文研ブログ

文研フォーラム 2018年02月09日 (金)

#112 土井善晴さんがやってくる!文研フォーラム2018

メディア研究部(メディア動向) 大野敏明

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皆さん、このお顔、ご存知ですよね?
そうです、料理研究家の土井善晴さんです。
『きょうの料理』のレギュラー講師としてお馴染みですが、近頃は『一汁一菜でよいという提案』という著書が話題になっています。

「一汁一菜」とは「ご飯+汁物一品+おかず一品」という意味ですが、土井さんが勧める「一汁一菜」は「ご飯+具だくさんのみそ汁+漬物」が基本。しかし「毎日これだけで済ませなさい!」という意味では決してありません。「みそ汁を具だくさんにするだけでおかずは十分。何にしようかと毎日悩む必要はなく、おかずは余裕がある時に作ればいい」という意味です。
「日本の家庭は「日常の食卓」が「ハレの日の食卓」のように豪華になりすぎてはいないか。慎ましい食事に慣れると、たまに作る何気ないおかずが、もっと美味しく感じられる」と言う土井さん。忙しい毎日の食事づくりに悩む皆さん、そう言われると少し気が楽になりませんか?

さて、その土井さんですが、3/9(金)の「NHK文研フォーラム2018」に登壇します。テーマは「『きょうの料理』60年の歴史とこれから」です。
『きょうの料理』の放送が始まったのは昭和32年。高度経済成長が進み、家庭の食卓が大きな変貌を遂げた時代です。それまでの慎ましい食卓から、各国料理のおかずが日替わりで登場するバラエティー溢れる食卓へ。その変化に、『きょうの料理』は多彩なレシピを伝えることで役割を果たしてきました。
しかし一方で、多彩になりすぎた食卓は、忙しい毎日を送る人にとって調えることが負担になっているという面もあります。そういったニーズに応えるべく「外食」や、調理済みの料理を買って家で食べる「中食」も日々進化しています。
さらに今や、毎日の献立はスマホで決める時代。SNSを覗けば、シズル感たっぷりのレシピ動画が次々と流れてきます。長年、テレビとテキストの2本柱でレシピを伝えてきた『きょうの料理』ですが、取り巻く環境は目まぐるしく変わり続けています。
文研フォーラムでは、番組の歴史を懐かしい映像とともに振り返りながら、時代によって変わる食卓のニーズに番組はどう応えてきたか、そしてこれから先、どう応えていくべきかを考えます。

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(このプログラムの詳細とお申込みはこちら

僭越ながら私もそのフォーラムに登壇するのですが、太ってスーツが着られなくなっていることが判明。そこで自問自答の末、毎晩の食事を一汁一菜にし、健康的にやせようと結論しました。
ですが、その分お昼に食いだめしてしまうので、一向にやせる気配はありません。

文研フォーラム 2018年02月02日 (金)

#111 「これからの"放送"」を民放連会長とともに考えます!

メディア研究部(メディア動向) 村上圭子

「電波を使って放送することが絶対ではない」
「本当に電波が必要なのかどうか。(中略)放送の産業構造そのものがどうなっていくのかも見据えた議論をやっていかないといけない」


これは、去年の10月から内閣府の規制改革推進会議で行われてきた議論の一幕です。推進会議では、“放送”について2か月間、8回の集中した議論が行われ、11月末に「第2次答申」が提出されました。
(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/toshin/171129/toshin.pdf)(放送については10 Pを参照)

放送の種類には、テレビでは、地上放送、衛星放送、ケーブルテレビ、IPTVがありますが、この議論で扱われてきた“放送”とは地上放送のことです。地上放送は、事業者に対し日本のあまねく世帯に届けることが法律で定められており(NHKは義務、民放は努力義務)、全国津々浦々に中継局を設置して、みなさんのご自宅まで電波で放送番組を届けています。世界的には、地上放送はケーブルテレビやIPTV経由で視聴することが多く、自宅にアンテナを設置して電波を直接受信する割合は低いのですが(アメリカは約10%、韓国は約1%)、日本の場合は、約半数の世帯が直接受信しています。

地上放送が使う電波については、特定の周波数帯域が割り当てられています。現在割り当てられている周波数帯域はUHF帯と呼ばれる場所ですが、ここは、放送事業者だけでなく多くの事業者にとって使い勝手の良い場所(下図参照)。そのため、次のような問題提起がなされています。<これから需要が大きく増えると見込まれているIoTやAI、データ利用といったさまざまな通信サービスなどに、放送用帯域の中で使っていない場所を活用できないか>、中でも冒頭で紹介した発言は、<地上放送は今後、電波を使う必要はない、つまり専用の帯域を割り当てなくてもいいのではないか> という究極的な指摘ですが、こうしたことも議論されているのです。

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(図)電波の利用状況
(参照: http://www.soumu.go.jp/main_content/000517430.pdf P3)

1月30日からは総務省でも、このテーマで議論が開始されました。放送事業者の監督官庁である総務省、それから事業者自身がしっかりと放送の未来像を考えていこうということで、「放送サービスの未来像を見据えた周波数有効活用に関する検討分科会」と名付けられました。第1回目であったため、本格的な議論はまだ行われませんでしたが、この夏までには一定の方向性を示すとしているのであまり時間はありません。地上4Kはどうなるのか、同時配信はどうなるのか、民放とNHKの共通プラットフォームという考え方はありうるのか、など先読みが難しいテーマについて、どのような議論が行われるのか、引き続き注目して取材していきたいと思います。

こうした状況も含めて来月に実施するNHK文研フォーラム2018では、日本民間放送連盟の井上弘会長にお越しいただき、「これからの“放送”」はどうなっていくのか、をみなさんとともに考えていきたいと思っています。参加の申し込みは、2月2日(金)から文研ホームページで開始しています。ぜひお早めにお申込みください。会場でお待ちしています。

文研フォーラム 2018年01月26日 (金)

#110 「NHK文研フォーラム2018」 2月2日から参加申し込み始まります!

計画管理部計画) 大森龍一郎

年に一度、われわれNHK放送文化研究所(文研)が総力を結集してお届けする「NHK文研フォーラム」が近づいてきました。3月7日(水)8日(木)9日(金)の3日間、東京・紀尾井町の千代田放送会館にてシンポジウムやワークショップ、研究発表を集中して行います。

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内容をご紹介しましょう。今回のテーマは「テレビの未来 メディアの新地図」。テレビやメディアを巡る状況が大きく変動するいま、文研の研究員が国内外の専門家とともに、多岐にわたるテーマに切り込みます。各プログラムの日時はこちら

激変するメディア界の動きに関心のある方には、欧米メディア関係者が参加するシンポジウム「欧米メディアのマルチプラットフォーム展開」や、「これからの“放送”はどこに向かうのか?」がオススメ。スマホファースト時代のテレビ論に関心のある方は、ワークショップ「大学生たちと考える“テレビ”の未来」を。また、シンポジウム「『きょうの料理』60年の歴史とこれから」では、NHK長寿番組の取り組みを検証します。登壇するゲストの顔ぶれにもご期待ください。
ほかにも、「トランプ時代のアメリカと日本」「データから読み解くテレビドキュメンタリー研究」「放送の中の美化語を考える」と、多彩なラインナップを取り揃えております。

参加の申し込み受け付けは、来週2月2日(金)から文研ホームページで開始します。お申し込みは先着順で、定員に達したプログラムから受付を終了しますので、ぜひお早めにお申し込み下さい!
NHK放送文化研究所の研究員一同、みなさまのお越しをお待ちしております。

ことばのはなし 2018年01月19日 (金)

#109 放送では、"弁当"?それとも "お弁当"?

メディア研究部(放送用語・表現) 滝島雅子

突然ですが、例えば「弁当」のことを人に伝えるとき、あなたは「弁当「お弁当のどちらを使いますか?
街をちょっとぶらりとするだけで、以下のような表示が至る所に見つかります。

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世の中では、「お弁当」も使われることが多いようですね。

さて、この「お弁当」のように、名詞に敬語接頭辞の「お」を付けて、物事をきれいに言うことばを「美化語」といいます。「美化語」は、「敬語の指針」(文化庁答申2007)で、敬語の5分類(尊敬語、謙譲語Ⅰ、謙譲語Ⅱ、丁寧語、美化語)の1つとされました。放送の中で、「美化語」をどのくらい使うべきなのかは、放送現場でしばしば議論になる問題です。というのも、NHKでは、従来、放送では「物事を丁寧に言うために付ける「お」は、できるだけ省いたほうが、すっきりとした表現になる」(『NHKことばのハンドブック第2版』)とされ、特にニュース番組などでは、「お弁当」ではなく「弁当」が使われてきたからです。そこで、今回、放送の中の「美化語」の適切な使い方を探るため、アナウンサーと視聴者双方へインタビュー調査を行い、美化語に関する意識を調べたところ、例えば「お弁当」に関しては、以下のような意識が見えてきました。

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これを見ると、伝え手であるアナウンサーと、受け手である視聴者とでは、「お弁当」という美化語の使用をめぐって、意識のずれがあることがわかりました。アナウンサーが、従来の考え方に従って「お」を省いて伝えたことが、視聴者にとってはかえって違和感につなる場面もあると言えそうです。

「お」を付けるか付けないか、という問題は、小さな問題に見えて、実は日本語のコミュニケーションにあふれています。「花か、お花か」「肉か、お肉か」「墓か、お墓か」…、みなさんはどのように考えますか?

『放送研究と調査』1月号「放送における美化語の意識調査 ~視聴者とアナウンサーの双方へのインタビュー調査から~では、具体的な放送場面での美化語についてアナウンサーと視聴者のそれぞれの意識を探り、放送の中で美化語をどのように使うべきか、分析・検討を行いました。どうぞ、“お手”に取ってご覧ください。

 

おススメの1本 2018年01月12日 (金)

#108 長寿番組もいろいろありますが・・・

メディア研究部(メディア動向) 大野敏明

夜も8時を過ぎお腹が空きました。しかも外は凍える寒さです。「人間、空腹と寒さが重なるとろくなことは考えないものだ」と、高校時代に読んだ漫画『じゃりン子チエ』に書いてありました。確かにその通りだと今もこの時季になるとよく思い出します。
こんな冬の日の晩ごはんは、熱々のシチューかスープがいいですね。しかも簡単なものがいい。思い浮かんだのは買い置きのあさり水煮缶で作る、熱々の「簡単クラムチャウダー」。作り方は・・・


というような感じで、半年前までブログ的なものを毎週書いていました。去年の夏にここ「文研」に異動してくるまでは『きょうの料理』のプロデューサーをしていまして、おすすめの簡単レシピや “食リポ” などを『きょうの料理』公式LINEなどで配信していたのです。
LINEでは他にも番組で紹介する料理のレシピやショート動画の配信、司会の後藤繁榮アナウンサーによる「料理ダジャレ」の画像配信サービスなどもしています。Eテレの長寿番組が、新たなサービスの一環として始めた公式LINEは想像以上の反響で、登録者数は現在56万8000人。後藤アナのダジャレはほんのお遊びですが、こちらも結構人気なんです。

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ということで、クラムチャウダーの作り方に行きたいところではありますが、ここからは「文研ブログ」らしく、まじめに参ります。

皆さん、NHKで最も長く続いている番組って、何かご存じですか?

『きょうの料理』・・・ではなく、正解は『NHKのど自慢』テレビ放送が始まった1953(昭和28)年から続いているのだそうです。『きょうの料理』は何位かというと・・・

  2位 『大相撲中継』
  3位 『高校野球』
  
4位 『紅白歌合戦』
  5位 『NHKニュース』
  6位 『ゆく年くる年』
  7位 『テレビ体操』
  8位 『日曜討論』

そして・・・
 9位 『きょうの料理』

あの『おかあさんといっしょ』(13位)、連続テレビ小説(14位)、大河ドラマ(17位)を抑えての堂々のベスト10入りです。

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1963年5月13日放送「おべんとう」 講師:堀江泰子(右)

♪タンタカタカタカタンタンタン でおなじみのテーマ曲とともに、1957(昭和32)年の放送開始以来、今年度でちょうど60年。
かつて母親や祖母が教えた料理をテレビが教える時代になったと思ったら、今や毎日の献立はスマホで決めるご時勢に。高度成長、核家族化、飽食の時代、インターネットにSNSと目まぐるしく移り変わる時代の中で、『きょうの料理』はいかにして家庭の食卓のニーズに応えようとしてきたのか・・・。
『放送研究と調査』2018年1月号では、番組草創期の試行錯誤、料理離れに対する挑戦、さらには近年のLINEやTwitterなどのネット展開まで『きょうの料理』が行ってきた様々な取り組みを、それぞれの時代背景とともにひもときます。

さらに、今年度50周年を迎えた『きょうの健康』『趣味の園芸』の歴史や取り組みも合わせてプレイバック。ちなみに『きょうの健康』は長寿ランキング10位『趣味の園芸』11位と、こちらも大健闘です。
おかげさまで長く愛され続ける3つの番組。そこに共通する「制作者マインド」とは? …是非ご一読くださいませ。

文研フォーラム 2017年12月22日 (金)

#107 NHK文研フォーラム、今年度も3月開催決定!

計画管理部(計画) 松本裕美

2017年も残りわずかとなりました。新年を迎えると、色々な行事が目白押しですよね。
1月 箱根駅伝、大発会…
2月 ピョンチャンオリンピック…
3月 文研フォーラム2018、ピョンチャンパラリンピック…
かなり無理やりでしたね。

では、「文研フォーラム」って何??と言う方に…
年1回、NHK放送文化研究所が総力を挙げて、研究や調査の成果を発表したり、シンポジウムを開催している場です。NHK文研フォーラム2018「テレビの未来 メディアの新地図」をテーマに、3月7日(水)から3日間東京・千代田放送会館で開催します。

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プログラムは7つ。そのキーワードを一部抜き出してみると…
*日米同時世論調査
*マルチプラットフォーム戦略
*スマホ時代のテレビの可能性
*メディアの公共性
*テレビドキュメンタリー研究
*美化語
*老舗番組

ちょっと謎?なものもあると思いますが、なかなかバラエティに富んでいるような気がしませんか?
国内外のメディア関係の研究者をはじめ、ジャーナリスト、料理研究家の方など豪華ゲストをお招きして、テレビやメディアの今、未来について文研の研究員と共に考えていきます。

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文研フォーラム2017から

ちなみに過去5年のテーマを見てみると、
2013年「テレビ60年 未来へつなぐ」
2014年「テレビとメディアの‘現在値(ち)’~伝えてきたもの、伝えていくもの~」
2015年「放送90年 これまで、そしてこれから」
2016年「変貌するメディア、その先を考える」
2017年「いま考える メディアのちから メディアの役割」です。

文研が、激変しているテレビやメディア環境について模索し続けていることがお分かりいただけますでしょうか?
さて、興味を持っていただいたプログラムの申し込みは、来年2月上旬にこちらのホームページで開始予定です。定員に達してしまうと受付終了となりますので、是非お早めに。

放送ヒストリー 2017年12月15日 (金)

#106 『NHK年鑑2017』を発行しました

メディア研究部(メディア史研究) 三矢惠子

『NHK年鑑』
の編集長をしています。ブログへの登場は1年ぶりとなります。
『NHK年鑑』はその名のとおり、1年に1度発行する、NHKを中心とした放送界の動きを記録した刊行物です。

2016年度の動きをまとめた『2017』版を11月10日に発行し、12月12日から、その中のNHKに関連した情報をこのホームページ上で公開しています

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『年鑑2017』

2016年度の放送界の大きなトピック、4K・8K試験放送の開始については、第2章第1節で丁寧にとりあげたほか、各部局のページでも、関連するそれぞれの取り組みを紹介しています。また、当然のことながら、番組解説でも資料編の番組時刻表でも、「スーパーハイビジョン試験放送」という項目が新たに加わっています。
ところで、社会のデジタル化が進んで便利になっても、世の中から紙の本が消える、という状況にはなっていません。電子化されたデータにはない、本ならではの使いやすさや本だからわかることがあるからでしょう。

今回の『NHK年鑑2017』では、そんな本としての使い勝手をよくする、ささやかな改善を2つ施しました。1つは、目次のレイアウトをわかりやすく変えたこと、もう1つは「年鑑」のキラーコンテンツとも言える「番組解説」を第4部として独立させ、資料編の直前に配置して探しやすくしたことです。
もっぱらネットで「年鑑」を利用してくださっている方にはピンと来ない改善かもしれませんが、本を使い慣れている方には、きっと使い勝手がよくなったと思います。

もちろん、内容的にも、『NHK年鑑』には、次のような高い資料価値があります。
 ◇創刊は1931年(当時は『ラヂオ年鑑』)と歴史が長いこと
 ◇これ1冊で放送、技術、経営、その他、NHKの全体がわかること
 ◇「番組解説」という、この本でしかわからない情報があること

『NHK年鑑』が本当に役に立つのは、刊行してすぐというよりは、少し時間が経ってからのことでしょう。“その時”に思いを馳せながら、今年も編集作業を進めました。

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(校正・編集作業風景)

ことばのはなし 2017年12月08日 (金)

#105 ら抜かないことば

メディア研究部(放送用語・表現) 塩田雄大

べつに、怒って出てかなくってもいいじゃない。


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はぁあ、休みの日にやんなるわ。女ですもの泣きはしないけど、なんであたしの気持ち、わかってもらえないんだろ。
なにこの本、『放送研究と調査』(2017年12月号)? あいつ、あいかわらずマニアックだね。え、“「高齢者」は、72歳7か月からである”って、どういうこと?

▼「高齢者」は公的には「65歳以上」と定義されることが一般的であるが、一般の人々の意識の平均値を算出すると「72歳7か月から」であった。

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うわ、もしかしてこんなこと真剣に算出しちゃったりしてる人がいるの?


▼「雨かもしれませんね_ 」および「もう終わったのかもしれませんよ_ 」のように書くときに、句点[ 。]と疑問符「?」のどちらを使うかを尋ねたところ、句点[ 。]であるという回答がいずれも約半数を占めた。

そうそう、これは「?」じゃなくて「 。」であるべきよね。


▼テレビで[見れる]という発言があったとき、それに合わせて字幕スーパーを施すとしたらどのようにするのがよいかを尋ねたところ、【「見られる」と表示するのがよい】という規範的な意見は、[女性][50歳以上][大卒][関東]に特に多い。

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うそやだなにこれ、この条件、年齢以外はぜんぶあたしに当てはまってるじゃん。

もしかしてあいつ、あたしにこれ見せようとして…

メディアの動き 2017年12月01日 (金)

#104 中国返還から20年、香港の「報道の自由」の行方は?

メディア研究部(海外メディア研究) 山田賢一

香港が中国に返還されて20年が経ちました。20年前は、香港が中国に返還されると、経済の自由放任で栄えた香港が共産党独裁政権の下で衰退していくとの見方がありましたが、その後、香港は2003年に中国本土との間でCEPAという経済緊密化協定を結び、経済的な一体化を進める中でそれなりに繁栄を維持してきました。その一方で、中国本土にはない香港の魅力であった「報道の自由」について、特にここ数年“萎縮”が進んでいるとの指摘があります。

その背景には、テレビにしても新聞にしても、香港のメディアオーナーの多くが中国ビジネスに精を出す財界人で、中国への批判的な報道をすることに腰が引けているということがあります。これが特に目立っているのが商業テレビ局トップのTVBで、もともと親中派の香港の財界人が所有していましたが、2015年には報道部の編集主任に親中派政党「民建聯」の前幹事長が就任した上、その後、中国資本がTVBの株式の一部を正式に取得するなど、中国による「直接支配」の様相も出てきました。

104-1201-111.gifさらに衝撃的だったのは、2015年から2016年にかけて起きた「銅鑼湾書店事件」です。銅鑼湾書店は、中国共産党政権の内幕などを暴露する書籍を扱う香港の書店ですが、2015年10月から年末にかけて、書店の幹部5人が相次いで「失踪」したのです。これらの書店幹部はその後、中国中央テレビ(CCTV)など中国系のメディアに拘束された状態で相次いで登場、「違法行為」を認めるインタビューの映像が報道されました。しかし、2016年6月、このうちの1人の林栄基氏が釈放後に香港で記者会見し、テレビでの自白は事前に原稿が用意され「強制されたものだった」と述べたのです。また、5人のうちの1人の李波氏は、香港にいる間に行方不明になっており、中国政府が香港にいる香港人を拉致したのであれば、中国本土とは異なる社会システムを維持するとした「一国二制度」を侵すものに他ならないとして、香港市民を震えあがらせました。

『放送研究と調査』12月号では、こうした香港のメディア環境の変化について、今年9月に行った現地調査を踏まえ、特に主要テレビ局であるTVBと公共放送のRTHKを中心に紹介するとともに、従来型メディアが“萎縮”する中で新たな報道の自由の守り手として雨後の筍のごとく立ち上げられているネットメディアについても、その現状と課題を報告します。

放送ヒストリー 2017年11月24日 (金)

#103 「オーラル・ヒストリー」は、対話を通して歴史を紡ぐ

メディア研究部(メディア史研究) 広谷鏡子

「オーラル・ヒストリー」
と聞くと、「ん? オーラルケア? 歯磨き? そのヒストリーって何?」なんて思うのが、まず一般的な反応でしょうか。耳にしたことがあるぞ、という方は、ずばり『オーラル・ヒストリー』という著書のある、御厨貴(みくりやたかし)・東大名誉教授の名前を思い浮かべられるかもしれません。

私たちは、2025年に100年を迎える日本の「放送」の歴史を研究しています。数年前から、放送史を「オーラル」、つまり、実際に歴史の中で生きてきた人々の「口述」(=「証言」)によって記録するという研究方法に取り組んでいます。

歴史という大層なものを「口述」によって書き起こす? 実はこの研究方法は批判も受けてきました。それは、「人間の記憶なんて信用できるの? そんな曖昧なもので客観性を保てるの?」というものです。おっしゃるとおりですね。でも考えてみてください。「口述」と相対するものに「文書」がありますが、文書資料なら信用できるのでしょうか。文書資料も当時の作成者の意思によって「作られたもの」です。完全に「客観的なもの」と断じることはできませんよね。たとえば公文書なら当局の、日記であれば著者の意図や主観が入っています(私も日記をつけていますが、生意気にも後世の人々が読むことを期待して、都合の悪いことは書かなかったりします)。重要なことは、文書資料が「真実」であり、口述資料が「正しくない」と片付けてしまうべきではない、ということです。

私たちは、「歴史上の事実」だけを明らかにしたいのではありません。放送と関わった人たちが、当時何を思い、どのような未来を目指したのか、その足跡は「放送史」という大きな流れの中で、どんな役割を果たしたことになるのか。それらを知ることで、私たちは歴史には別の側面があることを発見し、歴史の実相を手繰り寄せることができるのではないでしょうか。一人ひとりの証言の蓄積が、支流をつくり、やがて注ぎ込むべき大河を壮大なものにしていくと私たちは確信しています。「オーラル・ヒストリー」によって、文書資料にはこれまで記載されてこなかった、人々の語りでしか知ることのできない豊饒な世界に、ぐっと近づけるような気がしています。

103-1124-11.jpg「証言をとる」と言うと、堅苦しい、重々しいイメージですが、インタビューでは、証言者との「対話」を重視します。準備も大変ですし、緊張もしますが、自分たちが歴史の新しい一幕を開いているのかもしれないのですから、楽しいひとときでもあります。

もうひとつ。貴重な証言ですから、「とりっ放し」にしたくありません。今後、別のテーマの研究にも活用できるよう、オリジナル音声(映像)データを「保存」するシステムも、大急ぎ整備中です。2016年度に当研究所のメンバーで作成した「『オーラル・ヒストリー』方法論・試案」『放送研究と調査』11月号に掲載していますので、合わせてご覧ください(12月1日に全文公開されます)。

100年後の人たちが、「放送」を血の通った歴史として振り返ることができますよう!