2024年03月06日 (水)【みえDE川柳】 お題:肉

天 肉無しのカレーに入れる笑い声/田舎のマダムさん

  橋倉久美子先生「肉無しのカレー」というと何だかわびしいものがあるが、この句からはそんなことは感じられない。それはもちろん、肉の代わりに「笑い声」が入っているからだ。「このごろお肉も高くてさー、今日は肉なしでがまんしてー」などと、あっけらかんとした調子で言われたら、「えーっ」と声を上げながらも、「しょうがないなー」と苦笑いして食べるしかない。
 ちなみに、ちくわのカレーがおいしいと聞いたので先日作ってみたら、シーフードカレーのような味でなかなかおいしかった。一度お試しください。

地 焼き肉のタレでごまかす晩ごはん/かぐや姫 さん

 橋倉久美子先生最近では、砂糖やしょうゆといった基本的な調味料より、それだけで味付けできる合わせ調味料が売り上げを伸ばしているという。中でもめんつゆと焼き肉のたれは、応用も効いて使い勝手がいいらしい。
 さて、この晩ごはん、いったいどんなごまかし方をしたのだろう。安い肉をタレでさも高級な肉のように見せかけたのか、それとも野菜炒めの味付けに使ったのか。まさか白いご飯に焼き肉のタレだけをかけて焼き肉丼風、なんてことはないでしょうね。

人 肉食べて少し素直な反抗期/だんでらいおん さん

 橋倉久美子先生この肉は、焼き肉か唐揚げか、それともとんかつか。いずれにせよボリュームのある、いわゆるガッツリ系の皿が目に浮かぶ。ふだんは仏頂面で、家族との食卓もめんどうくさそうに囲む反抗期の子ども。それが「少し素直な」というのだから、小さな声で「おいしい」とつぶやいたり、「来週、授業参観」などとぼそっと言ったりしたのかもしれない。
 「肉」の題から、反抗期の子どもの表情や家族の情景を想像させる、ドラマ性のある句になった。

 

 

<入選>

競争で食べる焼肉いつもレア/ゆきち さん

※放送では別の作者のお名前をご紹介しました。お詫びいたします。

食べ放題 歳はとっても 肉が先/ミードラさん

肉眼で無理序の口の力士の名/中原政人 さん

ぜい肉は見せられないが隠せない/茶飯士 さん

世話されたお礼肉球触らせる/スイッチ さん

肉じゃがの牛か豚かに出る文化/夜半亭あぶらー虫 さん

いい肉が照明にまで指示を出す/せきぼー さん

牛丼がオシャレでのせる紅しょうが/せいじ さん

役柄に合わせ役者が落とす肉/流星 さん

焼き鳥の串から愚痴がこぼれ落ち/川端日出夫 さん

 

橋倉久美子先生 橋倉久美子先生 

 431句ものご投句をいただきましたが、大きく分けて、「食べる肉」の句と「体についた肉」の句がありました。
 「食べる肉」の句は、生活感のある句や現在の物価高を題材にした句が多く、共感しながら読みました。「すき焼き→高価、物価高」「焼き肉→取り合い」という句が多いのはわかるとして、どういうわけか「肉じゃが→男心をつかむ」「肉まん→部活・塾帰り」という相関関係があるようで、おもしろく思いました。
 一方、「体についた肉」の句の中には、入選とするにはやや品のない句もありました。川柳は庶民の文芸ですが、だからこそ、節度を持って詠むことも心がけてほしいと思います。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:11:25


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