NHK お茶どころ静岡 春の「縁側カフェ」をめぐる旅
- 2024年05月01日
NHK静岡で放送している「たっぷり静岡」のコーナー『しず♡LOVE』。
今年度も、アナウンサーやキャスターが静岡県内35ある市や町の魅力を体当たりで取材します!
今回訪ねたのは、静岡駅から車で1時間の葵区・大沢地区。戸数22の小さな集落で、ほとんどの家がお茶農家です。
そんな、お茶どころ 大沢地区で行われているのが「縁側カフェ」という取り組み。
美味しいお茶と心あたたまるおもてなしを体験できる「縁側カフェ」について、たっぷり取材してきました!
取材 静岡局 村田優歌キャスター
☆記事の最後には、動画も掲載しています☆
大沢ってどんなところ?
静岡駅から車で走ること、およそ1時間。
細い道を進み、山がどんどん近づいてきます。
取材に行ったのは4月中旬。桜が散り、車窓から見える若葉の緑色がきれいでした。
やって来たのは、大沢地区。標高およそ400m、世帯数22の小さな集落です。
ほとんどの家がお茶農家で、集落には11のお茶工場があるんだとか!自園自製のお茶農家が多いのも特徴です。
4月中旬、少しずつ萌黄色の柔らかな新芽が伸びてきていました。
大沢の美味しいお茶を育むのは、山からの水と肥沃な土地。お茶畑のすぐそばに、清らかな水が流れていました!
それに加えて大沢は標高が高く朝晩の寒暖差が大きいことで、味の引き締まった美味しいお茶になるんだそう。
一方で、新茶の季節は大型連休のころと少し遅めです。
大沢地区で生まれ育った、内野昌樹さんに話を聞きました。
大沢のお茶は八十八夜が終わってから出てくるもんですから、せっかく美味しいお茶できても価格に反映されないというジレンマがあった。
だったら、お客さんを呼び込んでここで美味しいお茶を飲んでもらって、お茶を買ってもらうような仕組みができたらいいなと思ったんです。
自分たちが作った自慢のお茶を、自分たちで売る仕組みを作りたい。そうして始まったのが「縁側カフェ」という取り組みです。
なんと、集落のみなさんが自宅の縁側を開放して、手作りのお茶とお茶うけでお客さんをもてなすというものなんです。なんだか楽しそう!早速調査開始です!
縁側カフェをさがせ!
集落の入り口には、大きなマップがありました。
横には「本日開催」の文字と、何やら不思議な記号が…
実はこれ、家の屋号なんです。
その日にカフェとしてオープンしている家の屋号が貼り出されています。
もうひとつの目印は「縁側カフェ」と書かれたのぼり!
開催している家には、のぼりが出ているとのことなので集落内を歩きながらのぼりを探します。
カフェを探して歩いていると、川の向こうで小さくはためくのぼりを発見!川には飛び石が置かれていました。
ちょっとした冒険気分を味わいながら川を渡ります。
たどり着いた家の敷地に入ると…まさに民家の縁側!
人の家に勝手に入って良いのか、はじめはなんだかドキドキしましたが、お家の方が笑顔で迎えてくれたので安心しました。
1軒目:内野咲夫さんのお宅
出迎えてくれたのは内野咲夫さんと、妻の秋子さん。
お客さんが来ると、早速おもてなしの準備が始まります。
外に設置した調理スペースで、その場でお茶うけを作ってくれるんです!
秋子さんは縁側カフェの日、朝4時頃から料理の仕込みをしているんだとか…!
食器は春らしく、お花をイメージしたものを中心に揃えました。秋子さんのエプロンとアームカバーも小花柄!
細かな所にも、おもてなしの心が詰まっています。
咲夫さんのお宅でいただいたお茶うけがこちら!
家の近くで採れたよもぎを使ったよもぎ餅、芋餅、そしてタケノコとこごみの天ぷらと、とっても豪華!
川辺に生えるまだ小さなこごみを摘み取って作った天ぷら。このサイズが柔らかくておいしいんだとか。
この日は春の山菜を目当てに訪れるお客さんもいました!
自慢のお茶は、咲夫さんが一杯ずつ丁寧に淹れてくれました。おしゃべりしながら、お茶とお茶うけをのんびり楽しみます。
カフェで飲んで気に入ったお茶は、その場で購入することもできます。生産者から直接、顔を見てお茶を買えるのも嬉しいですね。
いろんな所からお客さんが来てくれて話ができるので楽しみにしています。友達ができたような感じっていうか…なんていうのかな。常連さんが来てくれると「また来たよ~」って言ってくれるもんでね、すごく嬉しくて。
縁側カフェの日は、なんかウキウキしたりワクワクしたりドキドキしたり。お料理を作って食べていただくんですけど、おいしいよって言ってくれるとすごく嬉しくて、また次頑張ろうって思います。
2軒目:内野不二夫さんのお宅
続いて訪ねたお宅で出迎えてくれたのは、内野不二夫さんと、妻の秀子さんです。
不二夫さんのお宅でいただいたお茶うけは、タケノコの煮物とたらの芽の天ぷら、そしてふわふわの黒糖蒸しパン!
たらの芽の天ぷらがとっても大きくて立派でした~!
サクサク、あっという間に食べてしまいました。
大沢では、地区内のお茶農家が自慢のお茶をを持ち寄り、その年の最優秀賞をみんなで決める品評会を毎年6月に行っています。
不二夫さんは、去年のグランプリに輝きました!そんな自慢のお茶をいただくことができます。
やぶきたとおくゆたか。不二夫さんが作っている2種類のお茶を飲み比べさせてもらえたのも楽しかったです。
一緒になったお客さんと、「全然味が違いますね!」と盛り上がりました。
お湯をもらって、何杯もおかわりしました!
外でいただくお茶は格別に美味しく感じます。
お茶うけを楽しんだ後、庭に生えているたらの芽を見せてもらいました。まっすぐ伸びた枝のてっぺんに生えているのを見るのは初めて!
天ぷらにして食べなと、立派なたらの芽をお土産にいただきました。嬉しい!
まるでおばあちゃんの家に来たような居心地の良さでした。
3軒目:白鳥克文さんのお宅
最後に訪れたのは、白鳥克文さんのお家です。
黙々とお好み焼きを焼く克文さんと、明るくお客さんをもてなす妻のみち子さん。
克文さんが焼くお好み焼きは、常連さんからも人気!
お好み焼き目当てに訪れるお客さんもいるそうです。
お好み焼きのポイントを聞いてみると……
本当はこの上にお肉とイカが乗るはずだったんだけど、今日はかあさんが忘れた(笑)お肉屋さんでお肉を見ても思い出さなかったみたい。
と、おちゃめな答えが!
普段はお肉とイカのトッピング付きでより豪華なお好み焼きなんだそう。
あとでみち子さんも「今日買ってくるの忘れちゃって、朝、気がついて。でもまあ、なくてもおいしいから良いかと思って!(笑)」と話していました!
克文さんのお宅でいただいたお茶うけは、お好み焼きとずいき(里芋の茎)の煮物!
この日は、克文さんとみち子さんのお孫さん夫婦が清水から遊びに来ていました。お腹の赤ちゃんの性別が分かったと、報告に来てくれたんだとか!
お客さんが来た人来た人とお互い話をする、またそれを聴いているのも私たちも嬉しくなるっていうかね。
みんなで仲良く話ができるっていうのがすごく良いなと思う。
縁側が縁をつなぐ「縁側カフェ」
訪れていたお客さんにも聞いてみると、さまざまな楽しみがあると話してくれました!
お茶が美味しいのももちろんなんですけど、やっぱりこの地域の人柄だよね。みんないい人だよ。すごくみんないい人ばっかり。
6~7年前から来てます。山の中の生活の楽しい話も聞けるし、お茶も料理もおいしいし、ほかのお客さんと世間話をして顔見知りになったり!
今日は季節の山菜を目当てに来ました。お話したり、集落の中をのんびりと散策するのも楽しいです。
そして皆さん持っていたのが、「おおさわ縁側カフェスタンプカード」!
縁側カフェでお茶をするともらえるスタンプカードです。
訪れた家の屋号のシールやスタンプを集めて、8個スタンプが集まると、大沢特製のブレンド茶と交換することができるんです!何度も足を運びたくなりますね。
月に2回、集落の縁側で開かれる小さなカフェ。
まさに縁側が縁をつなぐ、温かなひとときがありました。
おおさわ縁側カフェ
▽毎月第2・第4日曜日
▽春・夏(4月〜10月)午前10時~午後3時頃
秋・冬(11月〜3月)午前10時〜午後2時頃
▽問い合わせ:054-292-2656(内野昌樹さん)
※5月の縁側カフェでは新茶を味わうことができる見込みです!
放送の動画はこちら【期間限定で公開】
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