文研ブログ

2023年6月26日

メディアの動き 2023年06月26日 (月)

NHKを巡る政策議論の最新動向④  いまNHKに何が問われているのか【研究員の視点】#495

メディア研究部(メディア動向)村上圭子

はじめに
 本ブログでは、「NHKを巡る政策議論の最新動向」と題し、NHKのネット活用業務の今後に向けた議論を中心に整理しています。今回はその4回目です1)
 ブログの当初の目的は、総務省「デジタル時代の放送制度の在り方に関する検討会(以下、在り方検)」の「公共放送ワーキンググループ(以下、公共放送WG)」で行われている議論をできるだけわかりやすく整理することでした。しかし、NHKにおいて、現在は認められていないBS番組の同時配信を名目とする不適切な設備調達の手続き(以下、BS同時配信設備調達問題)が進められていた事案が明らかになったり2)、自民党の情報通信戦略調査会(以下、自民党調査会)において非公開で行われたヒアリングでNHKが答えた内容が公共放送WGの説明より踏み込んだ内容であると新聞で報じられたり3)、NHKによる“日本の放送業界への貢献”という観点から放送業界のプラットフォーム(以下、PF)について検討するタスクフォース(以下、TF)が立ち上がったり4)と、NHKのネット活用業務を巡る新たな動きが次々と出てきました。図1はこうした最近の動きを整理したものです。これらを単独の動きとしてではなく、関連付けて総合的に捉えていかなければ、NHKを巡る政策議論は正しく認識できないと考えています。

replacement_dayandtime.jpg図1 NHKのネット活用業務をめぐる最近の主な動向

 この他、いまNHKでは、ネット活用業務に関すること以外にも、複数の番組制作を巡って問題が指摘されたり5)、私が所属する文研でも個人情報を紛失するという問題が起きたりしています6)。本ブログとはテーマが異なるので詳細は取り上げませんが、受信料で業務を行う職員の一人として改めて身を引き締め、社会に対する責任をしっかりと果たしていきたいと思います。
 さて、今回は6月7日に行われた第9回の公共放送WGの議論を取り上げます。様々な動きの最中で開催された会合であったため、これまで以上に議論の論点は多岐にわたりました。またこの日は、ネット活用業務の必須業務化を求めるNHK、その姿勢に対して以前から懸念を表明してきた民放連、日本新聞協会の三者が一堂に会し、直接意見を述べあう場にもなりました。以下、主な議論のポイントを整理していきます。

1.問われる「ガバナンス」
 NHKについてはこれまで、在り方検の前身である「放送を巡る諸課題に関する検討会7)」(2015年~2020年)の頃から、①業務②受信料③ガバナンスの「三位一体改革」が求められてきました8)。本WGではこのうち、①のネット活用業務のあり方と②の受信料制度の将来像が中心に議論されてきましたが、第9回会合ではNHKのBS同時配信設備調達問題を巡り、③のガバナンスが大きな論点となりました。
 まずNHKの根本拓也理事が、これまでの経緯と再発防止策に関する説明を行いました9)。それに対して大谷和子構成員からは、NHK内の企業風土に問題があるのではないかとの指摘が、そして宍戸常寿構成員からは、経営委員会や監査委員会は十分機能しているのかとの疑問が投げかけられました。宍戸氏は、2018年にNHKがかんぽ生命保険の不正販売を番組で取り上げた際の経営委員会の対応10)などでも、経営委員会のガバナンスについて問題提起を行っています。また新聞協会からは、受信料で運営する組織であるにもかかわらず意思決定の過程における透明性を軽視している、ネット業務の今後を論じる以前に三位一体改革の進捗(しんちょく)状況を確認すべきで、夏に予定していたとりまとめは見送るべきだ、との声もあがりました。

2.問われる「WGへの姿勢」
 また、自民党調査会で行われたヒアリングに関する報道を巡り、NHKの公共放送WGに向き合う姿勢が問いただされる場面もありました。この事案はNHKが今後デジタル情報空間で果たすべき役割や、民間事業者との公正競争といった最も重要な論点に直結するものでもあったため、本ブログでも触れておきたいと思います。
 経緯を確認するため、5月26日に行われた第8回の公共放送WGの議論を少し振り返っておきます。この会合ではNHKの井上樹彦副会長が、ネット活用業務を必須業務化する場合には「放送と同様の効用をもたらすものに限って実施していくことが適切である」と述べ、業務の基本は「放送の同時配信・見逃し配信(NHKプラス)」と「報道サイト」であると説明しました。その上で、「放送と同様の効用をもたらすもので異なる態様のもの」についても、一部必須業務化することが考えられると述べました。その具体例として、テレビを保有しない人たちを主な対象とした「インターネット社会実証11)」で検証した結果を踏まえ、視聴者の関心の幅を広げるための一覧・連続再生のようなサービスや、放送より細かいエリアで情報を伝える災害マップなどをあげました。
 説明を受け、構成員から質問が相次いだのが「異なる態様のもの」についてでした。NHKはどのような考え方でこのサービスに臨もうとしているのか、どのくらいの費用をかけて行うつもりなのか、そして、現在は任意業務として行っているネットサービス、「理解増進情報」との関係はどうなるのか、などです。
 「理解増進情報」とは、NHKとの受信契約の有無を問わず、現在、全ての視聴者・国民向けに提供しているネットサービスです(図212))。番組の周知・広報のためのSNSなどでの発信、放送では伝えきれなかった内容を深掘りし再構成したテキスト記事、課題解決に向けたコミュニティーや視聴者との対話の場作りなど、様々な取り組みが行われています。NHKは毎年、総務大臣の認可を得た上でこうしたネットサービスを行っていますが、民放連と新聞協会からは、NHKはなし崩しにサービスを拡大させているのではないかと繰り返し指摘されてきました。公共放送WGでも、このサービスについては、受信料での負担のあり方や、民間事業者との公正競争の観点から度々議題にあがっていました。そのため構成員からは、この理解増進情報が必須業務化したら「異なる態様」として衣替えするだけではないか、必須業務化してもサービスに歯止めがかからないという同じ問題が生じてしまうのではないか、といった疑問が呈されていたのです。

bolg4-2.png図2 NHKのネットサービス「理解増進情報」

 これらの質問、疑問に対し、NHKは、今後はむしろ必須業務化することで、公共放送としてこれまでやってきた正確な情報の提供、情報空間において信頼できる情報の参照点という内容に、より“純化”して業務を行っていくことになるだろう、という趣旨の回答を行いました。ただ、構成員からはより詳細な説明を求められたため、次回のWGで改めて回答することになりました13)
 この3日後、5月29日に行われたのが、自民党調査会によるNHKへのヒアリングでした。テーマは公共放送WGと同様、ネット活用業務の必須業務化に関するものでした。ヒアリング後、日本経済新聞は「NHK、ネットの文字ニュース縮小を示唆 自民党調査会で」、朝日新聞は「NHK幹部、文字ニュースの見直しを示唆 「映像や音声伴うものに」」と報じました。記事によるとNHKの井上副会長は、民間との役割分担に関して「一部適切とは言い切れないものがあった」とし、ネット活用業務におけるニュース配信については、「映像と音声がともなったものに純化したい」と発言したとのことです。会議自体は非公開で行われているため議事録は公開されておらず、記事は自民党調査会事務局長による記者団への説明をもとに書かれていました。
 この自民党調査会の9日後に開かれたのが、今回のブログで取り上げている第9回の公共放送WGです。公開の場でNHKがどのような発言を行うのかが注目される中、NHKの根本理事は資料14)を示しながら、前回の第8回の回答を補足していきました。ネット活用業務の「異なる態様のもの」についてどのような回答を示したのか、資料から引用しておきます。
 「NHKに最も求められている「正確な情報」「多様な番組」「信頼できる情報空間の参照点」といった内容により純化して、業務を行っていく考えである」。「個別放送番組の理解を促すコンテンツ群が増えていくようなことにはならないと認識している」。「ネット全体で見た場合に、もっと純化すべきではないか、という声があることは承知している。(中略)「理解増進情報」ではなく「必須業務」となることで、公共放送のミッションそのものを体現する、引き締まったものになると考えている」。
 NHKのこの補足回答に異を唱えたのが曽我部真裕構成員でした。曽我部氏はNHKに対し、自民党の調査会でテキストニュースを縮小する方針を説明したとみられるが、この点については前回のWGでも、また今回も関連質問があるにも関わらず説明にも書面にも特段言及がないのはWGに向き合う姿勢として疑問に感じるとコメント。その上で、もしも自民党調査会に関する報道が正しいとすれば、テキストベースの報道の配信についてNHKはどうするつもりなのか、改めてこの場で説明してほしい、と要望しました。
 これに対しNHKは、放送でやらないようなものはなるべくやらない、NHKの本来業務としての仕事をやっていきたい、それによってNHKの役割が純化していく、ネット活用業務においてどういう業務が放送と同様の効用になるのかについては、これまで理解増進情報で提供してきた内容の再整理をしっかり行っていきたい、と回答しました。

3.問われる「情報社会の参照点としての役割」
 NHKが繰り返し述べた「整理」もしくは「再整理」という言葉について、民放連は業務の「縮小」と受け止めたとして、NHKは理解増進の名のもとで膨らんだネット活用業務を絞り込み、ネットには放送と同じものを出すとの姿勢を打ち出したものと理解した、という趣旨のコメントをしました。長田三紀構成員からは、テレビ受信機を持っていない人もネット上でNHKの放送が見られるといいとは思っているが、放送で省略しているものをネットで補うから放送と同じというわけにはいかない、との発言がありました。長田氏の発言に共鳴したのが新聞協会でした。新聞協会は、我々はテレビ非保持者へのNHKプラスの拡大に反対しているわけではない、懸念しているのは放送と同一とされていても、次第にその幅が広がってネット上で放送とは異なる別な報道の空間ができてしまうことであると述べました。
 こうした議論の流れに異を唱えたのが瀧俊雄構成員でした。瀧氏は一連の議論の中でNHKが頻繁に用いる「整理」という言葉を「縮小」と解釈することついては若干の危うさを感じているとし、その理由を以下のように述べました。自分は新聞の購読者として記事を読んでいるが、長尺のしっかりした記事を実はNHK(のネットサービス)でしか読めない経済環境にある方もいるのではないか、その点をきちんと議論すべきであり、縮小=整理ということではないのではないか。
 また、縮小に反対する意見は、この日の午後に行われた在り方検の親会でも出されました。発言したのは奥律哉構成員でした。奥氏は、NHKが情報空間において参照点でありたいというのなら、NHKはネット上でデータとして残るものを常に出し続け、変更があればそれを訂正していくことが必要ではないか、放送と同様ということで映像や音声を中心に考え、テキスト化を抑制するかもしれないというのは、本来目指す方向とは逆向きのベクトルではないか、と述べました。

4.問われる説明責任
 瀧氏や奥氏の発言には、放送と同じ内容をそのまま配信するネットサービスや、受信契約者向けのネットサービス以外にこそ、NHKが情報空間において果たすべき役割があるのではないか、という趣旨が含まれていたと私は理解しました。NHKからは、公共放送WGや在り方検親会で踏み込んだ回答が示されることはありませんでしたが、6月21日の会見の席で、自民党調査会でヒアリングを受けた井上副会長は以下のように述べました。「値下げ等で厳しい状況になる中、経営資源の選択と集中を行うことになる。無秩序に業務が拡大するということにはならないのではないかという趣旨で申し上げた。業務全般を点検、再整理していくというふうな考え方を示した」。また、NHK稲葉延雄会長は「ネットの世界というのは日々変化していますし、5年後10年後の世界っていうのは誰も予測ができないですね。そういう将来を見越しながらこの具体的な手段を、適当か適当でないかって議論をするのはあまり意味がないなと私自身は思っています。」「必須業務化する中で、NHKでやるべき仕事としてどうなのかという見地から再整理する。したがって再整理が一概に縮小ということにはならない」と述べました。
 この会見を受け、先の自民党調査会後に「NHK、ネットの文字ニュース縮小を示唆 自民党調査会で」と報じた日経新聞は、「NHK、文字ニュース配信縮小を修正」と報じました15)。ただ、NHKの会見では、「修正」ではなく、何らかの理由で「誤解」されて伝わったというニュアンスで伝えていました。前述のように自民党調査会のヒアリングは非公開であるため、発言の詳細や雰囲気をうかがい知ることはできませんが、ヒアリングを受けた当事者であるNHKから、必須業務化に向けて、ネットサービスにおいてテキストを一概に縮小していくということにはならない、という方向性が表明された以上、今後はこの考えが前提となって議論が積み重ねられていくことになると思います。

 今回を含め、これまで4回、ネット活用業務を中心にNHKを巡る政策議論についてみてきました。議論を整理して最も感じたのは、NHKは常に説明責任を問われ続けており、それが十分に果たし切れているとは受け止めてもらえていない、ということです。制度や政策を議論する総務省の有識者会議において、「矜恃(きょうじ)」「理念」「姿勢」「ビジョン」という言葉が繰り返し構成員や競合するメディアから問われているという事実を、NHKはもっと重く受け止める必要があると思います。こうした「矜恃」「理念」「姿勢」「ビジョン」があってはじめて、具体的なサービス像や民間との競争ルールのかたちが見えてくるのではないか、という意見もその通りだと思います。
 公共放送や受信料制度の枠組みそのものが世界的に大きく揺らぐ中、NHKのみでこの難関を乗り越えていくことは困難であることは間違いありません。公共放送WGの議論を見ていても、その善しあしはともかく、これが正解、ここが落とし所、という方向を定めて進めているとは思えません。WGで投げかけられている本質的な問いにNHKが真正面から向き合い、メディアとしてどこに向かいたいのかを愚直に語ってみることでしか、もはや議論は前進しない段階にきているのではないかと思います。総務省で行われる有識者会議は誰もが傍聴できる開かれた場です。そこでNHKが説明責任を十分に果たしていると受け止められ、その説明に何らかの共感を得てもらえなければ、受信料を負担している一般の視聴者・国民、ましてNHKを視聴しないもしくはテレビを持たない人々から、NHKが必要だと感じてもらえるはずがありません。
 6月21日、総務省はNHKの受信料を1割引き下げる規約変更を認可したと発表しました16)。今年10月から、地上契約は月1100円に、地上・BS契約は月1950円に値下げすることになります。NHKが公共放送WGでも繰り返し説明していたように、これから受信料が大幅な減収に向かう中、業務における集中と選択は避けられません。放送同時・見逃し配信以外のネットサービスについても単に縮小するわけではない、と表明した以上、どの部分を強化し、そのためにNHK全体としてどこを縮小していくのか・・・。
 前述したとおり、理解増進情報についてはなし崩しに拡大しているとの批判があり、新聞協会からは具体的なサービス名もあげられています。しかし私は、批判は真摯(しんし)に受け止めつつも、ネット上のサービスやコンテンツの中身に関する判断は、メディアとしての自主自律の観点から、まずNHK自らが取捨選択を判断すべきであると考えます。以前から述べていることですが、NHKでは多くの現場で、デジタル情報空間における公共的なメディアの役割とは何かについて模索と議論が積み重ねられています。しかし、こうした現場の模索や議論を総合的に検証する中で、新たなデジタル情報空間における役割と、それを体現するネットサービスを具体的に考える作業が十分行われてきたかと問われれば疑問もあります。今一度こうした作業をしっかりと行い、そのプロセスを、NHKのネット活用業務の拡大に懸念を示す民放連や新聞協会と共有することによってはじめて、競争領域におけるルールの構築と、新たな協調領域の枠組みの議論に向かうことができるのではないでしょうか。
 議論はまだまだ続きます。引き続きブログなどで発信を続けていきたいと思います。


1) ①https://www.nhk.or.jp/bunken-blog/2023/05/18/
https://www.nhk.or.jp/bunken-blog/2023/05/25/
https://www.nhk.or.jp/bunken-blog/2023/06/07/

2) NHK広報局「インターネット活用業務に係る不適切な調達手続きの是正について」(2023年5月30日)https://www.nhk.or.jp/info/otherpress/pdf/2023/20230530_1.pdf

3) 日本経済新聞 「NHK、ネットの文字ニュース縮小を示唆 自民党調査会で」(2023年5月29日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2994G0Z20C23A5000000/
朝日新聞デジタル「NHK幹部、文字ニュースの見直しを示唆 「映像や音声伴うものに」」(2023年5月30日)https://www.asahi.com/articles/ASR5Z04R0R5YUTFK00Y.html

4) 総務省「デジタル時代の放送制度の在り方に関する検討会」「放送業界に係るプラットフォームの在り方に関するタスクフォース」(2023年6月19日初回開催)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/digital_hososeido/02ryutsu07_04000387.html

5) NHK NEWS WEB「ニュースウオッチ9 先月15日の放送でBPOが審議入りへ」(2023年6月9日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230609/k10014095491000.html
「映像の世紀バタフライエフェクト『独ソ戦 地獄の戦場』修正について」
https://www.nhk.jp/p/butterfly/ts/9N81M92LXV/

6) NHK広報局「NHK放送文化研究所における世論調査対象者資料の紛失について」(2023年6月2日)
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20230605_1.pdf

7) 2015年11月~2020年12月まで開催 NHKの放送同時配信などの制度改正が検討された
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/housou_kadai/

8) 三位一体改革の必要性については、2016年9月に公表された第一次とりまとめの段階で示されている
https://www.soumu.go.jp/main_content/000616366.pdf

9) NHK「NHK執行部の対応について」公共放送WG第9回資料(2023年6月7日)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000885011.pdf

10) この問題のこれまでの経緯の詳細については
  https://www.nhk.or.jp/bunken-blog/100/453059.html

11) NHK「インターネットでの社会実証(第二期)結果報告」(2023年5月23日)
  https://www.nhk.or.jp/info/otherpress/pdf/2023/20230523_2.pdf

12) 「NHKインターネット活用業務実施基準」(2023年4月)から引用
  https://www.nhk.or.jp/net-info/data/document/standards/221221-01-jissi-kijyun.pdf

13) 第8回会合で構成員からどのような疑問や質問があったかについては、6月7日の「文研ブログ」を参照
  https://www.nhk.or.jp/bunken-blog/2023/06/07/

14) NHK「前回会合における質問事項への回答」公共放送WG第9回資料(2023年6月7日)
  https://www.soumu.go.jp/main_content/000885014.pdf

15) 日経新聞「NHK、文字ニュース配信縮小を修正」(2023年6月21日)
  https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC21C8Z0R20C23A6000000/

16) 総務省「日本放送協会放送受信規約の変更の認可」(2023年6月21日)
  https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu07_02000265.html

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村上圭子
報道局でディレクターとして『NHKスペシャル』『クローズアップ現代』等を担当後、ラジオセンターを経て2010年から現職。 インターネット時代のテレビ・放送の存在意義、地域メディアの今後、自治体の災害情報伝達について取材・研究を進める。民放とNHK、新聞と放送、通信と放送、マスメディアとネットメディア、都市と地方等の架橋となるような問題提起を行っていきたいと考えている。

メディアの動き 2023年06月26日 (月)

【メディアの動き】市川猿之助さんと両親,自宅で倒れ発見,両親は死亡,各社が大きく報道

 警視庁の調べによると,5月18日午前,歌舞伎俳優の市川猿之助さんと父親の市川段四郎さん,それに母親の3人が東京都目黒区の自宅で倒れているのをマネージャーが発見し,その後,両親の死亡が確認された。

 段四郎さんと母親は,自宅2階のリビングの床に布団がかけられた状態で倒れていて,前日から当日にかけて向精神薬中毒で死亡した疑いがあるという。

 猿之助さんは2人とは別の地下の部屋で意識がもうろうとした状態で発見されたが,命に別状はなく,自宅からは遺書とみられるメモが見つかった。

 猿之助さんは病院への搬送時に意識があり,同日,警視庁の事情聴取に対し「死んで生まれ変わろうと話し合い,両親が睡眠薬を飲んだ」という趣旨の説明をしたとのことで,警視庁は,両親が死亡した経緯などについて,さらに本人から事情を聞いて詳しく調べることにしている。

 人気歌舞伎俳優であり,テレビドラマでも活躍していた猿之助さんだけに,この出来事は各マスコミで大きく取り上げられ,SNS 上でも,憶測を含めたさまざまな意見や情報が飛び交った。

 一方で,連鎖した自殺などが起きないよう,マスメディアではニュースの最後にSNSや電話での相談窓口を紹介するなどの配慮もみられた。

 猿之助さんをめぐっては,同18日に発行された女性週刊誌『女性セブン』が,共演する役者たちやスタッフにセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント行為をしていた疑惑を掲載しており,この報道と今回の出来事の間にどんな関係があったのか,今後の調べの行方を注視していきたい。