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メディアの動き 2024年02月15日 (木)

【メディアの動き】イスラエル最高裁,外国メディアのガザ地区での取材を認めず

 イスラエルの最高裁判所は1月9日,現地の外国人記者協会(FPA)が国際メディアによるガザ地区での取材を認めるよう求める申し立てを退ける判断を示した。イスラエル軍の管理下にないジャーナリストによる報道は,イスラエル兵を危険にさらすおそれがあるという理由で,立ち入りの制限は正当だとした。

 2023年10月7日にイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が始まって以降,イスラエル政府は,ガザ地区での取材を厳しく制限しており,事実上,現地からの報道は,地元のパレスチナ人ジャーナリストなどに頼らざるを得ない状況が続いている。

 また,戦闘開始以降,ガザ地区では1月末までに,イスラエル軍の空爆などでメディア関係者78人の死亡が確認されており,こうした状況では,報道が,イスラエル軍や政府が発表する情報に,さらに偏ってしまうという懸念が広がっている。

 約130の国際メディアが加盟するFPAは,加盟社がガザ地区で独自取材をできるようイスラエル政府に申し入れていたが,却下されたため,最高裁に申し立てを行っていた。

 最高裁の判断を受けて,FPAは同日,「失望した」との声明を発表した。また,国際ジャーナリスト連盟(IFJ)は,「公権力の介入なく情報を受け取り,伝える権利を含む表現の自由を人びとから奪うものだ」と非難し,「国際メディアがガザ地区での戦闘を記録することは世界にとっても重要だ」として,イスラエル政府に対し,ガザ地区での自由な取材を許可するよう改めて求める姿勢を示した。