幼児教育におけるメディアの可能性を考える

~2015年度 幼稚園におけるメディア利用と意識に関する調査を中心に~

公開:2016年7月1日

日本では、放送開始初期から、幼児を明確な対象とする番組が存在していた。公共放送のNHKでは、家庭だけでなく、幼稚園や保育所での利用に向けた多様なラジオ・テレビ番組を、時代の要請に応じて開発し続け、保育の場でも、数多くの番組が利用されてきた。長年にわたるテレビ中心の時代を経て、メディア環境が大きく変化する中、「2015年度幼稚園におけるメディア利用と意識に関する調査」では、各種メディアの利用実態の他に、幼稚園のメディア利用観や、若手保育者のメディア利用経験と今後の利用意向についても調べてみた。

保育におけるメディア利用では、「絵本,物語本」に代表される印刷メディアと、CD教材等音声メディアの位置づけが大きい。ICTの積極的な活用が国の施策として推進されている小学校以上とは異なり、幼稚園では、テレビやパソコン・タブレット端末等の映像メディアを保育の場に直接取り入れることに対しては、慎重な態度を示している。しかしながら、NHK幼児向け番組の内容への期待は高く、新しいタイプの映像に対する関心や保育者向けサービスへの期待もみられる。タブレット端末等の新しいメディアを保育に取り入れて、その効果を発表する幼稚園も登場し始め、20代・30代の若い保育者の間には、パソコンやタブレット端末を保育で利用することへの関心もみられる。保育者、研究者、制作者の連携も改めて重視する中で研究を積み重ねながら、幼児教育・保育における映像メディアの効果的な開発と利用について検討を進めることが重要な時期を迎えている。

メディア研究部 小平さち子

※NHKサイトを離れます

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