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メディアの動き 2024年04月16日 (火)

【メディアの動き】英BBC会長演説で"BBCの未来" 展望,受信料制度の改革にも言及

 イギリスの公共放送BBCのデイビー会長は3月26日,「A BBC For The Future(未来に向けたBBC)」と題するスピーチを行い,デジタル社会での生き残りに必要な番組や財源制度など幅広い改革についての考え方を示した。

 デイビー会長は,技術革新は恩恵とともに,社会の分断や偽情報,自由な報道への圧力などの課題を招いたと指摘。民主主義,経済,社会のためにBBCが果たすべき役割として,「予断を持たず真実を追究」「イギリスの番組の発信支援」「人々の統合」を挙げた。そして調査報道や検証報道に力を注ぐとともに,人々の視野を狭めないように配慮しながら個人の好みにあわせた番組を勧める「パーソナライゼーション」機能のため,倫理的なアルゴリズムを独自に開発する計画などを明らかにした。

 また,厳しい財政事情の中でも,デジタル化のための改革を断行するとして,商業部門のBBC Studioに移管する事業を増やすほか,若者向けチャンネルのBBC Threeについては,放送ではなく動画配信サイトを念頭に置いたコンテンツに集約するとした。さらに,国際放送をこのまま受信許可料で支え続けることは困難だとして,政府予算の交付を求めた。

 最後にデイビー会長は,新しい特許状に更新後の2028年以降の受信許可料について「改革が必要だ」とした。所得にかかわらず一定額を徴収している現制度を「累進的なものにできるかどうかや,不払いに対する対応方法が公平で適切かどうか」などを検討していく考えを示し,政府と行う特許状更新の交渉を前に,BBCの将来について国民に議論を呼びかけた。