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メディアの動き 2024年01月18日 (木)

【メディアの動き】韓国大統領,放送法など改正に拒否権,放送通信委員長に検察官出身者を任命

 韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は12月1日,最大野党「共に民主党」などが賛成多数で可決していた放送法など3つの法律の改正案について拒否権を行使した。またユン大統領は同月29日,直属の放送規制監督機関である放送通信委員会(KCC)の委員長に検察官出身のキム・ホンイル(金洪一)氏を新たに任命した。

 韓国の国会では11月9日,改正案について,公共放送の政治的な独立性を強化するためとして,委員会を経ずに本会議へと回され,過半数を握る「共に民主党」の主導によって可決されていた。採決の前に退席していた与党「国民の力」は,放送法の改正は,野党がメディアを掌握するための法案だとして強く反対していた。拒否権が行使された法案が再可決されるためには,在籍議員の過半数の出席と,出席議員の3分の2以上の賛成が必要。12月8日に再び国会で採決が行われたが,放送法については在籍議員291人のうち,賛成が177人,反対113人,棄権1人で否決され,放送法など3つの法案は廃棄されることになった。

 一方,KCC委員長のイ・ドングァン(李東官)氏は,野党から弾劾訴追案が発議されたことを受けて12月1日に委員長を辞任した。ユン大統領は同月6日,後任の候補者に同じく検察官出身のキム氏を指名。同月27日に開かれた国会の人事聴聞会で同意を得られなかったものの,大統領は同月29日にキム氏を委員長に任命した。就任式でキム氏は「国民の信頼と時代の潮流に即したメディアを実現させていく」などと抱負を述べた。