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メディアの動き 2023年09月15日 (金)

【メディアの動き】生成AI利用・報道基準,米APが公表

 ChatGPTなど生成AIの利用が広がる中,アメリカの大手通信社APは8月16日,生成AIの取材・編集利用についての基準を公表。翌17日,全米の地方紙など多くの英語メディアが参照する報道の手引「AP Stylebook」にも,AIに関わる報道のガイダンスや関連用語を追加した。

 このうちAP Stylebookでは,AIツールについて報じる際に,▷人間であるかのような表現や代名詞は避け,▷開発された目的や機能を説明する,▷その利用によって誰に利益があり,誰が不利益を被る可能性があるかを伝える,▷具体的な根拠を伴わない将来の可能性に関する開発者や企業の発言は慎重に扱い,現実にある課題の取材を優先する,などと勧告している。

 APとしての生成AI利用の基準では,事実を積み重ねて評価・整理し,記事・コンテンツを編集するという記者の中心的な役割に代わりはなく,AIが代替することはないとしたうえで,▷写真や動画,音声の加工・修正に使わない,▷機密情報などを入力しない,▷生成AI作成の情報は未検証の情報と同様に扱う,▷外部からの情報に生成AI作成のものが紛れ込むことを警戒する,などの注意を促している。

 アメリカではこのほか,ラジオ・テレビ・デジタルニュース連盟(RTDNA)が5月,報道機関がAIを利用する際には透明性や情報の正確さを担保する基本方針を明示するよう勧告した。非営利組織Partnership on AIはAI研究者,APや地方紙大手Gannettと協力し,幅広い意見交換の機会も設けながら,AIの利用やツール開発委託のガイドライン案,AIツールのデータベースなどを作成している。