【Q&A】強迫症でいつも不安にかられる。どんな認知行動療法を行う?

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強迫症についてです。
車を運転し、帰宅すると「もしかしたら、あそこで人をひいてしまったのではないか」「人の車にぶつけてしまったかもしれない」などの不安にかられます。
この場合の認知行動療法は、どういったことをするのですか?(30代 女性)

専門家による回答

私が認知行動療法をする場合、強迫観念に対して「想像曝露」を行い、強迫行為に対して「反応妨害」を行うことをご提案します。「想像曝露」は、まず、最悪の場合の物語(ワースト・ケース・シナリオ)をノートに数行書いてもらいます。「自分の運転する車が人をひいてしまい、警察に逮捕され、服役し、その後も一生、被害者の家族に償いをし続ける」というような最悪の物語です。 こういう最悪の物語が頭に浮かぶと、もちろん、それは不愉快な体験です。

しかし、頭に浮かんだことや考えたことが、必ずしも現実に起こるとは限りません。ですから、最悪の物語が頭に浮かんでも、それは、現実に起こるわけではないのだから、何も反応しないようにしようと習慣づけるようにしていくこと、最悪の物語に慣れるように曝露していくことが重要です。

物語を書くことよりも絵を描くのが上手な人は、最悪の物語のイラストやマンガを描いてもらうのも良いでしょう。車を運転して帰宅したら、第一に、その物語を書いたノートを声を出して読み上げる曝露をします。
第二に、現場に戻って、ひいていないか、ぶつけていないか確認するというような行為をしないようにする「反応妨害」をします。
第一と第二を組み合わせた「曝露反応妨害法」が効果的です。

現実曝露は段階的に行いますが、想像曝露は段階的にすることが難しいので、「最悪の場合の物語」を考えてもらいます。「最悪の場合の物語」を自分で録音して、その内容を毎日1時間、繰り返し聞いてもらう曝露をして、その物語に慣れてもらうこともあります。

(2021年9月15日(水)、16日(木)放送関連)