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調査あれこれ

調査あれこれ 2020年05月27日 (水)

#250 何が避難行動を後押しするのか!? ~「災害に関する意識調査」結果から~

世論調査部(視聴者調査)  中山準之助

 

突然ですが、いま、あなたが、大きな災害に見舞われたとします。 どういう状況になれば避難しますか?

また、放送で、アナウンサーに“どう呼びかけられたら”避難しますか?

 

阪神・淡路大震災から今年で25年。

地震や豪雨などの自然災害に人々はどう向き合っているのか、全国世論調査を実施しました。

 

その中で、「どうすれば避難行動を起こしてもらえるのか」、避難行動を後押しする “トリガー” について探りました。

まず、どのような状況のときに避難しようと思うのか。避難行動を後押しすると思うものを選んでもらった結果です。

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グラフからもわかるように、複数回答でも、1番目に答えた回答でも、順番はほぼ変わらず、

最も多いのが、「周囲の状況から危険を感じたとき」で、次いで、「消防団などから直接避難を促されたとき」、

「家族や知人に避難を強くすすめられたとき」など“身近な人などからの直接的な呼びかけ”が上位を占めました。

つまり、危険を自分事として捉えられたとき、人々は避難行動を起こすことがみてとれたのです。

 

また、アナウンサーからどのように言われたときに避難しようと思うかを尋ねた結果は、次のようになりました。

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最も多いのが、「詳細かつ身近な地名を言われたとき」。次いで、「直ちに、避難してください」。

これらから、差し迫った危険を自分事として感じてもらうためにも、

「どこ」にいる人が、「いつ」避難すべきなのか、具体的に示されることが必要であることがみえてきたのです。

 

では、放送で、“誰に”呼びかけられたら避難しようと思いますか?

その結果は、「放送研究と調査」2020年4月号で、詳しく紹介しています。

 

今回の調査では、避難行動を後押しする“トリガー”のほかにも、様々な質問をしました。

 

▼自宅での災害への備えが「不十分」と思う人が大半を占めている。

▼食料や飲み水を自宅で備蓄する人が減ってきている。

▼地域の高齢化や近所づきあいが減っていることを背景に、

  大災害時に住民どうしの助け合いが「期待できない」という人が増えている。  等々

 

調査結果から浮かび上がった災害や防災に対する人々の意識を参考に

地域の実情にあわせて、被害を減らす対策に役立てていただければ幸いです。

是非、ご一読ください。

 

調査あれこれ 2020年05月22日 (金)

#249 放送局とメディア・リテラシーの歴史を振り返る

メディア研究部(番組研究) 宇治橋祐之

 

 新型コロナ感染拡大防止に伴う緊急事態宣言で、4月から5月は多くの人が在宅で過ごされたことと思います。家にいる時間が長くなるとメディアに接する時間も長くなり、テレビを見る時間や、スマートフォンやパソコンでインターネットに接する時間も通常より長くなっています。(こうした調査結果は今後の『放送研究と調査』でも報告が出る予定です。)

  メディアに接する時間が長くなると、メディアについて考えたり、疑問をもったりすることも出てくるでしょう。今こそメディア・リテラシーが必要だという声も、ネットで目にする機会が多くなりました。メディア・リテラシーとは具体的にはどういうことなのでしょうか。

  メディア・リテラシーという言葉は、ユネスコやEUなどがそれぞれに定義を示しており、また情報リテラシーやデジタルリテラシーというような用語も使われています。それぞれの定義には共通する部分も多いのですが、現状では多義的な言葉と言えそうです。

  日本ではメディア・リテラシーという言葉は「マスメディアが伝える情報を批判的に読み解く能力」という意味合いでとらえられることが多く、1990年代後半から広く使われるようになりました。この時期にNHKや民放でメディア・リテラシーに関する取り組みが進み、「放送分野における青少年とメディア・リテラシーに関する調査研究会 報告書」(2000年6月)では、下記の3つを構成要素とする複合的な能力として定義しています。

1.メディアを主体的に読み解く能力。

2.メディアにアクセスし、活用する能力。

3.メディアを通じてコミュニケーションを創造する能力。

  特に、情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ) コミュニケーション能力。

「読解力」、「活用力」、「創造力」の3つの力の「相互作用」がメディア・リテラシーあるということになります。

 

 放送を通して、メディア・リテラシーについて、学んでもらう取り組みも行われています。NHKでは2001年度から、メディア・リテラシー教育に関する番組を放送しています。現在は『メディアタイムズ』というタイトルで、放送とあわせてウェブサイトNHK for Schoolでも動画を公開しています。

 番組はドラマパートから始まります。舞台は様々なメディアを取材する架空の映像制作会社メディアタイムズです。続くドキュメンタリーパートで、新聞やテレビ、ネットニュースなどメディアの現場を紹介。最後に再びドラマパートに戻って「メディアとの向き合い方を考える問い」を提示します。メディアのあり方について「対話」を通じて考え続け、ゆるやかな合意を形成していくことを重視しています。

 

『メディアタイムズ』

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 『放送研究と調査』4月号「テレビの読み解きからネットでのコミュニケーションまで~放送局のメディア・リテラシーへの取り組みの変遷~」では、こうした放送局のメディア・リテラシーへの取り組みの歴史をまとめています。

 メディアに接する時間が長いこの時期、今回紹介した番組や論考を通してメディア・リテラシーとは何かを考えてもらえると嬉しいです。

 

 

調査あれこれ 2020年03月17日 (火)

#242 メディア多様化時代の20代とテレビ

世論調査部(視聴者調査)斉藤孝信

いきなりで恐縮ですが、今回はまず読者の皆様に、ちょっとだけタイムスリップしていただこうと思います。

皆さんは20代の頃、どんなテレビ番組をご覧になっていましたか?


文研が実施している「全国個人視聴率調査」から、最新の2019年、その10年前の2009年、20年前の1999年「20代によく見られた番組」上位10番組をみてみましょう。

まずは20年前の20代から。

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当時斬新だったクロマキー技術を駆使し、ユニークな企画を連打した「電波少年」を筆頭に、警部補役の田村正和さんが毎回、犯人役の豪華ゲストと対峙し、田村さんのモノマネも流行った「古畑任三郎」、ダウンタウン司会の音楽番組「HEY!HEY!HEY!」やバラエティ「ガキの使いやあらへんで」など、懐かしい番組が並んでいます(いま40代の皆さんは「そうそう!よく見ていた!」という感じでは?…かく言う著者も同世代。まさに、若かりし日によく見た番組ばかりなわけですが)。

続きまして、10年前の20代はというと…。

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「SMAP×SMAP」のスペシャルを筆頭に、アニメ「ワンピース」、クイズバラエティ「ヘキサゴンⅡ」「ネプリーグ」、お昼の「笑っていいとも!」などがよく見られていました。


では、今の20代はどうなんでしょう。2019年の結果がこちらです!

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「水曜日のダウンタウン」、嵐の「嵐にしやがれ」「VS嵐」のほか、サッカー日本代表の試合もよく見られていました。

このように、20年前、10年前、現在の「よく見られた10番組」をみてみると、番組の顔ぶれが変わったことはもちろんですが、それ以外にもさまざまなことに気づかされます。
たとえば、各年の上位10番組の視聴率の数字だけを比較してみると…。

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20%前後の番組も多かった1999年から、
⇒2009年は15%前後が多くなり、
⇒2019年には10%を超える番組が1つもなくなって、

ずいぶんと数字が小さくなったことがわかります。

 

 

 




果たして、「20代はテレビをあまり見なくなってしまった」のでしょうか。


リアルタイム(放送と同時)のテレビ全体の「30分ごとの平均視聴率」を、20年前、10年前と比較してみます。
グラフは、横軸が時間…左端が朝5時、右端が25(翌日午前1)時、縦軸が視聴率です。

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朝と夜に大きな「視聴の山」があるのが特徴ですが、20年前・10年前と比べて「夜の山」が著しく低くなったことがわかります。特に20~23時台は、1999年には30%超、2009年も25%前後でしたが、2019年は一度も20%を超えることがありませんでした。

つまり、20代は、特に「夜のリアルタイム・テレビから離れている」ようです。


ここで再び、冒頭で紹介した「20代によく見られた番組」。
今度は放送時間に注目してみると…。

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特に黄色で塗った「平日の20時以降開始の番組」は1999年6本⇒2009年4本⇒2019年3本と明らかに本数が減っています。

20代はなぜ「夜のリアルタイム・テレビ」から離れてしまったのか?
リアルタイム・テレビから離れた20代は、夜、いったい何をしているのか?


『放送研究と調査』2月号では、今回ご紹介した「全国個人視聴率調査」をはじめとした文研のさまざまな世論調査結果を横断的に活用して、録画再生視聴や、スマートフォンなどを用いたインターネットでの動画視聴にも視野を広げて、この疑問に挑んでいます。ぜひご一読ください!


調査あれこれ 2020年01月14日 (火)

#227 保育園児と幼稚園児で異なる、幼児のリアルタイム視聴

世論調査部(視聴者調査)山本佳則

朝7時を過ぎると「早くご飯食べないと間に合わないよー」と妻の声が。
我が家の保育園児は、眠い目をこすりながら、パンを口に頬張り、保育園に出かける支度に追われ、妻と私も出勤の準備で家族全員がバタバタ。

厚生労働省が公表している「保育所等関連状況取りまとめ」によると、保育所等を利用する児童の数、いわゆる保育園児は261万人(平成30年)で、5年前(222万人)と比べておよそ40万人も増加しました。(一方で、文部科学省が公表した「文部科学統計要覧」によると、幼稚園児は121万人(平成30年)で5年前(156万人)と比べておよそ35万人減少しています。)

増え続ける保育園児・・かく言う我が家でも、朝ゆっくり子どもがテレビを見る時間もないなぁと思ったことから「うちの子どもだけなのだろうか、ほかのお子さんはどうなんだろう?」という問題意識が芽生えました。
昨年6月に行った「幼児視聴率調査」によると、保育園児が平日、家を出る時間のピークは午前7時ごろ~8時ごろ、幼稚園児は8時半ごろ~9時半ごろでした。また、帰宅時間は幼稚園児のおよそ8割が午後3時台に帰宅しているのに対し、保育園児は午後5時ごろから7時半ごろまで段階的に帰宅していることがわかりました。つまり、保育園児は幼稚園児に比べて外出時間が早く、帰宅時間が遅いのです。
次にリアルタイムのテレビ視聴について、保育園児と幼稚園児の視聴傾向を、平日30分ごとの視聴率で比較してみました。

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図1:保育園児と幼稚園児 テレビ総計の30分ごとの視聴率(平日)

朝の視聴の山について、保育園児が午前7時台、幼稚園児が8時~8時30分と違いがみられます。夕方は保育園児が午後6時~7時台、幼稚園児が4時~7時台と、幼稚園児は保育園児に比べて夕方の早い時間から始まり、夜間まで継続して視聴されていました。
次に保育園児と幼稚園児それぞれによく視聴されている番組で違いがあるかみてみました。

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表1:保育園児と幼稚園児  NHK・民放全体でよく見られている番組(放送時間10分以上)

上の表は、保育園児と幼稚園児で、視聴率が高い20番組をまとめたものです。
青く色塗りした番組が「土日朝」、赤く色塗りした番組が「平日夕方」に放送しているものですが、これをみると保育園児は「土日朝」の番組を、幼稚園児は「平日夕方」の番組を多く視聴していることがわかりました。また、視聴率の値を比べると、幼稚園児が保育園児よりも各番組の視聴率が高くなっています。

うちの子も保育園児、平日の夕方は帰宅が遅く、土日の朝に「アニメ おさるのジョージ」を見てるよなぁ。なるほど、今回の分析結果に納得してしまいました。

このほか、詳しくは『放送研究と調査』12月号でも報告していますので、そちらもどうぞご覧ください。


調査あれこれ 2019年11月26日 (火)

#220 「アナ雪」「税率アップ」...5年前の日本とテレビのいま

世論調査部(視聴者調査)保高隆之

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  週末、映画館で「アナと雪の女王」の続編を見てきました。美しい映像と耳に残る楽曲は相変わらずでしたが、加えて、キャラクターたちとの再会には親戚と久しぶりに会うような「なつかしい」感覚がありました。調べてみると、前作(日本での興行収入は255億円!)の日本公開は2014年3月。みんなが「レリゴー」と歌い、「ありのままで」が流行語となり、紅白歌合戦でも話題になってから、もう5年が経っていました。まさに光陰矢の如し…。
  さて、その5年前の2014年。他にも今年とつながっている大きなニュースがありました。何だと思いますか?(ヒント:2014年の「今年の漢字」にも選ばれています。)
答えは、「税」。消費税率が5%から8%になったのがこの年の4月だったのです。
ご存じの通り今年は消費税が10%になり、5年前のことを思い出す機会が頻繁にありました。個人的には、「そんなに前だっけ?」という印象なのですが、みなさんにとって、「5年前」はどのくらい前のイメージでしょうか。「だいぶ前」?、それとも「つい最近」?
…少なくとも放送局にとっては変化があった5年間だった、というのが今回の本題です。
   こちらのグラフをご覧ください。文研が毎年6月に実施している「全国放送サービス接触動向調査」の結果から抜粋したものです。この調査は、全国の7歳以上の個人が1週間で放送局の提供するコンテンツやサービスにどのように接触しているかを「リアルタイム」(放送と同時に視聴)、「タイムシフト」(録画や録音再生)、「インターネット」(ホームページや動画、SNS、ネットラジオなど)に分けて把握しています。

 

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   このグラフの緑の線「リアルタイムリーチ(週間接触率)」は5年前の93.2%から89.1%へと減少しました。一方、青の「インターネットリーチ」24.0%から31.6%へと増加しています。放送局にとっては、リアルタイムでの視聴であっても、インターネット経由の利用であっても、ニュースや番組に触れていただくことに変わりはありませんが、(タイムシフトを含め)いずれかに接触した「トータルリーチ」は、残念ながら5年前の94.8%から92.3%へと減少してしまいました。つまり、この5年では「インターネットリーチ」の増加が「リアルタイムリーチ」の落ち込みをカバーしきれなかった、というわけです。
   巷でいわれる「テレビ離れ」がいよいよ数字に表れてきたのだな、と、放送業界にとっては悲観的な結果にみえます。…が、ここで注目したいのが、もっともテレビから離れていそうな(?)20代の5年間の変化です。
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   上の図は2014年と2019年の20代について、接触の仕方の組み合わせを示したグラフです。図中の青い数字は統計的に有意な減少、赤い数字は増加を示しています。もちろん20代でも「リアルタイム接触」は81%から70%へと減少(特に不等号で示した「リアルタイムとタイムシフトのみ」が減少)しているのですが、「いずれにも接触なし」は5年前の15%と今年の18%で統計的な差がありません。つまり、20代のトータルな週間接触率は減少しなかったのです。少し意外に思われませんか?

   実は、代わりに「リアルタイム以外のみで接触」4%から12%へと大きく増加しました。具体的には「タイムシフトのみ」と「インターネットのみ」で接触する人が増え、「リアルタイム接触」の減少をカバーしたのです。
   これは放送局にとって歴史的な変化の兆しかもしれません。これまで、放送業界ではリアルタイムでの接触が圧倒的な割合を占め、録画再生やインターネットのサービスを利用している人も、リアルタイムで放送に接している人たちと重なっているとされてきました。しかしながら20代の調査結果からは、放送局が決めた放送時間に縛られずに自由に番組を楽しむ人たちが増えたこと、そして視聴方法の多様化が「テレビ離れ」に歯止めをかける可能性がみてとれます。

  5年後に振り返ったとき、はたして2019年は放送局にとってどんな年だったと評価されているのでしょうか。詳しい調査結果については、「放送研究と調査」10月号をご覧ください!


調査あれこれ 2019年09月20日 (金)

#209 スマホがなくちゃ、はじまらない?~「メディア利用の生活時間調査2018」から

世論調査部(視聴者調査)吉藤昌代


5年ほど前、子どもたちがまだ小さかった頃の私の楽しみといえば、寝かしつけを終えた後、ビールやワインを片手に、録画しておいたドラマや深夜のバラエティ番組を見ることでした。

それが最近は、就寝前の1時間近くを、スマートフォンをいじって過ごすことが多くなりました。布団に寝転がって、ブルーライトを浴びながらTwitterやInstagramをチェック。それらのSNSの中でニュースをみたり、動画を見たりもします。夢中になりすぎて、時にはそのまま『寝落ち』してしまうことも。

私の場合、ここ数年は、就寝前のテレビの視聴時間が減って、代わりにスマホの利用時間が増えているように感じます。


「テレビ」「スマートフォン」あなたはどのくらい使っていますか?

下のグラフは「メディア利用の生活時間調査2018」の調査結果から、「テレビ画面」「スマホ・携帯」「PC・タブレット」のデバイス別に、男女年層別の平均利用時間を積み上げてみたものです。

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3つのデバイスを合計した利用時間量は、50代以上の中高年層のほうが6時間台とやや多いものの、それほど大きな違いはありません。
ところが、その内訳は大きく異なっています。
男女とも中高年層では、「テレビ画面」の利用が4時間を超え、メディア利用時間の7割以上と大半を占めるのに対し、男20代や女10・20代といった若年層では、「スマホ・携帯」の利用時間が3時間前後と多く、「テレビ画面」を上回って、メディア利用の半分を占めるまでになっています。


「スマホ・携帯」で何をしているの?

では、具体的にどんな行動をしているのか、
「スマホ・携帯」の利用時間が多い男20代の、メディア利用の様子をみてみましょう。
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男20代の多くは日中になにかしらの仕事をしているため、平日のメディア利用行動は、帰宅後の夜間帯に集中しています。

「食事」や「身のまわりの用事」をすませた21時以降に、「テレビ」や「スマホ・携帯」といったデバイスの利用が増え、特に22時以降は「スマホ・携帯」がよく使われるようになります。
22時台をみると、「スマホ・携帯」で「ゲーム」をしている人の割合が16~18%、「動画」が9~13%、「SNS」が9~14%、「ウェブ」(ウェブサイトを見る・利用する)が7~9%です。
「リアルタイム」で(テレビで「テレビを見る」人)の割合が11~14%程度ですから、男20代の夜間のメディア利用は、「スマホ・携帯」での行動をメインとしていて、テレビは彼らにとって “数ある選択肢のひとつ” にすぎないと言えそうです。

実は同じ20代でも、女性の夜間のメディア利用は少し様子が違うのですが・・・・・・。
こちらは「放送研究と調査・8月号」をご覧ください。

【続きを読む】

調査あれこれ 2019年08月23日 (金)

#203 「放送のインターネット同時配信」で、テレビコンテンツの視聴機会が増える!?

世論調査部(視聴者調査)山本佳則


リビングでスマホのアプリを起動させ、見逃していたテレビコンテンツを夜な夜な視聴する妻(本当は放送と同時にリアルタイムで見たいのだが・・)、その横の寝室で子どもを寝かしつける私。

日中は仕事・育児・家事に追われ、ゆっくりテレビなんて見られない!
ましてや子どもが寝てからは、テレビはなんとなくスイッチを点けにくい!
テレビコンテンツを、インターネットを経由してスマホで視聴することが、我が家では普通の光景になりつつあります。

放送研究と調査7月号」では“ユーザーからみた新しい放送・通信サービス”と題し、2018年11月に実施した「メディア利用動向調査」の結果を掲載していますが、この中から「放送のインターネット同時配信」についての報告の一部をご紹介します。


まず、実際に利用したいと考える人はどの程度なのか、「あなたは、インターネット同時配信が災害時などに限らず、日常的に実施されるようになったら、利用したいと思いますか」と尋ねました。

結果は「利用したいと思う」と「どちらかといえば利用したいと思う」を足した「利用したいと思う」計が全体で37%でした。男女年層別にみると男女16~29歳、男40~50代でおよそ5割と全体よりも高く、若中年層で一定の需要があることがうかがえます。

<インターネット同時配信の利用意向>(男女年層別)
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は全体と比べ統計的に高い層であることを示す


次にインターネット同時配信の利用意向はテレビ視聴時間の長短と関係があるのかをみてみました。
ここでは、テレビの視聴時間が比較的長い高齢者を除いて59歳以下の方に絞っています。

<インターネット同時配信の利用意向とテレビ視聴時間量(59歳以下)>
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は「利用意向なし」と比べて統計的に高いことを示す
                           〇は「利用意向なし」と比べて統計的に低いことを示す

同時配信を「利用意向あり」の人は「意向なし」の人に比べて、「テレビをほとんど、まったく見ない」は少なく(10%<16%)、逆に「テレビを30分~1時間くらい視聴する」は高くなっています(33%>27%)。

つまり、インターネット同時配信の利用意向のある人は、テレビに接触しているものの視聴時間が短い、いわゆる“ライトユーザー”であると考えられます。

まさしく私も妻も子育て中の身で、いわばテレビ視聴の“ライトユーザー”。
インターネット同時配信が始まったら、みたかったスポーツやドラマも、リアルタイムでスマホで視聴できるようになるかも・・と期待しつつ。

放送研究と調査7月号」もぜひご覧ください。


調査あれこれ 2019年08月09日 (金)

#201 年金の政府支出は増やすべき? ~国際比較調査からみえるもの~

世論調査部(社会調査)村田ひろ子


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人生100年時代を見据え、老後に備える資産が2000万円必要になる、という金融庁審議会の報告書が話題になりました。折りしも公的年金誕生から130年、先の参議院選挙でも争点の1つとして注目を集めていたのは記憶に新しいところ。年金だけでは老後の生活設計が成り立たない??そうだとしたら、自分が受け取る年金は多ければ多いほどよいと考えるのが自然でしょう。けれども、「年金の
政府支出を増やしたほうがよいか?」と聞かれたらどうでしょうか?

政府の役割についてのNHK放送文化研究所の世論調査※1)の結果から、みていきましょう。高齢者の年金について、政府の支出を今よりも増やすべきだと思うか、あるいは減らすべきだと思うかを尋ねた結果です。『今より増やすべき(どちらかといえばを含む)』は、日本は46%となっていて、各国と比べて低い水準となっています。2006年の調査では56%だったのが、今回は半数を割りました。日本と同様、65歳以上の高齢人口が多く、GDP(国内総生産)に占める年金支出が高いフィンランドやフランスといった国でも、『今より増やすべき』が少なくなっています。


         政府の支出を増やすべきか「年金」                   
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年層別にみると、若年層よりも高齢層のほうが『今より増やすべき』と回答している国が目立ちます。日本でも若年層の34%に対し、高年層で56%となっていて、両者の差が比較的大きいという特徴があります。


   政府の支出を『今より増やすべき』:「年金」(年層別)
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         ※OECD諸国を中心に抜粋して掲載


高齢化で増え続ける社会保障費により、いわゆる「国の借金」が膨らみ続け、財政健全化への道のりがますます険しくなっている日本。国が直面している厳しい財政事情を背景に、これ以上の税金を年金に投入することへの否定的な考えが広がっているのかもしれません。

「放送研究と調査7月号」では、格差是正や教育問題、物価の安定、テロ対策など、何が「政府の責任」だと考えられているか、国際比較調査の結果から考察しています。ぜひご一読ください!


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※1)ISSP国際比較調査「政府の役割2016」


調査あれこれ 2019年08月02日 (金)

#200 認知症ケアに放送アーカイブ

メディア研究部(メディア動向)大髙 崇


気づけば五十路の坂に立つ。令和になっても平成生まれの鼻タレどもにはまだまだ負けぬと威張ったところで,現実は「ほら,あれですよ,あの,ほら,なんだっけ,だからあれだよ,あれあれ,あれだってば」と言っているうちに日が暮れる。

悲嘆している場合ではない。
年金支給年齢が上がったらどうする。まだまだやらねばならぬのだ。

もの忘れ予防,脳力トレーニングは花盛り。同じ思いの仲間が多いということだ。
近頃ではあの麻雀までもが老化防止にいいとマダムたちにも人気らしい。脳はフル回転,おしゃべりも弾み,若返りにはもってこいだろう。麻雀と言えば,かつては昭和の男臭ぷんぷんで,ともすればダーティーなイメージをまとっていたが,今や熟年セレブが「ロン! 国士無双!!」「あちゃー! ハコテンだーーー!」することが奨励される。あの世の阿佐田哲也もびっくりであろう。

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麻雀に負けじと,というわけではないが,放送局がアーカイブする古い映像が,シニア世代の脳を活性化させる取り組みに一役買っていると聞いた。子ども時代の懐かしい思い出を語り合うことは認知症の人のための心理療法のひとつで「回想法」というらしい。古い記憶を呼び戻すためのツールとして,NHKのモノクロ時代のニュースなどが活用されているのだ。まさか認知症ケアに活躍するとは,長く放送局で働く者でもなかなか思いつかなかったことである。ひょうたんから駒。麻雀にたとえれば,リーチのみであがったら裏ドラが乗って跳満,である。

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だが,ただ古い映像なら何でもよい,というわけではないようだ。アーカイブ映像は実に大量だが,ではどのように提供すれば役立ち,喜ばれるのかを探り当てるのは難しい。
テーマを決めて,それに合った映像を集めてコンパクトに編集する必要がある。麻雀でいえば,面子をきれいにそろえましょう,と言ったところか。
映像につける説明のナレーションは少ないほうがいい。字牌はなるべく捨てましょう,か。

とにもかくにも,子ども時代のニュースや番組を見て,平成の鼻タレどもが目を丸くするような昔話を思いっきりしゃべれば,きっと元気が湧いてくるはずだし,「あれ,あれ」を言う回数も減る希望が持てるではないか。

……ということで,「NHK回想法ライブラリー」を事例に,放送アーカイブの可能性をテンパって考えました。「放送研究と調査」2019年7月号に掲載しています(麻雀の話はいっさい出てきません)。ぜひご一読ください!

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調査あれこれ 2019年07月26日 (金)

#199 投票率を上げるには? 世論調査からヒントを探ります

世論調査部(視聴者調査)渡辺洋子


7月21日は、参議院選挙の投票日でした。

投票率は48.80%と50%を下回り、
戦後最低を記録した1995年(44.52%)に続く低さでした。
各社の報道では、政治不信の表れや台風による大雨の影響などが指摘されています。

今回、投票率の低さが話題になりましたが、
50%を下回ったのは久しぶりではあるものの、
実際のところは、1992年以降30年近くにわたって、60%に届かないという状況が続いています。

「なぜ、人々は投票に行かないのか?」

そのヒントを得られるかもしれないと、
2018年12月に行った「ニュースメディア接触と政治意識調査」の結果をみてみました。

この調査では、「あなたは、選挙のとき投票に行きますか」という
ふだんの投票姿勢についての質問をしています。

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世論調査に回答してくださる方は投票にも積極的なのか、

「どんな選挙でも必ず投票に行く」「だいたい投票に行くようにしている」人をあわせると8割近くになり、
最近の投票率の傾向より、かなり高くなっています。

この結果が直接、今回の投票結果に結びつくわけではありませんが、
ふだんの投票姿勢が、政治に対する考え方とどのような関係があるのか、
投票姿勢と政治観の関連をみてみたいと思います。


〔政治家〕
まずは、政治家に対する考え方です。
下のグラフは、
「国民の生活や国の将来を真剣に考えている政治家が少ない」について、
「そう思う」と答えた人の割合を示したものです。

先ほどの「あなたは、選挙のとき投票に行きますか」という質問への
回答別に比べてみました。
 
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投票姿勢に関わらず、大多数が
「国民の生活や国の将来を真剣に考えている政治家が少ない」と、
思っていることがわかります。

政治家に不満があるから投票へ行かない、ということではないようです。


〔政治と自分の生活〕
つづいて、政治が自分の生活と関係していると思っているか、について尋ねた結果です。

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「政治は自分の生活に関係ない」と思う人は、
「どんな選挙でも必ず投票に行く」「だいたい投票に行くようにしている」人では、
1割台にとどまっています。

ところが、「特に必要があると思ったときだけ投票に行く」人では3割弱、
「投票には行かない」人では4割と、
投票に行かない人の方が、「政治が自分の生活に関係ない」と思っており、
政治と自分の生活との距離感が、投票への姿勢と関連していることがわかります。


〔選挙への効用感〕
さらに、「自分ひとりぐらい投票しなくても、選挙の結果に大きな影響はない」という、
自分の1票が選挙結果に与える影響力に対する感覚についての質問です。

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「自分ひとりぐらい投票しなくても、選挙の結果に大きな影響はない」と思う人は、
「どんな選挙でも必ず投票に行く」人では2割でした。

それに対して、「投票には行かない」という人ではなんと9割!

自分の投票行動が、選挙結果に対して影響を持つ、と考えている人は投票へ行き、
自分が投票してもしなくても影響はない、と考えている人は投票へ行かない
ということがくっきりと見えました。


若い人たちの投票率が低いことが取り沙汰されますが、
この投票への感覚を年層別にみると、
「自分ひとりぐらい投票しなくても、選挙の結果に大きな影響はない」と考える人は、
やはり若いほど多くなっています。

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こうした投票への意識が、若い人を投票から遠ざける一因になっていると考えられます。


自分の投じた1票が、選挙結果を左右する
このように多くの人が感じるためには、どのようにすればよいでしょうか。

調査では、ふだん利用しているメディアやどんなニュースを見ているのかなど、
ほかにも多くの事がらを尋ねています。
様々な角度から分析を進め、投票を呼び掛ける上でのヒントをさらに探りたいと思います。

今回ご紹介した「ニュースメディア接触と政治意識調査」については、
『放送研究と調査』(2019年6月号)で、「ニュースメディアの多様化は政治的態度に違いをもたらすのか」と題し、選挙に限らず、広く政治意識とニュース接触との関連を分析した結果を報告しています。

ご関心がありましたら、是非ごらんください。