北九州市 小倉の繁華街でまた火災 現場では何が…
- 2024年04月26日
4月20日に北九州市中心部の魚町の繁華街で起きた火災。けが人はいませんでしたが、飲食店など8店舗が焼けました。この火災について、発生から鎮火までの経緯を消防隊員の証言とともに記事にまとめました。
NHK北九州放送局 記者 勝海光太朗 大倉美智子
「配管から煙が出ている」
火災があったのは4月20日土曜日。午前9時過ぎに「配管から煙が出ている」などと消防に通報がありました。その後、火は複数の建物に燃え広がりました。
消防によりますと、けが人はいませんでしたが、約350平方メートル、8店舗が焼けたということです。通報から7時間後に火はほぼ消し止められましたが、最終的な鎮火が確認されるまでには約32時間かかりました。
火災の翌日、店の様子を見に来た日本酒バーを経営する荒木純吾さんに話を聞きました。火災発生時、営業していませんでしたが店は全焼したということです。
店は全焼していて床も抜けて天井も落ちていました。気持ちはへこんでいますが、起こってしまったことはしかたがないと思っています。店を再開させたいと思っているので頑張っていきます。
通報前 店内には白い煙が・・・
焼けた店舗のひとつのうどん店で、消防に通報する直前の午前9時前に撮影された映像では、天井付近や天井裏で白い煙が確認できました。
うどん店の従業員ー
電気が埋め込まれているその隙間とかから煙が出てきました。
営業をストップして、その後通報しました。
うどん店の従業員によると、到着した消防と状況を確認し外に出たところで爆発音がしたといいます。火が出たのはうどん店の調理場ではなかったので原因が分からないということです。
焼けた別の店舗の関係者によりますと被害が大きかった建物は1つの屋根の下に独立した複数の飲食店が入る構造だったということです。
北九州市では今回の火災を受けて4月22日から市役所に相談窓口を設置していて、被災した店舗への支援を行うことにしています。
小倉北区魚町で相次ぐ火災
小倉北区の魚町では、この2年間で大規模な火災が相次いでいます。
今回の現場から南に150メートル余り離れた場所にある「旦過市場」ではおととし2度の火災が発生。さらにことし1月には北に200メートルほど離れた「鳥町食道街」一帯でも大規模な火災が起き、36店舗が焼損しました。
消火指揮した消防隊員の証言
火災の当時の状況などについて、現場で消火活動の指揮にあたった小倉北消防署の梶原勝幸 副大隊長に話を聞きました。
ー今回の火災の特徴は
現場到着時に煙が少なかったことと、古い木造の建物が密集していて、延焼拡大スピードが速かったことの2点が上げられます。消防が到着した時には、白煙が若干漂っている程度でしたが、20分から30分ほどで煙が黒色に変わって、量が増えて火が上がったような感じでした。
ー出火原因は
出火原因はいろいろな観点から慎重に調査を進めている段階です。調査ではダクトに変形や変色は認められませんでしたのでダクトから出火した可能性は低いと考えています。また、調理中の失火など人的な要因が推認されることは発見できていません。
ー漏電やトラッキングの可能性は
それも含めての調査を慎重に進めています。
ー火元の建物は
火元の建物も調査中です。ただ私が現場で見たのは全体というイメージが強いです。全体的に煙も一気に出だしたので。
ー焼損した建物の構造は
木造の2階建ての建物です。トタン屋根、トタンの壁の建物が確認できました。
ー火の燃え移り方と消火活動について
木造が密集する地域でトタン屋根、トタンの壁だったので火が上に上がらず、横に広がって延焼していったと思います。トタンは火が抜けにくいのです。
旦過市場や鳥町食道街の火災のように、放水してもトタン板に水が遮られて可燃物に水が浸透しない状態だったので継続した放水で冷却する活動になりました。また壁と屋根が崩落する危険があったので、なかなか屋内に侵入することができず、鎮火までに時間を要しました。
ー旦過市場や鳥町食道街の火災との違いは
しいて言えば木造の建物の数が少なかったことがあげられると思います。木造の建物の数が少なくて、耐火の建物がそのまわりにあったということが、火事の焼損店舗を8店舗ほどに抑えられた要因だと思います。
ー今後の活動は
小倉北区では何度も大火が発生しています。私たちも全力で原因究明に努めていますので、市民の皆様は基本的な防火対策をしていただければと思います。
防火対策の徹底を
北九州市消防局は今回の火災を受けて「引き続き防火指導員による防火指導や、地域で行われる訓練の後押しなどに取り組み、市民の防火意識を高めていく」としています。出火原因の究明が待たれますが、あらゆる可能性を念頭に火災予防の取り組みを改めて徹底する必要がありそうです。