文研フォーラム2024「より多くの人が避難する"呼びかけ"とは」~能登半島地震をきっかけに防災情報を考える~ 5月23日(木) 10:30~12:10#536
世論調査部(社会調査)中山準之助/メディア研究部(メディア情勢)中丸憲一
NHK放送文化研究所では、5月23日(木)と24日(金)に文研フォーラムをオンラインで開催します。5月23日(木)10:30からのプログラムAは、『「より多くの人が避難する“呼びかけ”とは」~能登半島地震をきっかけに防災情報を考える~』と題してお届けします。
2024年、元日に能登半島地震が発生しました。この日の放送では大津波警報が出される中で、NHKは、アナウンサーが強い口調で叫ぶように避難を呼びかける「命を守る呼びかけ」を初めて本格的に運用しました。『放送研究と調査』2024年4月号(リンク先のURLは下記「あわせて読みたい」を参照)では、「命を守る呼びかけ」がどのような役割を果たしたかについて論じたほか、避難所の環境や、広域避難などの課題についても詳しく考察しています。
去年は関東大震災から100年でした。実は関東大震災は地震だけではなく、台風もほぼ同時に襲った複合災害でした。これから本格的な出水期に入ります。毎年のように豪雨災害が頻発していますが、これに地震や津波が重なることは十分に考えられます。さらに、本稿執筆時点で、「大雨特別警報」、「氾濫発生情報」、「顕著な大雨に関する気象情報」など、『防災気象情報』の種類が増えているため、発信のあり方にも工夫が必要だとの指摘があります。
今回のフォーラムでは、上記の論考を踏まえながら、防災上の課題や、メディアとして何ができるのかについて、専門家とともに議論します。
ゲストには、日本の防災研究を代表する2人の専門家をお招きします。(紹介は50音順)
まずは東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授です。
国内外の津波の被災地で調査を行い、最新のシミュレーション技術と組み合わせて、津波から命を守るための避難の課題を提示してきました。
今村文彦教授 ※専門は津波工学。工学博士 | ||
2023年3月まで東北大学災害科学国際研究所2代目所長。現在、内閣府南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ座長代理、日本地震学会代議委員などを務める。3.11伝承ロード推進機構代表理事,著書に「逆流する津波」「防災教育の展開」などがある。 |
そして、京都大学防災研究所の矢守克也教授です。災害時の避難行動について、防災と心理学の両面から研究。「避難スイッチ」ⅰ などの実践的な課題解決の手法を、地域住民と連携しながら提言しています。
矢守克也教授 ※専門は防災心理学。博士(人間科学) | ||
現在、災害復興学会会長、地区防災計画学会会長、自然災害学会副会長、災害情報学会副会長、防災気象情報に関する検討会座 長などを務める。著書に「防災ゲームで学ぶリスク・コミュニケーション」「防災心理学入門」など。防災教育のための教材「クロスロード」、アプリ「逃げトレ」などを開発した。 |
本プログラムでは、ゲストの2人が行政や地域の住民と協力して行っている、「避難を迅速に進めるための取り組み」も紹介し、「命を守るためのヒント」を探ります。
放送文化研究所からは、東日本大震災発生時に盛岡局のアナウンサーをつとめ、「命を守る呼びかけ」の作成に当初から関わってきた中山準之助 (世論調査部)が司会進行を務めます。また、報道局社会部や地方局で災害担当の記者やデスクを約20年務めてきた中丸憲一(メディア研究部)も参加します。
参加申し込みは、下記から行っております。ぜひ登録の上、ご覧ください。 |
【あわせて読みたい】
・能登半島地震 緊急論考「命を守る呼びかけ」「災害関連死」~過去の災害の教訓は生かされたのか~| NHK
・関東大震災100年~地震と台風の「同時・時間差襲来」にどう備えるか~| NHK
・日本海中部地震から40年 北海道南西沖地震から30年 2つの大津波の教訓【研究員の視点】#494 | NHK文研
・#250 何が避難行動を後押しするのか!? ~「災害に関する意識調査」結果から~| NHK文研
ⅰ「避難スイッチ」については、矢守克也『防災心理学入門 豪雨・地震・津波に備える』(2021年、ナカニシヤ出版)p15の記述を参照。
「この情報を入手したら絶対に避難する、あるいは、近所でこういう様子を見かけたらみんなで避難準備を必ず始めるなどと、『避難スイッチ』を事前に、かつ具体的に決めておくことが重要である」
中山準之助 文研・世論調査部 |
中丸憲一 文研・メディア研究部 |