【Q&A】夜間勤務すると女性ホルモンのバランスが崩れる?乳がんとの関係は?

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夜間勤務者はホルモンのバランスが崩れて、乳がんになる人が増えていると聞いたことがあります。それは事実でしょうか?(49歳 女性)

専門家による回答

世界中のさまざまな研究から、夜間勤務と乳がんの発症にはおそらく関係があるだろうと考えられています。
アメリカで11万人以上の看護師さんを12年間乳がんを発症するかどうか調べた研究があります。それによると、20年以上夜勤を担当したグループは全く夜勤をしなかったグループに比べて、約1.8倍乳がんの発症率が高かったことが報告されています※。

背景には、体内時計を調節してくれるメラトニンというホルモンの影響が指摘されています。夜間に明るい照明の下で過ごしていると、メラトニンの分泌が減ってしまいます。すると、女性ホルモンや免疫の働きにも影響が出て、乳がんの発症リスクが上がるのではないかと考えられています。

ただし、先ほどの研究では、数年程度の夜間労働では、乳がんの発症リスクに影響はなかったとも報告されています。乳がんの発症には、肥満や喫煙、アルコール、運動不足などの生活習慣も影響します。こうした要因を避けることも乳がんの発症予防には大切です。

※ Schernhammer ES, Kroenke CH, Laden F, Hankinson SE. Night work and risk of breast cancer. Epidemiology. 2006;17(1):108—11.

(2021年3月1日(月)~3日(水)放送関連)