有明海 汚れたっていいじゃないか
最近、“汚れ”仕事が多いNHK佐賀放送局の福島です。
放送をご覧になっていただいたみなさま、取材にご協力いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
「有明海」は、普段みなさまが想像する「海」とはちょっと違った不思議な海です。
海といえば「青い海!」「白い砂浜!」「カラフルな水着!?」ですが…、「泥の海」有明海は茶色一色…、佐賀県の有明海沿岸では、海水浴が出来るビーチは、太良町にある人工ビーチ「白浜海水浴場」ひとつしかありません。しかも、干満の差が大きいため、泳げる時間は満潮前後の数時間だけ。
でもでも!そんな泥の海でしかできない貴重な体験もいっぱいあります。みなさまに有明海を満喫するおすすめスポットをご紹介します。
太良町の名物、竹崎ガニの形をした「白浜海水浴場」。有明海の干満を体感できます。


有明海を体感する前に忘れてはいけない一番重要なこと、それは潮汐表を確認してから有明海に行くことです。日本一の干満の差をもつ有明海、満潮の時と干潮の時では、まったく姿が違います。せっかく広大な干潟を体験しようと、足を運んでも、満潮の時間だと、干潟に入ることはできません。逆に、干潮と朝日や夕日が重なる時間をねらっていけば、美しく真っ赤に染まる干潟を見ることができます。泥にだって輝く瞬間があるのです。
太良町にある海中鳥居。満潮時には鳥居は海に浸かってしまいます。有明海と朝日を撮影する絶好の写真スポットです。鳥居の先には沖ノ島を望むこともできます。

とにかく、泥の海に飛びこみたい!そんなアクティブなあなたにおすすめなのが、佐賀県鹿島市にある「道の駅 鹿島」。JR長崎本線・肥前七浦駅から徒歩9分の距離にあり、気軽に有明海の干潟を体感できます。


ここにはシャワー完備の干潟体験施設があり、番組でもご紹介した「ガタスキー」や「ムツカケ」を、インストラクターから教えてもらうこともできます。修学旅行生の受け入れも行っており、年間1万人以上の人々が干潟体験に訪れます。
最初は泥が顔につくのがいやかもしれませんが、そこは思いきって頭から泥にまみれてください。学校や職場、生活の中で、小さなプライドにこだわっていたことがバカらしくなり、人生観がかわること間違いなしです。


干潟体験でムツゴロウの気分を味わった後は、ぜひ、ムツゴロウの味をご賞味下さい。
「道の駅 鹿島」には、おみやげに干したムツゴロウも販売しています。また、鹿島市の飲食店でも、ムツゴロウの郷土料理を楽しむことができます。
JR長崎本線・肥前鹿島駅から徒歩7分の「割烹 中央」は、番組に登場したムツカケ名人・原田弘道さんのムツゴロウが食べられるお店です。(常に原田さんのムツゴロウが入荷しているわけではありません。タイミングによって食べられない時もあります)
ムツゴロウの旬は春から夏。地元では、蒲焼きにして、夏のスタミナ補給によく食べられてきたそうです。
みなさんもムツゴロウから明日への活力をわけてもらって下さい。

干潟体験とムツゴロウは暖かい季節にしか体験できませんが、寒い季節の有明海にも、とっておきの楽しみがあります。それが干潟でのバードウォッチング。
佐賀県では鹿島市の「肥前鹿島干潟」と佐賀市の「東よか干潟」が、水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地として認められ、ラムサール条約に登録されています。

干潟にはシギやチドリなど、数万羽の渡り鳥が飛来します。
みなさんも有明海の干潟で人生の羽休めをしてみてはいかがですか?

投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
八戸 探す港風情
八戸の回を担当した坂川です。
私事ですが、青森に転勤してきたのは4年ほど前。失礼ながら、青森のイメージは、りんごとねぶたと太宰治。全部、県の西側・津軽地方のことばかり。それでも、八戸についてかろうじて知っていたのが、港町だということでした。今回取材を進めると、この港は、絶えずヤマセに脅かされてきた八戸暮らしと経済を救おうという、先人の壮大な夢の結晶だとわかりました。ロマンあふれる港のお楽しみスポット、ご紹介します。
今、八戸で最も活気に満ちた場所と言えば、番組でも紹介した館鼻岸壁朝市(たてはながんぺきあさいち)。しかし、1月と2月は、寒さが強くお休み・・・。残念・・・?!いえいえ、そんなことはありません。朝市が開催される館鼻岸壁には、冬の間も港気分に浸れるスポットがあります。
「浜のスーパー 漁港ストア」。レトロな空気感漂うこの店は、漁船向けに製氷工場を経営している会社がタバコ屋として創業。やがて県外から長旅の漁に訪れる漁師たちのために、洗剤や歯ブラシなどの日用雑貨品を売るようになったのだとか。人気なのが、昭和56年に併設された蕎麦屋。夜の漁を終えた漁師たちに朝ごはんを提供するため営業を始めました。今は漁師だけでなく、サラリーマンがお昼を食べに来たり、休日に家族連れが訪れたりなど、八戸市民が広く訪れる憩いの場に。

そんな漁港ストア、冬ならではの限定メニューが「鍋焼きうどん」です。イカゲソのだしが出たつゆが、冷えた体をぽかぽかに温めてくれます。冬の漁師たちも、きっとこうやって体を温めたに違いない。大音量でかかる演歌を聴けば、気分は完全に海の男。あつあつのおでんも一緒に。締めはワンカップをどうぞ。
次にご案内するのは、“もう1つの朝市”。東北新幹線の「八戸駅」を降りたら、JR八戸線で「陸奥湊(むつみなと)駅」へ向かいましょう。駅を降りると出迎えてくれるのが、マスコットキャラ「イサバのカッチャ」。
このキャラの由来を少々。「イサバ」とは、魚の行商のこと。漢字では「五十集」と書くように、どんな魚も集めて、背中にしょった籠に入れ、売り歩きました。この「陸奥湊駅」から、町中へ、山中へ、県外へ。まだスーパーなどなかったころ、港でとれた魚を家庭に届けたのが、イサバの女性(カッチャ)たちだったのです。
今は行商をすることのなくなった女性たち。しかし、かつて県内外へ送り届けるための魚を買っていた市場は、まだ健在。陸奥湊駅前には、今も多くの魚の卸売り店が軒を連ねます。中でも最も大きいのが、駅の目の前にある「八戸市営魚菜小売市場」。これこそ、“もう1つの朝市”です。

鮮魚に刺身、珍味に加工品まで、なんでもそろいます。買った魚は、もちろん持って帰るものよし。ですが、店内奥のテーブルで、ご飯を注文し、そのままおかずにいただくことができるんです。カッチャたちにお薦め商品を聞いたり、値引き交渉をしたりして、自分のお気に入りの一皿を作るのが、また一興。買うのに夢中になりすぎると、食べきれなくなりますので、ご注意下さい。

最後に2つ注意。1つ、こちらの朝市は、日曜日がお休みです。2つ、売り場のカッチャたちは、夜2時には起きて、3時には商売を始めるというかなりの早起き。お昼近くになると、店じまいしてしまっているお店もちらほら。なので、おでかけの際は、お早めに!
個人的には、「本八戸駅」から始発電車で「陸奥湊駅」へ向かうのがお薦め。夜明け前のせわしい市場の港風情、ぜひご堪能ください。
投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
私のおすすめ石狩川
石狩川を担当した田中と申します。取材でお世話になったみなさま、本当にありがとうございました。
北海道民は、感謝の思いを込めて「母なる川」と呼びます。取材すればするほど、北海道で生き抜いてきた人たちと石狩川との深いつながりを実感しました。
石狩川は、北海道随一の大河。長さはもちろん北海道1位。流域面積も、広大な北海道の6分の1にまで及びます。
石狩川を訪れる際には、とても1日では回りきれませんから、何日もかけて、じっくり旅するのが良いのではないでしょうか。
北海道の歴史とゆかりのある、石狩川のおすすめスポットをご紹介します。

石狩川の河口・石狩市でおすすめするのは、創業明治13年、老舗のサケ料理専門店です。
番組でもご紹介した数々のサケ料理のほか、実は、全国的にも知られた「石狩鍋」発祥のお店でもあります。

石狩鍋というと、どんな料理を思い浮かべるでしょうか?
私は、サケの入った味噌味の鍋、くらいのイメージしかありませんでしたが、美味しくするコツがあるんだとか。
本場の石狩鍋は、キャベツを入れたり、イクラを添えたり。中でも、代々、女将さんに受け継がれてきた一番の秘訣が、必ず石狩川の河口付近で取れたサケを使うこと。何でも、河口で取れるサケは、これから長い距離をさかのぼるため、一番脂が乗っていて、味もいいとのこと。サケの町だからこそ味わえるご馳走をぜひ一度ご賞味ください。

石狩川中流域でおすすめするのは、美唄市にある宮島沼。
ここは、年に2回、渡り鳥のマガンが飛来し、羽を休める中継地です。早朝になると、7万羽ものマガンがエサを求めて、一斉に飛び立ちます。その光景は、本当に壮観です。
この宮島沼は、石狩川の氾濫によって生まれた沼のひとつ。
かつての石狩川は氾濫を繰り返してきた暴れ川でした。

石狩川は、勾配の緩やかな平野部を流れています。そのため、もともと大きく蛇行しながら流れていました。「石狩」の語源は、アイヌ語で「イシカラペッ(回流する川)」であるとも言われています。
石狩川がひとたび氾濫すると広大な面積が水没したため、明治以降、曲がりくねった川筋を工事でショートカットし、直線化することで治水を図ってきました。そのため、現在は全長268キロ、日本第3位の長さですが、かつては100キロ以上も長かったといいます。
氾濫の減った石狩川の流域には、今や北海道の人口の半分以上が暮らしています。
治水工事が行われる前の石狩川は、信濃川を超えて、日本1位の長さだった?かもしれません。

石狩川の上流でのおすすめは、旭川市にある、アイヌ文化の資料館、川村カ子トアイヌ記念館です。北海道と名付けられる前から、石狩川とともに歩んできたのが、アイヌ民族の人たち。そのアイヌの暮らしと歴史を伝える資料が数多く展示されています。
敷地の一角には、チセと呼ばれるアイヌ伝統の家屋も建てられており、アイヌの伝統文化を伝える行事などに使われています。
旭川と言えば、寒さが厳しく、冬はマイナス20度まで下がります。今のように生活環境も整っていない中、自然の恵みを使って、生き抜いてきた知恵と工夫に頭が下がります。

この資料館が作られたのは、今から100年前の大正5年。日本最古のアイヌ資料館です。今、昔ながらのアイヌの暮らしをしていらっしゃる方は、ほとんどいらっしゃいません。しかし、そうした暮らしや文化を大切に残そうとされた方々や、これからも伝えようとしている人たちの思いに触れてみてはいかがでしょうか。
投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク