文研ブログ

調査あれこれ

調査あれこれ 2016年10月28日 (金)

#50 増えるか、"料理男子"

世論調査部(社会調査) 政木みき

「うちの息子、おままごとで、ご飯を作るパパの役をやっているらしいの」
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―子どもの保育園時代、“ママ友”から聞いた話です。そのお宅では、朝食作りはパパの担当だそうで、息子さんもその父親像に影響を受けているんだとか。共働きで子育て中のママにとって、夫との家事分担は、日々の切実な問題です。それだけに、男の子が料理をするという、イマドキのままごとのエピソードは、とても感慨深いものでした。

実際、料理をする男性は増えているのでしょうか。みなさんの周りではいかがでしょう?
今年NHKが全国の16歳以上の人を対象に行った「食生活に関する世論調査」の結果をみると、男性の49%が、ふだん自宅で料理を「まったくしていない」と答えました。最近では、男性タレントが料理の腕を振るう番組が人気を集めたり、“弁当男子”なる言葉もはやったりしていますが、男性の半数が料理をしていない状況、実は10年前から変わっていないんです。


◆共働きでも6割が、食事作りは“妻任せ”
夫婦での食事作りの分担もあまり行われていません。「ふだん自宅で食事を作る」のが「妻だけ」という既婚男性は、片働き世帯で76%、共働き世帯で61%と、共働きでも多数が“妻任せ”です。「妻」と「自分」で分担して作ると答えた既婚男性は、片働き・共働き世帯ともに2割弱にとどまりました。


◆料理する男性は増える?
50-1028-2.png料理における男性の活躍を期待する身としては、やや残念な結果が並びましたが、調査からは、 “料理男子”が増えそうな兆しもみてとれました。
一人暮らしの男性では84%もの人が料理をしていますし、10年前と比べ、中高年男性では料理を「いつもしている」人がじわりと増えています。背景には、結婚していない人や一人暮らしの増加があるようです。今後、単身世帯はさらに増えると予測されていますが、こうした社会の変化によって、料理をする男性はもっと増えるかもしれません。

男性が料理をするかどうかについては、子ども時代に親に料理を教わったかどうか、といった“教育の効果”と関係がありそうなこともわかりました。
そこで期待できるのは、若い男性たちです。1990年代に中学・高校で男女必修となった家庭科で料理を習った世代で、子どものころ親から料理を教わったという人が多くいます。共働き家庭や単身世帯が増えれば、自炊できることが、男女を問わず大切になっていきます。こうした若い男性が、料理をする男性のすそ野を広げるのか、興味深いところです。

冒頭の男の子のお父さんは、平日は仕事で帰宅が遅く、子どもとのコミュニケーションの時間を確保する目的で、朝食作りを始めたそうです。男性がもっと料理ができるようになるためには、深刻な長時間労働を見直すなど、根本的に解決すべき課題もありますが、このお父さんのように、“必要に迫られて”ということではなく、家族を喜ばせたり、楽しく食事をしたいという思いで料理に関わる男性がもっと増えるといいな、と今回の分析を通じて感じました。

「放送研究と調査」10月号と、来週火曜日に刊行する11月号に連載の「食生活に関する世論調査」の報告では、さらに詳しい内容や、一人暮らしのお年寄りで広がる“孤食”の実態など、日本人の食の今を様々に読み解いています。ぜひご覧ください。

調査あれこれ 2016年10月07日 (金)

#47 幼児はどんな番組や動画を見ているのでしょうか?

世論調査部(視聴者調査) 星 暁子

小さいころ、教育テレビ(2011年からEテレと呼ぶようになりました)をご覧になっていましたか? お気に入りの番組はありましたか?
文研では、毎年6月に、2~6歳の幼児を対象に「幼児視聴率調査」を実施しています。今年の結果では、1週間に15分以上Eテレを見た人(週間接触者率)は72.8%でした。昨今、「テレビ離れ」「NHK離れ」などと話題になることがありますが、小さい子はEテレを見てくれているんだと、NHKに勤める身としてはちょっとだけホッとする数字です。

この調査では、 テレビ視聴と録画番組・DVDの利用状況のほかに、自由記述のかたちで、“お子様がお気に入りの「録画番組」、「DVD」、「インターネット動画」”をそれぞれ書いてもらいましたので、きょうはその一部をご紹介したいと思います。

お気に入りの「録画番組」「DVD」には、Eテレの番組をはじめ、民放の人気アニメ番組や、ディズニーやジブリの映画など、大人でもよく知っている映像の名前がたくさん挙がっていました。
一方で、お気に入りの「インターネット動画」では、「アニメ」や「乗り物の動画」、「おもちゃを紹介する動画」のほか、タレントなどではない一般のお子さんの日常生活や、おもちゃで遊んでいる様子を撮った動画(「○○チャンネル」などとそのお子さんの名前が冠されているような動画)がいくつも挙がりました。

この「○○チャンネル」などの動画をいくつか見てみたのですが、私には正直のところ面白さがよくわかりませんでした…。ですが、周囲の小さい子がいるお母さん数人に聞いてみると、子どもはこういう動画が好きで、見始めるとじーっと見ているんだそうです。子どもは、年が近いと親近感を覚えるのかもしれません。

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同じく自由に記述してもらった「4月以降のNHK幼児番組についての意見・要望」からは、親は家事をしながら、幼稚園・保育園に出かける身支度をさせながら、という状況でテレビを見せている様子がうかがえました。毎日の生活に組み込まれているので、とても親しみを持っているけれど、子どもが熱中しすぎたり、家庭の生活時間と合わなかったりすると困るようです。

「英語番組を増やしてほしい」、「教養が身に付く番組をこれからも続けて」とか、「片付けができなかったり騒がしかったりするキャラクターが出る番組は、まねをされると困るので見せない」などのほか、「最近タブレットでYouTube動画をひたすら見ています。子どもをタブレットから離れさせるくらいの魅力的な番組をぜひお願いします」といった回答があり、子どもはインターネット動画も楽しんで見るけれど、親としては、「ためになる」「見せたくなる」「安心して見せられる」番組をEテレに放送してほしいと期待してくれているのかな、と思いました。

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幼児にテレビはどのくらいの時間見られているのか、最も見られている番組は何か、録画番組やDVD利用の状況…などの詳細な結果は、「放送研究と調査」11月号(11/1刊行予定)でお読みいただければ幸いです。
あなたが小さいころお気に入りだった番組が、今も小さい子たちに親しまれているかもしれません。

調査あれこれ 2016年09月16日 (金)

#44 全国放送キャスターと地域放送キャスターでは求められるものが違う?

メディア研究部(番組研究) 菅中雄一郎

NHK放送文化研究所では、2006年から地域放送局が制作しているさまざまな番組について視聴者意向調査を行い、結果を地域放送向上のために活用しています。このうち昨年度実施した四国地方の調査で、ニュースキャスターに関する興味深いデータが得られたので、ご紹介します。

調査は、四国の愛媛・高知の2県で夕方に放送されているローカルニュース番組への視聴者の番組印象や評価をウエブ・アンケート調査で探りました。番組キャスターへの評価を尋ねる質問の中で、「全国放送ニュースキャスターの魅力と、地域放送ニュースキャスターの魅力」について聞きました。その結果が下のグラフです。

■全国放送/地域放送ニュースキャスターの魅力
 (愛媛県・高知県の調査回答者/複数回答)
   ※NHKを含む全放送局のキャスター対象:番組は特定せず
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(クリックすると大きなサイズで表示されます)

全国放送のニュースキャスターでは、「アナウンスの正確さ」「コメントの上手さ」「安心感」「はっきりものをいう」「番組進行の上手さ」などが30%を超えており、視聴者がキャスターの“技術的な要素”を魅力と感じている傾向がうかがえます。一方、地域放送のニュースキャスターでは、「慣れ親しんだ感」「気さくさ」「親近感」「庶民的なところ」「一生懸命さ」などが25%を超えており、総じてキャスターの“情緒的な要素”を魅力と感じている傾向がうかがえます。
この違いは、どのような要因から生じるものなのでしょうか。「好きな地域放送キャスターの理由」を聞いた自由回答からヒントを探ってみましょう。
「新人の頃から毎日見聞きして、ほとんど親のような気持ち」(男性60代)
「実際に近所でお会いして、庶民的な対応と人柄に触れて好きになった」(女性30代)
「かわいいけどはっきりものを言うところが同郷人らしく好感をもてる」(男性50代)
「時々、方言でしゃべってくれるので、見ていて親しみやすいイメージ」(女性40代)
テレビで眺めているだけの全国ニュースキャスターと比べて、「街を歩いていたら会ってしまうかもしれない物理的な距離の近さ」や、「長年慣れ親しんできた心理的な距離の近さ」が、“地域ニュースキャスターならではの魅力”を醸成していることがうかがえます。

では地域ニュースキャスターには情緒的な面だけで、技術的な面は期待されていないのでしょうか。実はそうではありません。地域放送キャスターに対する自由回答の中で最も多いのが、「発声、原稿読みの正確さ、コメント」などに対する厳しい意見なのです。キャスターとしてのしっかりした技術のベースがあった上での「親しみやすさ」が求められていることが分かります。さらに地域ニュースキャスターに求められるのが「伝える工夫」です。地域では毎日大きな話題がある訳ではありません。地味だけど大切なニュースを、いかに分かりやすくかみ砕いて、視聴者に関心を持って見てもらえるかが、地域放送ニュースキャスターの腕の見せどころでもあります。同じニュースでも、「○○キャスターが伝えるから」という理由で特定の番組を見ている視聴者が多いことも調査結果から見えてきました。

ふだん、何の気なしに見ているニュース番組。時間があるときにでも、是非、全国放送のキャスターと、地域放送のキャスターを見比べてみてはいかがでしょうか。きっと、ここでご紹介したこと以外にもいろいろなことが見えてくるはずです。

調査あれこれ 2016年09月02日 (金)

#42 朝ドラ今世紀最高視聴率を獲得した『あさが来た』は視聴者にどのように受けとめられたのか

メディア研究部(番組研究) 二瓶 亙

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近年、テレビドラマの視聴率が振るわないと言われる中で、NHKの連続テレビ小説(通称・朝ドラ)は視聴率好調です。朝ドラは、2010年上半期放送の『ゲゲゲの女房』(番組全回平均視聴率18.6% *1))以降視聴率が上昇傾向にあり、2015年度下半期に放送した『あさが来た』(2015年9月28日(月)~2016年4月2日(土)放送)では番組全回平均視聴率が23.5%に達し、朝ドラとしては今世紀になって最高の視聴率を獲得しました *2)
視聴者は『あさが来た』を見てどのように感じていたのでしょうか。
文研では、朝ドラ研究プロジェクトを立ち上げ、実際にその作品を見ている視聴者の番組印象や評価を、量的調査(WEB調査)と質的調査(グループインタビュー)を通して探る定期的調査を、2015年度上半期放送の『まれ』から開始しています。朝ドラの好調要因を明らかにすることを通して、高度情報化社会が進展する中でも多くの人に見てもらえるテレビ番組のヒントを得ることを目指しています。
この定期的調査の2作品目に当たる『あさが来た』の調査結果がまとまりましたので、『放送研究と調査』9月号に「朝ドラ研究」連続テレビ小説『あさが来た』はどのように見られたか~視聴者調査から見た特徴と成功の要因】として掲載しました。

突然ですが、ここでクイズです。


朝ドラ研究プロジェクトでは、『まれ』『あさが来た』『とと姉ちゃん』について、各作品を比較的良く見ている人に100点満点で点数をつけてもらっています。次の点数はそれぞれどの作品の点数でしょうか。

①    86点    ② 81点    ③ 69点




答えは…
①    86点=『あさが来た』
②    81点=『とと姉ちゃん』…放送期間の中盤である7月下旬時点での調査の結果
③    69点=『まれ』 *3)
です。みなさんの評価と一致していたでしょうか。

『あさが来た』は、90点以上をつけた人が回答者の過半数を占め、大変高い評価をする人が多い作品でした。調査では、評価の理由や良かった点・良くなかった点、番組のイメージ、印象に残った登場人物などについても聞いています。その中には意外な指摘も…。詳しくは本文にて。

現在放送中の『とと姉ちゃん』も『あさが来た』と同様に、実在の人物をモデルにしたドラマです。はたして、最終的に『あさが来た』と同じように高い評価を得ることができるでしょうか。『あさが来た』の調査結果を読んでいただくと、似ているようで大きく違う『とと姉ちゃん』の特徴もよりはっきりと感じていただけるのではないかと思います。
『放送研究と調査』9月号【「朝ドラ研究」連続テレビ小説『あさが来た』はどのように見られたか~視聴者調査から見た特徴と成功の要因】をぜひご一読ください。


(注)
*1)    視聴率データは、以降すべてビデオリサーチ社関東地区の世帯視聴率です。
*2)    それまでの今世紀最高視聴率は2002年度上半期放送の『さくら』23.3%でした。
*3)    『まれ』の調査結果については、『放送研究と調査』2016年3月号4月号【「朝ドラ研究」最近好調な「朝ドラ」を、視聴者はどのように見ているか】をご覧ください。

 

調査あれこれ 2016年08月26日 (金)

#41 「シン・ゴジラ」を見て考えた「テレビ」の今

世論調査部(視聴者調査) 保髙隆之

いきなり私事で恐縮ですが、いま話題の映画「シン・ゴジラ」を仕事帰りに見ました。
公開初日でしたが、客の入りは半分ほど。ただ、上映終了後に出口へ向かう観客たちが熱く感想を語り合っていて、他の映画とは何かが違うぞ、と感じました。その後、週末の観客動員が公開後2週連続でトップ、累計興行収入が45億円を超える大ヒットとなっています(8月21日現在)。客層も私のようにゴジラ映画に親しんでいた中年男性だけではなく、子どもの頃に見た記憶はあっても離れてしまった若年層や女性にも広がりを見せているそうです。公開前には「ゴジラは若い観客にとって既に過去のものでは」という冷めた声もあったようですが、それを覆したのが、封切直後にSNSで爆発的に拡散した観客の評価だったとネットニュース上で話題になっています(もちろん、作品の力があればこそですが)。

知名度抜群の「怪物」ゴジラでさえ、SNSという現代の口コミネットワークなしでは、映画を見るという行動の導火線に簡単に火をつけられない。しかし、いったん点火すれば、関係者の予想を超えるような勢いで爆発の連鎖が起こる。そんな往年の大怪獣が新しい形で暴れまわる姿に私が重ね合わせたのは現在の「テレビ」でした。

文研では今年、20代を対象にグループインタビューを行いました。目的は、若年層のテレビの「リアルタイム視聴」と「録画再生」、「(ネット)動画利用」の使い分けの実態を知り、巷で言われている「テレビ離れ」の背景に迫ることでした。調査を通じて強く私の印象に残ったのはテレビとの接点の変化です。調査に協力して下さった20代の皆さんにとって、テレビを見るきっかけは、コンテンツとしての魅力よりも、それが世間でどう受け止められたか、というツイッターやYahoo! ニュースなどでの反響でした。そのため、話題になった番組のポイントだけを後から確認できれば十分で、YouTubeなどで番組の一部が切り出された動画を「つまみぐい」している様子が浮かび上がりました。また、一人暮らしをするタイミングでテレビを買わなかった、という人も少なくありません。若年層で想像以上にテレビとの接点がなくなっている現状は、「テレビっ子」だった40代の私にとって衝撃でした。

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   テレビの代わりにタブレットで動画を見る若者

一方で、話を掘り下げていくと、彼(彼女)らはテレビ番組を潜在的に好きなことも伝わってきました。送り手であるテレビ局と、受け手である若い視聴者の求めるものが今はズレていても、「シン・ゴジラ」のように新たな経路を通じて合致させることができれば、再び爆発的な広がりを実現できるかも知れない。そんな希望も(放送に携わる者として)感じました。今回のグループインタビューの詳しい報告は、
「放送研究と調査」8月号に掲載されています。是非、ご一読ください!

調査あれこれ 2016年07月08日 (金)

#34 日本人は、やはりカレーなのだ!

世論調査部(社会調査)村田ひろ子

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カレーと魚が2大好物
好きな料理は何ですか?と聞かれたら、どんな料理を思い浮かべますか?
文研が今春行った食生活に関する世論調査で、好きな料理の名前を、3つまで自由に挙げてもらったところ、最も多かったのは「カレーライス」の20%でした。このほか上位にあがったのは、「焼き魚」16%、「焼き肉・鉄板焼き」15%などです。魚離れが言われるようになって久しいですが、焼き魚や煮魚といった魚料理を挙げた人も多くいます。

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加齢(カレー)”とともに減る“カレー”派
それでは、性別や年齢によって好きな料理に違いはあるのでしょうか?全体の結果で上位に挙がったカレーライスと魚料理について詳しくみていきます。
魚料理については、性別で大きな差はありません。その一方でカレーライスが好きという人は、男性で25%となっていて女性の16%を上回っています。
男女年層別にみると、男性では50代以下でカレーライスを挙げた人が3割前後に上る一方で、60代以上の高齢層では魚料理を好む人が多く2割から3割台となっています。女性についても、若い人はカレーライスを好み、年齢が上がるほど魚料理が好きな人が多くなる傾向があります。男女ともに50代から60代にかけて、カレー派と魚派の割合が逆転し、“加齢カレー”とともに、“カレー”派が少なくなる傾向があります。

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少し前に、カレーに含まれるターメリックというスパイスが、ストレス解消に役に立つとインターネットで話題になっていました。働き盛りの若年・中年層を中心にカレーが人気を集めているのは、ひょっとしてカレーがストレス解消に役に立つからなのかもしれません。
このブログを読んで、カレーが食べたくなってきたあなた、ストレスがたまっているのかも?!
「食生活に関する世論調査」結果の詳細は、毎月発行している「放送研究と調査」に掲載予定です。どうぞお楽しみに。

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調査あれこれ 2016年07月01日 (金)

#33 幼稚園で利用されるメディアとは?

メディア研究部 (番組研究)小平さち子

1959年放送開始の『おかあさんといっしょ』は、3世代に親しまれてきた幼児向け番組ですが、それより前に、幼児向けテレビ番組の定時放送が始まっていたことをご存じでしょうか。1956年に、幼稚園・保育所向けの番組として、
『人形劇』『みんないっしょに』の2番組が登場していました。
1953年のテレビ放送開始から間もない時点から、家庭での視聴だけでなく、幼稚園や保育所という保育の場で、保育者の指導の下に、幼児たちが集団で視聴することを想定して、放送が行われてきたことは、世界的にも珍しいといえます。

このような背景もあって、文研では、テレビやパソコンなどの機器の普及や、NHKのテレビ・ラジオ教育番組をはじめとするさまざまなメディアの利用の様子を調べる全国調査を、1950年代から行ってきました。
最近では、2015年10月から12月にかけて「幼稚園におけるメディア利用と意識に関する調査」を実施しました。

早い段階で普及していたテレビや録画機器に加えて、パソコンやインターネット接続環境も一定程度整ってきたことや、デジタルカメラ・デジタルビデオカメラも9割を超える幼稚園が保有していることが、明らかになりました。 
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実際に保育の場で使われているメディアとしては、「絵本・物語本」「紙芝居」「図鑑」などの印刷メディアと、「CD教材」といった音声メディアの占める位置づけが大きいのが特徴です。特に「絵本・物語本」は、全国の幼稚園の9割が、毎日利用していることが、調査の結果に表れています。


NHKの幼児向け番組は、放送番組としての利用だけでなく、ビデオ・DVD教材CD教材といった形でも利用されています。さらに、番組に関連した楽譜や絵本、テキスト等の印刷物を利用している幼稚園もあります。全国の幼稚園の3分の2が、何らかの形でNHKの教育サービスを利用しています。

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現在、小学校以上の教育では、ICTの積極的な活用が国の施策として推進されていますが、その枠組みに含まれていない幼稚園では、パソコンやタブレット端末を保育の場に取り入れ、幼児に触れさせることについては、全般に慎重な傾向がみられます。しかしながら、タブレット端末等の新しいメディアを活用した成果を発表する幼稚園も登場し始めていますし、20代・30代の若い保育者たちの間では、パソコンやタブレット端末を、今後利用してみたいという関心もみられます。


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今回の調査では、全国の幼稚園の各種メディア利用実態のほか、幼稚園のメディア利用観や、若手保育者のメディア利用経験と利用関心についても、細かく調べています。調査の結果は、NHK幼児向けテレビ番組の年表とともに、『放送研究と調査』7月号に掲載されています。
(ウェブ上では、8月に文研ホームページで全文を公開します。)

※また、幼稚園・保育所から高等学校までを対象に、1950年から60年余、定期的に文研が実施してきた「NHK全国学校放送利用状況調査」の結果を総合的に分析した論文も、『NHK放送文化研究所年報2014』に発表しており、ホームページで全文公開されています。ご関心がおありでしたら、併せてお目通しください。
 上記の論文はこちらから。
 

調査あれこれ 2016年06月24日 (金)

#32 最近の中学校の教室の様子、ご存じですか?

メディア研究部(番組研究)宇治橋祐之

最近の中学校の教室の様子、ご存じですか?中学生の子どもがいる方以外は、自分が中学生のころの教室のイメージのままかもしれませんね。

文研では、学校にテレビやパソコンなどの機器がどれくらいあるのか、NHKの学校放送番組などのメディアがどのように活用されているのか、長年にわたって調査を続けています(調査の結果は文研のホームページで公開しています)。
昨年10月から12月にかけては、「NHK中学校教師のメディア利用と意識に関する調査」を実施し、7割を超える全国の中学校の先生方にご回答いただきました。本当にありがとうございます。

今回の調査では理科と社会科の先生に回答をお願いしました。理科と社会科は他の教科よりNHKの学校放送番組などのメディアを利用することが多いと予想したためです。また、理科の授業は理科室中心に、社会科の授業は教室中心に行われることが多いので、場所による比較もできるのではないかと考えました。

調査の結果、理科室でも教室でも、テレビやプロジェクターが利用できる環境があると回答した先生は7割から9割、パソコンやインターネットが利用できる環境があると回答した先生は8割から9割でした。テレビで番組やDVDを再生したり、大型の画面にパソコンをつないだりして、映像を使った授業ができる環境は整ってきているようです。

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では、こうした大型の画面にはどんな映像を映しているのでしょうか?理科の先生は「NHKの学校放送番組」(45%)、「インターネット上のコンテンツ」(42%)、「自作教材」(41%)、社会科の先生は「市販のビデオ教材」(41%)、「自作教材」(35%)「NHKの学校放送番組」(30%)などの利用が多かったです。

NHKの学校放送番組は、NHK for Schoolというホームページで動画を公開しています。

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NHK for School 10min.ボックス 理科2分野 (クリックすると番組サイトへジャンプします。)

このホームページの動画を利用している先生もいるのですが、それほど多くありませんでした。調べてみると、インターネットを利用できると回答した先生の中で、「問題なく動画を視聴できる」という回答は4割程度、「時々動画をスムーズに視聴できないことがある」という回答も4割程度で、インターネットの環境はあるのだけれど、動画を見せるには十分でなく、映像を見せる際には、録画したものを見せるほうが確実だと考えている様子が見られました。

調査では、年代によるメディア活用の違いについても調べています。20代の先生はスマートフォンやタブレット端末をふだんから利用していて、インターネットの教材を使う傾向が強く、50代の先生は番組を録画したり、DVD教材を使ったりする傾向が強いこともわかりました。

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今の中学校の教室や授業の様子を少し思い浮かべていただけたでしょうか。みなさんが中学生のころと比べていかがでしょうか。この調査の報告については、
「放送研究と調査」6月号に掲載されています。
(ウェブ上では、7月に文研ホームページで全文を公開します。)

調査あれこれ 2016年05月20日 (金)

#27 子どもたちも早寝早起き

世論調査部(視聴者調査)関根智江

「朝活」という言葉が流行してから、早起きがさわやかでポジティブなイメージに変わってきたように思いませんか?
文研が5年ごとに実施している「国民生活時間調査」では、早起きの人が増える傾向は2005年からみられていましたが、最新の2015年調査では、早起きに加えて、夜に早く寝る人も増えていることがわかりました。睡眠のほか、仕事、学業、家事、テレビ視聴など、日本人の生活の変化を分析した調査結果を公表していますので、ぜひご活用ください。
 ● 『放送研究と調査』5月号「日本人の生活時間・2015」
 ● 「国民生活時間調査」詳細データ(抜粋)
今回のブログでは、初めて報告するデータも含め「小学生・中学生の生活の変化」をご紹介します。


■ 小学生・中学生も早起き、そして朝活

平日の
起床在宅率(家にいて起きている人の割合)をみると、小学生*・中学生ともに朝6~7時の起床在宅率が増加する傾向がみられます。
6:00~7:00の起床在宅率は、小学生・中学生ともこの20年で増加する一方で、7:30~8:00の起床在宅率は、小学生・中学生とも減少しています。つまり、平日の朝、子どもたちは早起きし、そして早く家を出るようになっています。0520-2222.jpg

それに合わせて、7:30~8:30に授業や学内の活動をしている人の割合は増加しており、朝の活動のスタートが早まっています。
*調査対象の年齢は10歳以上なので、小学生は学年では4~6年生です
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■ 夜は早く寝るため、睡眠時間は変わらない

子どもたちは、朝早く起きるようになった分、夜は早く寝るようになっています。
小学生では21時台、中学生では22・23時台に寝ている人(睡眠をとる人の割合)が増えています。
2015年調査では、国民全体で長期的に続いてきた睡眠時間の減少傾向が止まったことが、大きなトピックスの一つですが、子どもたちに注目してみると、小学生の平均睡眠時間は8時間40分ほど、中学生は7時間40分ほどと、この20年では大きな変化はみられません。
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■ 学業時間は脱ゆとり

平日の小学生・中学生の生活で大きな比重を占めている学業。調査では、授業・学内の活動と学校外の学習を合わせて学業としています。学業時間は小学生では’05年から’10年、中学生では’00年から’10年にかけて増加しています。’90年代にはゆとりの確保がうたわれ、学校週5日制の導入が進みましたが、2000年後半には一転、学力向上のために年間総授業時数が増えるなどの動きがありました。調査データにも、このような教育制度の変化が反映されています。

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■自由時間、特にテレビ視聴時間が減少

学業時間が増加する一方で、子どもたちがくつろいだり楽しんだり、自由に過ごせる時間が短くなっています。調査では、自分の自由裁量で行うことのできる行動を自由行動としていますが、小学生では’05年から’10年、中学生では'10年から'15年に、自由行動の時間が減少しています。
中でも、テレビ視聴時間は’05年から減少しています。
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実は私自身も二児の母なのですが、このような傾向は、我が家の子どもたちにもあてはまるような気がします。
“親の心子知らず”ということわざがありますが、調査データからは「早寝早起きし、勉強する時間を増やしている」という、まるで親の心をくみ取るような子どもたちの生活の変化がみられました。とはいえ、この変化の背景には、学業に加えて、親の生活や仕事など社会全体の変化が複雑に影響しているのだと思われます。

 

調査あれこれ 2016年05月10日 (火)

#25 データで検証 災害への備え

月報5月号「震災5年 国民と被災地の意識 「防災とエネルギーに関する世論調査・2015」から

世論調査部(社会調査)原美和子

熊本地震は先月14日の最初の震度7の地震から3週間以上が経ちましたが、いまも余震が続き、1万3千人近くの人が避難しています。今回のブログは、文研が昨年行った地震や災害に関する世論調査についてご紹介します。

東日本大震災の発生から今年3月で5年となるのを前に、文研では昨年(2015年)12月、世論調査を実施し、震災発生前と比べた暮らしの変化、災害に対する意識や備え、それから原発に対する人びとの考えなどを調べました。

同様の調査は、2011年、2013年にも全国を対象に実施していて、震災から時を経る中での人びとの意識の動きをみることもできます。さらに今回は、震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島各県の調査相手の人数を増やすことで、全国調査との結果比較が可能な設計にして
、被災地での人びとの意識の特性の分析もおこないました。
主な調査結果については、
「放送研究と調査」5月号 震災5年 国民と被災地の意識 「防災とエネルギーに関する世論調査・2015」からに掲載していますが、このブログでは、「災害への備え」に関わる、ちょっと気になる調査結果をいくつかご紹介します。

「あなたのお宅には、家族全員が何日くらい過ごせる食料と飲料水がありますか」0510-1.jpg

全国の調査結果では、「3~6日」という人が最も多く46%でした。政府は、大災害に備えて最低でも3日分の食料・飲料水の確保を呼びかけていますが、その目標に達していない人(「まったくない」「1~2日分」と答えた人)が4割程度いました。南海トラフ巨大地震では被害が非常に広い範囲に及ぶおそれがあるため1週間分以上の家庭備蓄が必要とされています。あなたのお宅は大丈夫ですか?

「大きな災害が発生した際の住民同士の助け合いは、どの程度期待できますか」0510-2.jpg
全国の調査結果では、「大いに」と「ある程度」を合わせた『期待できる』が55%だったのに対し、「あまり」と「まったく」を合わせた『期待できない』は44%と半数近くにのぼりました。ちょっと心配な結果ですね。


さらに、もうひとつ見てみましょう。

「あなたは、災害時に自力で避難することができると思いますか」
この質問に「できない」と答えた人は全体では19%でした。しかし、男女年層別に細かくみると、下のグラフのようになりました。

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男性では年齢層によって大きな差はありませんが、女性の70歳以上で
42%と非常に高い割合になっているのです。これも災害時の大きな課題と言えそうです。

災害への備えの実態については、ほかにもさまざまな調査結果がありますので、関心がある方はぜひ、「放送研究と調査」5月号をご覧ください。みなさんのお宅の防災チェックにもなるかもしれません。