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メディアの動き 2024年01月18日 (木)

【メディアの動き】Al Jazeera・RSF,国際刑事裁判所にイスラエル軍の戦争犯罪捜査を求める

 中東の衛星テレビAl Jazeera(以下,AJ)は12月16日,前日にパレスチナのガザ地区南部ハンユニスの学校で取材していた記者ら2人がイスラエル軍(IDF)の攻撃で負傷し,このうちカメラマンのサメル・アブダッカ氏が救急搬送を阻まれ死亡したとして,ICC(国際刑事裁判所)に戦争犯罪の疑いで捜査を求めると表明した。RSF(国境なき記者団)もアブダッカ氏を含むパレスチナ人7人が死亡した件について,ジャーナリストに対する意図的な攻撃だった疑いがあるとしてICCに捜査を求めている。

 CPJ(ジャーナリスト保護委員会)はIDFから取材活動停止を求められていたAJのアナス・アルシャリフ記者が同月11日,自宅への空爆で90歳の父親を失い,同月6日,同じくAJのモメン・アルシャラフィ記者の避難先が空爆を受けて両親や兄弟を含む家族22人が死亡した例などをあげ,パレスチナ人のジャーナリストやその家族が標的にされているとの懸念を表明。同月21日,ガザでの報道従事者の保護やIDFの責任の検証を国際社会に呼びかけた。

 通信大手Reutersは同月7日,同社カメラマンのイッサム・アブダラ氏が10月13日にレバノン南部への砲撃で死亡した状況について,現場にいたほかの取材班の映像や証言,砲弾の破片,衛星画像などを集め,専門家と分析した結果を報じた。報道陣と明確にわかる状況があったにもかかわらずIDFの戦車が砲撃したとしている。CPJによると,パレスチナのメディア従事者の死者は12月末までに少なくとも70人に達した。IDFは「ジャーナリストを標的にしたことはない」などとしている。