2017年11月16日 (木)結構、盛り上がってます!ハロウィーン


※2017年10月31日にNHK News Up に掲載されました。

ここ数年、盛り上がりをみせるハロウィーン。その市場規模は1300億円にも上ると言われます。今やハロウィーンは、子どもや若者だけのイベントではなくクリスマスやバレンタインデーなどのように日本の恒例行事として定着しつつあるようです。

ネットワーク報道部記者 管野彰彦・大窪奈緒子

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<全社を挙げてハロウィーン>

kek171031.2.jpgオフィスに現れた仮装姿の人たち。東京・銀座の化粧品会社、ランクアップでは31日、およそ50人の社員が、思い思いの仮装をして仕事をしていました。この会社では社員の半数以上が子育て中の母親ということもあり、ふだんは全員そろっての飲み会などはできません。そのため、年に1度のハロウィーンの日は、みんなで仮装して部署を越えて交流を深めることにしています。

kek171031.3.jpg2人の子どもがいる41歳の女性社員は「ふだん話す機会のない人とも仮装していると気軽に話すことができて楽しいです。午後5時からは仮装を脱いで新たな気分で子どもを迎えに行きたいです」と話していました。
岩崎裕美子社長は「女性社員は退社後も家事育児に追われ、働き続けています。ハロウィーンの日は業務時間内に心おきなく楽しんでもらい働く活力にしてほしい」と話していました。


<市場規模は1300億円>
企業にまで広がるハロウィーン。消費の拡大につなげようとことし2月に始まったプレミアムフライデーは早くも見直しの動きが出るなど、いまひとつ盛り上がりに欠けるのに対して、ハロウィーン関連の市場規模は年々、増加傾向にあります。記念日の認定や登録を行っている一般社団法人「日本記念日協会」によりますと、お菓子や仮装グッズといったハロウィーン関連の商品やサービスの市場規模はことしは1305億円に上ると推計しています。ことしは直前に行われた衆議院選挙の影響でメディアで取り上げられる機会が減ったこともあり去年を下回っているとはいうものの、市場規模はバレンタインデーの1385億円に匹敵するほどになり、母の日の1135億円や、節分の590億円を大きく上回っているということです。


<経済効果は地方にも>
なぜ、ここまでハロウィーンが盛り上がっているのか。その理由の1つが「地域への広がり」です。

kek171031.4.jpg北海道登別市の水族館「登別マリンパークニクス」。ハロウィーンに合わせて取り入れたのは「かぼちゃ割」というサービスです。サービスを受けるには、入園券を買う際にかぼちゃを渡すだけ。ハロウィーンの語呂合わせで料金が大人の場合、通常2450円が1860円に、子ども料金は1250円が860円に割り引きされます。ここ数年、かぼちゃ割を受ける入場者数は増加しているということです。


<走るハロウィーン>

kek171031.5.jpg福岡市南区のタクシー会社では「ハロウィーンタクシー」を期間限定で運行しています。運転するのはゾンビ。助手席にはガイコツが座っています。運転手はおよそ1時間かけて特殊メイクをほどこしたというだけあって、クオリティーはかなり高めです。ハロウィーンらしく乗車の際にはお菓子ももらえるそうです。通常のメーター料金で乗ることができるということで、会社としては宣伝効果も見込めるとしています。ハロウィーンをビジネスチャンスにしようという狙いです。

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<地域活性化の起爆剤に>

さらにハロウィーンを地域の特産品につなげようという動きも出ています。

kek171031.7.jpg山口県下関市の園芸農家、中司武敏さんが取り組んでいるのがかぼちゃを使った焼酎とビール系飲料の製造です。中司さんは、ハロウィーンに使うかぼちゃを栽培していますが、実はこうしたかぼちゃは食用にはあまりむいていません。このため、これまではハロウィーンが終わると余ったかぼちゃは廃棄していました。それを有効活用しようと2年間試行錯誤を続け、ことしようやく焼酎とビール系飲料の製品化にこぎつけました。道の駅などで販売を始めているということで、中司さんは地域の活性化につながればと期待しています。


<祭り好きなので>
まさにハロウィーンは地域を巻き込んで全国で盛り上がっているのです。ハロウィーン市場の推計を行った日本記念日協会の加瀬清志所長は「もともと日本人は祭り好きで、最近では地域の祭りが減っていることもあって、大勢で盛り上がることのできるイベントに参加したいと思う人が多いのではないか」と指摘します。さらに、最近では「インスタ映え」という言葉があるように、インスタグラムやツイッターといったSNSに写真や動画を投稿する人が多く、ハロウィーンはそのコンテンツとして人気が高まっているのではないかと分析しています。

kek171031.8.jpgほんの数年前まで、ハロウィーンといえば一部の若者だけが盛り上がるイベントというイメージもありましたが、今や秋の恒例行事として定着しつつあります。地域でも会社でも楽しめるハロウィーン。その盛り上がりは今後も続きそうです。

投稿者:管野彰彦 | 投稿時間:16時02分

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