2017年02月09日 (木)「スマホ育児」ダメですか?


※2017年1月28日にNHK WEB特集に掲載されたものです。

“育児の中で、幼い子どもにスマートフォンを渡して使わせる”こうした行為が「スマホ育児」とも「スマ放置」とも呼ばれてインターネット上で議論になっています。「子守りをスマホに頼りすぎだ」といった厳しい意見がある一方で、子育て真っ最中のお母さんからは「使わざるをえない状況をわかってほしい」と言った声があがっています。


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<泣きやまない子どもにスマートフォン>
1歳半の子どもがいるお母さん。その家に取材に伺ったのは、夕方、保育園から帰って夕食の準備をしているころでした。夫はまだ帰宅せず、お母さんと子どもの二人きり。しばらくするとかまってもらえない女の子はキッチンにいるお母さんの足にしがみつき、やがて大声で泣きだします。必死でなだめてもおやつを食べさせても泣きやまず、料理が進みません。
するとお母さんは自分のスマートフォンを取り出し、家族を撮影した動画を見せ始めました。

170128.6.jpgピタリと泣きやむ女の子。
お母さんは女の子の様子を気にしながらも、料理を作り上げることができました。


<「スマホ育児」ネットで議論>
しかし、インターネット上ではスマホ育児について「スマホに頼らず、自分の力でこどもをあやすべき」だとか「コミュニケーションが苦手な子どもに育つのではないか」といった批判的な意見が見られ、議論になっています。
また、街で子育てを終えた世代の人たちに聞いてみると、「子育てに使うのはよくない」「あまりいい感じはしない」といった声が聞かれました。
「時代の流れだからしかたないのでは」といった意見もあったものの、少数派。多くは否定的な意見で、スマホ育児はあまりいい目で見られていない印象を受けました。


<スマホ育児 実態は?>
「スマホ育児」という言葉。街で聞いてみると、否定的な意見の人の多くは、「幼い子どもにスマホを見せっぱなしにしている」というイメージを持っているようです。では実際、お母さんたちは育児の中でどのようにスマホと関わっているのでしょうか。
子育て支援施設などで、小学校入学前の子どもがいるお母さんたちにアンケート調査を行い、123人が答えてくれました。

170128.4.jpgアンケートの結果です。
子どもにスマホを使わせたことがある人は78%。使わせたことがない人は22%と、多くのお母さんが子どもにスマホを使わせた経験がありました。
使用頻度。最も多かったのは「ごくたまに」で43%。次に、「週数回」が30%。「毎日」は26%でした。
使用時間も聞いてみると、「数分」が48%とほぼ半数。次いで「10~30分」が41%。30分以上は11%でした。

170128.7.jpgまた、子どもに使わせる状況で多かったのは、「電車やバスの中」「病院」などです。
今回のアンケートからは、“スマホは週に数回程度、限られた時間で、子どもが騒いで周囲の迷惑になりそうなときに使う”といった傾向がうかがえました。主にスマホで見せているのは、家族で撮った写真や動画サイトなどでした。

自由記述欄に寄せられた、お母さんたちの声です。

「正直使いたくないが、周りに迷惑をかけないようにするためにはしかたないかと思う」。

「くせにならないようなるべく頼らないようにしているが、電車などで騒いだときにはどうしても頼ってしまう」。
「スマホを使わせているときの、周りの目も気になる」。
「孤独な育児でめげそうになっているときに少しでも楽になるのなら、そこまでスマホを悪者にすることもないと思う」。

子どもにスマホを使わせてもいいものかと悩みながらもやむなくスマホに頼ってしまうという切実な訴えでした。


<母親の思いがマンガに>
アンケートに答えてくれた1人、イラストレーターのうだひろえさんです。5歳の男の子と3歳の女の子、2人の子どもの母親です。常にお母さんにべったりな子どもたち。料理をしている間も「ママー」声をかけてきて、そばを離れません。
実はうださん、出産前までスマホ育児に否定的でした。
“子育てに手を抜いている”と思っていたのです。ところが…。

170128.5.jpg取材中、大事な仕事の電話がかかってきました。必死にメモを取る、うださん。しかし子どもは構わず話しかけてきます。するとうださん、「ちょっとこれ見てて」とスマホを手渡しました。動画を見始めて、ようやく静かになりました。「今は、スマホは欠かせない」という、うださん。
スマホ育児に批判的だった自分を振り返りながら、こんなマンガを描きました。

170128.2.jpg伝えたかったのは、周囲の目を気にしながらやむをえず子どもにスマホを使わせているお母さんたちの現実でした。
うださんは「『あら、こんな小さい子がスマホ見るのね』ということはよくいわれますし、批判の目も感じます。でも、騒いではいけない場所で子どもが泣きやまず、だんだんイライラしてひどい言葉を言ってしまうぐらいだったら、スマホを見せることで子どもも泣きやむし、私も気持ちが楽になって、お互いに笑っていられる。それだったらいいかなと思います」と話していました。


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<取材して>
「長い時間子どもにスマホを与え、子どもと向き合わない」こうしたスマホ育児は論外だと思います。
しかし、今回取材した方たちはそうした使い方はしていませんでした。今回の取材で印象的だったのは、「電車の中などで子どもが騒ぐと冷たい目で見られる。早く静かにさせようとスマホを使わせても、親として失格だと厳しい目で見られているように感じる」というあるお母さんの言葉でした。
一方で、泣いている子どもを必死であやすお母さんを見て、「何かできたらいいのだけれど」と思ったことがあるという方も多いと思います。お母さんたちが慌ててスマホを取り出さなくてもすむような、親子も周囲も互いに思いやりを持って、気軽に声を掛け合えるような環境を作っていくことが大切だと感じました。

今回の取材で、お母さんたちからも、スマホを使わせることの影響を心配する声が多く聞かれました。次回は2月5日、スマホと育児について専門家の声などをお伝えします。

スマホ育児、皆さんはどう思いますか?体験やご意見をお寄せください。

1106_newspost.jpg  NHKの情報投稿窓口「ニュースポスト」

投稿者:飯田 暁子 | 投稿時間:15時14分

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