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静岡焼津の温泉トマト 規格外の利用で“わんちゃんクッキー”も!

  • 2024年04月30日

静岡県焼津市の温泉旅館の若おかみが手がける温泉を利用して栽培したトマト。新たに規格外となり利用されないトマトを使って犬用のクッキーを開発しました。新型コロナや物価高の影響で農業に「元気がない」という代表の望月美佐さんは「異業種とつながり、周りの人たちにもっと笑顔になって欲しい」と話しています。

温泉トマトって?

住宅地のすぐそばにある農業用ハウス。ここで焼津の温泉を使ったトマトが栽培されています。

手法は養液栽培。温泉と肥料を混ぜあわせた液体でトマトを育てます。

温泉成分が入った液体が出ています

大学の協力を得て試作を繰り返し、栽培方法を確立させました。温泉は実家の旅館からトラックで運んでいます。

温泉の成分がトマトにストレスを与えることで、うまみ成分のグルタミンや血圧を下げるとされるアミノ酸の「GABA」(ギャバ)などがほかの一般のトマトより高くなるそうです。

農業は初めて

農業は初めての体験だという代表の望月美佐さん、当初は県の機関に相談しても、温泉で野菜を作ることは前例がないと相手にしてもらえなかったそうです。

望月美佐さん

(望月さん)「文献を読んで可能性を感じたのに、農業は素人、温泉は前例がないとほとんど門前払いでした。でも大学の先生が「温泉でできるよ」と言ってくれたので、大学で研修するなどして本当に頑張りました。トマトができる過程が楽しいです。今でも、なぜトマトができるのか不思議でなりません」

温泉をもっと活用したい!

望月さんの実家は温泉旅館。約70年前の昭和30年ごろ、この場所で温泉を掘り当てたそうです。

(画像提供 望月さん)

望月さんによると、焼津で1番古い温泉とのこと。今でも自噴しています。しかし、2011年の東日本大震災のあと、客足がパタリと止まったそうです。

(画像提供 望月さん)

「すごく不安でした。静岡でもいつ地震や津波があるかわかりません。この先、旅館はどうなるかわからないとこわかったんです。そこで何か温泉を生かしたものができないかと調べて、トマトに行き着きました。これなら温泉の価値も高められると思ったんです」

規格外のトマト 年間800キロも

順調だというトマトの栽培。年間15トンを収穫しています。そこで生まれるのが、大きさやキズなどからスーパーの規格に合わない規格外のトマト。700~800キロにも上るそうです。

これまでジャムやピザソースとしてコラボしてきました。

「そのままのトマトとは違うターゲット層を狙いたいと思っています。もっともっとトマトのよさを知ってもらいたいんです」

“わんちゃんにも優しく”

新たに開発したのが犬用のおやつです。静岡市内の洋菓子店とともにクッキーに仕立てました。

目指したのは飼い主が安心できる犬の健康に配慮したお菓子。洋菓子店の3代目の青木健太さんは、ペット用の食品を作るのは初めてで、完成まで苦労したそうです。

洋菓子店3代目の青木健太さん(右)

(青木さん)「まったく情報がないところからのスタートで、めちゃくちゃ難しかったです。洋菓子では健康より、おいしさを優先してましたから。洋菓子店は乱立するし、コンビニでも十分おいしい時代に、洋菓子どうしで比較されるところから脱出したいと思ったんです」

味と安全の両立を実現したかったというクッキー。望月さんの愛犬“ノア”ちゃんにも好評だそうです。

愛犬のノアちゃん(画像提供 望月さん)

“みんなを笑顔に!”

望月さんは、農業に携わる人が減る中、輸入に頼らず、だれもができる農業を目指したいとしています。

(望月さん)「農業もコロナ禍で打撃を受け、物価高もあって元気がなくなっています。異業種ともつながり、関わる人たちにもっと笑顔になって欲しいと思っています」

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  • 長尾吉郎

    静岡局 ニュースデスク

    長尾吉郎

    1992年NHK入局
    初任地大分局で釣り覚える
    報道局社会部・広報局など
    ヤエンによるイカ釣り好き

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