北九州ラヴァーズ＃15森貴志さん/戸畑祇園大山笠 病を乗り越え

戸畑祇園大山笠の魅力とは？

山笠にタイヤがついてないので担いでいくこと。それと山笠が、昼は「幟（のぼり）大山笠」、夜は「提灯（ちょうちん）大山笠」に姿を変えること。「提灯（ちょうちん）大山笠」はすべてろうそくを使っています。各地域お囃子のリズムも違いますし、あとは神社の祭りなので神事もすごく大事にしていて、ものすごく魅力だらけの祭りだと思っています。自分たちが一生懸命守っている祭りは、どこにも負けないという気持ちはずっと持っています。毎年、戸畑祇園の時期になる５月から７月まで祭り一色で、生活の一部になっています。出店とかにいって友達と遊びたいと思うときもありましたけど、山笠が運行している姿を見たらすごく気持ちが高ぶるんでやっぱり好きなんでしょうね。祭りに参加すると帰る時間が遅くなり家のことなどほったらかしになるので、嫁さんには感謝していますね。

森さんは大病を患われたそうですが、大きな励みになった存在とは？

２０１８年１１月、白血病になりました。この年で死ぬのかなという恐怖感がありました。抗がん剤治療を始めて、髪の毛が抜け落ちたり口の中の皮が全部むけて味覚障害になったりしました。抗がん剤治療をするたびにどんどん体重が落ち１０キロ以上減りました。入退院を繰り返していたときに、山笠の仲間たちが千羽鶴を折ってくれて、もらったときには泣きそうになりました。闘病中、家族が帰ったあとは病院に独りぼっち。病室に千羽鶴を飾っていたら、みんなが待ってくれているという気持ちをすごく感じられました。治療を頑張って退院しなければならないと励みになりました。千羽鶴は一生の宝物で、これを見るたびに、先輩がたや若い子たちに恩返しをしないといけないという気持ちになります。

今回初めて参加します。先輩がたにできるだけ迷惑をかけないように動きたいと思っています。先輩がたは優しいですけど、怒るときはちゃんと怒ってくれます。愛のある怒り方だと思います。森総監督は優しく接してくれています。りりしくて、立っている姿を見てもかっこいいと思います。

森総監督には高校生のときから２０年以上かわいがってもらっています。自分たちの気持ちをいちばん分かってくれている総監督だなと思うし、その点でものすごく相談しやすいです。若手一同でしっかり団結して最後まで頑張りたいなと思っています。

下の子が困っていれば僕たちが助けますし、下の子が間違った行動をすれば指導します。逆に上のお兄さんたちも、僕たちが間違っていれば指導してくれますし、やはり家族っていう言葉がいちばん合うかなと思います。戸畑の方みんなとこの戸畑祇園を盛り上げて、さらなる発展をしていければと思います。