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北九州ラヴァーズ#31長谷川雅子さん/そろばんで心育む

  • 2024年03月05日

長谷川雅子さん
長谷川珠算塾 塾長。父親のあとを継いで42年。                                     

地域で長年愛されるそろばん塾

北九州市戸畑区で70年続くそろばん塾

北九州市戸畑区で70年続くそろばん塾で、現在、市内に住む3歳から20歳までのおよそ140人が通っています。長谷川さんは、子どもたちを家族の一員のように思い指導しています。親子2代で通う塾生もいて、長く地域の人たちに愛されています。塾には、全国大会で成績を残す実力者も多数いて、中学2年生の田中藤子さんは、去年、『全国あんざんコンクール中学校2年生の部』で日本一に輝きました。

田中藤子
さん

全国にいるいろんな人と競ったり自分の高みを目指したりできるところがおもしろいかなと思います。結果がでないときはつらいけれど、たくさん練習して乗り越えてきたから強くなれたと思います。

長谷川
雅子さん

繰り返し練習していくなかで忍耐力・集中力・やり遂げる力など精神的なものが鍛えられます。珠算を通して、段がとれたとか技術の向上以上に子どもたち一人一人の心の成長につなげていきたいです。それは自分自身がこれまでの経験を通して自分の生きる力になり、今日に至るまでの人生を越えてきたからです。生きる力をつけるには、限界を超えた練習や最後までやり遂げる練習が大切です。また、仲間たちとのコミュニケーションの中で学べることがたくさんあります。

おそろいの鉢巻きで気合十分
練習が終わってお菓子のつかみどりの時間も

そろばんの道を歩む思い

父 数幸さん

長谷川さんは、父親が営むそろばん塾で6歳の頃から習い始めました。高校生のとき、福岡県代表として全国大会に出場。遊びたい気持ちを我慢して、練習に明け暮れました。

目標があるがゆえに頑張らないといけないという気持ちがあったので、逃げ出したいと思いつつも逃げ出さない自分がいましたね。葛藤しながらも努力し練習する毎日でした。

23歳で、結婚を機にいったんそろばんの道を離れましたが、その4年後、父親が病に倒れそろばん塾を継ぐことを決断しました。

父が余命何か月と聞いたときに、生きているときにしか親孝行できないと思ったので。今しかないと。すごく勇気というか決断がいりました。

子どもたちの成長が喜び

子どもたちをどう指導したらいいのか試行錯誤の日々。
心の支えになったのは成長する子どもたちの姿でした。

子どもから送られた手紙は長谷川さんの宝物 

試験に向けて特訓したいと母親にないしょで子どもから送られた手紙は、長谷川さんにとって宝物になっています。

検定試験ですごく悪い点数で本人も本当に落ち込んでですね。毎日行きますから先生お願いしますという切実なこの子の気持ちがすごく痛いほど伝わってですね。どうにかして必ずこの子に十段をとらせてあげようって、一生懸命、教えるほうと教わるほうと。

小学6年生 檜垣綜一くん

手紙を送った、檜垣綜一くんは、塾に6年間通い続けています。発達の障害があり、最初は、指を動かせなかったり、落ち着くことができなかったりしたときもあったといいます。長谷川さんとの特訓のすえ、4年生のときに、暗算の最高位となる十段をとることができました。

檜垣綜一
くん

とても厳しく信頼できる先生です。みんなに一生懸命頑張ってくれるところと、時々おもしろいことを言ってくれるところが好きです。そろばんを続けながら勉強し、僕は獣医さんになりたいです。人間と動物が仲よく一緒に暮らせる世界にしたいです。

母  
磨祐美
さん

勝負の世界がすごく苦手な子なので毎日のように泣いてしまったり突然走りだしたりして大変でした。今ではそうなってしまう自分の心を分析するようになり落ち着いてできるようになっていると思います。そういう日々の子どもの成長していく姿をみるとこちらの方が元気をもらえます。

長谷川さんはこれからも、子どもたちの成長を一心に見守り続けます。

一緒に子育てを自分はするつもりで指導していますので、本当に子どもたちの成長が私にとっていちばんの力になったり喜びになったりしています。将来いろんなことを越える力がついていろんなことを乗り越えて幸せな人生を送ってほしい。



 

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