桜の季節がやってきました
「新日本風土記」事務局スタッフです。
ようやく寒さもゆるみ、春らしさが漂ってきましたね。それを一番感じるのは、目・鼻・のど・・・。花粉症の方々が、誰よりも先に春を感じるようです。先日、くしゃみや鼻水が出始めたので、てっきり花粉症だと思っていたら、風邪でした。まぎらわしいですね。
春と言えば、やはり桜。28日(金)の「新日本風土記」は、桜がテーマです。撮影したのは、昨年の春。気候不順に悩まされながら、ロケ隊が桜前線を追いかけて撮影をしました。苦労のかいあり、とても美しい桜と、桜を巡る素敵な人々との出会いがありました。「さくら 十二の物語」、花粉に悩まされずにお花見できます!ぜひ、ご覧下さい!
ちなみに、「もういちど、日本」も、来週は桜づくしです。あわせて、お楽しみ下さい!
あと、ひとつお知らせです。3月31日(月)から、「もういちど、日本」の放送時間が一部変わります。これまで、Eテレでは月曜のみ朝6:20から放送していましたが、3月31日からは、月曜日は朝5:55から、火曜のみ朝6:15からとなります。それ以外は変更はありません。
今後とも、「新日本風土記」「もういちど、日本」をどうぞよろしくお願い致します。
投稿時間:10:11 | カテゴリ:事務局便り | 固定リンク
気軽に楽しく盆栽、そしてもみじに癒されて・・・
「埼玉 武蔵野 みどりの国」を担当した岡本です。さいたま局にやってきて半年ですが、取材してみると、埼玉は都市部近郊でも緑が多い地域が多く、その緑を維持していこうという地域の方々の意識も大きいことを実感しています。今回取材したのは、さいたま市北区盆栽町を中心とする大宮盆栽村と植木の街・川口市安行です。
大宮盆栽村は閑静な住宅街ですが、盆栽園が5軒。盆栽園の門をくぐると丹精こめた盆栽の数々がびっしり並び圧倒されます。日本では盆栽というと、お年寄りの趣味と思われがちですが、盆栽園で取材中、外国の20代の若い人たちや団体の観光客に何度も出会いました。彼らにとって盆栽は古くさいものではなくアートの1つと位置づけられているようです。
盆栽初心者におすすめなのは、さいたま市大宮盆栽美術館です。4年前にオープンにした美術館で、日本の中でも名品と呼ばれる盆栽が一カ所に集まっています。屋外と屋内の展示場では定期的に盆栽が入れ替えられるので、いつ訪れても異なる盆栽と出会えます。

盆栽を鑑賞するときは、上から見ないで、盆栽の正面に立って、盆栽と同じ目線になるよう腰をかがめて、少し見上げてみてください。枝振りや根元の張り具合がはっきり分かって、力強さが伝わると思います。眺めるときは自分が小さな人間になったつもりで。そうすると、盆栽が数十センチの大きさではなくて、大樹であるかのように感じられるのでは。盆栽が“一鉢に自然を凝縮した小宇宙”だと言われる由縁です。(専門家の受け売りですが・・・)
これからの季節、落葉樹の盆栽は花が咲き、常緑樹の松や真柏も、緑が目に鮮やかです。少し先ですが、5月の3日から5日は「大盆栽まつり」が開かれ、大宮盆栽村が盆栽一色に。盆栽や器、山野草などの市が立ち、盆栽村が最も賑わう時期です。皆様、ぜひ一度訪れて、盆栽の魅力に触れてみてください。
川口市安行の隠れたもみじの名所「小林もみじ園」では、きれいなもみじの見方を教わりました。たとえば朝方、少し露が降りて水気のある時間帯の方が、きれいに見えるそうです。雨が降ったあとの雨上がりなども同様。日中だと太陽光線で乾燥して縮んだ葉が、水気を帯びることで、みずみずしく伸びるのだそうです。朝方や雨が降った時は、お客さまが少ない時間帯ですが、こういった時に新たなもみじの美しさに出会えそうです。

そしてもうひとつは、お日さまが直接当たる順光ではなく、逆光で眺めること。葉が日を透かした方が、もみじはきれいに見えるのだそうです。確かに撮影時も、逆光で狙ったモミジは、葉脈も透け一枚の葉の中に赤やオレンジのぼかしがはっきり分かり、きれいでした。こちらのモミジ園では、紅葉する木々およそ400種類が園内にあるので、色々な紅葉に出会えると思えます。
また、モミジが紅葉するのは秋だけではありません。春もみじといって、春紅葉する種類も多く、園主の小林さんいわく「春もみじは豪華な美しさ」だとか。私は見たことがないのでその魅力をここでお伝えしきれないのですが、4月末からの大型連休前後が見ごろだそうです。
大宮盆栽村、植木の街・安行。木々の力強さを感じ、その優しさに癒される街です。
投稿時間:11:00 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
野付とエビの良い関係
「北海道 野付」を担当した由井です。
今回、タイトルにわざわざ「北海道」とつけたのは、もしかしたら野付という場所がいわゆる“ザ・ニッポン”としてあまり知られていないのでは、という考えからでした。
札幌市と野付半島は直線距離にして300キロ以上離れています(東京―名古屋は260キロ)。札幌を拠点とした北海道旅行の“ついでに立ち寄る”場所では全くありません。でも、いざ訪れてみると、「こんな場所が日本の中にあったのか」と強烈な印象が記憶に残る土地です。四季を通して全く別の姿を見せる、不思議な形をした日本最大の砂嘴。番組で紹介した以外にも一年を通じ様々な海産物に恵まれ、それを求めて様々な野生動物たちも集まります。
野付の町、尾岱沼を築いた開拓者たちの中には、あなたの御近所からやってきた人もいたかもしれない。“内地”と幾つもの細い線でつながっている北海道本島の東端です。
<写真・野付半島>
野付を象徴する風景として有名なのが、番組にも登場した、ホッカイシマエビを獲る「打瀬網漁」です。野付湾の中に広がるアマモの森を傷つけないよう、明治時代から伝わってきました。風を受けながらゆらゆらと少しずつ流れていく舟を浜辺に座って眺めていると、ほっと心が安らぎます。

<写真・打瀬網漁>

<写真・エビ>
野付半島の形に良く似たホッカイシマエビ、今では貴重なエビになったため全国で目にする機会は少ないと思いますが、茹でたものを初めて食べるとその濃い甘みに感動! 生のままだとあっという間に鮮度が落ちるため、刺身を食べたいなら断然、現地です。打瀬網漁で獲るエビは、アマモと海のいい香りがふわっと口に広がる、ぷりぷりした触感。生きたままのエビを刺身として出す居酒屋もありますので、ぜひ一度足を運んでみてください。一杯やりながらつまみだしたら、止まりませんよ。
食べるもの、見るものは山ほどあります。知床や根室、釧路も(北海道の中では比較的)近いですので、日本の最果てを巡るぶらり旅、計画してみてはどうでしょう。
投稿時間:13:58 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク
出羽三山の人情
「出羽三山」を担当した青木です。出羽三山は、古くから続く山岳信仰の霊場として、山形県の文化に計り知れない影響を与えている、非常に大きな存在です。大きすぎて新日本風土記の様な番組でないとなかなか全体像を紹介することが出来ません。この機会に、これまで紹介されてこなかった魅力を発見し、伝えたいと思い、取材に臨みました。

具体的には「山伏の特殊な世界」として紹介されることが多かった出羽三山に、普通の人たちがどういう思いで祈りを捧げているのか、暮らしの中に息づく信仰に焦点をあてました。取材の過程で感じたのは、信仰への思いもさることながら、宿坊や山小屋、神社など、信仰に関わる人たちの温かい「もてなしの心」でした。江戸時代には全国から年に何万人もの参拝者が訪れた出羽三山。彼らを受け入れる中で、山形の人たちに培われた「もてなしの心」。それこそが、出羽三山が今の山形県に伝えた最も大きな財産ではないかと感じました。



今回のおすすめポイントは、これからの季節、4月にオープンする「月山スキー場」です。スキー場というものは冬にオープンするのが普通ですが、月山はあまりの豪雪のため、春から夏にスキーシーズンを迎えます(どれくらいすごい雪かというと、連日、除雪やゲレンデ整備が不可能な降雪があり、高さ11mのリフトの支柱が埋まるほどです)。ちょうど全国のスキー場がシーズンオフになる時期のため、希少な雪を求めて毎年12万人ほどのスキーヤー、ボーダーが訪れます。山の斜面全体を活かした広大なゲレンデや、ブナの間を滑り抜けるバックカントリースキーが人気の、ここでしか味わえない魅力に溢れたスキー場です。


このスキー場を支えているのが、かつて出羽三山への参拝者で賑わった、参道沿いの集落の人たち。西川町の志津は今、温泉旅館が立ち並び、スキーヤーの拠点として賑わう観光地ですが、戦前までは信仰を支える宿場町でした。戦後、交通網の変化や参拝者の減少などを受け、集落の存亡をかけて取り組んだのが、月山ならではの豪雪を活かした春夏スキー場の開発。山との関わり方は時代に合わせて変わりましたが、山の魅力を伝えるのは自分たちだという気概が、志津の人たちには溢れています。各旅館の名物は、地元の山菜を活かした料理。かつて参拝者に提供した精進料理の伝統を受け継いでいます。そしてもちろん、信仰の歴史に培われた「もてなしの心」も健在です。
皆様も是非一度、うららかな春の日差しに包まれてスキーを楽しみながら、出羽三山の食と人情の魅力に触れてみてください。
追伸:明日(水)の朝8時から、また、8(土)の朝6時から再放送があります。どうぞ、ご覧下さい!
投稿時間:16:07 | カテゴリ:ディレクターおすすめスポット | 固定リンク