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調査あれこれ

調査あれこれ 2019年05月24日 (金)

#188 日本人で宗教を信仰している人は何%? 増えてるの減ってるの?

世論調査部(社会調査)小林利行


「ふだん信仰している宗教がありますか」
みなさんがこんな質問をされたらどう答えますか?

NHKが去年10月から11月にかけて行った「宗教」に関する世論調査(全国の18歳以上対象)の結果によると、「仏教」と答えた人が31%、「神道」が3%などと、何らかの宗教を信仰していると答えた人は合わせて36%になりました。

この調査は2008年にも実施しているのですが、何らかの宗教を信仰していると答えた人の割合は、この10年でほとんど変化していません。

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宗教に関する意識や行動は、10年ぐらいではあまり変わらないのかなと思って他の質問をみてみると、むしろこの結果が例外で、他の多くの数字は増加したり減少したりしているのです。

例えば、信仰心があるかどうかを尋ねた質問では、信仰心が「ある」という人が2008年は33%でしたが、去年は26%に減っています。

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では、仏教や神道など、何らかの宗教を信仰している人に限ってみるとどうなるでしょうか。
(①のグラフで、緑や赤などのカラフルな部分の人を100%として考えるということです)

「何らかの宗教を信仰している」と答えた人の中で、信仰心「あり」と答えた人は2008年は65%でした。しかし、去年は53%に減っているのです。

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つまり、「何らかの宗教を信仰している」と答えた人の中でも、信仰心を持つ人が少なくなっていて、最近では約半数になっているということです。

私は宗教学の専門家ではないので詳しく解説できないのですが、日本人にとって宗教を信仰するということは何を意味するのかということを考えさせられる結果ではないでしょうか。

実は、この調査は20年前にも行っていて、多くの質問で過去20年間(3回分)の比較が可能です。
ここで紹介した以外にも、「へえ~」と思える結果がたくさんあります。

例えば、「人に知られなくても悪いことをすれば必ずむくいがあると思うか」という質問があります。
20年前には74%の人が「そう思う」と答えていましたが、去年は何%だったと思いますか?
多くなったのか少なくなったのか? その変化はどの程度なのか?

気になる方は『放送研究と調査』4月号をご覧ください。

※ブログ内では、選択肢をある程度まとめて示しているグラフもあります。

 

調査あれこれ 2019年05月17日 (金)

#186 東京五輪・パラまで1年余り。 人々の意識に変化は!?

世論調査部(視聴者調査) 斎藤孝信


2020年東京オリンピック・パラリンピックまで、残すところ1年余り。観戦チケットの予約開始や、各種目の代表選考など、大会に関するニュースや話題を耳にする機会が多くなってきたように感じます。

文研では2016年から継続して、全国の20歳以上の男女3600人を対象に「2020年東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」をおこなっています。最新の第4回調査(18年10月実施)の結果は、「放送研究と調査」4月号で詳しく報告しているほか、文研のホームページでも全文をお読みいただけます。
このブログでは、その中から、今回の注目点を少しだけご紹介します!

<準備状況の評価が大幅に改善>
大会の準備状況についての評価は、調査開始からの2年間で大きく改善しました。
「とても順調だと思う」と「まあ順調だと思う」を合わせた『順調だ』は、第1回(16年10月)の18%から、第4回は52%になり、すべての調査を通じて初めて『順調ではない(あまり+まったく)』を上回りました。

第1回調査は、大会の総費用が3兆円を超える可能性が明らかになったり、新国立競技場の着工が遅れたりしていた時期でしたので、多くの人々が準備の進ちょくを危惧していたのでしょう。
それから2年が経ち、第4回調査の時点では、各競技施設の建設が着々と進み、競技日程も発表された(発表は18年7月)こともあり、『順調だ』と受け止める人が増えたのではないでしょうか。

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ちなみに(今回の報告内容からは、少し横道にそれますが)・・・。
前回の東京オリンピックの時はどうだったのでしょうか。

文研が東京都民を対象に、1964年6月に実施した世論調査(「オリンピックの準備は、あまり進んでいないようだ」という意見に対して、「賛成」か「反対」か「どちらともいえない」かの3択で回答してもらう方法)をひもといてみると・・・。

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このように、大会が4か月後に迫る中でも、半数以上の人が「準備はあまり進んでいない」と厳しい評価をしていました。当時は、交通インフラ整備や街の美化などが「五輪までに間に合うのか?」と問題になっていたようです。そうした不安と、国内初のオリンピックを成功させなければ!というプレッシャーが、この数字の裏側にはあったのかもしれません。

<「純粋なスポーツ」として捉える人が増えたパラリンピック>
第4回調査では、パラリンピックに対する人々の意識にも変化がみられました。たとえば、「パラリンピックは、どのように伝えるべきか(スポーツとして?福祉として?)」では、「オリンピックと同様に、純粋なスポーツとして扱うべき」が、第1回の37%から、43%に増加しました。

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全文掲載した報告の本編では、ここでご紹介した内容のほか、大会への関心の有無や、開催に伴う期待と不安、大会時のメディア利用の意向なども詳細に報告しています。ぜひご一読ください。

調査あれこれ 2019年04月12日 (金)

#180 都市直下型地震 その時役立つメディアとは? ~大阪北部地震のメディア利用動向インターネット調査とは~

メディア研究部(メディア動向) 入江さやか
編成局 編成センター      西 久美子


■大都市・大阪を襲った「直下型地震」

2018年6月18日午前7時58分ごろ、大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生。
大阪市北区、大阪府高槻市、枚方市、茨木市、箕面市で震度6弱の強い揺れを観測しました(以下、大阪北部地震と表記)。この地震で、関西地方の多くの鉄道が当日の夕方にかけて運転を見合わせたため、いわゆる「帰宅困難者」が多数発生しました。NHK編成局編成センターとNHK大阪放送局では地震発生当日のメディア利用動向を早期に把握するため、大阪府在住の16~79歳の男女・2,051人を対象にインターネットによる調査を行いました。さらにこの調査結果を揺れの大きかった大阪府北部とそれ以外の地域に分けて分析しました。

大阪北部在住の回答者の4分の1が「帰宅困難者」に

調査結果をみますと、大阪北部に在住する回答者(1,014人)のうち、25%の人が「歩いて帰宅した」「自宅に帰らず外出先などに泊まった」「普段と違う交通機関を使って帰宅した」などと回答し、いわゆる「帰宅困難者」になっていたことがわかりました。

これらの「帰宅困難者」が、帰宅の可否を判断するのに利用したメディアについては、「インターネットのポータルサイト(Yahoo!・Google等)」が27%で最も多く、次いで「NHKテレビ」(23%)「交通機関のサイト・乗り換え案内アプリ」(17%)「民放テレビ」(16%)などとなっていました。自分の行動や対応を決めるための情報を、主にテレビやネットから得ようとしていたことがわかりました。

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図1 大阪府北部在住の「帰宅困難者」が帰宅の可否の判断に利用したメディア
(複数回答・上位5位まで)
 
 

■もしもテレビやスマホが使えなくなったら?

今回の大阪北部地震では、交通・通信・ライフラインなど大都市を支える機能が一時的に停止・低下しましたが、テレビ・スマートフォンなどの情報機器はほぼ使用できる状況でした。一方、この地震から2か月半後の「北海道胆振東部地震」では、北海道のほぼ全域が停電(ブラックアウト)し、テレビやスマートフォンやパソコンが利用しにくい状況になり、ラジオが主な情報源になりました。

都市直下型の大地震の際に正確な情報が得られないと、帰宅できないばかりか、大きな混乱につながるおそれもあります。今回の地震を受けて大阪府では、災害時の一斉帰宅の抑制とともに、「安否確認・情報収集手段の確保」も呼びかけています。テレビやネットが使えなくなった場合に備えて、電池で使える「ラジオ」もぜひ1台備えておきたいものです。

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図2 大阪府が作成したチラシ「STOP!一斉帰宅」から
(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/23998/00000000/chirashi.pdf)

今回の調査結果の詳細は、NHK放送文化研究所のウェブサイトでご覧いただけます。
「放送研究と調査」2019年3月号 
都市直下型地震 その時役立つメディアとは? ~大阪北部地震のメディア利用動向インターネット調査とは?~

あわせて、「北海道胆振東部地震」の調査報告もぜひお読みください。
「放送研究と調査」2019年2月号 
北海道ブラックアウト どのメディアが機能したのか 
~「北海道胆振東部地震」メディア利用動向インターネット調査から~

調査あれこれ 2019年03月22日 (金)

#176 北海道ブラックアウト どのメディアが機能したのか ~「北海道胆振東部地震」メディア利用動向インターネット調査から~

メディア研究部(メディア動向) 入江さやか
編成局 編成センター 西 久美子

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■  北海道で震度7 北海道がほぼ全域で停電

2018年9月6日午前3時すぎ、未明の北海道を震度7の激しい揺れが襲いました。地震の規模はマグニチュード6.7、北海道厚真町で震度7、安平町・むかわ町で震度6強を観測。厚真町で発生した大規模な土砂崩れなどで41人が亡くなりました。私(入江)は、東京にいましたが、地震発生を知らせるメールで目を覚ましました。テレビで緊急ニュースを見ていたところ、函館市の函館山に設置されたNHKのロボットカメラに映っていた夜景が一瞬で闇に沈んだのです。震源から函館市までは直線距離でも約150キロあります。「なぜ函館まで!?」最初は何が起きたのかわかりませんでした。

経済産業省によると、北海道最大の火力発電所である「北海道電力苫東厚真発電所」が地震の揺れによる自動停止や障害で停止。電力供給のバランスが崩れ、地震発生から18分後の午前3時18分に北海道全域約295万戸(発電所を持つ離島を除く)への電力供給が停止、過去に例のないブラックアウト(大規模停電)となったのです。道内ほぼ全域での停電は約11時間続き、全域への電力供給再開は約64時間後の9月8日午後7時でした。


■テレビ・ラジオにも大きな影響

停電のため各家庭などでテレビが見られないばかりか、北海道内の地上波テレビ放送の中継局160局のうち28%にあたる45局が停波しました。NHKはウェブサイトや防災アプリでテレビ放送を同時配信したほか、6日朝の『おはよう日本』ではアナウンサーが北海道以外の視聴者に向けて「NHKが報道する情報をメールやSNSなどで北海道の家族や友人などに伝えて」という異例の呼びかけをしました。北海道の民放4社も、各社のウェブサイトやYouTubeで地震関連情報を同時配信しました。


■その時使えた情報機器は?

NHK編成局編成センターでは地震発生当日のメディア利用動向を早期に把握するため、北海道全域(16~79歳の男女・3375人)を対象にインターネットによる調査を行いました。地震発生当日に使用できた端末・機器は、時間によって変わっていったことがわかりました(図1)。

すべての時間帯を通じて利用できた割合が高かったのは「ラジオ」でした。「テレビ」は、68%が「当日利用できなかった」と回答しました。

「インターネット(スマートフォン・タブレット端末)」は、「地震発生直後から未明」までは40%の人が利用できていましたが、夜間にかけて20%台まで下がりました。停電が長期化する中、電源節約のために使用を控えたことや、北海道内の各地で基地局の停波が相次いだことが背景にあると考えられます。

「ラジオ」を利用した人にその理由を尋ねたところ、NHK・民放ともに「情報が信頼できるから」「欲しい情報が得られると思ったから」というコンテンツへの評価も高かったのですが、「他になかったから」「電力やバッテリーの消費を節約するため」という理由も目立ちました。

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図1 地震発生当日に利用できた端末・機器(複数回答)


■「情報ブラックアウト」を避けるために

平常時はスマートフォンやタブレット、パソコンでラジオを聴くこともできますし、防災情報や交通情報などあらゆる情報が欲しいときに手に入ります。しかし、災害時に同じように使えるとは限りません。携帯電話事業者や電力事業者なども災害時の早期復旧対策に力を入れていますが、電力のブラックアウトが「情報ブラックアウト」にならぬように個人レベルでも情報面の防災対策をしておきたいものです。

ちなみに、災害情報の調査・研究に携わっている私は「紺屋の白袴」ではいけませんので、携帯ラジオ(テレビ音声・AM・FM受信可)を、スペアの電池と一緒にいつも持ち歩くようにしています。非常食や水の備蓄も大事ですが、情報面での備えも忘れないでください。

今回の調査結果の詳細は、NHK放送文化研究所のウェブサイトでご覧いただけます。

北海道ブラックアウト どのメディアが機能したのか~「北海道胆振東部地震」メディア利用動向インターネット調査から~

なお、『放送研究と調査』3月号では、昨年6月に発生した「大阪府北部の地震」に関するメディア利用動向調査の結果も掲載しています。こちらもあわせてお読みください。

調査あれこれ 2018年12月07日 (金)

#157 ラプソディと「リアル」

世論調査部(視聴者調査) 保髙隆之


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いま話題の映画「ボヘミアン・ラプソディ」、ご覧になりましたか?

私は公開直後にドルビーアトモス版を鑑賞。ラスト20分あまりのライブシーンは圧巻でした。(余談ですが、懐かしさのあまりクイーンが過去に楽曲提供した「フラッシュ・ゴードン」(オープニング「だけ」は最高!)や「ハイランダー/悪魔の戦士」といった作品のBDを久しぶりに奥から引っ張り出しました。)

さて、場内が明るくなった後の客席の空気感から、私が思い出したのが「シン・ゴジラ」と「カメラを止めるな!」。いずれもSNSを通じての情報拡散が大ヒットにつながったとされる映画ですが、個人的には、上映後の観客たちの「一体感」、まさにこの日のこの上映回を共有したという実感があり、作品それ自体はもちろん、劇場での体験こみで楽しんだ作品でした。よくマーケティングでいわれる「リアル」イベントの価値とは、こういうことなのだろうな、と肌感覚で納得したものです。(それぞれの作品で「応援(発声)上映会」が話題になったのも偶然ではないと思います。)

この「リアル」という価値、私がこの1年あまり携わってきた研究で、大学生たちから何度も聞いたキーワードでした。

研究の一環で、10代後半から20代のみなさんに話を伺ったのですが、テレビとSNSの情報を比較したときに、「テレビで放送されている内容はどうせテレビ局に都合のいいように編集されていそうでリアルさを感じない」。一方、「SNSからの情報は当事者の生の声なのでリアルに感じる」「自分が知っている(逆に自分のことを知っている)人と共有した情報はリアル」といった声が共通して聞かれました。例えると、SNSからの情報は産地直送の生の食材で、調理をするのも自分自身なので「リアル」。テレビからの情報はどんな人が間に入って調理したか分からない加工品として届けられるから「非リアル」、といった“イメージ”があるようでした。そして自分にとって「リアル」な情報を共有できるSNSは「自分たちの側のメディア」で、テレビは「あちら側のメディア」である、と、テレビ局の人間としては耳の痛い発言をする若者もいました。こういったテレビに対する微妙な距離感は、利用時間の比較だけでは分からないものです。あらためて、いまの若年層のメディア利用行動と情報に対する意識の関係を世論調査で探りたいと思いました。

そんな「情報とメディア利用」世論調査の結果を、『放送研究と調査』12月号文研のホームページで報告しています。はたして若年層の情報観やニュースの入手先の特徴とは? ぜひ、ご一読ください!

調査あれこれ 2018年11月23日 (金)

#155 近づく!2020年東京オリンピック 見たい競技は何ですか!?

世論調査部(視聴者調査) 斉藤孝信


2018年も残すところ、ひと月余り。開催決定の頃には「まだ先の話」と思っていた2020年東京オリンピック・パラリンピックも、いよいよ近づいてきましたね。
皆さんは、2020年の東京オリンピックで、どんな競技の観戦を楽しみにしていますか?
文研が2018年3月、全国の20歳以上の男女3600人を対象に実施した「2020年東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」では、リオデジャネイロ五輪で日本選手が上位入賞した競技や、東京五輪から正式種目となる競技、開閉会式など合わせて25の中から、「見たい」と思うものをいくつでも選んでもらいました。
上位10競技はご覧のようになりました。

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「体操」が69%で最も多く、「陸上競技」も約6割。「競泳」「開会式」「卓球」は約半数の人が見たいと回答しました。
こうみますと、リオデジャネイロ大会で日本勢がメダルを獲得した競技が多いですね。「東京でもぜひメダルを!」と熱望する皆さんの声が聞こえてくるようです。
どうですか?あなたが「見たい!」と思う競技はたくさん入っていましたか?
この調査は2020年の東京五輪まで続ける予定ですが、今後、各種目の代表選手が決まったり、ラグビーのワールドカップやサッカーのアジアカップなども行われたりする中で、「見たい競技」の順位や割合がどう変化していくのか。あるいは(少し気が早いですが)大会終了後、皆さんが「見た」と答える競技はどんなものになるのか。今から楽しみです。

というのも…。
今回紹介する2018年3月調査は、韓国・ピョンチャンで行われた冬季五輪の直後だったので、同五輪でどんな競技を「見た」のかを尋ねました。それを開催前の2017年10月に尋ねた「見たい競技」と見比べると、とても興味深いのです!!
本編を楽しくお読みいただけるように、クイズ形式で!

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「見たい」「見た」人が2割以上となった競技を並べてみました。
黄色で塗った「あの競技①」は、事前の「見たい」でも、事後の「見た」でもトップでした。皆さん、おわかりになりますでしょうか。多くの人がメダルを期待し、期待通りに(いや、期待以上だったかもしれません)メダルを獲得してくれた、そう、「あの競技」です!
一方、見比べて面白いのが、緑の「あの競技②」。事前調査では「見たい」が25%だったのに、大会後には70%もの人が「見た」と回答しました。わかりますか?ヒント。女子チームがメダルを獲得し、競技中のやりとりで彼女たちが口にした言葉が流行語にもなった、「あの競技」です。

この「あの競技②」以外にも、スピードスケートも「見たい」37%→「見た」70%、スノーボードも「見たい」29%→「見た」50%と大きく増加していました。日本勢の活躍やメダル獲得に加えて、決勝戦などが連日、テレビなどのメディアで大きく取り上げられたことも寄与しているのではないでしょうか。(かく言う私も、ほとんど知識もなかったスノーボードの迫力とカッコよさに魅せられ、夢中で応援した一人です。)

そう考えると、2020年東京五輪でも、事前の「見たい」が、実際にはどこまで「見た」になるのか。楽しみです!
特に、2020年東京大会から正式種目となる「野球・ソフトボール」「スポーツクライミング」「空手」「スケートボード」「サーフィン」にも注目しています。

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17年10月調査、18年3月調査とも、野球が4割あまり、その他の4競技は2割未満でした。今後、競技や選手への注目が高まる中で、どの競技もどんどん「見たい!」と思う人に増えていってほしいですね!
詳細な分析結果は、『放送研究と調査』11月号で、詳しくご報告いたします(クイズの正解もぜひチェックしてみてください!)。どうぞお楽しみに!

調査あれこれ 2018年11月16日 (金)

#154 パラリンピックに対する障害者の受け止めは⋯

メディア研究(メディア動向) 大野敏明

2020年の東京パラリンピックまであと2年を切りました。
NHKのみならず、民放の番組やCMなどにも「パラアスリート」が登場する機会、増えていますよね。

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この写真に写っている、バトンを次の選手に渡そうとしている左端の女の子。実は大活躍するあの有名なパラアスリート!

…ではなく、知的障害がある私の姉なんです。もう40年以上も前、養護学校(今でいう特別支援学校)時代の運動会での様子です。
姉は学校一と言えるくらい足が遅くて、とても「パラアスリート」になれるような器ではありませんでしたが、一生懸命ゴールに向かう姿には、弟ながらウルッとしたことを覚えています。


ところで、皆さんの周りには障害がある人っていますか?
町で障害者に出会ったら、どんなふうに思いますか?


小さい頃、姉と一緒に歩いていると冷ややかな目で見られたり、心無い言葉を投げかけられて母親が猛然と抗議したりすることがしばしばありました。
姉に対して、幼い私はシンプルに「何も悪くないのに、かわいそうだなぁ」と思う反面、友達に姉のことをからかわれたりすると「恥ずかしい」と思ったり、「人に知られたくない」「障害がない姉ならよかったのに」と思ってしまったことが何度もあります。正直言えば、今だってほんの少しはあります。
そんな自分は心底最低だなと反省しながらも、ダメな自分に少しでも気づかせてくれる姉は、今思うと人生の中で最も影響を受けた人かもしれません。実際、仕事でこんな原稿を書いているわけで。

と、個人的な話はさておき、子供の頃に比べると、近頃は随分と周囲の目が温かくなったように感じます。障害者に対する人々の意識の変化…要因はいろいろとあるかと思いますが、パラリンピックもそのひとつではないでしょうか?

文研が実施した世論調査の中で、パラリンピックなどの障害者スポーツについて感じることを聞いたところ、「選手の頑張りに感動する」(70%)、「障害者への理解が深まる」(43%)など、障害者への共感や理解が深まるという意見が多く見られました。そういった意味でも、2020年の東京パラリンピックを機に、障害者の存在をメディアが大きく取り上げることには、大きな意義があると思います。

しかし一方で、障害がある人たちは、このパラリンピックをどう受け止めているのでしょうか?
文研では3月に開催されたピョンチャンパラリンピックの直後、前述の世論調査と並行して、障害者を対象にしたWEB調査を実施しました。パラリンピックに対する声の一部を紹介すると…

「困難を乗り越え競技に取り組む選手たちに感動。自分も出来ることから始めようと思った」(視覚障害)
「前向きな気持ち、チャレンジ精神を思い出せてくれた」(肢体不自由)

こんな風にポジティブな声がある反面、実はネガティブな声も。

「障害者はスポーツをするものだという偏見を植えつけて、とてもウザイ」(肢体不自由)
「聴覚障害者の五輪、デフリンピックも放送してほしい」(聴覚障害)
「メディアのお祭り騒ぎでしかない」(視覚障害)

ひと言で「障害者」と言っても、障害の種類や重さ、発症時期、現在置かれている状況などなど、背負っているものはもちろん人それぞれ違います。パラリンピックやメディアに対する思いもさまざまで、前向きに捉えている人もいれば、そうでない人もいます。
寄せられた声のひとつひとつに、当たり前だけれども大切な「多様性」について改めて気づかされ、同時に、まずはこういうことを包み隠さずに、自由に話せるような社会になることこそ大事なのではないかと考えさせられました。

こうした障害者の皆さんの声を、『放送研究と調査 』11月号にまとめて掲載しました。世論調査の結果も掲載されていますので、お時間がある時に是非ご覧ください。

ちなみにうちの姉、スポーツには全く興味がないようで、もっぱら歌番組ばかり見ています。そういう私もまぁ似たようなもので、宮本浩次×椎名林檎や松任谷由実、あいみょんの出場が決まったばかりの紅白歌合戦、今から楽しみでしかたありません。姉の影響ですかね。

調査あれこれ 2018年10月26日 (金)

#150 幼児のインターネット動画利用が増加中!? ~2018年6月「幼児視聴率調査」から~

世論調査部視聴者調査) 行木麻衣


先日、我が家の息子(3歳)をスマホで撮影していたら、カメラに向かって「○○チャンネルまた見てね!」と、YouTube(ユーチューブ)に出ているお子さんのまねを始めました。(「○○チャンネル」とは、子どもの名前やニックネームをつけたチャンネルでおもちゃレビューなどを行っている動画です)。インターネット動画が大好きな息子ですが、とうとうYouTubeごっこを始めたのかと驚きました。
近年、小学生の将来なりたい職業でYouTuber(ユーチューバー)と答える子もいると聞きます。小学生にもインターネット動画利用が広まってきていますが、幼児はインターネット動画をどのくらい見ているのでしょうか。

文研では、毎年6月に2~6歳の未就学児(東京30km圏)を対象として「幼児視聴率調査」を実施し、テレビの視聴状況、録画番組・DVDの利用状況などを聞いています。
きょうは、今年6月4日(月)~10日(日)の1週間に実施した「幼児視聴率調査」から、幼児のインターネット動画利用と保護者の意識を紹介します。

「幼児視聴率調査」の付帯質問で、幼児の休日を除くふだんの日1日にインターネット動画をどのくらい再生しているのかを尋ねています。「15分未満」から「2時間以上」まで「見る」と答えた人すべてを足し上げると(視聴計)、インターネット動画を見る幼児は、今年は50%で、2015年以降、増加傾向が続いています。男女別・年齢別でみても、今年はそれぞれ50%前後と性別や年齢による差はみられませんでした。

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また、インターネット動画の再生時間量をみると、インターネット動画を見ている幼児の中では「30分未満」が最も多く、続いて「30分以上1時間未満」でした。2016年と比べて1時間を超える長時間利用者が増加し「ほとんど、まったく見ない」が減少しました。

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インターネット動画の再生時間は「30分未満」が多いものの、1時間以上の長時間利用者が増加しているという現状を受けて、一児の母として、子どもがインターネット動画を見ることに対して保護者の方々はどのように感じているのか気になってきました。
こちらは、付帯質問で「お子様がインターネット動画を見ることについて、どのように思うか」を尋ねた結果です。


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「子どものためになる動画を見せたい」が51%と最も多く、約半数の保護者が「子どものためになる動画」を期待していることが分かります。一方で、約3割の保護者が「動画は子どもに悪い影響がある」と感じています。「その他」を選択した方には具体的に記入してもらいましたが、その中には「時間を決めている」「長時間でなければよい」といった時間制限をしている、「移動中など、仕方なく」といった本当は使いたくないけれど仕方なく使っているなどの回答がみられました。
約半数の幼児がインターネット動画を利用している中で、インターネット動画に対して不安に思う面がある一方、ためになる動画を見せたいという保護者の気持ちや、時間を制限するなどしてインターネット動画と上手に付き合っている保護者の姿が見えました。
今回、上の5つの選択肢に入らなかった「その他」は21%で、想定よりもさまざまな意見があがりました。保護者の方々が「お子様がインターネット動画を見ること」について日ごろから幅広い視点で考えていることの表れだと感じます。今後も幼児とインターネット動画の関係について、保護者の意識がより的確につかめるような調査設計を検討していきたいと思います。

幼児にテレビはどのくらいの時間見られているのか、録画番組やDVD利用の状況…など、今年の詳細な結果は『放送研究と調査』10月号で報告していますので、お読みいただければ幸いです。

 

調査あれこれ 2018年07月13日 (金)

#135 動画コンテンツ業界の"黒船"を迎撃する日本の"ストレス社会"砲

世論調査部(視聴者調査) 有江幸司

“黒船”が日本にやってくる!2015年、メディア関係者は戦々恐々としていました。その黒船というのは、当時、既に世界の映像業界を席巻していたNETFLIXです。すでにご存じの方も多いかもしれませんが、NETFLIXはインターネットで映画やテレビドラマを有料配信するアメリカの企業です。2013年にNETFLIXのオリジナルコンテンツ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」がエミー賞を受賞し、動画コンテンツを配信する“インフラ”の会社が、動画コンテンツを制作する会社よりも優れたコンテンツを生み出したことで、NHKの番組制作者の間でもNETFLIXが話題にあがるようになりました。2015年、ついにNETFLIXが日本でサービスを開始。日本支社の代表をNHKに招いて講演をしていただくと会議室は満席。立ち見でも会議室に入れず、廊下にこぼれてくる音声だけでも聞き取ろうという職員もたくさんいました。

あれから2年。2017年時点で、世界のNETFLIX契約者数が1億人を超える中、文研では2017年11月の世論調査「メディア利用動向調査」で、NETFLIXの利用者を調査しました。すると前年と比べても増加しておらず、未だ1%にとどまっていました

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こうした実情を海外の人に話すと一様に「え!?」と驚愕します。その表情を見て、いっそうNETFLIXが海外ではどれほど当たり前のサービスになっているかを実感します。日本に住んでいても海外の情報に敏感な人たちはNETFLIXを利用している人が多い印象を受けます。時々、大学で留学生や帰国子女の学生にお話をさせていただく機会があるのですが、「(私の話がつまらないので…)飽きちゃっているな」と感じるタイミングで「日本でのNETFLIXの利用率はどのくらいだと思う?」という質問を投げかけるようにしています。回答の多くは20%~30%です。そこで調査結果を伝えると「えっ!?」と驚いて目を覚ましてくれます。もはや私の鉄板ネタとなりました。

NETFLIXが日本でなかなか広がらない原因として、2つのことが考えられます。

ひとつは「有料」であること。NETFLIX発祥の地、アメリカでは、(ケーブル)テレビを視聴するために月々支払われている平均金額は10,000円と言われています。それに比べればNETFLIXの1,000円程度の月額料金は格安と言えるでしょう。一方、日本のテレビは広告収入で支えられています。そのため、動画コンテンツはタダで見られることが当たり前と感じている人が多くいます。昨年行ったインタビュー調査で、20代のYouTubeのヘビーユーザーに「YouTubeが課金をしたらいくらまで許容できる?」と聞いたところ「1円でも払わなければならないならばもう利用しない」という人が何人もいました。実際、今回の世論調査でも、1か月に動画配信サービスに支払ってもよい金額を尋ねたところ、約半数の人が100円も支払えないという回答でした。

2つ目の原因として考えられているのがNETFLIXのコンテンツが「ハイクオリティ」であること。以前、NHKが行ったグループインタビュー調査で、日本人がバラエティ番組を好む理由として「ストレス」が挙げられました。長時間労働の日本社会では、仕事を終えて帰宅するころには疲れ果て、「家ではとにかくリラックスしたい」。そんな中で、しっかりと見なければ楽しめないクオリティの高さが仇になっているというのです。

有料動画配信サービスの今後の展望は『放送研究と調査』7月号「ユーザーからみた新しい放送・通信サービス~2017年11月メディア利用動向調査の結果から~」でお伝えします。ぜひご一読ください。 

調査あれこれ 2018年06月29日 (金)

#133 孤独なオジサンたち?!

世論調査部(社会調査) 村田ひろ子 

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※写真はイメージです。

「友達は大勢いますか?」と聞かれたら、なんと答えますか?「自分は友達が多い方なのか少ない方なのか…」「あの人を友達として数えていいのだろうか・・・」と悩み始める人など、さまざまでしょう。試しに同僚の男性に聞いてみたら、「なんだかイヤな質問。あまり答えたくないな~」と少しとまどっている様子でした。


日本人は友人が何人くらいいるのか。そして友人とどのようなつきあいをしているのか。NHK放送文化研究所が全国で実施した調査※1)からみていきましょう。悩みごとを相談できるような友人が「いない」という人の割合をみると、男女ともに高齢の人ほど多くなる傾向があり、特に男性で顕著です。男性の50・60代で3割台、70歳以上では半数を超えています。同じ年代の女性と比べてかなり多いと言えるでしょう。

悩みごとを相談できるような友人が「いない」(男女年層別)

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それでは、困ったときに最初に友達を頼る人はどのくらいいるのでしょうか。落ち込んだときに親しい友人を頼る、と答えた人が多かったのは、男女ともに18~29歳と女性50代で、いずれも半数程度を占めています。これに対し、男性50代以上では2割台にとどまっています。

落ち込んだときに最初に頼る相手は「親しい友人」(男女年層別)

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家庭の問題についてアドバイスがほしいとき頼る相手についてみると、「友人」と答えたのは、男性では18~29歳、女性では50代までの各年代で半数程度を占め、多くなっています。これに対し、男性50代以上では3割程度にとどまっています。中高年の男性では、困ったときに友人をあてにする人が少ないことがみてとれます。

家庭の問題についてアドバイスがほしいとき、最初に頼る相手は「親しい友人」(男女年層別)

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オジサンたちは友人づきあいが苦手なのか、それとも忙しくて友人と交流する時間がないのか?理由はさまざまありそうですが、「オジサン」研究家の岡本純子さんによれば、「男性は人と繋がる時、(中略)一緒にスポーツをする、ゲームをするなど、何かの物理的なきっかけを要する」ために、友人を作りにくく、孤独に陥りやすいのだそうです※2)。一方、女性はそうしたきっかけがなくても、会話を続け、関係性を成り立たせることができるようです。誰かと何かを一緒にするのは、ただ話すのと比べて時間も労力もかかるため、男性は女性と比べて新しく友人を作るのに苦労し、年齢が高くなるにつれて親しい友人が少なくなっていく、とみることもできそうです。

『放送研究と調査』6月号では、調査からみえる、他者との接触や友人づきあい、人間関係と生活満足度との関連について考察しています。中高年男性の友人づきあいのほか、高齢者のSNSの利用頻度と成人した子との接触などについても取り上げています。ぜひご一読ください!

※1)ISSP国際比較調査「社会的ネットワークと社会的資源2017」 133-0629-5.png
※2)岡本純子、2017、「日本のオジサンが『世界一孤独』な根本原因 この国をむしばむ深刻な病とは?」、「東洋経済ONLINE」、4月4日