部活にまつわるエトセトラ ~「中学生・高校生の生活と意識調査2022」から~【研究員の視点】#508
世論調査部(社会調査)村田ひろ子
猛暑の夏が終わり、ようやく秋らしくなってきましたね。近所の商店街で、テニスラケットを持った中高生たちがたい焼きをおいしそうにほおばっているのを見かけて、「秋といえば、スポーツ、それからなんといっても食欲だよね」と一人納得したのでした。もちろん芸術の秋も楽しみたいですよね。
話は少しそれますが、中高生にとって、スポーツや芸術といえば、部活動ではないでしょうか。イマドキの中高生たちは、どのように部活動に取り組んでいるのか、気になりませんか?NHK放送文化研究所が昨夏、全国の中高生を対象に実施した世論調査※1の結果を確認してみましょう。
学校で、部活動をしているかどうかを尋ねた結果、中学生では、「体育系(運動部)にだけ入っている」という人が6割以上を占めています。高校生では4割近くで、中学生より少なくなっています。また、部活動に『入っている(体育系+文化系+両方)』人は、中学生が8割、高校生が7割で、多くの中高生たちが部活動に入っていることがわかります。
部活動に入っているか
それでは、中高生たちは自分が入っている部活動にどのくらい満足しているのでしょうか? 中高ともに『満足している(とても+まあ)』が9割近くにのぼります。部活動の内容別にみると、「体育系(運動部)にだけ入っている」人も、「文化系にだけ入っている」人も、『満足している』が9割近くで、差はありません。
部活動に満足しているか(分母:部活動に入っていると回答した人)
中高生の多くが、部活動に満足しているのはなぜでしょうか?部活動に入っている理由を複数回答で尋ねた結果をみると、中高ともに「自分がやりたかったから」が他の選択肢を引き離して最も多く、中学生が72%、高校生が76%にのぼります。「自分がやりたかったから」を選んだ人の部活動の満足度は9割を超えていて、それ以外の回答を選んだ人の満足度(約7割)と比べてかなり高くなっています。やりたいことが選べて満足できている人が多いようです。一方で、学校で必ず入ることになっているという回答が1割程度あります。学校の方針なのでしょうが、納得できていればいいのですけど、少し心配もしてしまいます。
部活動に入っている理由(複数回答、分母:部活動に入っていると回答した人)
さて、中高生は、部活動を通じて多くの人と知り合い、交流を深めていると考えられますが、部活動と友だちづきあいの間には関連がみられるでしょうか? 高校生では、「ちょっとした悩みごとを相談できる友だち」や「深刻な悩みごとを相談できる友だち」がいる人は、部活動への参加の有無では差がありません。一方、中学生では、部活動に入っている人のほうが、いずれの場合についても、割合が高くなっています。高校生と比べて行動範囲が限定され、おのずと学校内の友人関係が中心になるなか、部活動に入っている子のほうがクラス以外の交友範囲が広がって、深い関係の友だちのいる割合が高くなっているのかもしれませんね。
友だちがいる人の割合(部活動への参加の有無・中高別)
中高生について調べた世論調査の結果は、他にもたくさん!SNS利用やジェンダー意識、親子関係、学校生活など、イマドキの中高生の意識、ぜひ、こちらからチェックしてみてください!
今どきの中高生たち~第6回「中学生・高校生の生活と意識調査2022」単純集計結果~
※1 第6回「中学生・高校生の生活と意識調査2022」
○おすすめ記事
・コロナ禍の不安やストレス,ネット社会の中高生~「中学生・高校生の生活と意識調査2022 」から①~
・ジェンダーをめぐる中高生と親の意識~「中学生・高校生の生活と意識調査2022」から②~
【村田ひろ子】 |