2019年02月14日 (木)死者50人近く 身近に潜むリスクは...


※2018年12月14日にNHK News Up に掲載されました。

師走に入っても暖かい日が続いたと思ったら最近、急に寒くなりました。そうした本格的な冬の訪れとともにいま、相次いでいるのが火事。NHKが独自に集計しただけでも今月に入ってから少なくとも50人近くが死亡しています。気をつけているはずなのになぜ火事が起きるのか。取材をしてみると“決してひと事ではない”ということがわかってきました。

ネットワーク報道部記者 和田麻子・岡田真理紗

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<きょうも各地で火事>
14日午前3時ごろ、富山県砺波市で家族5人が暮らす住宅から火が出て全焼し、この家に住む4人と連絡が取れなくなっています。24歳の男性は2階から飛び降りて大けがをしたということです。

火事を聞いて駆けつけた親族の男性は「家族全員がどうなったかが心配です。言いようがない気持ちです」と涙ぐみながら話していました。

181214sis.2.jpg14日 富山 砺波


<1日3人以上が死亡 多くが高齢者>
最近、急に寒くなり暖房器具を使い始める家庭が増えたからでしょうか。毎日のように各地で火事が起きています。

NHKがニュースとして伝えた火事について独自に集計しただけでも今月に入ってから13日までに全国で亡くなった人は49人にのぼります。1日に3人以上が火事で亡くなっている計算になります。

亡くなった人の年代をみると70代や80代が多く高齢者が犠牲となるケースが目立っています。

181214sis.3.jpg(左)8日 広島 三次 (右)7日 滋賀 長浜
過去の統計などをみるとこれから寒さが増していく中で火事の犠牲者はさらに増えるとみられています。


<SNS「危うく火事」>
火事の被害に遭いそうになったという人はどれくらいいるのでしょうか。

SNSでは「危うく火事」という内容の投稿が多く見られます。なかでも電気ストーブを使っていてひやりとしたという人が多い印象です。

「電気ストーブにコタツが当たってて焦げて煙出てたやべーやべー火事おこすところだった!」
「電熱ヒーターにスリッパ近づけて座ってたら、煙が上がった。あっっっっぶね気をつけよう」
「電気ストーブと布団がいつのまにか接触。焦げてるのに気付かずゲームに熱中していて火事になりそうだった」


<意外な原因>
「電気ストーブだから火事になりにくい」と思っている方もいると思います。しかしその認識は甘いと取材を進める中で感じました。

東京都が平成26年に都民2万人を対象に行ったアンケート調査で、「ストーブのうち、もっとも火災の危険が高いものは何か?」とたずねたところ、80%以上の人が「石油ストーブ」と回答。次いで「ガスストーブ」が7.9%、「石油ファンヒーター」が5.8%で「電気ストーブ」は4.2%でした。

しかし実際には東京消防庁管内で平成28年度に発生したストーブが原因の火災112件のうち、70%以上にあたる85件が電気ストーブの火事だったのです。

181214sis.4.jpg特に多いのが寝ている間につけていた電気ストーブに布団が接触して燃えたり、干していた洗濯物がストーブの上に落ちて火事になったりするケース。

東京消防庁が布団を電気ストーブにかけて実験した映像では、わずか1分30秒でうっすらと煙が出始め、同時に一酸化炭素も発生。3分30秒後にはもくもくと白煙が上がり、4分30秒後には赤い炎が上がりました。

181214sis.5.jpg5分30秒で激しく燃え上がる
また、東京都の調査では、寝ているとき、石油ストーブに関しては「つけたまま寝ることがある」が1.9%だったのに対し、電気ストーブでは4.6%と増加。

さらにストーブを使うとき、布団や衣服などをどのくらい離しているのかという質問では、石油ストーブに関しては6割以上の人が「1メートル以上離す」と回答していますが、電気ストーブでは3割未満でした。

東京消防庁の実験では電気ストーブの10cm以内に物があると、直接接していなくても熱せられて発火することがあるといいます。

電気ストーブは火を使わないので安全なイメージがありますが、その油断が火事につながっているのかもしれません。


<石油ストーブも誤った使い方で火事に>
また、石油ストーブに火事の危険があるとわかっていても使い方をそもそも間違っていたり、不注意だったりして火事が起きるケースも相次いでいます。

NITE=製品評価技術基盤機構によりますと、ことし3月までの5年間に報告があった石油ストーブの事故258件のうち、火事に至ったものは246件と90%以上に上っています。

火事の原因をみると、誤った使い方や、不注意によるものが目立ちました。最も多かったのは、灯油を入れるカートリッジタンクのふたを閉め忘れたり、タンクをストーブに戻す際、十分に閉めていなかったふたが外れて灯油が漏れたりするケースです。

ことし1月、栃木県で住宅が全焼し、男性1人が死亡した火事もこのケースで、NITEが事故を再現した映像では、タンクのふたを閉め忘れたままストーブに灯油をこぼしてしまうと、あっという間に発火し燃え広がる様子がわかります。
石油ストーブが原因の火事で次いで多かったのが、洋服などの可燃物が、ストーブに接触したり、長い間、放射熱にさらされたりして起きたケース。そして灯油ではなく誤ってガソリンをストーブに給油したため起きた火事も多くなっています。


<専門家は…>
東京消防庁のOBで市民防災研究所の坂口隆夫 理事は、相次ぐ火事についてこう注意を促しています。

181214sis.6.jpg最近、急激に冷え込んでいる影響で、暖房器具を使い始める家庭が増えているのではないか。この時期は、空気が乾燥しているうえ、風が強く、いったん出火すると燃え広がりが速く被害が拡大しやすい。特に電気ストーブは油や火を使わないため安全な暖房器具だと思われがちですが使い方を誤ると火災につながりやすい。
そのうえで、暖房器具を使う時は3つの点に注意するよう呼びかけています。

▼就寝する際や出かける時は、必ず暖房器具を消す。
▼燃えやすいものの近くでは使わない。暖房器具の上に干した洗濯物が誤って落ちるおそれがあるので、決して暖房器具の近くに洗濯物を干さない。
▼石油ストーブを給油する時は必ず消火し、灯油を入れるカートリッジタンクのふたは確実に閉める。

そして坂口理事はこう話しました。
暖房器具による火災などの事故は、毎年10月ごろから増加し、年末から年始にかけてピークを迎えます。暖房器具は正しく使えば火災の危険はぐっと減り、被害をなくすことができるので、正しく使ってよい年末年始を迎えてほしい。

投稿者:和田麻子 | 投稿時間:15時59分

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