2014年12月26日 (金)小学生向けAED副読本を無料配布


誰かが突然倒れたときに、心臓の動きを正常に戻す「AED」を使うことなど救命処置の仕方をわかりやすくまとめた小学校の授業向けの副読本が初めて制作され、希望する全国の小学校に無料で配布されています。
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国内では、心臓発作による突然死が年間7万人にのぼっていて、電気ショックで心臓の動きを正常に戻すAEDは救命の切り札とされています。

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こうした中、AEDの普及活動を行っている団体が小学校の授業向けの副読本を制作しました。
副読本は、小学生が校庭で心臓発作を起こしたケースを想定し、AEDを使うなど、どうすれば友だちの命を救えるのか学んでもらう内容です。

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具体的には、
①周囲の安全を確認した上で、肩をたたきながら「大丈夫ですか?」と声をかけて、反応を確認します。
②反応がなければ、「誰か来てください!」と叫び、先生や大人などの応援を求めます。119番通報やAEDを持って来てもらうことを頼んだり、自ら救急車を呼んだりします。
③呼吸の確認をしながら、心臓マッサージを行い、AEDを待ちます。
④到着したAEDの電源を入れたら、AEDから流れる音声にしたがって迷わず処置をします。
こうしたことが、ひらがなやイラストを多用してわかりやすくまとめられ、勇気を出して、自分にできることをしようと呼びかけます。

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副読本を制作した「減らせ突然死~使おうAED~実行委員会」によりますと、小学校の敷地内で心臓発作を起こし、救命処置が必要になるケースは過去5年で447件にのぼっているということで、実行委員会では、「この副読本を使うことで、より多くの小学生たちに命を守る行動を学んでもらいたい」とコメントしています。

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副読本は5万部発行され、希望する全国の小学校に先着順で無料配布されています。



【取材後記】

<小学校6年生の女の子の死を教訓に>

副読本の最初のページに、女の子の写真があります。
小学校6年生だった桐田明日香さんの写真です。
明日香さんは、学校で駅伝の練習中に突然心臓が止まり、倒れました。
保健室にはAEDがありましたが使われることはなく、明日香さんは亡くなりました。
AEDが使われなかったのは、明日香さんがどういう状態なのかわからなかったからだといいます。
しかし、だからこそAEDを使うべきでした。
AEDは電気ショックを与える「治療器具」であると同時に、ショックが必要かどうかを判断してくれる「診断器具」でもあるからです。

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<“学校での突然死ゼロ”電気ショックは5分以内に>

専門家は、学校での突然死はゼロにできる可能性があるといいます。
AEDを使った「電気ショックは5分以内」がポイントとされていますが、学校は、異変を察知するための人目が多く、ほとんどのところにAEDがあります。5分以内が実現できる条件が整っているというのです。
5分の内訳は、児童・生徒が倒れたのを目撃をした周りの人が、本人の反応を確かめて119番通報するまでに2分、そこから誰かがAEDを取りに行くのが片道1分(300メートルが目安)で往復2分、AEDの到着後すぐに電源を入れ、パッドを貼って準備するまでに1分。
これで、5分以内に電気ショックができるという計算です。

<小学生でも救命処置はできる>

副読本では、AEDについて詳しく解説しています。
AEDは誰でも簡単に使えます。小学生でも使えます。
小学生には救命処置は難しいという考え方もあるそうですが、過去には小学校6年生の男の子が自宅で心臓マッサージをして父親を救ったケースもあります。
来年には実際に小学校でこの副読本を使ったモデル授業が行われる予定です。
“学校での突然死ゼロ”に向けた取り組みに注目です。


副読本の問い合わせは、「減らせ突然死~使おうAED~実行委員会」のホームページの「問い合わせ」から。
http://aed-project.jp/index.html

副読本の見本のダウンロードは、実行委員会の下記のページから。
http://aed-project.jp/download/index.html

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投稿者:三瓶佑樹 | 投稿時間:08時00分

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