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調査あれこれ

調査あれこれ 2019年07月26日 (金)

#199 投票率を上げるには? 世論調査からヒントを探ります

世論調査部(視聴者調査)渡辺洋子


7月21日は、参議院選挙の投票日でした。

投票率は48.80%と50%を下回り、
戦後最低を記録した1995年(44.52%)に続く低さでした。
各社の報道では、政治不信の表れや台風による大雨の影響などが指摘されています。

今回、投票率の低さが話題になりましたが、
50%を下回ったのは久しぶりではあるものの、
実際のところは、1992年以降30年近くにわたって、60%に届かないという状況が続いています。

「なぜ、人々は投票に行かないのか?」

そのヒントを得られるかもしれないと、
2018年12月に行った「ニュースメディア接触と政治意識調査」の結果をみてみました。

この調査では、「あなたは、選挙のとき投票に行きますか」という
ふだんの投票姿勢についての質問をしています。

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世論調査に回答してくださる方は投票にも積極的なのか、

「どんな選挙でも必ず投票に行く」「だいたい投票に行くようにしている」人をあわせると8割近くになり、
最近の投票率の傾向より、かなり高くなっています。

この結果が直接、今回の投票結果に結びつくわけではありませんが、
ふだんの投票姿勢が、政治に対する考え方とどのような関係があるのか、
投票姿勢と政治観の関連をみてみたいと思います。


〔政治家〕
まずは、政治家に対する考え方です。
下のグラフは、
「国民の生活や国の将来を真剣に考えている政治家が少ない」について、
「そう思う」と答えた人の割合を示したものです。

先ほどの「あなたは、選挙のとき投票に行きますか」という質問への
回答別に比べてみました。
 
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投票姿勢に関わらず、大多数が
「国民の生活や国の将来を真剣に考えている政治家が少ない」と、
思っていることがわかります。

政治家に不満があるから投票へ行かない、ということではないようです。


〔政治と自分の生活〕
つづいて、政治が自分の生活と関係していると思っているか、について尋ねた結果です。

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「政治は自分の生活に関係ない」と思う人は、
「どんな選挙でも必ず投票に行く」「だいたい投票に行くようにしている」人では、
1割台にとどまっています。

ところが、「特に必要があると思ったときだけ投票に行く」人では3割弱、
「投票には行かない」人では4割と、
投票に行かない人の方が、「政治が自分の生活に関係ない」と思っており、
政治と自分の生活との距離感が、投票への姿勢と関連していることがわかります。


〔選挙への効用感〕
さらに、「自分ひとりぐらい投票しなくても、選挙の結果に大きな影響はない」という、
自分の1票が選挙結果に与える影響力に対する感覚についての質問です。

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「自分ひとりぐらい投票しなくても、選挙の結果に大きな影響はない」と思う人は、
「どんな選挙でも必ず投票に行く」人では2割でした。

それに対して、「投票には行かない」という人ではなんと9割!

自分の投票行動が、選挙結果に対して影響を持つ、と考えている人は投票へ行き、
自分が投票してもしなくても影響はない、と考えている人は投票へ行かない
ということがくっきりと見えました。


若い人たちの投票率が低いことが取り沙汰されますが、
この投票への感覚を年層別にみると、
「自分ひとりぐらい投票しなくても、選挙の結果に大きな影響はない」と考える人は、
やはり若いほど多くなっています。

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こうした投票への意識が、若い人を投票から遠ざける一因になっていると考えられます。


自分の投じた1票が、選挙結果を左右する
このように多くの人が感じるためには、どのようにすればよいでしょうか。

調査では、ふだん利用しているメディアやどんなニュースを見ているのかなど、
ほかにも多くの事がらを尋ねています。
様々な角度から分析を進め、投票を呼び掛ける上でのヒントをさらに探りたいと思います。

今回ご紹介した「ニュースメディア接触と政治意識調査」については、
『放送研究と調査』(2019年6月号)で、「ニュースメディアの多様化は政治的態度に違いをもたらすのか」と題し、選挙に限らず、広く政治意識とニュース接触との関連を分析した結果を報告しています。

ご関心がありましたら、是非ごらんください。



調査あれこれ 2019年07月23日 (火)

#198 小学校でのタブレット端末の利用は進むのか?

メディア研究部(番組研究)宇治橋祐之


令和元年6月は、学校教育の情報化に関する大きな動きが続きました。

まず6月25日に 文部科学省から「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」 1) が公表されました。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続くSociety5.0の時代に向けて、学校教育の現場でもAIやAR・VRなどの先端技術と教育ビッグデータの活用を進めること、そのために学校ICT環境を整備するという方針を示しています。具体的にはデジタルテレビなどの大型提示装置やタブレット型などの学習者用端末の整備、そして通信ネットワークの充実・強化が示されています。

さらに経済産業省からも同じ6月25日に「未来の教室ビジョン」 2) が公表されています。Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Mathematics(数学)にArt(芸術)を加え、現実社会の問題を解決するために統合的に学習する「学びのSTEAM化」、そして「学びの自立化・個別最適化」、「新しい学習基盤の整備」を3本柱としています。

教育に関わるビジョンをなぜ経済産業省が?と思われるかもしれませんが、学校教育の情報化にはAIや動画、オンライン会話等のデジタル技術を活用した教育技法であるEdTech(エドテック)が関わるので、経済産業省もこうした提言をしているのです。

経済産業省だけではありません。情報通信に関わる施策を担当する総務省でも「教育の情報化の推進」 3) を進めています。教育の内容については文部科学省が担当しますが、教育の情報化になると、文部科学省、経済産業省、総務省が関わってくるのです。

そして6月28日にはこうした施策を進めることが「学校教育の情報化の推進に関する法律」 4) として公布・施行されました。学校教育の情報化は大きな節目を迎えているといえます。


さて、こうしたビジョンが示され、施策が進められる中、学校現場の実態や先生たちの意識はどうなっているのでしょうか?

放送文化研究所では、教室のメディア環境や学校放送番組などのさまざまなメディアがどのように授業で利用されているのかを継続して調査しています。昨年10月から12月にかけては、「NHK小学校教師のメディア利用と意識に関する調査」を実施しました。調査をお願いした全国の小学校の先生の7割近くの方からご回答いただきました。本当にありがとうございます。

小学校の教室にはデジタルテレビやタブレット端末がどのくらい整備されているのか、そして実際の授業ではどの程度使われているのか、そうした機器ではどんな映像が利用されているのか、子どもたちはどの程度タブレット端末を使っているのか。こうした教室でのメディア利用の実態を、「放送研究と調査」6月号『進むタブレット端末の利用と学習におけるメディア利用の可能性~2018年度「NHK小学校教師のメディア利用と意識に関する調査」から~』としてまとめました。

イラストに示したような、教師が大型モニターを使って授業するだけでなく、子どもたちが1人1台のタブレット端末で学習する時代にはどんなメディアが必要なのでしょうか。教育や子どもに関わる方以外にもぜひ読んでいただければと思います。


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1) 文部科学省「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」     http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm

2) 経済産業省「未来の教室ビジョン」
https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190625002/20190625002.html

3) 総務省「教育の情報化の推進」
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/index.html

4) 学校教育の情報化の推進に関する法律
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1418577.htm


調査あれこれ 2019年07月19日 (金)

#197 「必ずしも結婚する必要はない」が7割近くに  ~第10回「日本人の意識」調査から~

世論調査部(社会調査) 吉澤 千和子


グローバル化や少子高齢化、情報化社会の到来など、私たちが生きる時代は、政治や経済・社会・技術など様々な面で常に変化しています。そんな時代の流れの中で私たち日本人の意識はどのように変化しているのでしょうか?
こうした疑問に、印象論ではなく、科学的な世論調査によって一つの答えを出そうとするのが「日本人の意識」調査ですこの調査は、NHKが1973年から5年ごとに実施しており、第10回は昨年6~7月に行いました。45年にわたる意識の変化を紐解く調査の中から、いくつかをご紹介します。


■生活満足度~45年間で「満足している」が大きく増加

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今の生活に、全体としてどの程度満足しているかを尋ねた結果、「満足している」という人が増えています。現在では「満足している」が39%で、「どちらかといえば、満足している」を含めると92%の人が満足していると回答しています。


■結婚観~「必ずしも結婚する必要はない」が7割近くに

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結婚することについて「必ずしも必要はない」と考える人、子どもをもつことについて「結婚しても、必ずしも子どもをもたなくてよい」と考える人が増えました。特にこの10年間は増えていて、今ではそれぞれ68%、60%と多数派になっています(この2問は第5回の1993年から開始)。


■天皇に対する感情~「尊敬」が4割超で過去最多

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この調査では、天皇(73年~88年 昭和天皇、93年~2018年 先の天皇)に対してどのように感じているかも聞いています。
調査開始からの変化をみると、88年までの昭和の時代は結果に大きな動きはありませんでした。しかし、平成になると「好感をもっている」が大幅に増え、その後は、調査のたびに最も多い回答が入れ替わりました。08年以降は「尊敬の念をもっている」という人が増加して今回は41%に。「好感をもっている」や「特に何とも感じていない」を上回り、45年間で最も多くなっています。


このほか、調査では男女関係、家庭像、夫婦・親子関係、政治、ナショナリズム、日常生活など幅広い領域で日本人の意識を調べています。詳しい分析結果は『放送研究と調査』5月号6月号で報告しているほか、文研のホームページでも全文お読みいただけます。ぜひご一読ください。


調査あれこれ 2019年07月12日 (金)

#195 伝えておきたいこと

メディア研究部(番組研究)原 由美子

こんにちは。メディア研究部番組研究グループの原由美子です。この秋で、40年あまり勤めたこの研究所を卒業します。そろそろ机回りを片付け始めなければと、書棚や引き出しの中を久しぶりに眺めていると、しばらく手を付けていなかった報告書やファイル群が目に飛び込んできます。それらをパラパラとめくるうちに、このまま処分してしまうには惜しい、是非、放送研究に携わる方々や同僚後輩に知っておいてほしいと思うものがいくつか出てきました。そこで、私が携わってきた「番組研究」という仕事にかかわるテーマでお伝えしておきたいことを、『放送研究と調査』内の「放送研究リポート」で、3回にわたって書いてみることにしました。

<番組の内容分析>
1回目(6月号)でお伝えしたのは、番組の内容分析についてです。番組を研究する際の手法の一つで、かつてはさかんに行われ、また行われるべきだとされてきながら、最近は、少し影の薄い研究領域です。その手法を解説するとともに、私自身が手掛けてきた研究の事例を紹介しました。

<「ステーションイメージ調査」とその展開>
2回目(8月号)は、手法ではなく、研究テーマの展開の話です。ひとつの調査研究が、別の共同研究や新しいテーマの発見へとつながっていった事例を筆者の経験から紹介します。ここで紹介している研究は、ステーションイメージや番組分類、バラエティ―番組の研究など、現在にも通じるテーマだと思います。これからの研究のヒントになればと思います。

<番組の質的評価>
3回目(10月号)は、放送や番組・視聴者を研究する者にとって永遠のテーマともいえる、「番組の質的評価」を取り上げました。これまでにどのような取り組みが行われてきたかを概観するとともに、文研の大先輩の業績を紹介します。


そもそも、このような「覚書」を書こうと思い立ったのは、「番組の内容評価調査」に取り組んだ大先輩が、退職前に私たち後輩に向けて残してくれたメモを、ファイルの中から再発見したのがきっかけでした。
先輩から受け継いだものを、後輩に引き継いでおきたい。そんな思いで書いたシリーズです。みなさんにとって参考になることが少しでもあれば幸いです。

 

調査あれこれ 2019年06月21日 (金)

#193 10代がSNSを使う理由 1位は?

世論調査部(視聴者調査)渡辺洋子


皆さんが使っているSNSは何ですか?そして、それを使う理由は?

SNSは何を使っている?

私はプライベートでは、LINEとInstagramがメインでFacebookは主に閲覧だけ、Twitterはほとんど使っていません。と、ここまで書くと大体年齢がわかってしまいます。


こちらのグラフは、男女年層別にSNSのサービスごとの利用率を示したものです。

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LINE
TwitterInstagramFacebookと比べて別格に多く、全体では7割弱が利用しています。ただし年層差は大きく、50代以上になるとぐっと利用率が下がります。LINEを除くと、20代以下ではTwitterの利用率が高いことがわかります。30代以上の男性ではFacebook>Twitter>Instagram、30~40代女性ではInstagram≒Facebook>Twitterという傾向がみえますね。

ということで、“Instagram とFacebookは使うけれどTwitterは使わない”というと、30~40代女性の特徴となり、女40代の筆者は、調査結果の通りここに入るということになります。

このように、利用するSNSは男女や年齢によって異なりますが、さらにSNSを利用する理由も年齢で大きく違っていたんです。


SNSを使う理由は?

40代の私にとって、SNSは友達の投稿を見ることがメインです。なので、SNSって“つながり”とか“コミュニケーション”を目的に使うものだよね、と当然のように思い込んでいました。ところが、若い人たちにとってはそうではありませんでした。


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こちらのグラフは、Twitter、Instagram、Facebookのいずれかを使う人に、それらを使う理由を尋ねた結果です。

全体では、「個人的に知りたい情報が得られるから」「家族や友人、知人の近況を知りたいから」がどちらも50%程度ですが、16~19歳では「個人的に知りたい情報が得られるから」という情報収集を目的とする人が74%にものぼる一方、「家族や友人、知人の状況を知りたいから」というコミュニケーションを目的とする人は42%と大きな差があります。

若い人たちにとってのSNSは、“つながり”のためというより、情報収集のために使う道具だったんです。

『放送研究と調査』2019年5月号では、「SNSを情報ツールとして使う若者たち~「情報とメディア利用」世論調査の結果から②~」と題して、SNSから多くの情報を得ている今の若者にとって、SNSやテレビはどのような存在なのか、さらにニュースに対してはどう接しているのかについて、調査の結果をもとに分析しています。どうぞご覧ください。

調査あれこれ 2019年06月14日 (金)

#192 平成で日本人はどう変わったか?~博報堂生活総研と座談会を行いました

世論調査部(社会調査)荒牧 央


文研では1973年から5年ごとに「日本人の意識」調査を継続して行い、日本人のものの見方・考え方の変化について分析を続けています。

先日、同じように長期の時系列調査を実施している博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)の研究員お二人と、文研の「日本人の意識」調査チームで「平成」の価値観の変化をテーマに座談会を行いました。

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博報堂生活総研 三矢さん・内濱さん      NHK文研 村田・荒牧・吉澤


生活総研では「生活定点」調査や「家族調査」などの時系列調査を、長いものでは30年にわたって実施し、それらの調査データからの知見を最近書籍にもまとめられています。

今回、お互いの知見を持ち寄ったことで、
・家庭に対する意識や家族のあり方は大きく変わったものの、家族の価値は決して低くなっていないこと
・人間関係などで「公」よりも「私」を重視する考えが強まっていること
などが共通の傾向としてみえてきました。

そのほか、一見似たような質問なのに食い違う結果が出ている質問や、私たちの調査では全く尋ねていないような質問などもあり、興味はつきませんでした。

そもそも別の研究機関の方と、それぞれの調査データについて時間をとって議論するという機会は、実は多くありません。そういう意味でも非常に有意義な時間になったと思います。

今回の座談会の様子は博報堂のウェブサイトに掲載され、文研のサイトにも掲載しています。ぜひご一読いただければと思います。

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         座談会を終えて

『放送研究と調査』5月号
6月号では、2018年に実施した「日本人の意識」調査の最新の結果について詳しく報告しています。こちらもぜひご覧ください。


調査あれこれ 2019年06月07日 (金)

#190 世論調査の手法はいろいろ - より良い手法を探っています

世論調査部(研究開発)萩原潤治

「世論調査部の萩原です」と自己紹介すると・・・
「あー、内閣支持率のニュースをよく見ますよ」とか「電話で調査してるんですよね?」とか言われることが多いですね。

確かに、NHKは毎月、内閣を支持するか否かなどを聞く「政治意識調査」を電話で行い、結果をニュースにしていますので、世論調査=電話という印象が強いのかもしれません。ただ、世論調査には電話法のほかにもいくつか手法があるんです。

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「個人面接法」では調査員が調査相手のご自宅を訪問し、面談して回答していただきます。また、「郵送法」では質問紙を郵送し、回答を記入して返送していただきます(NHKでは、調査員が質問紙を届ける「配付回収法」という手法も行っています)。

冒頭の「政治意識調査」は、その時々の内閣支持率や時事問題などについて、人びとの意識を把握する調査ですので、調査期間はできるだけ短く、また結果もなるべく早くお伝えすることが望ましいでしょう。それで、最も機動性の高い「電話法」が選ばれているというわけなんです。

さて、この「電話法」に携わっている人たちにとって、2016年は大きな転機の年でした。
それまでの全国電話調査は固定電話だけが対象でしたが、これに加えて携帯電話にも発信する「固定・携帯RDD」を報道各社が導入し始めたのです。NHKも2016年12月からこの手法を採用しています。携帯電話しか持たない人にも調査できるようになったことで、若い人の回答数が増え、調査の精度がアップしました。

しかし、問題も残っています。全国ではなく、都道府県など地域を限定した電話調査では、携帯電話の番号からは地域が特定できないので、今も固定電話のみで調査をせざるを得ないのです。せっかく、「固定・携帯RDD」を始めたのに、地域調査は固定電話だけのまま・・・もどかしいですが、今のところ解決策は見つかっていません。

さらに、この固定電話調査は、若年層の回答数が少なく、高年層の回答数が多いという傾向があります。「世論調査=国民の縮図」として公表する以上、この状況が深刻化する前に手を打たなければ、世論調査への信頼は揺らぎかねません。

(前置きが長くなりましたが・・・)そこで!今回の神戸市などを対象にした地域限定の世論調査では、固定電話による調査の代わりに、「郵送法」を改良して行い、その効果を検証しました。

「郵送法」は、有効率の高さや多様な質問文・選択肢を作ることができるという特長がありますが、機動性では「電話法」にかないません。このため今回は、いつもの「郵送法」よりも、どの程度、調査の期間を短くできるのかを工夫して設計してみました。

この改良版・郵送法は、固定電話調査の代わりになりうるのでしょうか。手法の詳細と精度の検証結果について『放送研究と調査』5月号に書きました。ぜひご覧ください。

 

調査あれこれ 2019年05月24日 (金)

#188 日本人で宗教を信仰している人は何%? 増えてるの減ってるの?

世論調査部(社会調査)小林利行


「ふだん信仰している宗教がありますか」
みなさんがこんな質問をされたらどう答えますか?

NHKが去年10月から11月にかけて行った「宗教」に関する世論調査(全国の18歳以上対象)の結果によると、「仏教」と答えた人が31%、「神道」が3%などと、何らかの宗教を信仰していると答えた人は合わせて36%になりました。

この調査は2008年にも実施しているのですが、何らかの宗教を信仰していると答えた人の割合は、この10年でほとんど変化していません。

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宗教に関する意識や行動は、10年ぐらいではあまり変わらないのかなと思って他の質問をみてみると、むしろこの結果が例外で、他の多くの数字は増加したり減少したりしているのです。

例えば、信仰心があるかどうかを尋ねた質問では、信仰心が「ある」という人が2008年は33%でしたが、去年は26%に減っています。

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では、仏教や神道など、何らかの宗教を信仰している人に限ってみるとどうなるでしょうか。
(①のグラフで、緑や赤などのカラフルな部分の人を100%として考えるということです)

「何らかの宗教を信仰している」と答えた人の中で、信仰心「あり」と答えた人は2008年は65%でした。しかし、去年は53%に減っているのです。

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つまり、「何らかの宗教を信仰している」と答えた人の中でも、信仰心を持つ人が少なくなっていて、最近では約半数になっているということです。

私は宗教学の専門家ではないので詳しく解説できないのですが、日本人にとって宗教を信仰するということは何を意味するのかということを考えさせられる結果ではないでしょうか。

実は、この調査は20年前にも行っていて、多くの質問で過去20年間(3回分)の比較が可能です。
ここで紹介した以外にも、「へえ~」と思える結果がたくさんあります。

例えば、「人に知られなくても悪いことをすれば必ずむくいがあると思うか」という質問があります。
20年前には74%の人が「そう思う」と答えていましたが、去年は何%だったと思いますか?
多くなったのか少なくなったのか? その変化はどの程度なのか?

気になる方は『放送研究と調査』4月号をご覧ください。

※ブログ内では、選択肢をある程度まとめて示しているグラフもあります。

 

調査あれこれ 2019年05月17日 (金)

#186 東京五輪・パラまで1年余り。 人々の意識に変化は!?

世論調査部(視聴者調査) 斎藤孝信


2020年東京オリンピック・パラリンピックまで、残すところ1年余り。観戦チケットの予約開始や、各種目の代表選考など、大会に関するニュースや話題を耳にする機会が多くなってきたように感じます。

文研では2016年から継続して、全国の20歳以上の男女3600人を対象に「2020年東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」をおこなっています。最新の第4回調査(18年10月実施)の結果は、「放送研究と調査」4月号で詳しく報告しているほか、文研のホームページでも全文をお読みいただけます。
このブログでは、その中から、今回の注目点を少しだけご紹介します!

<準備状況の評価が大幅に改善>
大会の準備状況についての評価は、調査開始からの2年間で大きく改善しました。
「とても順調だと思う」と「まあ順調だと思う」を合わせた『順調だ』は、第1回(16年10月)の18%から、第4回は52%になり、すべての調査を通じて初めて『順調ではない(あまり+まったく)』を上回りました。

第1回調査は、大会の総費用が3兆円を超える可能性が明らかになったり、新国立競技場の着工が遅れたりしていた時期でしたので、多くの人々が準備の進ちょくを危惧していたのでしょう。
それから2年が経ち、第4回調査の時点では、各競技施設の建設が着々と進み、競技日程も発表された(発表は18年7月)こともあり、『順調だ』と受け止める人が増えたのではないでしょうか。

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ちなみに(今回の報告内容からは、少し横道にそれますが)・・・。
前回の東京オリンピックの時はどうだったのでしょうか。

文研が東京都民を対象に、1964年6月に実施した世論調査(「オリンピックの準備は、あまり進んでいないようだ」という意見に対して、「賛成」か「反対」か「どちらともいえない」かの3択で回答してもらう方法)をひもといてみると・・・。

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このように、大会が4か月後に迫る中でも、半数以上の人が「準備はあまり進んでいない」と厳しい評価をしていました。当時は、交通インフラ整備や街の美化などが「五輪までに間に合うのか?」と問題になっていたようです。そうした不安と、国内初のオリンピックを成功させなければ!というプレッシャーが、この数字の裏側にはあったのかもしれません。

<「純粋なスポーツ」として捉える人が増えたパラリンピック>
第4回調査では、パラリンピックに対する人々の意識にも変化がみられました。たとえば、「パラリンピックは、どのように伝えるべきか(スポーツとして?福祉として?)」では、「オリンピックと同様に、純粋なスポーツとして扱うべき」が、第1回の37%から、43%に増加しました。

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全文掲載した報告の本編では、ここでご紹介した内容のほか、大会への関心の有無や、開催に伴う期待と不安、大会時のメディア利用の意向なども詳細に報告しています。ぜひご一読ください。

調査あれこれ 2019年04月12日 (金)

#180 都市直下型地震 その時役立つメディアとは? ~大阪北部地震のメディア利用動向インターネット調査とは~

メディア研究部(メディア動向) 入江さやか
編成局 編成センター      西 久美子


■大都市・大阪を襲った「直下型地震」

2018年6月18日午前7時58分ごろ、大阪府北部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生。
大阪市北区、大阪府高槻市、枚方市、茨木市、箕面市で震度6弱の強い揺れを観測しました(以下、大阪北部地震と表記)。この地震で、関西地方の多くの鉄道が当日の夕方にかけて運転を見合わせたため、いわゆる「帰宅困難者」が多数発生しました。NHK編成局編成センターとNHK大阪放送局では地震発生当日のメディア利用動向を早期に把握するため、大阪府在住の16~79歳の男女・2,051人を対象にインターネットによる調査を行いました。さらにこの調査結果を揺れの大きかった大阪府北部とそれ以外の地域に分けて分析しました。

大阪北部在住の回答者の4分の1が「帰宅困難者」に

調査結果をみますと、大阪北部に在住する回答者(1,014人)のうち、25%の人が「歩いて帰宅した」「自宅に帰らず外出先などに泊まった」「普段と違う交通機関を使って帰宅した」などと回答し、いわゆる「帰宅困難者」になっていたことがわかりました。

これらの「帰宅困難者」が、帰宅の可否を判断するのに利用したメディアについては、「インターネットのポータルサイト(Yahoo!・Google等)」が27%で最も多く、次いで「NHKテレビ」(23%)「交通機関のサイト・乗り換え案内アプリ」(17%)「民放テレビ」(16%)などとなっていました。自分の行動や対応を決めるための情報を、主にテレビやネットから得ようとしていたことがわかりました。

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図1 大阪府北部在住の「帰宅困難者」が帰宅の可否の判断に利用したメディア
(複数回答・上位5位まで)
 
 

■もしもテレビやスマホが使えなくなったら?

今回の大阪北部地震では、交通・通信・ライフラインなど大都市を支える機能が一時的に停止・低下しましたが、テレビ・スマートフォンなどの情報機器はほぼ使用できる状況でした。一方、この地震から2か月半後の「北海道胆振東部地震」では、北海道のほぼ全域が停電(ブラックアウト)し、テレビやスマートフォンやパソコンが利用しにくい状況になり、ラジオが主な情報源になりました。

都市直下型の大地震の際に正確な情報が得られないと、帰宅できないばかりか、大きな混乱につながるおそれもあります。今回の地震を受けて大阪府では、災害時の一斉帰宅の抑制とともに、「安否確認・情報収集手段の確保」も呼びかけています。テレビやネットが使えなくなった場合に備えて、電池で使える「ラジオ」もぜひ1台備えておきたいものです。

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図2 大阪府が作成したチラシ「STOP!一斉帰宅」から
(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/23998/00000000/chirashi.pdf)

今回の調査結果の詳細は、NHK放送文化研究所のウェブサイトでご覧いただけます。
「放送研究と調査」2019年3月号 
都市直下型地震 その時役立つメディアとは? ~大阪北部地震のメディア利用動向インターネット調査とは?~

あわせて、「北海道胆振東部地震」の調査報告もぜひお読みください。
「放送研究と調査」2019年2月号 
北海道ブラックアウト どのメディアが機能したのか 
~「北海道胆振東部地震」メディア利用動向インターネット調査から~