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静岡焼津 漁具倉庫がホテルに!室内に舟? 洞窟?“海をイメージ”学生デザイン

  • 2024年05月06日

静岡県焼津市の港に、仕事をしながら休暇を楽しむ「ワーケーション」に利用してもらおうと、漁具倉庫を改装した宿泊施設が完成しました。部屋の一部は、海をイメージした学生たちのデザイン!どんな部屋なのでしょうか?

休暇と仕事を楽しむ“ワーケーション”に!

焼津市の焼津港にある交流施設「PORTERS(ポーターズ)」。築約60年の漁具倉庫を改修して、フードコートやコワーキングスペース、それにオフィスなどとして利用しています。

ここに新たに完成したのが、宿泊施設3部屋とサウナです。仕事をしながら休暇を楽しむ「ワーケーション」に利用してもらおうとしています。

学生のデザイン“海をイメージ” 

部屋の広さは約45平方メートルのメゾネットタイプ。漁具倉庫3区画を利用した2人用の客室です。オープンした3部屋のうち2部屋は、静岡デザイン専門学校の学生5人が焼津らしさを生かそうと海をイメージしてデザインしました。サポートしたのは、焼津市の家具製造メーカーのプロたちです。

静岡デザイン専門学校の学生5人と家具製造メーカーの社員(右)

室内に舟!舟の中で眠る

こちらは、舟屋を再現した「舟と過ごす部屋」

舟をかたどった枠にベッドが収められています。舟の中で眠るという不思議な感覚を味わってもらおうと思ったそうです。

この傾斜を工夫

舟は長さ3メートル40センチ、幅1メートル65センチ。躍動感を出すため船の形を工夫したということです。

佐竹真由子さん(左) 鈴木鞠那さん(右)

(佐竹真由子さん・鈴木鞠那さん)「舟は想像より大きく、迫力があるのでうまくいったと思います。最初はもっと平で動きがない感じでしたけど、先端に向かう傾き具合を工夫したら舟らしいシルエットになりました。舟の中で寝るという非日常をあじわってほしいです」

古い漁具倉庫の打ちぱなっしの壁をあえて残し、舟屋のような少し古びた雰囲気を演出しています。

改装されていない元漁具倉庫

室内に海中洞窟!光の中を進む

もうひと部屋は「海」。海の中の洞くつをイメージしています。

波打つような白い板を6枚並べて奥行きを出しています。メゾネットタイプの部屋の階段を上がると、荒々しい岩場が現れ、洞窟の先からは光が差し込む仕掛けです。

板と板の間には机や鏡。メイクや仕事、それに読書などに使ってもらう工夫です。

窓からは焼津港の海が見える陰影を生かした仕上がりになっています。

大澤勇斗さん(左)齋藤萌さん(中央)伊藤穂香さん(右)

(伊藤穂香さん)「雰囲気が私のお気に入りです。家具の白さとコンクリートの色合いがいいです。思ったよりもダイナミックにできていて、本当にうれしいです」(大澤勇斗さん)「光の入り方でレイヤーの色が違って、奥行きも感じられるので、かっこいいと思います。120点の出来栄えです」 (齋藤萌さん)「図面を空間として実現するのは初めてで、アイデアと見える世界が広がりました」

なぜ部屋のデザインに挑戦?

取り組み始めたのは、半年余り前。実際のホテルの部屋をデザインするのは初めてです。

実際に物作りを体験し、就職に向けて自分に自信をつけたいと参加しました。

家具製造メーカーでアイデアを詰める

(鈴木鞠那さん)「このプロジェクトは、実際に客に使ってもらうものを制作します。想像の中でデザインすることの多い学生にとっては本当に貴重な経験なんです」

“アイデアの譲れない部分拾う”

ホテルの部屋をつくる委託を受けた焼津市の家具製造メーカー。学生のアイデアを生かした産学連携に取り組んでいます。今回も学生たちのアイデアをどう実現するのか、プロジェクトを立ち上げて、一緒に作り上げてきました。

実際のイメージを膨らます

指導役の社員の牛丸あやめさんは、同じ専門学校の先輩で入社4年目です。

家具製造メーカー 牛丸あやめさん

(牛丸あやめさん)「難しいことが多いですが、学生たちと一緒にやるのはおもしろいです。アイデアをくみ取ってから、なぜこのデザインにしたのか、譲れない部分を拾っていくように心がけました」

仕事の難しさも実感

この半年余り。学生たちはアイデアを出し合ったり、漁具倉庫の現地調査をしたりとデザインを練り上げてきました。

段ボールで検証も

実際に形にするのには、学校とは違う現実の壁が多かったそうです。中でも大事なのが予算管理。決められた予算でつくるため、装飾などをあきらめたり、自分たちで手作りしたそうです。また建設資材の無駄にならない手法も学びました。

(伊藤穂香さん)「やはり仕事になると、自分が想像しているアイデアと予算を考えないといけないんです。構造を詰める作業と予算管理は同時進行なので、悩みが多かったですが、本当によい経験になりました」

この宿泊施設は、5月中旬にオープンする予定です。

これからの夢は?

伊藤穂香さん

(伊藤穂香さん)「将来はリノベーション業界で働きたいと思っています。空き家や空き店舗の問題は本当に悲しいです。古い建物は、人の温もりや経年変化も魅力だと思うので、そこを生かして建物の第二の人生を作りたいです」

大澤勇斗さん

(大澤勇斗さん)「自分たちが考えたものが形になって、使ってくれる人がいることを実感できました。住宅の設計をすることになるので、相手の用途に応えたり、デザインで人を呼び込んだりできる建築物を作っていきたいです」

齋藤萌さん

(齋藤萌さん)「頭の中のイメージが実際に使える空間になって、泊ってくれる人たちも楽しんでくれると思います。将来はインテリアデザイナーとして、人の心を動かせるような、みんなが笑顔で幸せになる空間づくりをしたいです」

佐竹真由子さん

(佐竹真由子さん)「アイデアをどうやって作り上げるのか、作り方もたくさんあって、自分がどう表現するのか、細かなところを詰める大切さがわかりました。インテリアコーディネーターとして、今回の経験を生かし、全体のまとまりを考えたいです」

鈴木鞠那さん

(鈴木鞠那さん)「設計の道に進むことになりますが、大人の人たちとミーティングするなど学生にはなかなかできない機会をいただきました。予算のことなど新しいことも考えることができたので、社会人になってもこの経験を生かしたいです」

みなさんのこれからの活躍に期待しています!

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  • 長尾吉郎

    静岡局 ニュースデスク

    長尾吉郎

    1992年NHK入局
    初任地大分局で釣り覚える
    報道局社会部・広報局など
    ヤエンによるイカ釣り好き

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