Q&A 動脈硬化

目次

2018年10月1日(月)~4日(木)放送へのご質問
悪玉が150~165 薬はなるべく避けたい
脂質異常がなくても動脈硬化は進む?
善玉が100mg/dL なぜ良くないのか?
頸(けい)動脈以外もエコー検査すべきか?
2017年12月4日(月)~7日(木)放送へのご質問
薬でLDLコレステロールが49に。低すぎないか?
家族性高コレステロール血症だがスタチンが使えない

2018年10月1日(月)~4日(木)放送へのご質問

悪玉が150~165 薬はなるべく避けたい

年齢とともに悪玉のLDLコレステロール値が高くなり150~165mg/dLです。産業医にすすめられ、近くの内科で詳しい検査も受けました。今のところ薬を服用せずに様子をみています。なお、血圧は正常で、糖尿病は気配もありません。
動脈硬化に関する本を読んでみると、悪玉がこの程度の場合、「薬を使うべきだ」という考えと「運動と食事で対応すべきだ」という考えの両方があるようです。
私はなるべく薬の服用は避けたいと思っています。薬の副作用も気になります。どう考えたらよいでしょうか?(67歳 男性)
年齢とともにLDLコレステロールの値が高くなっているということなので、遺伝性の家族性高コレステロール血症ではなさそうです。また、高血圧や糖尿病などの危険因子はないようです。しかし、加齢や男性であることによっても心筋梗塞・狭心症のリスクは高まります。
まず、動物性脂肪(牛、豚、鶏肉の脂の部分)、コレステロール(卵の黄身など)の摂取を控えめにし、たんぱく質を多めにとり、有酸素運動をやってみましょう。有酸素運動自体はLDLコレステロールを下げませんが、動脈硬化の予防効果があります。3か月くらい食事と運動で頑張り、それでもLDLコレステロールが下がらなければ、薬の服用をおすすめします。
スタチンなどの薬が心筋梗塞や脳梗塞を予防する効果は、国内外で実証されています。また薬の副作用はまれです。安心して継続されたら良いと思います。

脂質異常がなくても動脈硬化は進む?

高血圧をかかりつけ医にみてもらいながら、大学病院で脳腫瘍の治療と脳動脈瘤(りゅう)の定期検査を受けています。最近、脳腫瘍の治療でMRA検査を受けたところ「動脈硬化が進んでいます。プラークもあります」と言われました。
私は50歳ぐらいから毎年血液検査を受け、悪玉のLDLコレステロールは65~100mg/dL、善玉のHDLコレステロールは65~80、中性脂肪は40~70です。また、降圧薬をのんでおり血圧は140/85mmHg前後です。喫煙はしていません。こうした状態でも動脈硬化になりプラークができるのでしょうか。医師は「動脈硬化は高血圧が原因だと思います」と言っています。
その後、ほかの病院で頸(けい)動脈エコー検査を受けたところ、右が2.1mm、左が1.5mmという結果でした。血管の硬さを調べるCAVI検査も受けましたが、こちらは異常がありませんでした。 脳卒中や心筋梗塞の危険が大きいと思ったほうがよいでしょうか?(74歳 男性)
脂質異常症がなくても動脈硬化は起こります。脂質異常症以外の危険因子には、高血圧、糖尿病(糖尿病の予備群も含む)、喫煙、運動不足、内臓脂肪の蓄積などがあります。これらは改善できますが、加齢、男性であることは避けられない危険因子です。
これらのうち、この方の動脈硬化の進行に最も影響している可能性があるのは、やはり高血圧と加齢です。特に脳動脈瘤がある場合には、血圧を十分にコントロールする必要があります。薬を使っていないときの血圧がどれくらいかにも注意してください。また、最近は血圧の目標値をこれまでより厳しくすることも検討されています。
MRAで動脈硬化が進んでいて、プラークもあり、頸動脈のプラーク(内膜と中膜の複合体を測定します)も1.5~2.1mmと分厚くなっていますので、脳卒中や心筋梗塞の危険度は、動脈硬化のない方に比べて高いと言わざるをえません。やはり、冠動脈、下肢動脈も含めて、動脈硬化の評価を行っておいたほうがよいと思います。かかりつけ医の専門がどの分野かにもよりますが、循環器内科医に一度診てもらったほうがよいでしょう。

善玉が100mg/dL なぜ良くないのか?

私は善玉のHDLコレステロール値が100mg/dLです。悪玉のLDLコレステロールや中性脂肪は正常範囲です。番組で「善玉が多すぎる場合も良くない」というお話がありました。どんなメカニズムで、どんな影響があるのでしょうか?
また、善玉を増やしたり減らしたりする方法は、悪玉の場合と同じですか?善玉については ほとんど情報がないので知りたいです。(57歳 男性)
HDLコレステロールの値が低下すると、動脈硬化やそれによる心筋梗塞・狭心症などが起こりやすく、そのことから、HDLコレステロールは動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールと言われてきました。動脈に過剰にたまったコレステロールは、HDLによって引き抜かれます。そして、HDL自体がシャトルバスとなってコレステロールを肝臓へ直接運んだり、HDLからLDLなどの別のシャトルバスにコレステロールを転送して肝臓に運んだりして、最終的にはコレステロールが胆汁の中に排せつされます。これによって過剰なコレステロールが動脈にたまらないよう防御しているわけです。
このHDLから別のシャトルバスにコレステロールを転送する役割を担っているのが「コレステロールエステル転送たんぱく」(CETP)です。CETPが遺伝的に少ない(CETP欠損症)場合には、HDL内のコレステロールが別のシャトルバスにうまく転送されないため、HDL内にコレステロールがたまってHDLコレステロールの値が著しく上昇します。HDLコレステロールが100mg/dLを超える場合には、CETP欠損症を疑います。しかも最近では、HDLコレステロールが極端に高い場合は、むしろ動脈硬化による病気が増え総死亡率も高くなることが国内外で示されています。
CETPの測定は日常検査ではできません。そこで、HDLコレステロールが極端に高い方は、循環器内科の専門医に、動脈硬化がないかどうかを、頸(けい)動脈エコー、運動負荷心電図検査などで調べてもらいます。もし、動脈硬化があるとわかったら、動脈硬化の他の危険因子(糖尿病や高血圧)がないかを調べ、あればそれらの治療を行います。HDLコレステロールを下げる治療の効果はまだ証明されていませんが、LDLコレステロールは下げておいたほうがよいと思われます。

頸(けい)動脈以外もエコー検査すべきか?

「頸動脈エコー検査で異常がなかったのに心筋梗塞を発症した。そのあと、ためしに他の動脈のエコー検査を受けたところ、鎖骨下動脈でプラークが発見された」という話をインターネットで読みました。心筋梗塞を予防するには、頸動脈だけでなく他の動脈のエコー検査も受けたほうがいいのでしょうか?(52歳 女性)
頸動脈に動脈硬化がなくても、心臓を養う冠動脈に動脈硬化が起こることはありえます。逆に、冠動脈に動脈硬化がなくても、頸動脈の動脈硬化が進んでいることもありえます。もちろん頸動脈エコー検査から冠動脈の動脈硬化を推定できますが、この検査だけで全身の動脈を完全に評価できるわけではないのです。
なお、心筋梗塞を予防するには、動脈硬化のリスクがどれくらい高いのかを知る必要があります。それには日本動脈硬化学会のホームページ(http://www.j-athero.org/general/ge_tool.html ※NHKサイトを離れます)にある冠動脈疾患発症予測ツール「これりすくん」が役立ちます。動脈硬化のリスクが高いとわかったら、循環器内科などで問診や採血、運動負荷心電図、心臓超音波などの検査をしてもらうとよいでしょう。

2017年12月4日(月)~7日(木)放送へのご質問

薬でLDLコレステロールが49に。低すぎないか?

LDLコレステロールが高いためスタチンを服用して下げています。スタチンの種類を変えたところ、値が90mg/dLから49に下がりました。LDLコレステロールは細胞膜の生成に必要で正常値は70以上だと聞いています。49のままで大丈夫でしょうか?
また、中性脂肪も高いためEPAを服用していますが、どうしても下がらず200mg/dL以上あります。中性脂肪が高いとどのような影響があるのですか? なお、総コレステロールは150mg/dL程度です。(69歳 男性)
LDLコレステロールがかなり低い場合に何か問題があるかというご質問に関しては、問題がおこる可能性は低いと考えます。生まれつきLDLコレステロールがかなり低値の人がいますが、健康状態に問題は認められていません。またPCSK9阻害薬でLDLコレステロールを極度に下げた場合でも、現在のところ問題は認められていません。ただ、二次予防(冠動脈疾患をすでに起こしている場合)でなければ極度にLDLコレステロールを低下させる必要は少ないと考えます。
中性脂肪が高いことも動脈硬化の原因となります。その場合には、過食やアルコール多飲を避け、標準体重を保つことが重要です。また適度な運動でも中性脂肪は低下します。

家族性高コレステロール血症だがスタチンが使えない

家族性高コレステロール血症(ヘテロ型)と診断されています。幼少期からLDLコレステロールがとても高く、現在は276mg/dLです。また、けい動脈エコー検査でプラークが認められました。スタチンを服用したところLDLコレステロールは130前後まで下がりました。しかし関節痛、筋肉痛、全身けん怠感などの副作用が強く、続けることができません。そのためエゼチミブを服用していますが、220ぐらいまでしか下がりません。
また、PCSK9阻害薬はスタチンとの併用が前提とのことで使っていません。私のようにスタチンが使えない場合の良い対処法はありませんか? なおHDLコレステロールは55mg/dL、中性脂肪は95mg/dL、総コレステロールは350mg/dLです。(35歳 男性)
ご指摘のように、厚労省が作成したPCSK9阻害薬の使用要件は「スタチンと併用すること」となっています。したがって現在の規定ではPCSK阻害薬を使用することはできません。
さらなる治療が必要となれば、レジンやプロブコールの併用やLDLアフェレシスということになります。
この方のように副作用のためにスタチンが使用できない人がいるのも事実です。
日本動脈硬化学会ではスタチン不耐症の実態調査を現在進めております。この調査がまとまれば、スタチンとの併用を必須としているPCSK9阻害薬の使用条件が変わる可能性もあります。

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