文研ブログ

2023年5月19日

メディアの動き 2023年05月19日 (金)

【メディアの動き】英BBCシャープ理事長が辞任を表明

イギリスの公共放送BBCのシャープ理事長は,選任のプロセスで規定違反があったとの調査報告が出たことを受けて,辞任を表明した。

与党・保守党の大口献金者であるシャープ理事長は,旧知であるジョンソン首相(当時)のローンの保証人の手配に関与していたことが 1月に明らかになり,監督機関による調査が進められていた。

4月28日に公表された報告書は,シャープ氏がジョンソン氏に対し,理事長職に応募する意思があることや,ローンの保証人に名乗り出ている知人を内閣官房長に紹介することを事前に伝えていながら,選任にあたって当局に申告しなかったことは問題だとした。

また,シャープ氏が,任命権者であるジョンソン氏を支援したことが有利に働いたという印象を与える危険性があり,事実を申告しなかったことは規定違反にあたるとした。

また報告書はメディアに対し,政府が有力候補の氏名をリークすることで,ほかの候補者が応募を見送っている可能性を指摘し,候補者の多様性を損なうこうした行為も禁止するよう求めた。

報告書の公表を受けてシャープ氏は同日,「報告書は,違反は不注意によるものであり,任命を無効にするものでないとしている」としながらも,「BBCの利益を優先すべきだ。私が居続ければ,局のよい仕事に関心が向けられなくなる」と述べ,辞任を表明した。

BBC 理事会の要請によりシャープ氏は6月末まで職にとどまり,その後,政府による公募で新しい理事長が選出されるまで,理事から選ばれる暫定理事長が任務を行う見通し。

BBCのデイビー会長は「2 年の在職中,BBCの変革と成功に多大な貢献をした」と謝意を示した。

メディアの動き 2023年05月19日 (金)

【メディアの動き】韓国,KBS受信料の徴収方法を変更へ

韓国の大統領室は,公共放送KBSの受信料の徴収方法を変更することを決定し,今後,具体的な手続きを検討することになった。

KBSの受信料は,放送法により「テレビ受像機を所持している者」に支払い義務があり,1994 年からは,韓国電力が電気料金とともに徴収している。

ただ,放送を見ていなくても受信料の支払いが必要となるため,「視聴者の選択権を制限する不合理な制度ではないか」という声があり,大統領室では3月9日から1か月間,国民から賛否の意見を募集していた。

6万件弱の回答の結果は,分離徴収についての賛成意見が96.5%だった。

大統領室関係者は結果について,「国民の意思に従い,確実に制度を見直す」と述べている。

具体的には,韓国電力の受信料徴収業務を規定している放送法施行令の見直しが検討されている。

あわせて,規制監督機関の放送通信委員会も,受信料徴収制度の改善に向けた検討を進めることになった。

KBSは,分離徴収となれば受信料収入は半分以下に減り,徴収費用は2 倍以上に増えると予測している。

また,「国際放送,障害者向け放送,クラシック音楽放送などの公共サービスが縮小される」との懸念を示している。

野党の「共に民主党」も,「受信料を武器に公共放送を支配しようとしている」と政府を批判している。

KBSは40 年以上据え置かれた受信料の引き上げを求めており,2022 年10月には野党が放送法改正案を国会に提出していた。

そのさなかに分離徴収の議論が巻き起こったことで,公共メディアの将来像にいっそう注目が集まっている。