2018年2月

2018年02月27日 (火)

"せいしょこさん" の作った町

「熊本」を担当しました松田と申します。取材でお世話になったみなさま、そして放送をご覧いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

実は私自身が熊本出身なので、感覚的に「熊本なら当たり前たい!」と思っていることも多く、自分の生まれ育った場所を客観的に見つめるのはちょっと難しかったです。

たとえば『肥後もっこす』。みなさんはどんなイメージをお持ちですか。

私がたずねられても正直なところ『肥後もっこすは肥後もっこすたい。』という感じなんです。『肥後もっこす』には熊本の人の中でも、頑固者、一本気、ひねくれ者…人によっていろいろな解釈があります。秀吉の時代には「肥後は難治の国なれば」という言葉がよく使われたそうです。それぞれに自分の考えや信念をもっていて、なかなか譲らない、簡単にまとまらない、熊本の人にはどこかそういう部分があります。自分も含めてですが、本当にめんどくさいんです。でも、だからこそ、取材でもそれぞれ違って面白い熊本人に出会うことができました。それが伝わっていれば幸いです。

ブログでは、熊本の街の魅力の一つでもある、路面電車で回ることのできる“せいしょこさん”ゆかりのスポットをご紹介します。みなさまよかったら、熊本に遊びに来てください。

 

kumamoto1.jpgkumamotojou3.jpg熊本城は熊本地震で大きな被害を受け、現在は多くのエリアが立ち入り禁止になっています。復旧工事のため天守閣の周りはシートで覆われその姿を望むことはできません。すべての復旧復興には、20年かかると言われています。そんな中でも、熊本城の周辺ではその柵の外から城を見つめる人が多くみられます。熊本の人にとっては単なる観光スポットではなく、家族や大切な人との思い出のつまった特別な場所、心のよりどころなのだと思います。熊本城の天守閣は、明治10年に一度火災で焼失しています。現在の天守閣は、昭和35年に戦後復興の象徴として人々が寄付や募金をあつめて再建したものです。工事が進む城を見ていると、もしかしたら当時の熊本の人たちも、完成を待ちわびて同じように天守閣を眺めていたのかなと思ったりします。

もうすぐ春。熊本城は、熊本を代表するお花見スポットです。満開の桜とともに、今しか見られない熊本城を見にきませんか。

番組に登場する行商のキミさんが魚を売って回る、新町・古町とばれるエリア。熊本城の西側に広がる、城下町です。400年前、城下町が作られたときの町割りが残っています。

kimisan2.jpg熊本城は強固な守りで有名ですが、この城下町もその仕組みの一つ。例えば古町に残る、「一町一寺」といわれる町割り。その名の通り一つの区画に必ず一つ、寺が配置されています。中には3つの寺が隣接している場所も。これは、寺を敵がせめてきたときの軍事拠点とする狙いで作られています。また新町には「行き違い」という変則の十字路が多く見られます。これも防衛のための仕組みで、簡単に先が見通せないようになっています。新町古町には、長年続く商家と並んで町屋を活かしたレストランやセレクトショップもあり、街歩きにぴったりなのでぜひ歩きながら町を観察してみてください。

また、運がよければキミさんにも会えるかもしれません。キミさんの売る魚は、新鮮さとお得な値段で大人気。軽妙な営業トークも相まってほぼ毎回売り切れです。初めてのお客様も大歓迎とのことなので、見かけたら是非声をかけてみてください。ただし、「あんたこれ買いなはれ」とメニューはキミさんに決められるかもしれませんが…。

 

honmyouji4.jpg番組でも紹介しましたが、熊本の人は加藤清正のことを親しみをこめて「せいしょこさん」と呼びます。そのせいしょこさんの菩提寺である本妙寺は、市内中心部の小高い丘の上にあります。加藤清正の遺言で熊本城の天守閣と同じ高さにあるこの地に建てられたといわれています。

胸突雁木(むねつきがんぎ)と呼ばれる176段の急勾配の階段を上ると加藤清正を祀る「浄池廟」があり、さらに300段の階段をのぼれば、槍を持って烏帽子をかぶった加藤清正の銅像が建っています。階段は息あがりますが、この場所は熊本市内を一望することができるようになっている気持ちのいい場所です。お天気がよければ阿蘇の山々を望むこともできます。

投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク


2018年02月20日 (火)

黒潮の恵み 伊豆半島の「潮鰹」。

「黒潮」を担当した柴田です。企画してから2年余り、多くの方にお世話になり、放送にこぎつけました。本当にありがとうございました。

katsuo1.jpg昭和30年代生まれの私にとっては、幼い頃、カツオ節を削ることが毎朝の手伝い仕事の定番でした。自分で削ったカツオ節、おすそ分けを頬張りながら母に渡すと、やがて風味ゆたかな味噌汁が食卓に。音と香りが強烈に記憶に刻まれた、我が家の味です。

カツオ節の誕生の背景は、「黒潮の子」とも呼ばれるカツオが、季節ごとにしかやって来ないことがありました。しかもカツオは傷みやすい魚。このおいしさを、どうやったら長く味わえるのか。長年にわたる工夫の中から、江戸時代に現在のカツオ節の製法が完成しました。

 

カツオ節が生まれる前に、日本人はどのようにしてカツオを保存し、食べていたのだろう?

古代から「堅魚(かたいさかな→かたうお→かつお)」という加工品が、黒潮沿岸の浜辺で盛んに作られていたといいますが、それはどんなものだろう。

探し求める中で出会ったのが、伊豆半島の南部、西伊豆町田子地区の「潮鰹(しおかつお)」でした。田子では、秋の終わりから冬の初めにかけて、カツオの内臓を取り、塩に数日間つけます。その後、ひと月ほどかけて、冬の風にあてて乾燥させるのです。この季節の西伊豆は、台風が来たのではないかと錯覚するほどの強い西風の日が多いのです。

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できあがった潮鰹。

潮鰹は、正月を迎えるための縁起物です。稲藁でくるみ、家々では年の瀬に、門口や神棚に供えます。

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神様にささげた潮鰹は、正月の三ヶ日が明けると、お下がりを頂きます。神様の力の宿った潮鰹を食べると、病気にならず、願いが叶うといいます。

shiogatsuo4.jpgおいしく食べるには、カツオ出汁を使ったお茶漬けがいちばん。薄く切った身を、火であぶり、ご飯に乗せてから、だし汁を注ぎます。あふれ出すカツオと潮の香り。これこそが、古代から、日本人をとりこにしてきた味わいなのです。

shiogatsuo5.jpgかつては、潮鰹づくりは、カツオの獲れる全国各地の港町で見られたといいますが、現在では、私が取材した限り、伝えているのは西伊豆の田子だけ。秋の終わりから初冬にかけて、田子では「潮鰹づくり体験ワークショップ」も行われるので、ぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか。

投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク


2018年02月06日 (火)

心もお腹もいっぱい!宇和島

「宇和島」を担当しました、NHK松山放送局の大井屋です。

取材でお世話になった皆様、放送を見て下さった皆様、本当にありがとうございます。半年以上宇和島に通い続け、たくさん「人の温かさ」に触れました。あの時、地元の小学生たちがバスの方向を教えてくれなかったら、私は今ここにいないかもしれません。子どもたちにまで優しさが浸透している、本当に温かい町です。

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そんな宇和島のオススメスポット!ご紹介しましょう。まず、宇和島に来るにあたって知っておいて欲しいこと。それは、宇和島は「陸」だということ。「島」ではありません。船を使わずとも来れますので、お気軽に来ていただきたい。

uwajima2.jpg最初のオススメはやはり、絶景でしょう。番組でも紹介した遊子(ゆす)地区の段々畑です。これは一見の価値アリ。下から見ると白い壁のようですが、登ってみるとそのすごさが分かります。「機械もない時代にどうやってこれを作り上げたのだろう。。。」と、ピラミッドと似た感想を持つこと間違いなし!人の力とは偉大です。すぐそばの海とのコントラストも、ここでしかお目にかかれません。

 

uwajima3.jpg中でも、山のてっぺんまで続く「水荷浦(みずがうら)」の段々畑は圧巻。重要文化的景観にも選ばれている、国お墨付きの絶景スポットです。実際に畑を所有している農家さんがガイドもしてくれるので、畑の歴史も勉強できちゃいます。オススメの時間帯は早朝!畑にあたる朝焼けに心洗われて下さい。(もちろん海もキレイ!)早起きが苦手な方も、お昼過ぎくらいまでは畑に日が当たっているのでご心配なく。宇和島の中心部から車で20分あれば着くので、晴れた日を狙って行ってみてください。ちなみに夕方は山の反対側に日が落ちるため、夕焼けは見えません。。。 

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早起きできたら必ず行っていただきたいのが、宇和島駅からほど近いうどん屋さん「やまこうどん」。なぜなら、朝5時から9時までしかやっていないから。店の看板は無い。お仕事に行く前の常連さんがたくさん。ちょっと入りにくいかもしれませんが、勇気を出して下さい。おいしいうどんが待ってます。メニューは「うどん350円」のみ。あっさり出汁と、ほどよいコシの優しい味わいが朝の体に染みます(冬は特に)。しかも、宇和島名物「じゃこ天」が3切れ乗ってます! 

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udonyatennai6.jpgさらにこのお店、お店の構造までひと味違います。写真のように、カウンター席が厨房側にあるんです。しかも、常連さんは自分でうどんを茹でちゃったり、トッピングを乗せちゃったりしています。誰が店員さんで、誰がお客さんなのか。。。初めは私も戸惑いましたが、常連さんに聞くと、「店主は忙しいからね。」と一言。優しい!宇和島の人たちの優しさにも、ほっこりするうどん屋さんです。

 

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お土産は、うどんにも乗っていた「じゃこ天」で決まり。地元の人は「天ぷら」と呼んでいる練り製品です。(私たちが思い浮かべる天ぷらは、「えび天」とか「タコ天」と食材の名前で呼ぶんだとか)。食べ方は様々で、軽く油で炒めればご飯のお供に。カレーの具に加えたり、煮物に入れたりしても、魚の出汁が出てうまいんだとか。そして、宇和島市内にはじゃこ天屋さんがたくさん。しかも店ごとに味が微妙に違うので、「この店がオススメ!」と簡単には言えません。お時間があれば、お好みの味を探して「じゃこ天屋さん巡り」と洒落込むのはいかがでしょう。

jako8.jpg実はこの「じゃこ天」、スーパーでも買えちゃいます。もう帰りの電車まで時間がない!という方にはこちらがオススメ。しかも宇和島のスーパーは、何故か練り物が豊富。東京では見ない練り物もたくさん売ってます。個人的なオススメは「あげ巻」。蒲鉾の周りを油揚げで覆った、これまた宇和島の特産品です。蒲鉾と油揚げの組み合わせがこんなにもマッチするとは、宇和島に来るまで知りませんでした。じゃこ天もそうですが、小腹を満たすおやつとして最適!帰り道に食べ過ぎないよう注意が必要です。心もお腹も満たされる宇和島に皆さん是非、足を運んでみて下さい。

投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク


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