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メディアの動き 2023年09月15日 (金)

【メディアの動き】仏国際放送,西アフリカを中心に放送禁止相次ぐ

 軍事クーデターが続く西アフリカで,旧宗主国フランスの国際放送FMM(France Médias Monde)が禁止される事態が相次いでいる。2022年以後,マリやブルキナファソに続き,2023年8月にはニジェールでも放送が遮断される事態となっている。

 7月下旬,ニジェールではクーデターにより,軍の部隊がバズム大統領を排除し,軍事政権の発足を発表した。その後,8月3日,FMM傘下の国際テレビ(France 24)とラジオ(RFI)の放送が,ニジェールで遮断される事態となった。仏日刊紙Le Mondeは,新たな軍当局の指令によるものとしている。FMMは同日,法的枠組みからも外れた決定で,地域の市民の,自由で独立した情報へのアクセスを奪う行為だと,強く抗議する声明を出した。FMMによると,ニジェールでは2022年,RFIは毎週人口の18%にあたる190万人が聴取し,France 24は人口の4分の1が視聴している。

 これまでも西アフリカでは,軍事クーデターが発生したマリで,2022年3月,暫定政権がFrance 24とRFIのマリ軍に関する報道は虚偽だとして,両局の国内での放送を禁じた。同様にブルキナファソでも,軍事クーデター後の2022年12月にRFI,2023年3月にFrance 24の放送が相次いで禁止された。さらに8月26日,大統領選挙が行われたアフリカ中部のガボンでも,当局により,France 24とRFIが,選挙関連報道で客観性とバランスを欠いたとされ,一時的に放送が遮断される事態となっている。その後,30日には軍の将校らが権力掌握を宣言し,混乱が広がっている。