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北九州ラヴァーズ #1 岡崎友則さん/グラフィックデザイナー

――街とデザインを愛して
  • 2023年04月12日

北九州を愛する人たちの思いや活動を伝えるショートドキュメンタリー「北九州ラヴァーズ」
#1はグラフィックデザイナーの岡崎友則さんを取材しました。(4月5日放送)

岡崎友則さん (おかざき・とものり) 
1978年生まれ。北九州市門司区出身。WEBデザイン会社などを経て2006年に独立。扱うデザインはロゴマーク、パンフレット、ポスター、パッケージ、ウェブサイトなど幅広い。趣味は街を歩きながら気になるデザインの看板や建物を見つけること。

岡崎さんが手がけたデザイン
左:北九州市を代表する夏祭りのポスター
右:地元航空会社のイベントの広告
市民になじみ深い施設に関わる仕事も多い。
目指すのは地域の中に溶け込むデザイン。

 

J:COM北九州芸術劇場のポスター
劇場周辺の地図。電子回路にも見える。
劇場バックヤードなどの写真がコラージュされている。

北九州に根差すグラフィックデザイナー

――グラフィックデザイナーとしてのキャリアは20年以上ある岡崎さんですが、ずっと北九州で活動しています。ほかの都市ではなく北九州を選んだのはどうしてですか?

 北九州のほうが「味があっていいな」って思うんですよね。新しくできたおしゃれなカフェよりも昔からある居酒屋に行きたいみたいな性格なので。
 それに北九州は街の規模もちょうどいいんです。仕事を生み出せるかどうかはデザイナーの実力が問われますが、自分のデザインが市民の目にふれやすい気がします。自分のデザインが世に出やすいっていう感覚はモチベーションにつながっていますね。

事務所は小倉北区。
スタッフは1人。依頼は原則すべて岡崎さんが対応する。
常に複数のプロジェクトを同時並行で進めている。

看板職人への憧れ 

――グラフィックデザイナーを志したきっかけはなんですか?

 子どもの頃から看板が好きだったんです。小学校の卒業文集には「看板職人になりたい」って書いていました。
 今はもう見られませんけど、僕が子どものころは映画館の入り口に掲げてある看板は手描きでした。手描きだということを初めて知った時、「そういうお仕事があるんだ!」ってびっくりしたんです。絵を描いて生活できるのって、画家とかアーティストだけだと思っていたんで。地域に必要とされる絵を書く人がちゃんと身近にいて、お仕事になっている。そのことに感動した気がします。
 いま、グラフィックデザイナーという看板職人にもちょっと近いようなお仕事ができているので、ロゴマークを作ったり文字を作ったりしている時はやっぱり楽しいですね。一番集中しているかもしれません。

小学生のころの岡崎さん。絵を描くのが上手だった。

デザインのヒントは街中に

――街歩きが趣味だということですが、どんなところが楽しいですか?
 
 街歩きは街中に事務所を構えて以来続けています。面白い看板を探したり、出られないところに扉がある3階建ての建物を見て理由を考えたり。息抜きになっていますね。
 北九州の街はデザイナーにとってけっこう刺激的だと思うんです。看板や建物に昔からあるデザインが残っている。ごちゃごちゃした、洗練されていない良さを感じます。
 人やモノの入れ代わりが早い街はデザインもどんどん入れ代わっていきますから、古いデザインが残っているのは貴重です。そういう意味では北九州の街には宝物がたくさん散らばっているんじゃないかなと思います。

気になるデザインを見つけたら写真で記録しておく。

――街歩きで得たヒントが自分のデザインに生きることはありますか?

 たとえば古い看板の文字。看板職人の手書き文字は、パソコンに入っている書体の中にはありません。昔の職人が書いたトメ・ハネ・ハライのニュアンスを自分なりにデザインで再現することがときどきあります。
 それに昔のデザインには「なんでこんなふうに字間を空けるんだろう」とか「なんでこんな形なんだろう」っていうひっかかりを感じることもあって、それが魅力です。
 自分のデザインにもあえてちょっと変なところを作って、見た人に突っ込んでもらうのを狙うことがあります。そこがフックになることで、より広告としての機能を果たせるのではないかと思っています。

街中の看板
風景イラストのシリーズ「小倉グラフィック」
街の観察から生まれた岡崎さんの代表作。
ちょっとマイナーな地元の風景を優しいタッチで描き注目された。

旦過市場への思い

――旦過市場の火災からまもなく1年です。岡崎さんは市場の復興支援に力を入れていますが、旦過市場にはどんな思い入れがありますか?

 旦過市場は大好きな場所です。ふだんから買い物にも使ってきたし、新旦過横丁にはしょっちゅう飲みに行っていました。だから去年火災が起きた時は、すぐに何かやらなきゃいけないなと思いました。 
 自分がデザインしたロゴマークがチャリティーTシャツになったりもしたんですが、僕が具体的に取り組んだのは「ガチャリティ」(売り上げが寄付金になるカプセルおもちゃ)です。カプセルの中身は旦過市場のイラストをデザインした缶バッジにしました。いろんな作家さんのイラストがあると面白いかなと思って、リリー・フランキーさんや黒田征太郎さんら北九州にゆかりのある人たちに声をかけて提供してもらいました。 
 いろんな人が旦過市場に来るきっかけにしたくて、市場のちょうど真ん中あたりに設置しました。おかげさまで好評で、今は寄付金の活用方法を旦過市場の人たちと一緒に考えています。

――どんな活用をする予定ですか?
 旦過市場ににぎわいを作るイベントの開催費用に充てる計画です。今まで旦過市場に来たことがない人も気軽に来られるようなイベントを開きたいですね。楽しい仕掛けを考え中です。

去年販売されたチャリティーTシャツ
岡崎さんがデザインした旦過市場のロゴマーク。
「ガチャリティ」
旦過市場内のコーヒー店前に設置されている。
缶バッジ2個入りのカプセルが500円で出てくる。

【取材後記】
 岡崎さんと一緒に街を歩いたおかげで、ふだん目にしているはずの看板や建物にデザインの魅力が秘められていると気づきました。洗練されてないけどカッコイイ。古いけど新しい。おしゃれじゃなくてもなんか落ち着く…。一朝一夕には作れない街並みと雰囲気に、東京にも福岡にもない「北九州っぽさ」が表れているのかもしれません。そんなスタイル、生き方に憧れます。

 

  • 中川治輝

    ディレクター

    中川治輝

    看板に注目する街歩きの楽しさに目覚めました。

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