2019年11月12日 (火)「○○丼」や「○○土器も登場! ブームはいつまで?


※2019年8月21日にNHK News Up に掲載されました。

関西地方でのことし上半期の輸入量は、前年の同じ時期に比べて約20倍に急増。
全国でみても4倍余りになっています。
各地に広がる店舗。
次々と登場する強烈な新商品。
果たしてこの食品のブームはいつまで続くのでしょうか。

ネットワーク報道部 記者 高橋大地・管野彰彦

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donn.190821.2.jpgそれはご存じのタピオカ。
代表的なメニュー、タピオカティーを提供する店は次々と増え続けています。

「多すぎてどの店に行ったらいいのかわからない」という人に注目したのが「タピナビ」というスマートフォン用のアプリ。
周辺にある店を検索できます。

もはや、わからないくらい…

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“タピオカの店”を検索できるアプリ
アプリを見ると、全国でも店舗数が多いのはやはり東京ですが、その中でも、渋谷や原宿周辺には特に多くの店が集中しています。

数十メートルおきくらいに店があって、マップを拡大しないとわからないくらいたくさんの数があることがわかります。

繁華街だけでなく
また最近、自宅や最寄りの駅近くにもタピオカの店ができたと感じる人も多いと思います。

マップを見ると渋谷などの“若者の街”にかぎらず、私鉄やJR沿線の郊外の駅から、地方の中心的な都市まで、全国に幅広く店舗が広がっていることもわかります。

毎日30店舗が追加!

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アプリを運営している会社によると、全国でおよそ1800店舗が現在、登録されていて、毎日30店舗ほどが新しく追加されているといいます。

店が次々と生まれる中でアプリではそれぞれのレビューを投稿、閲覧したりできるほか、提携している店のクーポンを入手することもできます。
「タピナビ」を開発・運営する後藤誉昌さんは「タピオカは女子高校生などの若い人たちに特に人気。彼女たちにとって1杯500~600円はそれほど安い価格ではありません。『買って失敗した』と思いたくないという思いがあるので近くの店のレビューが手軽に見られることが受け入れられているのだと思います。利用者が投稿することで店舗が登録される仕組みで、今後はそれぞれの地域のランキングが表示されるような機能もつけていきたいですね」と話していました。
さらに、タピオカブームの今後について聞くと…
「最近は『タピオカの次は何が来る?』といったような話も聞きますが、毎週のようにタピオカを出す店やティースタンドは増えていて、まだまだ伸びるという感触があります。一方で、『各地に店が増えたことで、集客に困るようになった』と話す店舗もでてきています」(後藤さん)

タピオカ丼登場!!

このタピオカブーム、飲み物だけにとどまりません。

首都圏でそばやうどんなどを販売する「富士そば」が提供をはじめたのはなんと「タピオカの丼」です。

donn.190821.5.jpgタピオカの丼
東京 新宿区にある「三光町店」で、8月16日から「ミニいくら風タピオカ漬け丼セット」として、売り出しました。

見た目はいくらそのものですが、使っているのは正真正銘のタピオカ。

運営する「ダイタンイート」によると、白いタピオカを30分間ボイルしたあと、そばつゆに返しを加えたオリジナルのタレに4時間つけて作っているそうです。
食感はタピオカのもちもち感が残っていて、つけダレの影響で味はいくらと似ているとのことでした。

ごはんにたっぷりと盛った「いくら風タピオカ」。
販売開始から3日間は1日10食程度しか注文はなかったそうですが、4日後には200食もの注文が入る人気商品になったということです。

donn.190821.6.jpgなぜ丼に?
きっかけは、店長の思いつきで「タピオカを見ていたら漬けてみたくなった」とのこと。

当初は2週間の期間限定で販売する予定でしたが、人気を受けて店ではさらに延長して提供することも検討しているそうです。
「話題性をねらってはいましたが、ここまでになるとは思いませんでした。非常に作るのに手間がかかる商品ですが、やめるにやめられない状況です」(会社の担当者)

土器の中にタピオカ?

さらにタピオカの人気にあやかろうという動きも広がっています。

北海道大学総合博物館では、大学のキャンパスの敷地内で発掘された土器などの出土品を展示する企画展が7月から開催されています。

donn.190821.7.jpg北海道大学総合博物館
展示されている中でも「北大式土器」は、5世紀から7世紀「続縄文時代」の終わりごろに作られた土器で、名前のとおり大学の構内で見つかったことで名付けられました。

この「北大式土器」をもっと多くの人に知ってほしい!

博物館にあるカフェでは、企画展に合わせて、土器に入ったタピオカミルクティー、通称「タピ土器」を提供することにしました。

donn.190821.8.jpgなぜ土器に?
「北大式土器」と同じ時期の遺跡から発掘されたガラス玉にタピオカを見立てて、土器の複製品にミルクティーとともに入れて仕上げました。

一杯1600円とちょっと値が張りますが、飲み終わったあとの土器を持ち帰ることもできるということです。

donn.190821.9.jpgもともとは、企画展の間だけの特別メニューだったのですが、大人気のため、9月までの企画展のあとも販売する予定だといいます。

donn.190821.10.jpg江田真毅准教授
企画展を担当した北海道大学総合博物館の江田真毅准教授は「こんなに人気になるとは思わず正直驚いています。『タピ土器』を通して、大学の下にある遺跡やその文化に思いをはせてもらえればと思います」と話しています。

タピオカはどこへ?
瞬く間に日本中を席けんした感のあるタピオカですが、ブームはいつかは終わるもの。

これまでも一過性の流行で終わった食べ物や飲み物はあります。

タピオカは一体、どうなっていくのでしょうか?

食のトレンドに詳しい、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員、有木真理さんに聞きました。

そもそもなぜタピオカはこんなに人気なのでしょうか?

donn.190821.11.jpg有木真理さん
「タピオカブームは1990年代初めと2008年ごろにも起きていて、今回が第3次のブームと言えます。今回、これほどまでに流行した理由は消費者側の視点で考えると3点あると思います。1つはタピオカティーの本場、台湾が旅行先として非常に高い人気があり、現地で体験した人たちが日本に戻って広めていること。2点目は国内の人気の店に行列ができ、その現象がさらにトレンドを作っていったこと」(有木さん)

donn.190821.12.jpg「そしてもっとも大きい要因がSNSによる拡散です。左手にドリンク、右手に携帯電話といった形で写真を撮りやすいうえ、商品がカラフルでSNS映えがするため、拡散されやすかったと言えると思います」(有木さん)
そして、気になるタピオカの行く末ですが、有木さんは「しばらくはブームが続き、そして定着していくと思います」と話しています。

その理由はコーヒーを飲まない人たちにとってのカフェ代わりとしての需要があるからだそうです。

donn.190821.13.jpgテイクアウトが主流のタピオカティーは、店側からしても広い店舗を必要とせず、従業員の作業も比較的単純なため、参入の障壁が低く出店しやすいそうです。

次々と誕生している数多くのブランドのとう汰は進んでいくものの、商品自体はどこの駅前でも買うことができるような状況に将来的にはなっていくのではないかと分析していました。

次々と生まれる「タピ○○」。海外からやってきたタピオカがさらに身近な存在になって新たな食文化として定着する、そんな日も遠くないのかもしれません。

投稿者:高橋大地 | 投稿時間:15時52分

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