CT検査で肺に炎症の可能性 確定診断した方がよい?
- CTの結果、肺の下部に異常がみつかり、市内の大学病院で検査したところ、「炎症では?」と言われました。確定診断に関しては、「全身麻酔で危険が伴う手術になるので、家族と相談して来て下さい」と、あまり強くは勧められませんでした。大きさは1cmほどらしいので、私は、すぐには確定診断を行わず、少し様子をみてからまたCTを撮ってもらい診断を受けたいと思っています。
先生のご意見を聞かせて下さい。今、特に大きな自覚症状などはありません。(53歳 女性) - CT画像がどの所見であったかによりますが、大きさは1cm大で炎症を疑う陰影とすると、気管支鏡検査での生検では確定診断がつかない場合も多く、手術での生検が確実とは思います。
しかしながら、手術の侵襲を考えていますぐ手術はせず短期(数か月)でCTを再検査して変化をみることも多いケースと思います。
再検査まで3か月…進行しないか不安
- 2年前、狭心症で冠動脈にステントを挿入しました。今月、そのステントの状況をCTで確認した際に、肺に、番組で紹介された肺がんの画像と同じ様な影が有ることが判明しました。担当医は3か月後に再度CTで確認するとのことでしたが、もし肺がんであれば進行することが考えられます。3か月待つのは適当でしょうか?(71歳 男性)
- これも画像所見によりますが、すりガラス影をともなうような腫瘤(しゅりゅう)影(すりガラス陰影 ground-glass nodule(GGN))か、辺縁がはっきりとした充実性の腫瘤影か、また、サイズがどれくらいか、周囲の臓器にどれだけ接しているかなどを考慮し、経過観察とするか、すぐに確定診断をつけるかどうかを相談することになります。多くの場合は3か月で急激に進行することは少ないように思います。 3か月後に再度CTで変化をみて、悪性かどうかを判断することもよくおこなわれています。
横になるとせきが出る…肺の病気?
- 就寝時、横になってしばらくすると、せきが出ることがよくあります。肺の病気と関係あるのでしょうか?(68歳 男性)
- 横になるとせきがでる原因としては様々な原因が想定されます。
一般的なかぜやインフルエンザなどのウイルスや、細菌性肺炎、結核などの感染症、ぜんそくやせきぜんそくなどアレルギーによるもの、肺線維症や肺気腫など慢性的な肺の病気、タバコをすっているだけでもせきが増す、また、肺がんがひそんでいてせきがでることもあります。
しかし、通常のかぜでは、しばらくするとせきは自然におさまることが多く、数週間たってもせきが継続する場合は、胸部X線検査やCT検査などで病気がないかどうかを確認するほうが安心かと思います。
併用していた薬が効かなくなり新薬に…もし新薬も効かなくなったら?
- 肺がん(腺がん)で薬物治療中です。薬は、エルロチニブとベバシズマブを併用していましたが、効果がなくなってしまったため、現在は、オシメルチニブでの治療を行なっています。このオシメルチニブは新薬のようで、この後の薬はないようですが、もし、オシメルチニブが効かなくなった場合は、何かほかに治療法はあるのでしょうか?(70歳 女性)
- いまのところ、オシメルチニブが効かなくなった場合にどの治療が一番よいかははっきりとはしていませんが、もし、化学療法薬(殺細胞性抗がん剤)を使っていない場合は、それらの薬剤を使ってみること、また、免疫チェックポイント阻害薬も一つの選択になるかと思います。
また、現在もさまざまな薬剤が研究中であり、今後新しい治療法がでてくることも期待されています。
治験から一般の治療に変える場合は?化学療法とは?①
- 彼が今年の4月、肺がんのステージIIIBと診断されました。原発の確定が難しかったようで、結局、「肺門がん」という決定になりました。治療は、現在、放射線治療は終了して、化学療法のみを行なっております。
化学療法は、治験に参加し、デュルバルマブというお薬を使っています。最近承認されたのは承知しておりますが、化学療法とは抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬などを混ぜた治療ですか?それとも抗がん剤なら抗がん剤と単体で点滴する治療ですか?今も治験を続けている為、月に1度の点滴ではその都度、どの薬品を使われているかはこちらにもわかりません。治験から一般の治療に変える場合は、治験の結果をみている先生からお薬の提案はあるのでしょうか?(35歳 女性) - Stage IIIBであれば、あきらかな遠隔転移はないため、化学療法(殺細胞性抗がん剤を組み合わせて使う治療)と放射線治療を組み合わせて治療するのが一般的です。最近ではお話のあったデュルバルマブが承認されたので、後に地固め療法として使えるようになりました。これは免疫チェックポイント阻害薬に分類される薬剤ですが、点滴で投与する薬剤です。現時点では他の薬剤と併用する治療は通常の診療ではつかうことはできません。
現在、他の化学療法薬や分子標的薬、放射線治療などと同時に投与するさまざまな試験がおこなわれています。しかし、まだ十分には効果や副作用がわかっていないため、現時点では、現在の治療を継続することをおすすめします。
治験から一般の治療に変える場合は?化学療法とは?②
- 彼の場合、初めからですが、腫瘍マーカーに異常値が出ません。腫瘍マーカーに出ない患者さんも中にはいらっしゃるのでしょうか?
- 腫瘍マーカーはすべてのがんの患者さんで陽性となるわけではありません。また、すべての腫瘍マーカーを測定できるわけではなく、腫瘍マーカーが異常値を示さない方は珍しくはありません。
治験から一般の治療に変える場合は?化学療法とは?③
- 周りに居る者として情報が多すぎてどれを信じていいのかわかりません。本人は治療に対して全面的に先生に任せるという考えの様ですが、やはり本人が望むとおりにやらせるのが一番でしょうか。
- 最近では大量の情報を簡単に入手することができるようになったため、確かに、どれが正しいのかを判断することは医師でも難しいことがあります。また、病状や治療経過などが治療方針を決めるためには重要であり、知識が限られている一般の方だけで判断することは、ときに誤った判断となることがあります。
病状やこれまでの治療経過を一番よく把握しているのは担当医だと思われますので、よく担当医と相談されて、ご本人の意思や希望を聞いて決めていくのがよいと思います。
骨肉腫が肺に転移 最新の肺がん治療は有効?
- 19歳の息子の骨肉腫が肺の複数箇所に転移しています。がん細胞も大きく手術が難しく、化学療法の薬も効いていないようです。テレビで紹介いただいた免疫療法など最新の治療方法は骨肉腫からの肺がんにも有効でしょうか。(48歳 男性)
- 一般的な肺がんと骨肉腫はがんの性質が大きく異なるため、治療法も大きく異なります。
骨肉腫が肺に転移してもがんの性質は骨肉腫性質であり、肺がんの治療をそのまま骨肉腫の治療にあてはめても同じような効果がでるとは限りません。
骨肉腫に対しては、骨肉腫にあった治療法が検討されています。