2018年03月08日 (木)北朝鮮の五輪参加どう思う?ソウルの若者に聞いてみた


※2018年2月16日にNHK News Up に掲載されました。

ピョンチャンオリンピックが開幕して1週間、韓国の新聞やテレビは連日、北朝鮮に関わる動きをトップクラスの扱いで伝えています。韓国の新聞の最新の世論調査では、南北合同チームの結成について「良い決定」と答えたのが大会前から15ポイントあまり増え56.8%、「誤った決定」が38.7%だったと伝えています。年代別では、「良い」と答えた割合が最も高かったのは40代で、この世代をピークに若くなればなるほど、割合は下がります。韓国の若い世代は、北朝鮮の選手が参加するオリンピックにどんな視線を向けているのか、これまでで記憶に残ったシーンは何か、首都ソウルで最も若者が集まる街・ホンデで聞きました。

ネットワーク報道部記者 佐伯敏

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<キム・ナクヨンさん(16)高校生>

kit180216.2.jpg(記者)
オリンピックは見ていますか?

(キムさん)
ピョンチャンで開かれているので、いつもより関心を持っているし、見ています。

(記者)
南北合同チームについてどう思いますか?

(キムさん)
正直、はじめは実感もなく、何の考えもありませんでした。最近、南北統一のことを考えることってないじゃないですか。お互いに交流もないから何の考えもなかったです。でも合同チームとして出場するのを見て、統一もできるのかもしれないと思うようになりました。


<カン・ヒョンジュンさん(27)会社員>

kit180216.3.jpg(記者)
オリンピック、ここまでで記憶に残るシーンは?

(カンさん)
開会式に関しては人面鳥が最もショックで、グロテスクでした。まあ、面白かったですけどね。あと、女子ショートトラック(のチェ・ミンジョン選手)。失格になってむかつきました。

(記者)
南北合同チームのことはどう思いますか?

(カンさん)
それについては色々な話がでていますが、趣旨はいいんですけど、チームが異なるから、若干、問題が生じるのではないかと。選手の立場でも、不満が多くあったのでは。個人的には、趣旨はいいけど、もっと慎重になるべきだったと思います。

(記者)
今後、国際大会で再び合同チームは作るべきだと思いますか?

(カンさん)
いっしょに長い期間練習をすれば、(合同チームを)やってもいいと思うんですけど、そうでなければ別々にやった方が選手にとってはいいと思います。


<イ・ドンヒョンさん(31)フリーランス>

kit180216.4.jpg(記者)
南北合同チームについての意見を聞かせてください。

(イさん)
個人的には否定的に思っていますが、これまでチームワークを積み重ねてきた選手に、急ごしらえで作られたチームで大会に出場しろというのは、韓国の選手にとって不条理だと思います。また、監督もいろいろ、否定的なことを言ったじゃないですか。選手には喪失感があると思います。

(記者)
オリンピック、ここまでどんなシーンが記憶に残っていますか?

(イさん)
開会式でキム・ヨナ選手が聖火リレーに登場したこと。


<パク・テヤンさん(20)学生>

kit180216.5.jpg(記者)
ピョンチャンオリンピックは見ていますか?

(パクさん)
はい。見ています。

(記者)
南北合同チームについてどう思いますか?

(パクさん)
…なんでやるのかわかりません。

(記者)
あまり関心がない?

(パクさん)
はい。


<イ・ジュヨンさん(19)イ・ウンジさん(19)大学生>

kit180216.6.jpg(記者)
オリンピック見てますか?

(ウンジさん)
はい、昨日家族で見ました。

(ジュヨンさん)
私も昨日生中継で見ました。

(記者)
南北チームのことはどう思いますか?

(ウンジ)
正直・・・そんなに考えているわけではないんですけど。

(記者)
賛成か反対かでいうと…

(ウンジさん)
私は反対ですけど、まだ38度線で統一もできていない国でいっしょにやるというのが…もともと2つの国が…国といっていいのか…2つに分断されている国をいっしょにするなんて、心が離れているのに(無理矢理)いっしょにしている。そういう考えなので反対です。

(ジュヨンさん)
私ももともと(合同チームの)ニュースを聞いたときは反対しました。北朝鮮の方々が熱心に応援しているのを見て好意的に受け止めるようになったんですけど、でも未だに国は分断されているので一般の人々は肯定的になれないんじゃないですか。今でも私は反対なんですけど、熱心に応援してくれている様子を見て雰囲気はすごく良かったと思います。


<イ・ジェウォンさん(22)チョ・ドンファンさん(22)大学生>

kit180216.7.jpg(右)イさん (左)チョさん

(記者)
オリンピック、ここまでで印象に残ったのは?

(イさん)
私は(女子ショートトラックの)チェ・ミンジョン選手。2位になったと思っていたんですけど、最後に失格となってショックが大きかったです。

(チョさん)
私は南北合同チームのアイスホッケーが記憶に残っています。

(記者)
競技を見ましたか?

(チョさん)
見たんですけど、すごく下手で。

(イさん)
うまくやってたよ。

(チョさん)
まあ、うまくやってたけど、残念で、心が痛かったです。

(記者)
その南北合同チームについてはどんな意見ですか?

(イさん)
わたしは良い見方をしています。選手同士でも同じ民族なのに南北に分かれていて、でも実際に会ってみたらお互いに似ている考え方を持っていると(感じるだろうから)いいと思います。

(チョさん)
私は良くないと思います。チームワークというものがあるはずなのに急に一緒になって、かえって実力が発揮できていなかったのではないかと思います。そういったところがあったと思います。

(記者)
北朝鮮との関係、どうなってほしいと思っている?

(イさん)
私は、もともと同じ民族なので、お互いに、北朝鮮のことがいやだとか核問題とかではなくて良い方向にお互いに考えて歩調を合わせていった方がいいと思います。

(チョさん)
兵役の問題もあるし、むしろ早く統一してしまう方がいいと思います。

kit180216.8.jpg今回の取材では15人に話を聞くことができましたが、それ以外に「オリンピックは見ていないので」とインタビューを断る人も6人いました。

北朝鮮に関することは答えにくいかな、と思っていたのですが、それぞれ考え、言葉を選びながら答えてくれました。

なかでも、おそらく兵役を終えたばかりの男性の「兵役の問題もあるし、早く統一してほしい」という言葉には、韓国という国の現実がにじんでいます。
北朝鮮という国を遠くに感じながらも、心のどこかで和解を期待する韓国の若者たち。オリンピックで演出される「和解ムード」が、一時的なものにならないよう隣国に住む1人として願うばかりです。

投稿者:佐伯 敏 | 投稿時間:17時40分

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