大腸内視鏡検査 事前に心がけることは?
- 便が細くなる、便秘、腹痛、血便などの症状があり、大腸内視鏡検査を受けました。
検査当日に2Lの下剤をのんでから検査を受けましたが、
担当医から「大腸の中に便が残っており、観察ができない部分が少しある」
と言われました。
大腸内視鏡検査で大腸全体をよく観察できるようにするために、検査を受ける前に心がけた方がよいことはありますか?(42歳 男性) - 検査前の食事を指示通りにして、腸管洗浄液を予定どおり内服しても便が残る場合は大きく2通りあります。一つは便秘の方で、ご高齢の方や糖尿病の方によくみられます。毎日は排便がない方で、日頃より下剤を内服しているような方は2~3日前からしっかり緩下剤を内服した上で、腸管洗浄液を内服するときれいに洗浄できます。
もう一つは憩室〔けいしつ・腸のポケット〕が多発している方です。腸管洗浄液でいったん便が流されても、遅れて憩室内の便が出てきてしまうため、きれいにならないのです。洗浄液を2段階に分けて内服するなど、のみ方に工夫が必要です。便秘の方はその旨を、また一度検査で便が残っていると指摘された方は、前回は便が残っていたと申し出てくだされば、下剤の調整を行います。
内視鏡検査が少し大変 今後も受けるべき?
- 3年前、大腸内視鏡検査を行ったところ、良性のポリープ「腺腫」が2個発見され、無事切除してもらいました。
その後も、再度、大腸内視鏡検査を勧められましたが、20代の頃より毎年行っている便潜血検査では一度も問題なかったので、検査を受けるべきか迷っています。
再度、大腸内視鏡検査を受けるべきでしょうか。検査が少し大変です。(56歳 男性) - ポリープ(腺腫)は、高齢になるほどできやすく、一度腺腫が認められた方はいずれまた腺腫ができる可能性は高くなります。その一方、腺腫が発育するスピードは遅く、直径が2倍になるのに数年以上かかるとされています。
ですから、毎年内視鏡検査を受ける必要はないのですが、間隔が少々あいても末永く検査を続けることが大事です。3年から5年ほどの間隔で大腸内視鏡検査を受けるのが一法ですが、体に負担のない便潜血検査で代用する考え方も悪くありません。ただし便潜血検査の場合は毎年受診し、陽性となったら大腸内視鏡検査を受診して下さい。
くぼんだタイプの大腸がんは発見できる?
- くぼんだタイプ(陥凹【かんおう】型〕の大腸がんは大腸内視鏡検査で発見できるのですか(51歳 男性)
- ポリープの形態の隆起型病変は一目でわかりますが、陥凹型は見つけにくいので見逃す可能性が高くなるのは事実です。隆起型・陥凹型いずれも5mm未満の小さなものでは、大腸のひだの裏などの死角に隠れて、見逃すこともあり得ます。「床にばらまかれた大豆なら全て拾うことは難しくありませんが、胡麻でしたら見過ごすものも出てくる」と例えればご理解いただけるでしょうか?
一方で、病変を見つける手段としては内視鏡検査が最も精度が高いので、「陥凹型の大腸がんを見つけるためには大腸内視鏡検査でなければ難しい」ということもいえます。
大腸内視鏡検査のリスクは?
- 便秘、腹痛の症状が続いて消化器内科を受診して大腸内視鏡検査を希望したところ、担当医から「大腸内視鏡検査で事故を起こすのが怖いので今はやらないでおきましょう」と言われました。
大腸内視鏡検査は事故を起こす危険な検査なのですか?(35歳 男性) - 正しく行われれば危険はきわめて少ないですが、確かに100%安全というわけではありません。まず、血圧が不安定な方や心筋梗塞や脳卒中などの血栓症を起こしたことがある方は、準備の下剤や、食事制限を含め、検査関連で新たな発作を起こすことがあります。基礎疾患が不安定な場合は、病状が落ち着いてからの検査が望ましいです。高齢者ではこれらの病気を伴っている頻度が高いので、特に注意が必要です。
また、腹痛を伴う便秘の場合はがんによる狭窄〔さく〕の場合があるので、下剤の内服で腸管が破裂したり、そこまで行かなくても腸閉塞で緊急手術が必要になることもあり得ます。(腹部の手術後に高度の癒着がある場合なども穿〔せん〕孔のリスクが高くなります。)
体の状況によっては危険な検査になる場合もありますので、事前の診察で検査を行える状態か検討することが重要です。