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北九州ラヴァーズ#18藤田一成さん/造園家

――庭作りで街に笑顔を
  • 2023年09月05日

藤田一成さん
造園家。北九州市を拠点に庭作りや公園の施工などを手がけています。                                 

小倉城庭園の美しさのために

池の水を抜いて清掃
サツキツツジをせんていする藤田さん

藤田さんは、北九州市の観光名所 小倉城庭園の維持管理を担当しています。現場監督として、スタッフとともに毎週定期的に木々の手入れをしています。8月中旬には、3日間かけて、池の水を抜いて砂利の泥を洗い落としたりごみを取り除いたりしました。

池を持つ庭は北九州市内でもなかなかなくて、池の周りを歩いて庭の美しさを楽しむのが小倉城庭園の売りです。池を生かした風情にしたり水質をきれいにしたり、こだわって手入れしています。海外からの観光客も多いので、しっかり日本の庭の美しさはこうなんだっていうのを見てもらえたらうれしいと思います。

清掃後の美しい小倉城庭園

大学卒業後進んだ造園業の道

祖父 健市さんと藤田さん

祖父の代から続く造園業の家庭に生まれ育った藤田さん。幼いころはこの仕事に関心がなかったといいます。しかし、大学卒業後進んだのは造園業の道街の魅力づくりにつなげたいという思いからでした。

父親からは「造園業に就く必要はないぞ。やりたいことをやれ」とずっと言われてきたので、造園業に自分が就くとは正直思っていませんでした。就職も実際何社か決まっていましたが、いろいろ考えてみると造園業を通して都市開発ができるんじゃないかなと思えたので。

人々の笑顔がいちばんのやりがい

藤田さんは、個人宅の庭作りも手がけています。

藤田さんが手がけた庭

こちらは、藤田さんが手がけた庭です。依頼者から「玄関先が殺風景なので、アメリカ・カリフォルニア州の雰囲気を感じさせる庭にしたい」という相談を受け、5か月間かけて作りました。石や植物選びに奔走したり、植物の植えかたや石組みなどに徹底的にこだわったりしました

この石は鉄分を持っているのでだんだんとさびて茶色く黄色くなります。それがこの石の美しさです。探し回ってなんとかこの石を見つけることができました。自然界が作ったような石の荒々しさを表現できるように石組みをしていきました。植物には顔があるので いちばんきれいな角度で見てもらえるように、全体のバランスを考えて植え付けています。

庭を作る前の駐車場スペース
依頼者
西村忠さん

殺風景な感じがずっとしていたので、ようやく命が吹き込まれた感じです。正直とても気にいっています。想像以上にかっこいいものができたので感謝しています。

一千翔くん
(いちか)

この庭はかっこいいです。
鬼ごっこをして遊びたいです。

きつくて大変で汚れることばかりだけど、楽しさや達成感は造園業でしか味わえないものがすごくたくさんあると思います。自分たちが作った庭が日常生活の一部で、お客さんの私生活を少しでも光らせることができたらいちばんいいなと思います。それがいちばんやりがいかなと。

多岐にわたる仕事に挑戦

この道11年。藤田さんは、これまで、市民の憩いの場となる公園の施工などを手がけてきました。響灘緑地グリーンパークにある、100人乗りブランコの基盤整備工事や実物大の化石を再現した遊具作りを担当したことは、藤田さんにとって誇りにもなったといいます。

        100人乗りのブランコ        
提供:北九州市
基盤整備工事の様子

擁壁を作ったあとに3メートルの高さまで土を持ち上げて、しっかり強度のある地盤を作りました。これだけの土を山から持ってくるのには時間と作戦が必要でした。

実物大の化石を再現した遊具

生き物の進化を学びながら遊ぶことができます。博物館の先生たちに、恐竜の化石の大きさや骨の角度だったりを何度も確認してもらいながら、そのつど、ミリ単位で測量しながら作りました。子どもたちが登って遊ぶので強度をしっかり出しました。

ティラノサウルス
トリケラトプス

北九州の自慢であるこの公園を作れたというのはありがたいことです。お金をかけずに心が豊かになる場所がたくさんあるのは、北九州のいいところです。造園業というかたちで町づくりに携われているのはすごくいいなと思います。大人も子どもも、また自分と同じ世代の20代30代も公園を使い倒してくれるような場所を作りたいと思っています。

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