Q&A 認知症

目次

2018年6月11日(月)~13日(水)放送へのご質問
認知症になったら尊厳死を選びたい
部屋や玄関で排せつ、どうしたらよい?
2016年4月18日(月)放送へのご質問
これは血管性認知症?
物忘れ、かむ・飲み込む力の衰え
2016年4月19日(火)放送へのご質問
依存症はレビーによるもの?
パーキンソン病とレビー小体型認知症の寿命は異なる?
アミロイドアンギオパチーによる認知症とは?
2016年4月20日(水)放送へのご質問
病院へ行きたがらない
SSRI以外に常同行動を抑える薬は?
発達障害の人は発症しやすい?

2018年6月11日(月)~13日(水)放送へのご質問

認知症になったら尊厳死を選びたい

きょうの健康「認知症」シリーズは、認知症の人に周囲がいかに寄り添い理解するかという内容で、参考になりました。また結局は家族の負担になることも改めて認識させられました。
私は、自分が重度の認知症になったら尊厳死を選びたいと思います。どんな病気でも家族には負担でしょうが、認知症は本人の意思や理性に反して想定外の行動をとるところが異なると思います。そのために若い世代の生活は一変してしまうでしょう。そのような犠牲を自分の家族には払わせたくありません。
もちろん、認知症であっても、経済的に余裕があったり周囲を傷つけなかったりと好条件がそろっていて、穏やかな余生を過ごせる人は、それでいいのです。
認知症で尊厳死を選ぶということについて、医師の皆さんはどのようにお考えか、お聞かせいただけませんか。(47歳)
ご質問の方がおっしゃっている「尊厳死」は、消極的安楽死の意味に近いのではないかと思います。つまり、不治の病にかかって死が近づいたら、精神的な苦痛や、肉体の苦痛を取り除く治療は積極的に行うが、延命治療は行わないというものです。またはその時に行っている延命治療を中止するというものです。
現在、そういった最期を望む方が増えました。それは認知症であっても、認知症でなくても同じです。しかしこのことについては人によって考え方が違います。最後まで病気と闘い、一日でも長く生きようとするのも人生、治療よりも家族との時間を大切にするのも人生ですので、元気なうちに自分はどうしてほしいかを、家族に伝えておくことは大切です。親が子どもの希望を聴いておくことも重要です。交通事故や若くして予後不良の病気にかかることもあるからです。
なお、家族に迷惑をかけまいと自殺する方がおられますが、そうした方のご家族が迷惑をかけられなくてよかったと安どしているわけではないでしょう。認知症、あるいはアルツハイマー病の人を身近に経験しているか否か、経験しているとすればどういった経過であったかによっても、認知症に対する先入観は異なります。
たとえば、家族が認知症の自分に対してどうあってほしいのかを十分に聴いたうえで、最終的に自分がどうしたいのかを優先し、それを家族に分かってもらうというのが理想です。ただ、人生の時間はどんどんと過ぎていき、気がついたら病気が見つかり、その治療に対する選択を次々と迫られるのが、現実なのかもしれません。
ご質問からはずれますが、まだ認知症が軽いうちに、ご本人が尊厳死の意思表示をすることについては私も悩んでいるところです。今回の放送では認知症の精神症状を取り上げました。そういう症状がある方もおられますが、本人や家族が苦しんでいる事例は割合として多くありません。私の外来に通う多くの人は笑顔で幸せに暮らし、旅行や趣味などを続けておられます。
本人に治療や介護保険のサービスや人の支援を受け入れる寛容さがあり、家族が本人の精神症状を受け入れる寛容さがあれば(中等度、高度の場合は受け入れるのは難しいのですが、症状の始まりは軽いわけですから)、精神症状や行動症状が消えてしまいます。
ただ、それまでの家族関係が円滑なものではなかったり、緊張を伴うようなものであったり、よそよそしい関係の場合は、認知症になってから頼ったり頼られたりすることは難しいでしょう。精神症状や行動症状は出やすいでしょうし、強くなりやすいでしょう。それまでの家族の課題が凝縮して突出してきます。そのような場合は、無理をせず早めに自分から施設に入所してしまうほうが、お互いに幸せかもしれないと思います。

部屋や玄関で排せつ、どうしたらよい?

父はレビー小体型認知症です。トイレで排せつすることがうまくできず、部屋や玄関で排せつしてしまいます。ずっと見ていることもできず大変困っています。どうしたらよいでしょうか?(42歳女性)
もしテレビを見てくださったのならお気づきですね。ご家族でできるところからやってみようとお考えなら、お父様とゆっくり時間をかけて話すことが必要です。
トイレを失敗した時の気持ち(認めたくない、恥ずかしい、情けない、こんな自分が悔しい、二度と失敗したくないのだが、気持ちは娘に話したくない、など)、また尿と便とで異なるのかどうか、尿意や便意があるけれど間に合わないのか、それともまったく感じないのか、少しは感じるのかなど、そうしたこと聴き出すうちにヒントが見つかるかもしれません。
また一緒に暮らしている家族が、尿が増える飲食物や、便秘や下痢と関係する飲食物をとっているかどうか、とっているとすればいつとっているのか、便秘薬の種類やのみ方、尿や便の失敗は日課や外出と関係するのかどうか、などを観察するのもヒントになります。それらを総合して、食事の内容や、薬をのむタイミングを調整し、日課の前後で行きたくなくてもトイレで座ることを習慣にするなど、アイデアが出てくるのではないでしょうか。

2016年4月18日(月)放送へのご質問

これは血管性認知症?

76歳父について
76歳の父です。物忘れがひどくなり、高齢者専門の内科を受診して、『アルツハイマー型認知症』と診断されました。約6年前に、頭を強打した経験があり、他の症状から、「血管性認知症ではないか」、と思い医師に相談したのですが、「年齢的に仕方がない」と言われたのですが、諦めるしかないのでしょうか?回復のチャンスを逃しているようで、病院を変える方が良いのでしょうか?(47歳女性)
アルツハイマー病は脳内にアミロイドとタウという2つの蛋白が異常に蓄積することが分かっています。頭を何度も強打したあとに認知症に発展することは時々あり、有名なのは「ボクサー脳症」ですが、この場合はタウ蛋白のみの蓄積となり、アルツハイマー病とは異なるタイプの認知症です。お父様の場合は、頭の強打が1回だけのようですので、このボクサー脳症では無さそうですね。またもしお父様の頭部外傷が強くて、脳出血や硬膜下血腫などの頭蓋内出血による脳への直接的ダメージが強かったという場合は、「頭蓋内出血後認知症」ということになり、脳血管の動脈硬化によって起こる「血管性認知症」とは異なると思います。ただ頭部外傷や頭蓋内出血後に「正常圧水頭症」というタイプの認知症が発症することがあります。また6年前に頭を強打した経験は有りますが、お父様の認知症状との因果関係は無く、老年内科の主治医の先生のおっしゃるようにアルツハイマー病の症状が76歳になってたまたま出てきたということかも知れませんね。この場合はアルツハイマー病の治療をお受けになればよいと思います。

物忘れ、かむ・飲み込む力の衰え

3年前から物忘れがひどくなって3分前のことも覚えていない事が有ります。食事もかむ力が衰えて、飲み込みも難しくなりました。
周囲に訴えても、明るい性格なので、加齢のせいと相手にしてもらえません。
特にかむ、飲み込むことが衰えてきたことが不安です。(62歳女性)
このご質問は、質問者のご家族についてのことか、それともご本人からか不明ですので、以下の回答が不明瞭であってもご容赦ください。ご質問の内容は、「3年間で進行性の物忘れと咀嚼(そしゃく)嚥下(えんげ)障害」ということのようですね。患者さんの年齢も分からないのでさらに不明瞭な回答にならざるを得ませんが、仮に60-70歳代でしたらアルツハイマー病とは異なり、血管性認知症や筋萎縮性側索硬化症等の他の神経内科疾患の可能性もありますので、一度主治医に良く診て頂くことをお勧めします。またもし80歳代以降の超高齢者でしたら、「アルツハイマー病+高齢咀嚼機能低下」ということも有り得ますし、場合によっては「重症筋無力症+アルツハイマー病」などという可能性もありえなくもありません。その他さまざまな病気の可能性がありえますので、この場合もやはり一度神経内科や認知症専門医を受診することをお勧めします。

2016年4月19日(火)放送へのご質問

依存症はレビーによるもの?

グループホームの利用者について
グループホームで働いてます。利用者さんが『レビー小体型認知症』と診断されました。暴力行為があると聞きましたが、その方は現れることなく依存症があります。それもレビー小体型認知症の症状の一つですか?(34歳女性)
お尋ねの「依存症」がどのような依存症かによります。アルコール依存症なら、直接レビー小体型認知症との関連を疑う必要はなく、別の病気と考えてよいと思われます。ギャンブル依存症であれば、パーキンソン病やレビー小体型認知症に伴う症状としてあり得ます。病的な依存症のことではなく、「人に頼りたがる、介護者を当てにする」という意味なら、パーキンソン病やレビー小体型認知症の患者さんにはそういう性格傾向の方は多いように思います。日常生活動作レベルを低下させないためには、そのような傾向も理解したうえで、リハビリや自主的な生活動作を促していくことも大切です。

パーキンソン病とレビー小体型認知症の寿命は異なる?

「パーキンソン病だと普通の人と寿命は変わらない」と聞いたことがあるが、「レビー小体型認知症は症状初期から後期まで10年未満」といわれるのはなぜでしょうか?(42歳女性)
レビー小体型認知症のパーキンソン症状は、パーキンソン病に比べるとパーキンソン病治療薬への反応が良くない傾向があります。また薬による副作用(精神症状の悪化など)が出やすいこともあって、十分な量のパーキンソン病治療薬が使用できないこともあります。さらに、パーキンソン症状に加えて認知症の進行による悪化も重なります。これら複合的な要因によって、レビー小体型認知症では(特にパーキンソン症状を伴う場合は)アルツハイマー病に比べて寿命が短いとの報告が多いです。

アミロイドアンギオパチーによる認知症とは?

妻について
家内が大学病院の物忘れ外来で、脳内のCT、MRI検査等を受診した結果、『レビー小体型認知症パーキンソン病』とのこと。またアミロイドアンギオパチーと言うたんぱく質が脳内の微細血管内にあって、出血により脳を委縮している。現在の医学では治療法はないと言われ、認知症の薬ドネペジルとパーキンソン病の薬を服用中で、老健施設に入所中です。市立病院の神経内科を受診して1月に心筋シンチグラフィ検査を受診、結果は「レビー小体型認知症」、「パーキンソン症候群」ではなく、『アミロイドアンギオパチーによる認知症』と言われました。やはり治療法はないとの事で、上記投薬を継続中です。認知症の種類の中に「アミロイドアンギオパチーによる認知症」との言葉は出て来ない。本当にこの様な病気はあるのか、また治療法はないのか教えてほしい。(73歳男性)
アミロイドアンギオパチーはアミロイドベータたんぱくが脳の小血管壁に沈着することにより、血管壁がもろくなって脳出血などが生じやすくなる病気です。高齢者の脳出血の原因のひとつであり、MRI では小さな出血が脳内に散在していることを確認できます。アミロイドアンギオパチーでは、脳内にアミロイド沈着を伴うアルツハイマー病の変化を伴うことが多く、また小血管病変に伴う脳出血、脳梗塞も生じやすくなります。アミロイドアンギオパチーそのものに対する治療薬は今のところありませんが、認知症としてはアルツハイマー病、あるいは血管性認知症の要因と関連しますので、それらの病気に対する治療、対応を行うことになります。

2016年4月20日(水)放送へのご質問

病院へ行きたがらない

77歳父について
本人は「老化によるもので、病院へ行くほどひどくない」と思っているため、病院へ行こうとしてくれません。診断可能な病院へはタクシーで行ける距離ですが、認知症の専門的な診断には「5回は通う必要がある」と(その病院の担当スタッフに)言われました。1回行くのも難しいので、絶望的です。同居家族の申告だけで診断してもらえる方法はありませんか?

【状況・症状】
普通名詞の意味がわからない事がある・同じ物ばかり食べる・特に甘い物を目にすると食べずにはいられない・言葉(名詞)を適切に使えない事がある・信号や車線等交通ルールを無視して車を運転していた(現在は免許証返納済みです)等です。他者との会話は可能なので、介護度をチェックしに来る市の担当者は「特に認知症などの問題は無い」と判断し、家族からの事前申告に重点が置かれません。(同居 娘より)
専門医であれば家族の話だけでも大体診断は推測できますが、きちんとした診断をするには一度は診察を受ける必要があります。病院に行きたがらない人の場合、私が関わっている認知症疾患医療センターの場合は、まず家族だけ来院してもらい情報を得たうえで、「検診」(市の検診に応募した)ということで本人に受診してもらいます。ケアマネージャーなどにも受けた方がよいと勧めてもらいます。問診、認知機能検査、脳CT検査(最新機器なら、ほんの数秒の撮影時間です)などをその日に行い、結果を説明します。ご本人は1回の受診で診断を受けることができます(大抵の専門施設ではそのようにできると思います)。

SSRI以外に常同行動を抑える薬は?

77歳父について
77歳の父親が10年ほど前から発症しました。興奮したり怒って暴れたりなどの症状は、色々な薬を試した結果、オランザピンという薬でだいぶおさまりましたが。

【質問1】
この薬はこの先ずっと続けていても副作用など大丈夫なのでしょうか?また、週1回通っている高齢者施設で、同じ質問を延々とスタッフの方に繰り返すため、「不安からくると思うので、何か抑える為の薬をもらってください」と言われました。お医者さんがSSRIの塩酸セルトラリンを出してくれたので、半年以上のませましたが結局効きませんでした。
【質問2】
施設の方には「オランザピンは精神をダウンさせる薬で、SSRIはアップさせる薬なので、相反する効果の薬を飲んでも効かないのでは?」と言われたのですが、そうなのでしょうか?
【質問3】
SSRI以外に常同行動を抑える薬はないのでしょうか?(44歳女性)
常同行動に対するSSRIの効果は、ある程度有効な場合があるという程度ですので、症状が強い場合は、「クエチアピンフマル酸塩」「オランザピン」「リスペリドン」などのお薬を使い、全体に活動性を抑えることになります。少量であれば、抑えすぎることなく使えます。経過をみて落ち着いてくれば、さらに減量や中止を考慮することもできますが、長期に使用してはダメということはなく、あくまで症状との兼ね合いです。SSRIと併用して構いません。他には、気分安定化薬(抗てんかん薬)を使うこともあります。

発達障害の人は発症しやすい?

たまたまこの回を拝見しました。他の認知症にもいえるかは分かりませんが、症状の一部が、発達障害の状態と似ている印象を受けます。
発達障害の特性をもっていると発症のリスクは高いですか?
予防法(まだ確実でなくても)はなにか見つかっていますか?(33歳女性)
発達障害との関連性は注目されているところですが、十分に分かってはいません。たとえば、自閉症に対してオキシトシンというホルモン剤が有効でないかと言われていますが、このタイプの認知症にも効果があるのではないかとして研究が行われています。

関連する病気の記事一覧

きょうの健康

病気や健康に関する質問を募集!

最近放送したテーマに関する質問を募集しています。
現在、募集中のテーマは「質問を送る」ページでご確認ください。
※各テーマの募集期間は約2週間とし、予告なく終了いたします
※すべてのご質問にお答えできるわけではありませんので、ご了承ください