2018年09月27日 (木)あれ 涼しい?早くも秋のよそおい?


※2018年8月17日にNHK News Up に掲載されました。

連日の猛暑から一転、17日は各地で暑さが和らぎ、「涼しい」と感じた人も多いのではないでしょうか。民間の気象会社によると、前線が南下し、この週末にかけては全国的に暑さが和らぐ見込みです。うだるような暑さが続くこの夏ですが、早くも秋の訪れとなるのでしょうか?

ネットワーク報道部記者 飯田耕太・田隈佑紀

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<急に秋のような気候に>
前線の北側に広がる乾いた空気に覆われて、17日は各地で秋の気配を感じる涼しい1日となりました。

are180817.2.jpg日本列島は7月8日以来、実に40日ぶりに35度以上の猛暑日の地点がゼロとなったんです。

ツイッター上でも喜びの声が相次ぎました。
「おおお、なんだきょうめっちゃ涼しいぞ?」
「お盆すぎたら秋の風かよ、超涼しい」
「乾いた風が気持ちいい。冷房を1か月ぶりに止めた」

さらに民間の気象会社、ウェザーニューズによると、人が「涼しさ」を感じる要因は湿度の低下によるものが大きく、同じ気温でもカラッとした天気の方が体感的に涼しく感じるんだそうです。

are180817.3.jpg17日は、3日前の同じ時間と比べ、東京では30ポイント以上、湿度が下がっていました。さらに午後は、夕方までに、東京で29%(およそ2か月ぶりの20%台)、名古屋で17%まで下がり(8月の過去最低)、日中を通じて過ごしやすい1日となりました。

<初冠雪も>
このまま夏は終わるのか。そう思わずにはいられないニュースも飛び込んできました。
北海道・大雪山系、黒岳(標高1984メートル)の山頂付近では17日未明、ロープウエーの運営会社が雪が降っているのを確認しました。

are180817.4.jpg昭和49年に記録を取り始めてから最も早い初雪で、地元の気象台によると、北海道の上空には10月上旬並みの寒気が入っていたそうです。


<気分はすでに食欲の秋!?>
秋の味覚の話題も。サンマの入荷が仙台市の市場で17日から本格的に始まり、この日は競りが行われました。

are180817.5.jpg不漁だった去年に比べて、ことしは日本の沖合に大きな群れが見られることから、安定的な入荷が見込めそうだということです。しかも、その多くは大ぶりで、脂がのっているそう。

ほら、やっぱり秋はもうすぐそこですね!

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<暑さが和らぐのは一時的>
かと思いきや、「8月末にかけては再び暑さがぶり返しそうです」。そう、話すのはウェザーニューズの広報担当者です。

気象庁が16日に発表した1か月予報(8月18日~9月17日)をもとに、会社が分析したところによると、前線が南下し、この週末にかけては全国的に暑さが和らぐ見込みです。

are180817.7.jpgしかし、来週接近が予想されている台風19号が離れたあと、夏の高気圧が勢力を盛り返して気温が上昇しそうだということです。9月に入ると暑さは多少、落ち着く見通しですが、ほとんどのところで気温は平年並みか高めの予想に。ことしの暑さ、まだまだ終わってくれそうにありません。


<苦慮するスーパー>
こうした気温差に苦慮しているのが小売の現場です。気温によって商品の売れ筋が大きく変わるからです。

are180817.8.jpg東京 練馬区の食品スーパーでは日々の予想気温を見て、仕入れの量や売り場の配置、それに特売の予定まで決めています。たとえばいまの時期、気温が売れ筋に最も影響するのがスイカです。

are180817.9.jpg暑い日には飛ぶように売れる一方、予想外に気温が下がると特売品として値段を下げても売れ残ってしまうことがあり、大きな痛手となります。

17日は各地で暑さが和らぎました。このため厳しい暑さのときには避けていた火を使った煮物などの料理をする人が増えるため、じゃがいもの売り場の広さを2割ほど増やして対応したということです。

are180817.10.jpgさらに、暑い日にはさっぱりした「しゃぶしゃぶ」用、涼しい日には「すき焼き」用と、加工する肉を切る厚さまで変えるといいます。

「チャンス」にも「リスク」にもなる気温。スーパーを経営する社長は、毎日インターネットの天気予報を何回もチェックしていますが、見極めることは簡単ではないようです。

「予報を見ながら長年の感覚を信じてやっているが、なかなか思いどおりにいかないこともある」(食品スーパー「アキダイ」秋葉弘道社長)


<気温差の売れ行き予測>
商売人たちの頭を悩ませる気温差。その気温差による商品の売れ行きを予測しようという取り組みが注目を集めています。

民間の気象会社、日本気象協会では、およそ30の食品メーカー等に、商品の売れ行き予想を「指数」にして提供するサービスを去年から始めています。

たとえば、気温によって売り上げが大きく変わる、寄せ豆腐。日々の気象データをもとに「寄せ豆腐指数」として豆腐の売れ行きを1~100までに数値化し、メーカーに提供しています。

are180817.11.jpg日本気象協会では、様々な気象の予測資料に加えて、気温に関する人々のつぶやきをツイッターで分析。前日との気温差などによって、暑さや寒さを「人がどう感じるか」もデータ化して予想の材料にしています。

この予測を使って効果を上げているのが、調味料で知られるメーカー「ミツカン」です。ミツカンでは3年前から、「冷やし中華のつゆ」や「鍋つゆ」など、気温で売れ行きが大きく左右される商品の生産に気象による需要予測のサービスを取り入れました。

are180817.12.jpgこれらの商品は、一部地域を除いて季節限定で販売されているため、売れ残った場合には廃棄せざるを得ず、いわゆる「食品ロス」につながってしまうのが悩みの種でした。ミツカンでは、気象予測を取り入れてから、作りすぎた在庫の数をおよそ4割減らすことができたということです。ミツカンの広報では「ことしは記録的な暑さが続いているがうまく生産をコントロールできている」としています。


<秋が訪れるまで>
ひとときの涼しさもつかの間。暑さとの戦いはまだしばらく続きそうですが、日ざしや気温差への対応に知恵をしぼって乗り切りましょう。

投稿者:飯田耕太 | 投稿時間:11時00分

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