大山に登るなら
新日本風土記「鳥取 大山」を担当した松本です。
大山は「おおやま」ではなく、「だいせん」と読みます。日本百名山の一つ。中国地方最高峰の山です。周りに大山より高い山のない独立峰のため、どーんと目立つ山。地域の人々が誇りに思うのもうなずける立派な山です。
大山にはいくつか登山道があるのですが、登山客のほとんどが「夏山登山道」という頂上を目指すルートを登ります。頂上から見える360度の景色は見事です。

でも今回おすすめしたいのが、敢えて頂上を目指さない登山コース。東の稜線の途中にある小さな山小屋までの「ユートピアコース」です。頂上には行けないため、あまり人気はありませんが、登ってみると驚くような光景に出会えるとっておきのコースです。
8月の中旬、深夜2時にこのコースを登り始めました。暗いうちに稜線に出て日の出を待ちます。ご来光を拝んだ後、振り返ります。ここでしか見られない光景が待っていました。大山の北の壁が朝日に照らされ、徐々に赤く輝き始めるのです。その時間はわずか数分間。大山は「神宿る山」とも呼ばれていますが、それを実感するような一時でした。


そしてもう一つ見て欲しいのがこの稜線に咲き乱れる高山植物の花々。8月の一週間ほどの短い間だけ見られる貴重な光景です。この光景からいつかしか、ここが「ユートピア」と呼ばれるようになったそうです。

大山の頂上に登ってみた後、もう一度大山を訪れる時には、このユートピアコースを登ってみてはいかがでしょうか?
投稿時間:10:13 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
秋も冬も八尾は最高!
「越中八尾 風の盆」を担当しました、ディレクターの佐々木です。
青森県出身の私は、風の盆を見たことがありません。
今回の番組が、初めての風の盆となりました。
昼も夜も忙しい現場でしたが、「おわら」の音色に、何度も癒されました。
特に、真夜中の撮影の合間、道端に座って、ぼーっとしながら聞いた夜流し。
音色が優しく全身を包みこんでくれて、そのまま、どこかに吸い込まれていきそうな感覚です。
日本全国、楽器を奏で踊る行事はたくさんありますが、風の盆は本当に独特だと思います。
風の盆を語るときに、決まって使われるのが「哀愁」という言葉。
取材を進めているうちに気付いたのは、
「おわら」には、八尾の人々の喜びや悲しみが詰まっているということ。
だからこそ、風の盆には「哀愁」という言葉が似合う、ということでした。
今回の番組をご覧いただいた後に風の盆を見に行けば、
より一層、胸に迫るものがあるのではないでしょうか??
【ポイント① 風の盆ステージ】
「・・・とか言うけど、来年の9月1日まで待ってろって言うの・・・??」
と思われた方に、うれしい情報です!
実は、風の盆以外にも、「おわら」を鑑賞できる場所があるんです。
それが、「風の盆ステージ」。
越中八尾観光協会で、月に2回ほど行われておりまして、八尾の選りすぐりの地方と踊り子たちが、「おわら」を披露します。
椅子に座ってゆっくりと鑑賞できます。目をつぶって耳を澄ましていると、夢かうつつか、幽玄の世界にひたることができます。
そして、踊りの教室もしています。
「おわら」には、男踊り、女踊り、豊年踊りの3つの踊りがありますが、一番簡単な豊年踊りを教えてくれます。
ちなみに私は、この教室に参加した後、さらに3時間くらい自主練習した末、豊年踊りを何とか踊れるようになりました。素質がないのでしょうか・・・
踊りを覚えるコツは、踊り子の後ろについていきながら踊ることです。
踊りを真正面から見ていても、左右が逆になるのでいっこうに練習になりません!(笑)
おかげで、今年の風の盆では、輪踊りに少し混じって踊ることができました。
踊り子たちと一緒に踊るのも、楽しいですよ!
「風の盆ステージ」についてもっと知りたい!という人は、以下の越中八尾観光協会のホームページをご覧ください。
http://www.yatsuo.net/kankou/


【ポイント② 美味しいそば】
「山の畠で ふたりでまいた そばも花咲く オワラ 風の盆」
「手打ちにされても 八尾のそばだよ ちっとやそっとで なかなか切れない」
そばは、「おわら」の唄やお囃子にもうたわれています。
そのくらいに、八尾では昔からそばが親しまれてきました。
こちら、八尾の手打ちそば教室「やつおそば大楽」では、
毎週のように生徒さん達が集まり、おいしいそばを打ってます。
これからの新そばの季節には、八尾でとれたそば粉を使うそうです。
八尾のそばは、粘り気が強く、味が濃厚なのが特徴。何とも言えない風味です。
たくさんの生徒さんが通っているのですが、その中に、見覚えのある顔が・・・
番組にも登場した上新町の三味線奏者、城岸司さんです。
実は、日本各地で行われるそば打ちの大会で入賞するほどの腕前!
「そば打ちも三味線も、やっている姿が美しくなければならない」という言葉が印象的でした。
美しさを極めたいと思う・・・それが八尾人が持って生まれた性(さが)なのでしょうか。
ちなみに、城岸さんが打ったそば、つるつるでコシがあり、絶品!
タレも何もつけずに食べても、美味しく頂くことができました。
手打ちそば教室は、1日体験もできるそうなので、参加してみてはいかがでしょうか?
先生の指導を受けながら作ると、びっくりするほど美味しいそばができあがります。
また、八尾の中心部には、そば屋さんが何軒かあります。
こちらに立ち寄ってみるのもおすすめです。
お店でそばを手打ちしている所や、地元の山菜を添えてくれる所もあります。
観光協会に行くと、地図やパンフレットが置いてあります。
昼間や土日しかやっていないところもあるので、事前に確認してからたずねた方がよいですね。
<手打ちそば教室の様子>

<城岸司さん>
<城岸さんが打ったそば>
【ポイント③ 冬の八尾】
風の盆が終わると、季節はあっというまに冬。
冬の八尾も、なかなか絵になります。
写真は、「日本の道100選」に選ばれている諏訪町通り。
今年の冬、朝の雪かきの様子です。
道路の雪を、番組でご紹介した防火用の水路「エンナカ」に落とします。
八尾は坂の町なので、エンナカの水が勢いよく流れており、雪が全て押し流されていくのです。

夜になると・・・
公民館に集まってきたのは、西新町の地方たち。
そう、冬からおわらの練習をしているのです。
平均すると、1年中、週1ペースでやってます。
みなさん、仕事のあとに集まるので、スーツや作業服の人も。
練習のあと、「風の盆まであと半年しかないのでがんばりましょう!」とリーダーのひとこと。
冗談半分かもしれませんが、伝統を受け継いでいくのって、本当に大変なことなんだなと、思いました。
耳を澄ますと、ちょっとした音が三味線や胡弓の音に聞こえることがある・・・
番組の中で、そんなインタビューがありましたが、何だかわかる気がしました。


投稿時間:10:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
月と東京
「新日本風土記」事務局スタッフです。
先週の皆既月食、皆さん、ご覧になりましたでしょうか? 渋谷の放送センターからもよく見えて、消えゆく満月を楽しませて頂きました。宇宙の不思議を実感できる、良い機会になりました。「今日は皆既月食」と知っている私たちと違い、昔の人たちはどんな思いで眺めていたのでしょうね。ちなみに、先週の「もういちど、日本」では、「十三夜」を愛でるという風習を紹介しました。日本人と月。とても深い結びつきがあるようです。
ところで、いま、BSプレミアムでは東京をテーマに様々な番組を放送しています。東京でオリンピックが開催されてから、今年でちょうど50年。変わったものもあれば、変わらないものも。東京を様々な角度から見つめる一ヶ月です。というわけで、新日本風土記でも、以前放送した「東京の夜」を久しぶりに再放送しました。
この番組の撮影が行われたのは、2011年です。3年前の東京です。3年前だというのに、もう変わっていることもありました。たとえば番組でご紹介したネイル。いまとは、だいぶ流行が違うような気がします。特にファッションは、時の流れを強く感じますね。ましてや50年前の東京となると、まるで映画を見ているような気分になるかもしれません。2020年には2回目となる東京オリンピックが開かれます。その間にも、きっと様々なことが変わっていくんでしょうね。でも、変わらず大切にしたいことも。それは人情!思い出横丁のふれあいとか、こういうつながりは、ずっとずっと続いてほしいと思います。
秋が少しずつ深まってきて、肌寒い日も出てきました。人情が身にしみる季節になりますね! 「新日本風土記」や「もういちど、日本」で、ぜひ心をあたためて下さい!
投稿時間:11:05 | カテゴリ:事務局便り | 固定リンク
5・7・5で味わう北陸
「奥の細道 北陸路を行く」を担当した和田です。
みなさんは「奥の細道」を読んだことはありますか?「閑さや…」や「五月雨を…」など、「奥の細道」には芭蕉の残した有名な句がたくさん登場します。ですが実は、今回とりあげた芭蕉の旅の後半・北陸路は、前半である東北の旅に比べれば少しマイナー・・・と、当初の私は思っていたのですが!実際に撮影で訪れ、北陸ならではの風土とそこに寄せた芭蕉の美しい言葉が重なった瞬間、歴史と現代が一つに繋がり、すっと心に染み入ってきました。知れば知るほどはまってしまう、奥の細道・北陸路の旅にご招待いたします。
【ポイント①目に口に 喜び添える 日本海】
旅はしばらく、日本海に沿って進みます。日本海と言えば、やはり海の幸。番組で紹介した三面川の鮭も、元は日本海から遡上してきたもの。この迫力の顔、海の近くと川の上流近くでは表情が全然違うようで、それによって使い分けているのだとか。そんな村上の人たちのこだわりを聞きながら頂く塩引き鮭は、魚のうまみが凝縮された最高の一品でした。他にも、出雲崎の市場で見られる新鮮な魚介や、親不知の豪快なたら汁など、撮影中いつもスタッフのお腹を満たしてくれた日本海の恵みでした。

日本海の魅力は食だけではありません。当初、ずっと海沿いでは同じような景色が続くのでは、と気に病んでいましたが、断崖絶壁の難所もあれば、国の名勝に指定された有磯海や、美しい砂浜も。場所場所で違った表情を見せ楽しませてくれました。

【ポイント②新潟は その名の通り 潟だらけ】
北陸路の旅の多くを占めるのが、新潟県。普段気にすることなく使っていた「新潟」という地名ですが、新潟市はその名の通り、かつては潟が点在した水の都でした。特にその名残を感じることが出来るのが福島潟。潟ならではの動植物に恵まれ、中にはオニバスといった希少な水生植物も。穏やかな空気が流れ、とても心落ち着く場所でした。小舟に乗って潟を進めば、芭蕉の気持ちに近づけるかもしれません。
【ポイント③山中の 火照る体に 木々の風】
暑い日が続く中での撮影でしたが、山中温泉はとても緑が多く涼しくて、岩から染み出る湧水に癒されました。お湯の良さはもちろんですが、近くを流れる大聖寺川と木々が織り成す風が、湯上がりの体に
心地よい、散策にぴったりの温泉街です。そんな緑の中に突如として現れる、くねくねと曲がったあやとりはし。暮らす人々もとても気さくで温かく、芭蕉がついつい長逗留してしまったのもうなずけました。

以上、私の下手な5・7・5に付き合って下さりありがとうございました。みなさまも訪れた際にはぜひ、土地土地に思いを馳せながら一句詠んでみてください!
投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク