれもが裏口から川へ降りられるような造りになっています。夏には、幼い子どもたちの遊泳場としても大活躍する川。そんな子どもたちを、家の窓際から眺める大人たち。この町にとってどれだけ川が大切なものなのか、よく分かります。
「郡上八幡には日本の夏の原風景がある!」と意気込んで作った今回の番組。
みなさんも過ぎ去った「あの遠い夏の日」を思い出しに、郡上八幡を訪ねてみてください。
投稿時間:16:46 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
10月から放送時間が少し変更
「新日本風土記」事務局スタッフです。
9月になったものの、暑い日が続いていますね。それでも、夕方にはきれいな虫たちの合唱が耳を楽しませてくれます。秋の実りも楽しみですね。
さて、10月から「新日本風土記」と「もういちど、日本」の放送時間に少し変更があります。
★「新日本風土記」
BSプレミアム 金 午後9:00
BSプレミアム 翌週水曜日 午前8:00 ←変わります。
★「もういちど、日本」
E テ レ 月~金 午前5:55
BSプレミアム 月~金 午前11:55 ←変わります。
「もういちど、日本」は、上記時間以外にも、折に触れ放送されます。いつ、どの時間に出会えるかは、その時々のお楽しみ!
これからも、どうぞよろしくお願い致します。
投稿時間:11:54 | カテゴリ:事務局便り | 固定リンク
木曽の森に抱かれて
「木曽」を担当しました森田です。
『すべて山の中である』といわれた土地での、自然を敬い、山とともにある営みの物語、いかがでしたでしょうか。
今回の取材で特に印象的だった場所は、350年前から厳しい管理のもと守られてきた特別な森、「奥千本」です。木曽の山の奥にあり、樹齢300年を超すヒノキが無数にそびえ立つその場所は、とても静かな森でした。苔むして緑鮮やかな岩や倒木、巨木の間からカーテンのように広がる木漏れ日、土の表面をまるで血管のように這うヒノキの根などなど、神秘的な光景にいくつも出会いました。ただ、この「奥千本」、今回は取材のために特別に許可をいただき入らせて頂いた場所で、普段は自然保護の区域となっているため、誰でも簡単に行けるところではありません…。
しかし、皆さん、ご心配なく。この「奥千本」と同じように長い間守られてきたヒノキの巨木の森を堪能できる場所が木曽にはあるんです。それが、私がおすすめするスポット、長野県木曽郡上松町にある「赤沢自然休養林」です。

【写真①「赤沢自然休養林」】

【写真②「森林鉄道」】
江戸時代から守られてきた森に、多くの人に親しんでもらおうと散策路が整備されていてたっぷりと森林浴を楽しめます。また森林内には、かつて木材の運び出しに使われていた森林鉄道が運行されていて、林間を行くトロッコ列車も楽しめます。運が良ければ、カモシカに出会えるかもしれません。とっさの事で、カメラで撮れなかったのですが…、私も出会いました。
それから、赤沢自然休養林には、こんな場所もあります。

【写真③「長野県立木曽病院が行う『森のお医者さん』」】
長野県立木曽病院が週に一度、医師や看護師などを派遣している「森のお医者さん」。ここでは健康相談と散策ロードのアドバイスを行っています。
木曽病院は「森林セラピー」の研究に力を入れていて、この赤沢自然休養林を散策する実証実験からはストレス軽減効果も明らかになっているそうです。
そして、もうひとつ、番組に登場した木曽馬と触れ合える場所もおすすめ。

【写真④「木曽馬の里」】
長野県木曽郡木曽町にある「木曽馬の里」です。木曽馬に乗馬する事も出来ます。本州唯一の在来馬の大人しくてかわいい姿をぜひ見てください。
以上2つの場所も含め、木曽はこれからがまた良い季節!そうです、山々色づく紅葉です。番組でお届けしたのは、春から夏にかけて取材した、緑美しい木曽でした。もうひとつの素晴らしい季節の木曽は、皆さん、直接訪れて味わってみてはいかがでしょうか。
投稿時間:12:11 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
奥の細道の旅
「奥の細道」を担当した安永です。320年の時を越え再び繰り広げられた松尾芭蕉の旅、いかがでしたか?今回、芭蕉が訪ね歩いた地を数多く巡りましたが、各地で「奥の細道の取材なんです」と言うと、「ああ、そうなの!ここで芭蕉は〇〇という句を残して、〇〇したのよね!」と自ら楽しそうに語ってくれる地元の方々に数多く出会いました。芭蕉が東北の人たちにどれだけ愛されているか、物語っていますよね。
そんな私のオススメポイントは、「尾花沢」のクリップで取り上げた、「紅花畑」です。芭蕉は、紅花を化粧道具のまゆはきに見立て、「まゆはきを俤(おもかげ)にして紅粉(べに)の花」という句を詠みました。今回、撮影でお邪魔した紅花畑があるのは、山形県西置賜郡の白鷹町(しらたかまち)。7月には町をあげて「白鷹紅花まつり」というイベントを行うほど、山形県を代表する紅花の産地として知られています。7月。我々が出会ったのは、「息をのむ絶景」と言うにふさわしい、満開の紅花畑でした。

鮮やかな色を放つ風景に、ただただ酔いしれた我々撮影スタッフ。思わず仕事を忘れてしまうほどでした。しかし時刻は夕どき。日が落ちてしまっては遅いので、すぐさま撮影に。撮影ポイントを見定めるため、何度も畑の中へ入った私。そこへ待ち受けていたのは「激痛」。そう、紅花はトゲが鋭いんです。30度を超える気候の中、半袖半ズボンで撮影に臨んでいた私は、その痛みに慣れるまで時間がかかりました。。そして翌朝、日の出の時間に再び紅花畑を訪れると、そこに現れたのは地元の主婦の皆様。何と皆さん、痛がるそぶりも見せずに紅花を摘み取っていきます。実は紅花は、露に濡れて柔らかい朝のうちに摘み取るのがコツなんだそうです。しかも咲いて4日を過ぎると色が変わるので、日の出から一家総出で収穫にあたります。山形の皆さん、朝から元気ですね…。

山形県の紅花は、7月が最盛期です。皆さんも是非来年、素晴らしい風景を求めて山形へ出かけてみてはいかがですか?(摘み取りの際は、ぜひ十分なご準備を…。)
投稿時間:11:06 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク