世論調査部(社会調査)原 美和子
(視聴者調査)中野佐知子
計画管理部 (計画) 西村規子
こんにちは、今回は3人組の文研ブログです。
文研では、放送にまつわるさまざまなテーマについて、専門の研究者たちの最新の論文やインタビューをまとめた「放送メディア研究」を刊行しています。今回は、先日刊行したばかりの第13号「世論をめぐる困難」のご案内です。

原
編集事務局その1の原です。今回のテーマは「世論」。世論調査部に所属している私たちですが、日々の業務について、いろいろ悩みの多いこの頃です。
中野
その2の中野です。同じく世論調査部です。そうそう、私たちなりに努力はしているけど、調査に協力していただける人の率は年々下がっていますよね。それなのに新聞やテレビでは、最近はやけに「世論調査」の注目度が高いような・・・
原
そもそも、「世論」を「調査」する、という私たちの仕事にどんな意味や役割があるのか、自分たちの「商品」についてきっちり考えることすらあまりないですよね。一度どこかで、今この時点での「世論」それに「世論調査」の課題を整理することが必要なのでしょうが、日々の業務にかまけて手つかずになっていました。
中野
文研所内のメンバーだけで考えて整理できるような、簡単なテーマでもないですしね。
西村
その3、計画管理部の「放送メディア研究」窓口の西村です。そこで今回、「放送メディア研究」のテーマに「世論」を掲げ、主に外部の研究者やメディア関係者の皆さんから、さまざまな視点や切り口で問題提起していただくのはどうだろうか、と話が動き出したんだよね。
原
その結果、今回の「放送メディア研究」は、世論調査部の人が自ら業務で扱う「世論」や「世論調査」に真正面から向き合う、というちょっとユニークなスタイルになりました。
中野
所内の有志の研究員と何度もブレストを重ね、テーマは「世論をめぐる困難」に決定。
“世論測定をめぐる困難”
“世論形成をめぐる困難”
“世論が生まれる社会の困難”
“困難から生まれる世論の未来、社会の可能性”
の4つの柱に整理して、論文を寄稿していただいたほか、インタビューなども行いました。
原
最終的には、大学の研究者から、NHKの番組制作者まで、本当にさまざまな分野から23人の方にご協力を頂くことができました。当初予定より相当ボリュームが増えましたが、その分内容をより充実させることができたのではないかと思います。あなたの読みたいテーマが、きっとひとつはあるはずです。
中野
だけど、編集することがこんなに大変だとは・・・・。勉強にはなったけどね。
原
この機会にと、「世論」や「世論調査」をテーマにした世論調査までやってしまったりしたし。自らのキャパを完全に逸脱していた、と途中で青くなりました。
西村
刊行に漕ぎつけたのは、ひとえに執筆などにご協力いただいたみなさんのお蔭です。私たちのつたない説明から巧みに企画意図をくみ取って、先進的な論文、活発な座談会、魅力的なインタビューを実現してくださいました。そして、忘れてならないのは、NHK出版のみなさんのご尽力。K編集長を中心とした強力なバックアップ体制がもしも無かったら…
原
今頃こんなブログを書いている場合ではありませんでしたね。
西村
ということでいろいろありましたが、「放送メディア研究」第13号、今月22日より発売中です。詳しくはこちら。
中野
「困難」とはいえ、嘆いてばかりいてよいわけではない。そのためにも厳しい提言や、反対に将来的な可能性などももろもろ取り上げた形になりました。一度お手にとってもらえれば幸いです!
メディア研究部(メディア史研究) 宮田 章
いきなり偉い人の格言ですみませんが、「歴史は現在と過去との対話である」という言葉があります(イギリスの歴史家E・H・カー)。
過去の出来事を語るという営みは、必ず、それが語られる時代(=現在)の影響を受けるという意味です。
たとえば、結婚に至った恋愛を、家族がうまくいっている時に回想する場合と、
そうでないときに振り返る場合とでは回想の内容とその意味づけに違いが出てくるでしょう。
そもそも過去を振り返ろうとする意欲そのものが、現在の状況に影響を受けるといってよいかもしれません。
3月2日の午前10時から予定されている文研フォーラムのプログラム
まだ先?既に準備期間?「放送100年史」を構想する は、
2025年に来たるべき「放送100年」の節目に、私たちは放送の過去とどういう対話をするのだろうか、
そのことを少し早いかもしれないけれど放送91年目の今から考えていこうというワークショップです。
NHKは、これまで放送40年、50年、また20世紀から21世紀への変わり目のタイミングで、
それぞれ放送史を振り返る大部の書籍を発行しています。
各書の序文ではその当時のNHK会長が放送を取り囲んでいたそれぞれの「現在」について言及しています。
このブログは案外めったにない機会かもしれないので、
ここに歴代三人の会長が踏まえた三つの「現在」を並べてみることにしましょう。
「わが国における放送が開始されてから、四十年の歳月を迎えようとしている。今日に至るまでの放送の歩みをふりかえると、その間、放送事業は多くの起伏曲折の移りかわりをとげているが、今や放送史上でも空前の隆盛発展をみるに至ったのである。」
(『日本放送史』序 前田義徳会長 1965年)
「五十年の歩みを顧みると、放送はラジオからテレビ、FM、カラーテレビへと、メディアとしての進歩を遂げながら、報道に、教育・教養に、娯楽に、広く国民生活とかかわりあい、社会事象に関連しつつ発展し、今や、衛星中継時代から放送衛星の開発、あるいは新技術による可能性の追求が進められている。」
(『放送五十年史』序 坂本朝一会長 1977年)
「「デジタル新世紀」とも言われる21世紀は「デジタル放送」の本格化で幕を開けました。衛星放送に続いて地上波テレビもデジタルに切り替わります。テレビは高画質・高音響のハイビジョン、多チャンネル、双方向という画期的な特性を発揮することになります。・・(中略)・・パソコンと携帯電話の急速な普及やブロードバンドの導入によって、テレビ受信機以外にも多様な端末でテレビ番組が見られるようになり、視聴者の皆さんからの発信も可能になります。」
(『20世紀放送史』序 海老沢勝二会長 2001年)
『日本放送史』、『放送五十年史』、『20世紀放送史』の各史書は、
それぞれ上記のようなその時の「現在」とそれに至る「過去」との対話でした。
『日本放送史』ではまだ現れず、『放送50年史』で初めて前景化する技術革新とそれに伴うメディア環境の変化への言及が、
『20世紀放送史』ではほぼ全面化しているのが私には印象的です。
2025年に現れる「現在」とはどんな状況なのでしょう。
9年後の未来を現時点でつぶさに予測することは困難です。
ただ今年の文研フォーラムの他のプログラムからもうかがえるように、技術革新とそれに伴うメディア環境の変化は今まで以上に急速かつ激烈です。
もしかすると、2025年における「現在と過去との対話」の中では、
これまで91年積み重ねてきた放送の「過去」の意味が根本的に変わる可能性さえあるかもしれません。
「放送100年史」を構想する3月2日のワークショップは、そんな急速な変化の時代だからこそ「過去との対話」を大事にしようという意思表示です。
べつに始終とは言いませんが、たまには「過去」と対話して自分を意味づけないと「現在」はやせてしまいます。
やせたからだで、激烈な変化の波にもまれた時、私たちは自分を見失ってしまうかもしれません。
実際私など、既にずいぶん長い間「失われた○年」を過ごしている気がします。
(まあ私事はともかく)100年という時期的な節目は、放送の現在と過去とを結び直す良い機会であることは間違いありません。
9年後の「現在と過去との対話」を少しでも実のあるものにするために、
今から準備するのも悪くないと考えてこのワークショップを開こうと考えました。
ここでは何だか内面的な話になってしまいましたが、ワークショップそのものはもう少し具体的、実務的な話になる予定です。
諸々ご了解の上、ご興味を持っていただければ幸いです。
(文研フォーラムのこのワークショップは定員に達し受付終了しました)
メディア研究部(メディア動向)山口 勝
こんにちは、メディア研究部の山口勝です。
3月3日(木)のNHK文研フォーラムで震災アーカイブの利活用と持続性を考えるシンポジウムを開きます。
東日本大震災からまもなく5年。
地震、津波、原子力。未曽有の大災害を記録し、教訓を広く後世まで伝えるため、
「あの時」の写真や映像をインターネット上で見ることができる震災アーカイブが、
これまで、行政や企業など様々な機関によって作られてきました。
その中には、撮影時間や場所の情報によってタグ付けされ、
デジタルマップやタイムラインから検索することができるデジタルデータベースもあります。
また、WEBでの閲覧にとどまらず、アーカイブに納められた写真や動画、証言をアプリで呼び出し、
現在と当時の様子を比べながら被災地を歩くものや、
気象などのリアルタイムデータとデジタルマップ上で重ね合わせて、災害を予測し、防災・減災に活かしたりするものなど、
デジタルならではの新たな活用も始まっています。

NHK東日本大震災アーカイブス~証言WEBドキュメント~ http://nhk.jp/311shogen/
東日本大震災の津波の映像や人々の証言が、WEBGIS上にマッピングされいつでも見ることができる。
津波浸水地域や火災地域、地図や航空写真、震災前と後など自由に選択することができ、防災教育のツールとしても活用可能。
画面は、実際に生徒の避難誘導を行った学校の先生の証言動画で、その際の行動経路(避難行動)も確認できる。
一方で、企業や補助金でつくられたアーカイブの中には閉鎖されたものもあります。
時の経過によって新たな価値や役割が生まれるアーカイブ。
災害教訓を伝えるつづけることの大切さとそのための知恵、そして防災・減災にアーカイブを活かすメディアの役割とは?
大学、自治体、国、メディアでアーカイブを作り活用している識者が集い震災アーカイブの「これから」を考えます。
申し込みは、こちらからどうぞ
世論調査部 重森万紀
ブログ初登場、世論調査部の重森です。
文研・世論調査部では、テレビ視聴やメディア利用に関するもの、社会の動きに関するものなど各種の調査を実施しています。
これらの調査について詳しくは、おいおい、ご説明してまいりますが、
本日は、世論調査部が実施する調査のなかで、最も大規模な調査と言える「国民生活時間調査」についてお話しします。
◆まず、国民生活時間調査とは?
日本の国民のみなさんが、1日のなかで、何時にどのような行動をとっているかを調べる調査です。
無作為に選んだ調査対象の方に、日々の行動を、何時から何時まで●●した、と線を引いてもらいます。
1週間、ずっとひとりの方に書きこんでいただくのは、ご負担が大きすぎますので、
月曜火曜にお願いする方、火曜水曜に、…と、2日ずつ、ひとりの方にお願いしています。
結果、すべての曜日について2回ずつのデータが集まってくるように設計しています。
<調査票の見本(一部)>
集まってきたデータからは、
たとえば「平日の午前6時に寝ている人は全国民の●%いる」とか、
「全国民を平均すると、平日1日に仕事をしている時間は●時間である」、
というようなことだけでなく、年層や職業別にも人々の行動の特徴がわかります。
◆調査結果は“ ひっぱりだこ ”
この調査のさらにすごいところは、5年に1度、1960年から継続して実施していることです。
長いスパンで、国民の生活の変化を捉えることができるのです。
このほかに生活時間に関する調査は、
“少子・高齢化対策,文化施策評価等の各種行政施策立案の基礎資料を得ること”を主な目的とした、
総務省統計局の「社会生活基本調査」がありますが、
多岐にわたる生活行動を長期にわたって調査しているものは、日本ではこの二つ以外にありません。
そのため、NHKの 国民生活時間調査の結果は、非常に多くの企業や機関で研究やマーケティングのために利用されています。
ちなみに、生活時間研究は、ひとつの分野を築いており、40か国以上の大学、統計局、政府機関、メディア、民間研究所などが会員となっている
「国際生活時間学会 International Association for Time Use Research」という学会も存在するんですよ。
<1963年から発行されている解説本>
文研の図書室から借りて撮影しました。
◆さて、それでは、今回の結果からわかったことは!?
今回のデータからわかったことの、ほんのサワリですが…
▽平日の朝の「早起き」が一層進み、「早寝」人も増加。
そして、長く続いていた睡眠時間の減少傾向が止まりました。
▽多くの年層で平日のテレビ視聴時間が減少しました。(涙)
▽男性の家事時間は少しずつ増加していますが、男女差は…いまだ大きい。
▽長時間(10時間を超えて)働いている人の割合は有職者の23%。
この数字は、2000年以降ほぼ変わっていません。
などなど。
報告書には現在の国民の生活に関する発見が満載です。ぜひ、コチラへ!
また文研フォーラム3日目でも詳しく発表。
時の研究家・織田一朗さんも登場して、日本人と時間の知られざる関係について語ります。
お申し込みはこちらへ。

メディア研究部(メディア動向)福長秀彦
来月1日から始まる文研フォーラムまであと2週間余りとなりました。
私は去年9月に起きた鬼怒川の氾濫について、フォーラム2日目に同僚と二人で研究発表をします。
私のパートは「放送研究と調査」2月号に書いた調査報告がモトになります。
調査をしていて一番ビックリしたのは、河川の用語の分かりにくさでした。
堤防決壊の原因究明に当たっている国の調査委員会を傍聴しましたが、
「テイナイチガワのテイタイカブでセンクツが…」などという耳慣れない言葉が次々と交わされて、
最初はサッパリ分かりませんでした。
後で調べてみると、「テイナイチガワ」とは「堤内地側」で、川とは反対側の堤防で守られている土地側のこと。
「テイタイカブ」とは「堤体下部」で堤防本体の下の部分、
「センクツ」は「洗掘」で川の水によって堤防の斜面が削り取られることでした。
難解な用語と悪戦苦闘を続けるうちに、ふと自分が昔から川のそばで暮らしてきたことに気がつきました。
これまで特に意識したことは無かったのですが…。
子供の頃は、東京都と神奈川県の境を流れる多摩川の堤防のすぐ近くに家がありました。
河川敷は子供たちにとって格好の遊び場でしたし、上流に向かって堤防を歩くピクニックをしたものです。
大雨が降った時にこっそり川を見に行って、普段とは違う、荒れ狂ったような様相に息を呑んだこともありました。
NHKに就職し、福井放送局や高知放送局で勤務しましたが、いずれも川沿いに住んでいました。
福井では桜並木の堤防で小学生になった子供たちとサイクリングしたり、水鳥を観察したりするのが楽しみでした。
そして、今暮らしている東京の自宅も、氾濫を繰り返してきた神田川と善福寺川の合流地点近くで、
孫と川辺を散歩したりしています。
古くから馴染んでいたのに、川のことをよく知りもせず、知ろうともしていませんでした。
でも、今は違います。堤防や治水の歴史など川のことをもっと深く知って、
コミュニケーションの研究者として分かりやすく伝えたいと思っています。
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メディア研究部(放送用語・表現) 塩田雄大
日本語発音アクセント辞典という本があるのをご存じでしょうか。
私たちNHK放送文化研究所の放送用語グループで編集しているものです。
ラジオ放送が始まったころ、話しことばとしての日本語は、全国でさまざまなものが使われていました。
原稿を読むアナウンサーの発音・アクセントも人によってまちまちであったようで、
放送開始当初から、音声面での日本語を整えてもらいたいという意見が寄せられていました。
そして、1943(昭和18)年に、初めての放送用のアクセント辞典が出されました。
このころ、「放送文化研究所」はまだできていませんでしたが、
日本放送協会内に放送用語を専門に取り扱う部署があり、ここで時間をかけて編集したのです。
アクセント辞典は、一度作ったらそれで終了、というわけにはいきません。
ことばというのは変化するものなので、
その時代その時代の日本語の実態をふまえた上での、辞典の改訂作業が必要なのです。
1943(昭和18)年のアクセント辞典は、その後1951(昭和26)年、1966(昭和41)年、
1985(昭和60)年、1998(平成10)年版と、4回の改訂作業を重ねてきました。
【1943年版~1998年版のアクセント辞典】
【1943年版のアクセント辞典】
今回新しく出るアクセント辞典は、5回目の改訂作業を経て生まれた、6冊目のアクセント辞典ということになります。
正直、我々としても気合が入ってます。
改訂作業はまだまだ進行中なのですが、
3月2日(水)、「新・NHKアクセント辞典 ポイント解説!」(NHK文研フォーラム2016)と題して、
今度のアクセント辞典がどんなものになるのか、どんな変更を、どんな方法で施したのか、お話ししようと思っています。
アクセント辞典は、放送に出るアナウンサーだけでなく、
朗読奉仕や外国人向けの日本語教育に携わる方々、外国人留学生、役者さんなど、
「日本語」を扱ういろいろな方面で使っていただいています。
ほんとうに嬉しく、またちょっぴり誇らしく感じます。
声優さんも、そのヘビーユーザーであると聞いています。
それが声優! 〔歌:イヤホンズ(高野麻里佳/高橋李依/長久友紀) 作詞:あさのますみ〕
…
人生は甘くない 夢だけじゃ生きていけないよ
だけどどんなに無謀な賭けでも やっぱり大好き
さあ準備です 台本 のどあめ アクセント辞典
向かいましょう スタジオへ!
改訂作業は、決して楽ではありません。
つらくなったときは、この歌を聞いて、最後の力を振り絞っています。というのはぼくだけですが。
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メディア研究部(メディア動向)村上圭子
「テレビは危機的状況にある。」「いやいや、テレビはやっぱり大丈夫。」
放送業界やそれを取り巻く人々の間では、日々そんなやりとりが続いてきました。
しかし、そもそも「テレビ」というのは家のリビングのテレビのことなのか、
それともテレビ番組のことなのか、番組を制作する放送局のことなのか、
テレビビジネス、もしくは業界のことなのか、
視聴者も含めたテレビを取り巻く全てを指すものなのか。
何が危機的で何が大丈夫なのか、そこがきちんと整理されて議論されていない、
だから将来像も描けないのではないか、
そう思って私が始めた研究が、「これからのテレビ」を考える、というものです。
ここでいう「テレビ」とは、視聴者も含めたテレビを取り巻く全てを指しています。
とにかく、テレビに関するありとあらゆる最新の動向を観察し、可能な限り俯瞰することで、
社会にとってのテレビの存在意義、テレビにしかできない役割について、
業界や業界に関連するみなさんとはもちろんのこと、
視聴者のみなさんとも一緒に考えてみたい、そう考えています。
「放送研究と調査」の2月号では、私が2012年から取り組み、不定期で連載している
「これからのテレビを巡る動向を整理する」Vol.7を掲載しています。
放送局の動画配信サービスと、
NetflixやAmazonなど、新しく始まった放送局以外の動画配信サービスの関係。

2018年から実用放送の開始が予定されている、
衛星基幹放送での4K・8Kの行方や、
総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」についても触れています。
また、3月1日に開催する「文研フォーラム」では、
総務省の放送行政担当の吉田眞人大臣官房審議官をお招きし、
東京オリンピック・パラリンピックを超えた2030年に向けたテレビ・放送のあり方について考えます。
参加されるみなさんから事前にご意見をいただきながら、
できるだけ幅広い議論ができればと思っています。
平日ではありますが、是非お時間ある方は、足をお運びください。
お申込みは、こちらから。

メディア研究部(海外メディア研究) 柴田 厚
こんにちは。文研の海外メディア研究グループでアメリカを担当する柴田厚です。
ITやメディアに関心のある人なら見逃せないCES(Consumer Electronics Show)の今年の大会で
ビックリする発表がありました(1月6日・ラスベガス)。
去年、日本にも上陸したあのNetflixが新たに130か国でサービスを開始し、
合計で世界190か国で事業を展開するというのです。
あわてて外務省のHPを見てみました。
すると国連の加盟国数は193と書いてあります。
なんとNetflixは“世界をほとんど全部網羅する”ということになります。
発表と同時に公開された「Netflixが見られる国々」をご覧になった方もおられるかと思いますが、
ほとんどが真っ赤に塗られています。
どんなに大企業でも、ふつうは「世界百何か国で一斉に事業を拡大」って、なかなか考えられませんよね。
もちろん、我々のうかがい知ることのできないところでNetflixの大変な企業努力があるのだとは思いますが、
それを可能にしてしまうのがインターネットを使ったサービスなのだと、改めて思い知らされました。
Netflixのような動画配信サービスは、アメリカでは「OTT(Over-the-Top)サービス」と呼ばれ、
既存のテレビの制作・配信のあり方や視聴習慣、ビジネスモデルを大きく変えるものとして大変注目されています。
そこで、来月(3月)1日からの『NHK文研フォーラム』のシンポジウムでは、このOTTを取り上げます。
欧米の事業者などを招いて、彼らのグローバル戦略、放送への影響などを議論します。
さらに、“Netflixの世界地図”には真ん中あたりに広くぽっかりとあいた国があります。
そうです、中国です。シンポジウムでは、中国も含めた主要国の最新事情も報告します。
今後のメディアのあり方を大きく左右する可能性のあるOTTについて、ぜひ一緒に考えてみてください。
(NHK文研フォーラムのお申し込みはこちら)