「冬の東北」へ、ようこそ
「東北の冬」を担当した伊勢です。
まず最初に放送が遅れましたことをお詫びさせて下さい。本来12月7日に放送する予定でしたが、地震があった関係で、放送を見送らせていただきました。楽しみにされていた方も多かったと思います。申し訳ありません。
12月、東北に本格的な冬がやってきました。山形の肘折温泉では一日で1メートル20センチを超える雪が積もったそうです。昨冬、撮影をしていたときも、やはり大雪でした。今日はそんな肘折温泉の話をしたいと思います。

春、夏、秋、と湯治客で賑わう肘折温泉。4月~11月にかけては朝市が開かれ、春は山菜、秋はキノコなど、地元で採れた旬の味覚が並び、朝の温泉街に下駄の音が響きます。そして、冬はというと、とっても静か。聞こえるのは、「ドサッ」とか、「ザーッ」とか、「ガリガリ」。雪かき・雪おろしの音です。大きな旅館の屋根に積もった雪は、地元の大工さんが雪おろしを行います。のこぎりで雪のかたまりを切り分け、安全を確認してから、通りに「ドスッ」と落とします。昔から大工さんにとって、雪おろしは冬場の貴重な仕事なのだそうです。

そして、そんな冬だからこそありがたいのが、温泉。日が暮れると、共同浴場に地元の人たちがやってきます。驚いたのは、肘折の住人のほとんどは家にお風呂がないということ。地元の人にとって、村に三つある共同浴場は、自分の家のお風呂同然なんです。雪おろしで冷えきった体を芯まで温めてくれる温泉は、まさに「肘折の宝物」なんですね。

番組でも触れておりますが、撮影で肘折を訪れた時は大雪による雪崩で、温泉と町とをつなぐ道路が通行止めとなりました。バスが止まって、困っている女性がいるかと思えば、学校が休みになって喜んでいる子供がいたりと、地元の人たちの反応は様々。一つ共通しているのは、どこかみんなのんびりしてるんです。雪崩なんて肘折の人にとっては日常的なことのようです。
お世話になった宿の人が言うには「冬は通のお客さんが泊まりに来るんですよ」とのこと。確かに静かにモノを考えたりするには、最高の場所かもしれません。あったかい温泉もありますし。ただ帰り際に宿の人が仰った一言も忘れられません。
「今度は春か秋に来て下さいね。」
長い、長い、冬の間、春の訪れを心待ちにしている人々。モノトーンの世界が色鮮やかに変身します。そんな「東北の春」という番組も鋭意制作中です。こちらも是非ご覧下さい。
投稿時間:11:22 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
おいしい佐渡
「佐渡」を担当した多田です。
荒波の向こうに不思議な魅力を秘める島「佐渡」の物語、いかがでしたか。1周260キロ。取材の第一印象はとにかく大きい!本当に島なのかと錯覚してしまうくらいです。ただ、そこに残る人々の営みや文化をみると、本州では味わえない何か独特な「リズム」を持っているなと、つくづく感じる場所でもあります。そんな魅力(というか磁力)に惹きつけられるようにして進んだ取材。いろいろな方とお会いできて、とても楽しいものでした。
さて、ここでは番組でご紹介できなかったオススメを。
まず、佐渡と言えば豊かな食べ物!1年を通して、海の幸、山の幸が豊富に採れます。取材中、みなさんからいろいろなものをごちそうになってしまいました。もちろん、気を遣って頂いては申し訳ないと思うのですが、「無駄になったらもっともったいない」と言われると、次の瞬間には箸が伸びていることに。

【写真:内野さんのスイカ】

【写真:スイカをほおばるスタッフ】
夏、安養寺集落に住む内野さんのお宅にお邪魔したときはこのスイカ。30度を超える真夏日のさなか、庭で食べるスイカはたまりません。ちなみに内野さんの奥様には自家製の漬け物まで頂いてしまいました。
また、郷土史家の山本さんの奥様の煮しめも絶品でした。おめでたい日に煮しめを食べる風習は佐渡に限らず他の場所でもあることだと思いますが、こちらの煮しめはトビウオで作る「アゴだし」で味付けされていて、とても味わい深いのです。6月になると佐渡ではアゴだしを使ったそばなどが飲食店で食べられます。佐渡にお立ち寄りの際はぜひお試しあれ。

【写真:山本さんのアゴだしを使った煮しめ】
また、佐渡は海藻がよく採れる島でもあります。こちらは「アラメ」。5月頃に佐渡の北狄地区あたりでよくとれる海藻です。ワカメより歯ごたえがあり、昆布よりは柔らかく食べやすい!肉や魚を巻いて食べたり野菜と炒めて煮たりして食べます。乾燥したものもよく出回っているので、佐渡のお土産にもどうぞ。
【写真:収穫されたアラメ】
さて、続いては佐渡の絶景ポイントのご紹介。海から景色を楽しみたい人にオススメなのは、姫崎灯台です。島の南東部の突端にあり、明治に作られた日本最古の鉄造灯台。世界灯台100選にも選ばれているらしく、雰囲気は抜群です。ここは新潟から佐渡に向かってくるフェリーや高速船の通り道でもあるので、海を疾走する船をばっちり見ることができます。船マニアの方は要チェックです。
【写真:姫崎灯台 なかなか絵になります】
山からの眺めを楽しみたい人にオススメなのはやはり、天然杉のトレッキング。大佐渡山脈の山毛欅が平山近辺には、杉の原生林が広がっています。杉の森は圧巻の一言。形を変えながらも枝を伸ばす様子にパワーをもらえること間違い無しですよ。ちなみに、杉は形によって「トンネル杉」「ムンク杉」など面白い名前の物もあるので、自分だけの名前をつけるのも楽しみの一つかもしれません。また、運がいいと霧がかる神秘的な杉も見られます。
*ただし、天然杉のツアーは必ずガイド同行で行くようにしてください。
佐渡観光協会 0259-27-5000

【写真:トンネル杉】
まだまだ、筆が進んでしまうくらい佐渡の魅力はいっぱいです。四季折々の佐渡の良さを皆さんも是非体感してみてください。あ、もしかしたら鬼と出会えるかも・・・(笑)。
投稿時間:11:17 | カテゴリ: | 固定リンク
湘南こぼれ話
「湘南」を担当した坂本です。おなじみの湘南、知らなかった湘南に出会えたでしょうか。
みなさんは、湘南がどのエリアかをご存知ですか?なんとなくこの辺か?というイメージはあるのに、「どこ?」と問われるとなかなか明確な場所が特定されていない湘南。事実、取材先で「どこが湘南?」「ここが湘南という意識ありますか?」と聞いてみると、人によって答えはまちまちで「湘南といわれるのは嫌だ」という返答も・・・!湘南は、その人その人でとらえ方も思いも千差万別なのです。
番組では紹介しきれなかったこぼれ話を。
お天気カメラなどで誰もが一度は目にした事のある湘南のへそ・江の島。かつては引き潮でしか渡れなかったモン・サン=ミシェルみたいな場所。東京オリンピックでヨット会場となったことで、コンクリートの橋が出来ました。
階段だらけの江の島ですが、階段を上るコツをご存知でしょうか?番組にも登場した安岡さんによると、山登りと同じように、階段を斜めにジグザグと登ると疲れないとのこと。ためしに斜めに登ってみると、意外と楽に登れます。是非お試しあれ。

【写真:こんな感じで】
安岡さんは金土日しか開けない焼き鳥屋さん。週末になると島の人は勿論、片瀬から橋を渡ってくる人や、近郊からわざわざやってくる人も少なくありません。おすすめは、何が出てくるか分からない「ミステリー」。安岡さんの気分次第でいろんなものが出てきます。ディープ江の島を体験したいなら是非訪れてみるべき場所。安岡さんの江の島弁に怖気る必要はありません。ただし週末だけなのでご注意を。

【写真⑪:島唯一の焼き鳥屋さん】
江島神社は3つの社がありますが、最初の邊津宮のお堂には「カラスの害があるので、たまごを奉納される方は社務所まで」の注意書きがあり、今も巳の日にはたまごを供える方々がいらっしゃいます。八臂弁財天の頭の上には、小さな蛇の装飾があり、弁才天を守っています。撮影の日は、古式初亥祭の日でしたが、これは古くから春の初巳祭と対になる秋の例大祭です。ここでもやはりたまごが神饌としてあがります。

【写真:神饌のたまご】
番組でもお世話になった小崎さんご夫婦のお店では、小崎さんこだわりのドリップコーヒーをいただくのが楽しみでした。温かいものとアイス用の2種類のコーヒーは、豆も違っています。15時はきまってご夫婦そろっておやつの時間。小崎さんご夫婦と過ごす穏やかな時間に癒されておりました。江の島では、たびたび島の人たちから声をかけていただきました。都心であることを忘れさせる独特の空気と、人々の優しさに満ちています。

【写真:小崎さんご夫婦のおやつの時間。奥さんの食事も絶品】
東京に近いことを忘れさせるような場所は、江の島だけではありません。御用邸のある葉山にある棚田。84歳の永津さんは、ひょいひょいと急斜面を歩きます。機材を持った我々はついていくだけでも悪戦苦闘。「すべるから気をつけて」といわれるそばからすってんころりん、しばらくすると膝はガクガクという始末。「歩いてない証拠だよ!」と軽くいなされておりました。永津さんはじっとしていることが耐えられず忙しい毎日を送っておられます。今年のお餅の出来はどうだったでしょうか。

【写真:山道もずんずん歩いていく84歳の永津さん】
七桶地蔵堂も葉山の我が家の一つでした。いろんな偶然が重なってお堂と出会ったのですが、この周辺は、お地蔵さんが多く各地区で地蔵講が開かれていたそうです。お母さんたちの手料理とお菓子をたらふくいただき、葉山をとても身近に感じることが出来ました。ここでは新しい参加者を歓迎しています。興味がある方は23日の午後地蔵堂に行ってみてください。

【写真:普通のお宅と間違って道を聞いたことが出会いの始まり】

【写真:お地蔵さんのお導きとしか思えない不思議な出会い】
湘南エリアの60~80代の元気なこと。人生初のサーフィンにも挑戦しましたが、まだまだヒヨッ子だと思い知らされることばかりでした。最初は「湘南」のイメージに若干の抵抗感がありましたが、いざここに身を置いてみると日本の各所にあるような村社会の意識や縦社会の構図が少ないことに気づきます。老いも若きも男も女も一緒に好きなことを心から楽しむ、そんな風土です。伝説のサーファー小室さんのところには若い人もリタイアした人たちも集っていますが、小室さん自身は最近始めた地元の太鼓の練習では、息子ほどの若者たちを「先生」と呼びます。年齢や出身の垣根なく、楽しいことはともに楽しむ。そんなことをこの土地は教えてくれました。皆さんにも伝わったでしょうか。

【写真:太鼓の先生・櫻井さんと太鼓1年生の小室さん】
ちょっと元気が欲しいとき、ちょっと気分を変えたいとき、人の優しさに触れたいとき、そんなときに訪れてみるときっと何かが見つかるはずです。
投稿時間:11:18 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
平成25年スタート
「新日本風土記」事務局スタッフです。
1月4日は金曜日だったこともあり、お休みを追加して連続休暇・・・という方は多かったようですね。もちろん、年末年始もお仕事だったという方もいらっしゃったと思います。受験生の場合は、学校がなくても勉強に明け暮れて休まらなかったかもしれません。それでも、新しい1年の始まりです。今年が皆さまにとって、心穏やかな1年となりますように!
今週は、11月に放送を予定していた「湘南」がいよいよ放送です。湘南のいろんな面が見えてきて、あらためて訪ねてみたくなること請け合いです。夏はもちろん、秋も冬も湘南は魅力的な場所。ぜひ、ご覧下さい。
投稿時間:11:07 | カテゴリ:事務局便り | 固定リンク
あけましておめでとうございます
「新日本風土記」事務局スタッフです。
皆さま、あけましておめでとうございます。年末年始、いかがお過ごしでしょうか。
大掃除や年賀状の準備などで、慌ただしい年の瀬を迎えた方も、年始はゆっくりのんびりできているといいですね。とは言え、初詣やご挨拶回りなどで、意外にゆっくり過ごせなかったりもするのですが・・・。
「新日本風土記」は、今夜は特別編成のため休止ですが、来週11日からは、また毎週放送があります。来週は、当初11月に放送を予定していた「湘南」を放送します。「もういちど、日本」も、来週から通常通りの放送に戻ります。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
投稿時間:12:04 | カテゴリ:事務局便り | 固定リンク