文研ブログ

文研フォーラム 2016年03月08日 (火)

#14 文研フォーラム報告① 「OTT」&「これからのテレビ」

メディア研究部 中尾益巳

3月1日から3日まで、東京・千代田区の千代田放送会館で
「NHK文研フォーラム2016が開かれました。会場にお越しいただいたみなさま。本当にどうもありがとうございました。全部を紹介するのは無理ですが、いくつかのプログラムについて内容を簡単に報告したいと思います。
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1日目
A OTTはメディア産業をどう変えるか~欧米最新事情、そして「グローバル戦略」について考える~
このプログラムは、文研メディア研究部海外研究グループの3人の報告と、海外事業者のパネリスト2人のプレゼンテーション、そして内外のコンテンツ配信事情に詳しいITジャーナリスト、西田宗千佳さんのコメントで進行しました。ほんのエッセンス、印象的な一言を綴ります。
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【文研・柴田厚(アメリカ担当)】
アメリカでは3大OTT(Netflix、Hulu、Amazon)の他にCBS、HBOなど既存の放送事業者が運営するOTTも増え、今後「協力と競合」が進んでいくだろう。(詳しくは『放送研究と調査』3月号に掲載されています)

【文研・田中孝宜(イギリス担当)】
NetflixとAmazonが進出したが、その前から公共放送BBCのiPlayerをはじめ商業放送ITV、衛星放送SKYなど放送事業者独自のOTTが普及しているため、それほど影響はない。

【Amazon Japan ジェームズ・ファレル氏】
映像コンテンツ配信だけでなく、DVD、本やマンガなどの書籍、番組関連グッズ販売などを合わせたサービスをできるのがamazonの強み。妖怪ウォッチの配達用BOXも人気。

【BBC Worldwide デビッド・ウィーランド氏】
iPlayerは定着。16~24歳でテレビ放送の視聴者は16%減少している。若い視聴者のためにBBC3(若者向けチャンネル)はオンライン配信のみでtwitterやInstagramとリンク。

【文研・山田賢一(中国担当)】
ネット動画サイトの誕生は早く2004年から。現在大手3社と放送事業者の配信サービスなどが競合しながら自主制作、課金化、モバイル化が進行。

【西田宗千佳氏(ITジャーナリスト)】
2020年に注目。災害の多い日本で放送はなくならない。しかし今の10代20代が大人になったらテレビはドミナントな存在ではなくなる。

B 「文研調査で探る動画利用者像」
  「これからのテレビ」はどこに向かうのか?~2030年を見据えて~

まず世論調査部の塚本恭子が、「10代から50代までの男女がネットの動画サービスをどのように見ているか」の最新調査結果を報告しました。中にはこんな興味深い発見も。

20代は「通勤通学中」「昼休みなど」「食事中」「寝る前」などの場面ごとに動画を使い分けている。通勤通学中に見るのは、細切れや音声だけでもOKな「音楽動画」や「数秒の投稿動画」など。
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続いて月刊誌「放送研究と調査」で「『これからのテレビ』を巡る動向を整理する」を不定期に連載しているメディア研究部の村上圭子が発表。昨年大きく動いたVODサービスのまとめや、今年の展開が予想される同時配信サービスや4K・8Kに関する最新状況を報告しました。そのいくつかの項目については、2月号に掲載した「Vol.7」がPDFとして全文公開されているので
こちらをご覧ください。
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後半は放送行政を担当している総務省大臣官房審議官の吉田眞人氏を迎え、今後の展開について聞きました。参加者からの質問を含め、なかなかはっきりと答えにくい内容もありましたが、次の世代の人たちに役に立つことを進めて行きたいというスタンスで話していました。詳しくは後日、村上のブログでお伝えします。
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次回は2日目、3日目のプログラムからご紹介します。