文研ブログ

2023年5月22日

メディアの動き 2023年05月22日 (月)

【メディアの動き】北朝鮮ミサイルで初の「日本領土・領海 に落下予測」,その後「可能性なくなる」

4月13日午前7時26分,防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射されたと発表した。

その約30分後の午前7時55分,政府は,人工衛星を通じて自治体などに緊急に情報を伝えるJアラート=全国瞬時警報システムで「北海道周辺」を対象に,直ちに避難を呼びかける情報を発信。

さらにその1分後の56分には,エムネット=緊急情報ネットワークシステムで,「先ほど発射されたミサイルが午前8時ごろ,北海道周辺に落下するものとみられます。北海道においては直ちに建物の中や地下に避難して下さい」と伝えた。

政府がJアラートとエムネットで情報を発信したのは今回で7回目だが,日本の領土や領海への落下が予測されたのは初めて。

各放送局は臨時ニュースで避難を呼びかけ,北海道では通勤客が地下街に避難するなどの影響が出た。

しかし,政府は午前8時16分,エムネットで「当該ミサイルについては北海道及び,その周辺への落下の可能性がなくなったことが確認されましたので訂正します」と発表した。

これについて同月21日,防衛省は,当初,北海道周辺に落下するおそれがあると探知したのは,結局ミサイル本体ではなく,分離したブースターなどだった可能性があるとする分析結果を公表した。

今回の一連の情報発信をめぐり,岸田総理大臣は同月13日,「国民の安全を最優先する観点から発出し,その後,ミサイルがわが国領域に落下する可能性がなくなったことが確認されたので改めて情報提供を行った。Jアラートの役割を考えれば今回の判断は適切だったと考えている」と述べた。

メディアの動き 2023年05月22日 (月)

【メディアの動き】制作会社側がNHKのBS波削減による制作機会の減少に懸念 

4月24日,総務省が設置する「放送コンテンツの制作・流通の促進に関するワーキンググループ」の第5回会合が行われた。

その中で,全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は,2024年3月にNHKがBS波を削減することについて,懸念と要望を表明した。

BS波削減によって制作機会が失われることに危機感を抱くATPは,外部制作委託や共同制作の比率のいっそうの拡大,そして適正な制作費の確保と総制作費の開示を求めた。

こうした懸念と要望の背景には,国内の製作会社の収益悪化がある。

ATPの調査によると,総売り上げ10 ~ 20 億円未満の製作会社の86%以上が減益(2021年度)であり,特に小規模な会社の経営状態が悪化しているとみられる。

放送をめぐる環境の悪化に対応するためのさまざまな議論の過程で,放送事業者と番組製作会社の間での,制作委託契約や取引価格,さらには著作権の帰属をめぐるトラブルが顕在化し,法令違反の防止,取り引きの適正化は急務となった。

総務省では,適正な取り引きのためのガイドラインの策定・改訂とともに,製作会社等に対応する無料の法律相談窓口を設けるなど,取り組みを進めている。

しかし,NHKが受信料の値下げを決定し,民放各局も番組制作費の削減が相次ぐ中,さらなるしわ寄せが立場の弱い製作会社に及ぶおそれもある。

放送業界がこの悪循環を断たなければ「良質で魅力ある放送コンテンツの製作・流通を促進」することは期待できず,Netflixなど外国資本の動画配信サービスの伸張を止めることは困難であろう。

メディアの動き 2023年05月22日 (月)

【メディアの動き】石川県の馳浩知事が定例会見開かず 地元テレビ局とのトラブルが発端

石川県の馳浩知事が,これまで月に1回のペースで開いていた定例の記者会見について,3月に続き4月も開かないという異例の事態が続いている。

馳知事は,2022年10月に全国公開されたドキュメンタリー映画『裸のムラ』(石川テレビ製作)で,県職員の映像が無断で使用されたと主張。

石川テレビの社長に定例記者会見への出席を求め,その場で議論したいという意向を示した。

これに対し,石川テレビは「肖像権侵害にはあたらず,当社が主催する記者会見以外に社長が出席することはない」として応じない考えで,両者の言い分が相容れないまま,定例会見が開かれていない。

一方で,新年度の抱負を述べた4月4日の臨時記者会見など,4月に3度の会見に臨み,その場で,記者がなぜ定例会見を開催しないのかを知事にただすという状況が続いている。

2022年3月に初当選した馳知事は,定例記者会見の実施を知事選で公約の1つに掲げていた。

今回の事態について,新聞労連や民放労連などで作る日本マスコミ文化情報労組会議は同月21日,声明を発表し,「そもそも記者会見は県民に向けて行われるもの」としたうえで,「『定期的に開催する』と知事選で公約した会見の機会を一方的に閉ざすのは,県民の『知る権利』を侵害する行為そのものだ」と非難し,早急に定例記者会見を再開するよう求めた。

またメディア側に対しても「当の石川テレビをはじめ,県内の各放送局はこの問題をあまり報じていない」などと指摘し,「報道機関は一致して事態の打開に向けて行動すべきだ」として奮起を促した。